チャイナマンスリーレポート

5月号

2013年5月1日 内藤証券中国部

割安感の強まりと政策期待の高まりで底入れ反転へ

本土市場
政策期待の高まりで株価底入れへ

 4月の本土株式市場は月初から軟調なスタート。その後も中旬にかけて本年安値を更新するなど下値模索が続いたが、月後半には下げ止まりから一進一退の動きに。

 3月終盤にかけて再度下げに転じた上海総合指数だが、4月に入っても軟調な動きは続き、1日から3日まで3日続落。1日に発表された3月の製造業購買担当者指数(PMI)は前月より改善したものの、市場予想を下回ったことで影響は限定的。清明節の連休を控え、様子見ムードが広がった。一方、連休明けの8日も続落、終値は2211.59ポイントと今年の安値を更新した。連休中の海外株式市場が軟調だったことに加え、国内でも鳥インフルエンザ(H7N9型)に流行の兆しが出てきた、などが背景。

 その後はいったん反発したものの、11日から15日まで3営業日連続で下げるなど再び下落基調に転じた。鳥インフルエンザや朝鮮半島情勢など不安材料が燻るなか、15日に発表された1-3月期のGDP成長率などいくつかの経済統計が事前予想を下回ったことで俄かに景気減速懸念が台頭、売り材料となった。

 一方、月後半にかけてはMSCI新興国指数へのA株採用を巡る報道やRQFIIの投資枠拡大観測などで資金流入期待が高まったものの、足元の経済指標は引き続き低調で相場反転のきっかけが掴めないまま、一進一退の動きが続いた。

 1-3月期のGDP成長率が予想外に減速、その他経済指標も総じて低調で景気の先行き不安が払拭できない。一方で消費者物価こそ落ち着きを取り戻したが、不動産価格の上昇は続いていることから、一段の金融緩和で景気を支えることは難しそうだ。ただ、景気の停滞が今後も続くようなら政府もインフラ投資、消費刺激策など何らかの内需振興策を打ち出してこよう。今回の調整は2月半ばから既に2カ月以上続いており、上海総合指数も高値から10%強下落している。割安感も強まっていることから、今後は政策期待を支えに上向きに転じよう。 (4/24 村上)

香港市場
割安感強まり、売られ過ぎの訂正局面へ

 4月の香港株式市場は出足こそ堅調に始まったものの、その後急落。以降は短い周期で上昇、下落を繰り返すなど方向感に乏しい展開となった。

 3月下旬には反発に転じたハンセン指数だが、4月に入ると初日の2日こそ堅調なスタートとなったが、翌3日は小幅安、そして休日明けの5日には610.5ポイント、2.7%の大幅下落で22000ポイント台を割り込み、週明けの8日も続落。中国本土が清明節連休のなか、鳥インフルエンザの拡がりに対する不安に加え、不穏な北朝鮮情勢も投資家心理を悪化させた。

 ただ、翌9日以降はいったん反発、10日には22000ポイント台を回復するなど3日続伸となった。3月の消費者物価指数上昇率が前月から大きく低下したことで金融緩和見直しへの懸念が後退。ニューヨーク・ダウが過去最高値を更新したこともプラスに。もっとも、12日以降は一転して5営業日続落。鳥インフルエンザや朝鮮半島情勢などの不安要因を抱えるなかで、1-3月期のGDP成長率下振れが大きなネガティブサプライズとなったほか、ボストンでの爆発事件など海外環境の悪化も嫌気された。

 一方、月後半にかけては底入れの気配も。MSCI新興国指数へのA株組入れ、RQFIIの投資枠拡大などの観測を手がかりとする本土市場の反発に加え、欧米市場の反転に伴う海外リスクマネーの流入期待も香港市場の押し上げ要因となった。

 景気の先行き不安に不動産引き締め懸念が加わり、本土市場の調整が続いている。一方で、欧米市場も米国以外は3月半ばから調整気味の展開で、海外投資家のウエイトが高い香港市場の株価も冴えない動きが続いている。ただ、香港市場は本土市場以上に3カ月近く調整局面が続いており、この間の下落率も10%を超えている。したがって、同様に足元の悪材料はほぼ織り込んだものと思われる。割安感が強まっていることもあり、売られ過ぎの訂正局面が期待される。(4/24 村上)

ハンセン指数(日足)上海総合指数(日足)

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特集:景気先行きは依然として明るい、企業業績の改善傾向がトレンド転換の手がかりに

昨年は景気低迷も、今期の見通しは依然として明るい

 国内経済は昨年低迷し、通年のGDP成長率は7.8%に大きく減速した。これを反映して中国企業の12.12期決算は振るわず、資源、素材、機械などの景気敏感セクターや、燃料コスト高で航空・海運会社が苦戦。増益・黒転は消費・サービスを中心に約5割にとどまった。

 もっとも、今年の景気見通しは基本的に明るいと考えられる。GDP成長率は3Q12に7.4%で底打ちし、4Q12は7.9%に改善、景気は回復傾向に転換した。確かに1Q13の主要統計では成長率が再び7.7%に鈍化したが、詳細をみると前四半期比では1.6%のプラスを確保。昨年不振だった貿易が堅調であるほか、経済構造の転換という政策目標とのバランスを考えれば、消費、工業生産、投資の各指標も低い数値とは言い切れない。何より景気下支えの政策余地が十分残されており、腰折れリスクは限定的といえよう。

業績改善を手がかりに、株価も徐々に上向く可能性が高い

 また、企業業績も改善に向かいつつあると考えられる。ファクトセット社提供の予想データに基づくと、増益・黒転の銘柄割合は、景気敏感セクターの業績回復にともない、13.12期に約8割まで拡大する見込み。消費関連株をみると、自動車、家電など耐久消費財のセクターが需要増加の恩恵を受ける可能性が高い。インフレを想定内に抑えられれば、食品・医薬など一般消費財のメーカーも増益を確保できそうだ。不動産引き締めによる悪影響は一定程度避けられないが、一方で都市化推進策が建設・建材企業などの業績を下支えしよう。

 なお、中国株は今年2月以降、国内経済の不透明感から 調整局面に入っているが、大手を中心に業績回復の傾向 が広がっていくにつれ、相場のトレンドも徐々に上向くものと 期待される。当面は1Q13の決算、そして期末配当を手が かりとした個別物色が予想される。(4/22 畦田)

1Q13の主要経済指数

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弊社取扱の12月決算銘柄に関するセクターごとの業績パフォーマンス

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安徽海螺水泥(アンフイコンチセメント)

00914〈N0060〉香港 株価チャート

中国の大手セメントメーカー

 セメント・クリンカーの生産・販売が国内屈指の規模。出荷製品は「海螺(CONCH)」ブランドで一般的に良く知られ、上海東方明珠電視塔、上海リニア鉄道の高架などで使用された実績を持つ。昨年の地域別売上比率は、中国中部36.7%、東部30.9%、南部17.4%、西部15.0%。

昨年は大幅な減益だったが、足元は業績改善の兆し

 12.12期は売上高が前年比5.9%減と小幅減にとどまったものの、営業利益が同43.9%減、純利益で同45.4%減と大幅な減益。景気減速や不動産引締め等の影響によるセメント価格の大幅な下落が業績悪化の主因。

 当局は昨年前半の経済低迷を受け、適度な金融緩和に加え、鉄道や水利工事等の大型インフラプロジェクトを相次ぎ認可した。このような一連の景気刺激策が功を奏して、固定資産投資が秋口から再び活発化、これに伴う需要増加が建材業界にとって追い風となった。なかでも、同社の売上高で大半を占めている長江デルタと珠江デルタ地域では、9月から工事に適した季節に入ったほか、地方政府も年末に掛けて公共投資を加速。これらを背景に、主力製品であるセメントとクリンカーの通年の販売量は同18.3%増の1億8700万トンと、業界平均の増加率(7.4%)を大きく上回った。しかし、不況の中で在庫処分を急いだこともあり、平均販売単価は241元/トン、同20.8%低下した。このため、粗利益率は前年に比べて12.1ポイント低下し、27.3%となった。もっとも、生産技術の革新とコスト管理の徹底を通じて競合他社よりも比較的高い利益率を維持している。

 足元では、経営環境の好転とともに国内建材市場の需要は緩やかながらも回復傾向。実際、セメント・クリンカーの出荷価格は昨年8月までの需要低迷期から脱出し、持ち直す勢いが続いている。今後、販売単価は255元/トン以上になると予想する。これに伴って、売上構成比で98.5%を占めるセメント・クリンカー事業の採算が改善するだろう。

都市化の推進と環境保護の規制強化は大手企業に有利

 今年3月に発足した習近平政権が掲げる都市化推進策の下、保障性住宅の建設加速が建材市場の需要を中長期的に牽引する見通し。当局は不動産への投機的需要を引き続き抑えるものの、内需拡大・消費喚起を目的に実需に基づく保障性住宅の開発を促進している。さらに、セメント業界は今後、都市化の進展に伴い、地下鉄建設等の恩恵も受けよう。

 また、政府は旧式設備による環境汚染を抑制する一環として中小メーカーの淘汰と大型セメント企業の育成を加速。このため、有害物質に対する規制強化が大手企業の設備稼働率改善に繋がろう。特に、同社は環境対策に注力しており、昨年、日本の川崎重工業と協力して低NOx(窒素酸化物)燃焼技術を新たに開発。NOx排出量を3割程度減らすことに成功した。また今期、余熱発電装置を組み込む生産ラインの建設等に82億元を投入する計画だ。さらに昨年末、建材大手の中国建材(03323)と戦略的提携関係を結んだことも市場シェア拡大、価格交渉力の向上に繋がっており、今期大幅な業績改善となろう。(高)

売上構成比(12.12期) 中国のセメント消費量と生産量の推移

北京控股(ベイジンエンタープライズ)

00392〈N5250〉香港 株価チャート

北京市政府系の投資会社

 子会社を通じて都市ガスや上下水道などの公益事業を手掛けるほか、ビールの製造販売等も行う。主力のガス事業では北京市や周辺地域に都市ガスを供給するとともに、天然ガスパイプラインの運営会社にも出資している。

 12.12期は売上高が前年比16.7%増、純利益で同17.8%増。特に、ガス事業が好調であった。主因は年初に稼働を始めた天然ガス発電所への供給や、配管網の拡充に伴う都市ガス契約世帯数の増加など。これらにより、ガス販売量は同22.7%増。また水処理関連事業も年間取扱量が同42.8%増加した。一方、ビールの販売量は同1.8%減。ただ、中高級品が堅調だったことで売上高は同8.0%増となった。

ガス事業の拡大が好業績を牽引

 同社のガス販売量は今後も大幅に増加する見通し。域内では天然ガス火力発電所が新たに稼働を始める予定となっているほか、都市ガス普及率の向上も見込めるためだ。環境保護を重視する政府の方針も天然ガス需要の拡大を促し、今期の販売量は前年に比べ2割以上の増加が見込まれる。

 また、供給体制に関しては同社が出資する陝西省と北京市を結ぶ天然ガスパイプラインは第3期拡張工事を終え、年間の輸送能力が350億k以上に達しており、今後数年間の需要増に十分対応可能だ。さらに、14年末の完成を目処に第4期工事も既に開始。同社は北京市周辺でのガス需要の増加に伴って中長期的に高成長を続けよう。(有井)

華能国際電力(ファネンパワーインター)

00902〈N2640〉香港 株価チャート

中国の大手電力会社、12.12期は大幅増益

 国内外で発電所の運営などを手がける。国内19の省・自治区・直轄市で事業を展開。08年には海外にも進出し、シンガポールの発電会社「大士能源有限公司」を傘下に置く。昨年の発電量は30.2万ギガワット時(GWh)に達し、香港の五大上場発電会社の中では最も多かった。

 12.12期の業績は売上高が前年比0.4%増、純利益が同367.0%増。景気減速に伴い、国内の発電量が同3.6%減、卸電力販売量が同3.5%減といずれも減少したことが影響し、小幅増収にとどまった。ただ、卸電力価格の上昇、石炭価格の下落やコスト抑制策などが奏功し、大幅増益となった。

業界再編の進展や燃料コストの低下などが追い風に

 同社は水力や風力発電などクリーンエネルギー事業を更に強化する方針。こうした電源構成の見直しは収益源の多様化に繋がろう。また、火力発電についても脱硫および脱硝装置の追加設置を一層推進する計画だ。大気汚染問題が深刻化するなか、中国政府は今後一段と厳格に同装置の設置を各企業に求めよう。

 ただ、各装置の設置には多大なコストがかかることから、環境対策費の負担増が懸念される。しかし、これにより資金力の劣る中小企業の淘汰が進む可能性は高く、中長期的には大手にとって有利に働こう。さらに、石炭価格の下落などを背景に、今期も燃料コストが低水準を維持することで二ケタの増益となろう。(佐藤)

港華燃気(タウンガスチャイナ)

01083〈N9130〉香港 株価チャート

香港系の都市ガス会社、12.12期は二桁増収益

 中国本土でガス管(導管)による都市ガスの販売やガス管網の敷設等を手掛ける。主な事業エリアは山東省、四川省、広東省など。実質筆頭株主は香港メインボードに上場している香港中華煤気(00003)。

 12.12期は売上高が前年比20.0%増、純利益が同18.6%増。部門別では都市ガス販売事業が好調。昨年の都市ガス販売量が同13.9%増、平均販売価格も上昇し、売上高は同20.8%増、セグメント利益で同32.0%増。また、ガス管敷設事業も新規顧客獲得件数が同12.1%増となったことで売上高が同17.2%増、セグメント利益が同21.4%増となった。

積極的な買収で事業規模が更に拡大へ

 2017年まで毎年8~10件のペースで都市ガスプロジェクトを獲得する方針で、今年も8件に上る見込み。一方、前期末時点で約24.8億香港ドルのキャッシュを保有。さらに今年1月には増資を実施し、約9.3億香港ドルを調達したことから、資金需要に対する手当は十分に確保されている。

 また、親会社も中国本土で都市ガス事業を展開しており、グループのプロジェクトは全て集中購買制度を活用。同社は調達コストの低減というメリットを享受できる。そうしたなか、福建省・湖南省などでのプロジェクト獲得に注力。これ等の地域は大都市と比べて天然ガスの普及率が低い一方、経済成長率は高く、今後の発展余地も大きい。更なる事業規模の拡大が見込め、同社は高成長を維持しよう。(佐藤)

銀泰百貨(インタイム・デパート)

01833〈N1833〉香港 株価チャート

浙江省を主な地盤とする百貨店チェーン

 98年に杭州市で1号店を開設した比較的若い企業。主にアパレル、化粧品、アクセサリーなどを取扱い、中高級品の品揃えに強みを持つ。昨年末時点で浙江省に百貨店17店舗、ショッピングセンター2カ所の販売網を構えるほか、湖北省や陝西省、北京市等でも事業を展開。

 12.12期の業績は売上高が前年比25.3%増、純利益で同18.4%増。ショッピングセンター開設などによる新規出店効果に加え、既存店売上高(テナントによる販売を含む)も同9.1%増と堅調な伸び。テナントの売上を含めた総販売収入では同19.8%増となった。また、人件費など規模の拡大に伴ってコストも上昇したが、増収効果によって吸収。保有株の一部売却による利益計上も二ケタ増益に寄与した。

ショッピングモール事業に注力

 同社は、ショッピングモールの開発を積極的に推し進めることで中核事業を強化する方針だ。年初には、現在進行中の温嶺開発プロジェクトにおいて非中核事業の権益を売却するとともにショッピングモール事業を完全子会社化するとの計画を明らかにした。今後は百貨店網の整備よりもショッピングモールの出店を急ぐ構えだ。

 一方、足元の業績も底堅く推移しており、今1‐3月期の総販売収入は前年同期比11.9%増となっている。同社は今後も大型商業施設を中心に魅力的な店舗を数多く出店することで高成長を続けよう。(有井)

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