チャイナマンスリーレポート

10月号

2013年10月1日 内藤証券中国部

景気回復に政策期待も加わり、上昇トレンドが続く

本土市場
景気底入れ機運が高まる、政策期待も加わり堅調な動きに

 9月の本土株式市場は月初から堅調なスタートの後、上旬にかけて一段高。その後、いったん下押す場面もあったものの、下旬には下げ止まりから一進一退の動きに。

 8月終盤にかけもみ合いが続いていた上海総合指数だが、9月に入ると再び上昇に転じ、3日の終値は前日比24.6ポイント高の2123.11ポイントと4営業日ぶりに2100ポイント台を回復した。8月の製造業購買担当者指数(PMI、物流協会算出)が市場予想を上回ったことや農村の土地改革に関する重要文書が多数の省に下達されたことで、農村土地改革の推進期待が拡がったことなどが背景。

 その後も上昇基調は続き、9日には前日比3.4%の大幅高となり、終値で約3カ月ぶりに2200ポイント台を回復、さらに12日には2255.60ポイントまで上昇した。銀行に優先株の発行が認められるとの観測が拡がり、資本基盤強化への期待感から大型銀行株が急騰したほか、公表された8月の主要経済統計が引き続き強い内容だったことで、景気の底打ち感が拡がったことも買い材料に。

 もっとも、その後はいったん反落。米連邦公開市場委員会(FOMC)や中秋節連休を控え、利益確定売りが拡がった。ただ、連休明けの23日には前営業日比1.3%高と大きく切り返した。HSBCの9月のPMI (速報値)が市場予想を上回ったことで、景気の持ち直しを見込んだ買いが入った。一方、月末にかけては強弱材料が相半ばし、一進一退の展開に。

 月初に発表された8月のPM(I 物流協会)が引き続き好転、中旬発表の主要経済指標も貿易統計をはじめ固定資産投資、鉱工業生産などが軒並み予想を上回り、景気の底入れ機運が高まってきた。足元で景気見通しの上方修正が始まっており、株価もこうした動きに反応してボリュームを伴いつつ徐々に下値を切り上げる動きとなっている。海外環境には一部不透明さも残るが、三中全会を11月に控え政策期待も高まりやすい時期だけに、当面は堅調な展開が期待できそうだ。(9/26 村上)

香港市場
世界的にリスクオンが再開、本土景気の回復も支えに

 9月の香港株式市場は月初から大幅高で始まり、その後も中旬まで上昇基調を継続。ただ、下旬にかけては頭打ちから一進一退の動きとなった。

 8月終盤にかけて調整局面が続いていたハンセン指数だが、8月28日を底に反発に転じると29日から9月3日まで4営業日連続で上昇。8月のPMI(物流協会)が1年4カ月ぶりの高水準となったほか、民営企業をより広くカバーするHSBC算出のPM(I 確定値)も4カ月ぶりに50を上回り、本土経済に対する楽観的な見通しが拡がったことが主因。

 その後も1日置いて5日から10日まで再び4営業日続伸、10日の終値は22976.65ポイントと23000ポイントに接近した。地区連銀報告で経済活動の拡大が示され、米国経済の先行きに対する不安感が後退したほか、中国の8月の主要統計が良好だったことで、本土経済への回復期待も拡がり、買い安心感に繋がった。

 以降も、基調としては強い動きが続き、16日には前日比1.5%の大幅高で23000ポイント台を回復。19日には同1.7%の急騰となり、23502.51ポイントまで上昇。シリア情勢に対する警戒感の後退に加えて、17~18日に開かれたFOMCで量的緩和の縮小が見送られたことがポジティブサプライズとなり、世界的にリスクオンに転換、香港市場にも海外資金が流入した。ただ、月末にかけてはニューヨーク市場の反落もあり伸び悩む展開となった。

 QE3縮小が予想外の先送りとなり、世界的にリスク資産への資金流入が再開、香港市場もこの流れに乗り堅調な値動きが続いている。一方で、中国本土の景気も各種の指標が示すように最悪期を過ぎて、回復過程に入ってきた可能性が高く、相場の押し上げ要因として働いている。量的緩和縮小先送りの好材料を織り込む中で、米国景気に対する先行き不安が再燃しつつある点は懸念材料ではあるが、本土景気の復調を背景に海外からの資金流入継続が予想され、上昇基調が続こう。(9/26 村上)

ハンセン指数(日足)上海総合指数(日足)

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特集:世界経済の回復に伴い輸出は改善、「自由貿易区」構想が中長期的な好材料に

海外経済の復調、政策支援を背景に輸出は改善

 世界経済の回復に伴い、中国株市場は堅調な地合いが続いている。欧州にようやく明るさが出てきたほか、米国経済も概ね安定した状況。ASEANなど新興国も底堅い。こうしたことから中国の輸出環境は改善しつつあり、国内経済も再び上向き始めた。9月のHSBC製造業購買担当者指数(PMI)は速報値で半年ぶりの高水準。新規輸出受注も同じく半年ぶりに景気判断の目安となる50を上回った。

 また、下期に入ってからの輸出の回復は政府の貿易振興策も大きく寄与。通関手続きの簡素化、税制措置などを通じて企業を支援しており、その効果が表れてきている。今後も世界経済は基本的に回復が続く可能性が高い。欧米のクリスマス商戦も期待できることから、昨年は景気の足を引っ張った輸出も、今年は改善が望めそうだ。

「上海自由貿易区」が発足、同様の動きが各都市にも

 また、政府は長期的な成長戦略も打ち出している。その代表例が10月1日に始動する「上海自由貿易区」だ。大胆な規制緩和・優遇措置を通じて貿易・金融を一層活発にし、上海市の国際競争力を高める狙い。これは習近平政権が進める構造改革の一つであり、貿易・投資・金融取引の自由化を徐々に進めることで、輸出構造の高度化、競争力のある中国企業の育成と国際展開を推進。また、その経験を国内各地に広げることを視野に入れた国家戦略と考えられる。

 実際、同様の動きは天津市、重慶市、広東省の広州・深セン両市など国内主要都市でも活発化。現時点では構想段階にとどまる内容も多いが、計画の進展に伴い様々な経済効果が期待される。地場系の有力企業にとっては大きなビジネスチャンスとなろう。(9/25 畦田)

主要都市に貿易区構想の動き 中国の輸出額の推移 主な自由貿易区構想の一覧

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大唐国際発電(ダータンパワー)

00991〈N3250〉香港 株価チャート

5大電力グループ「中国大唐集団」傘下の中核発電会社

 火力発電を主力とするほか、水力や風力などクリーンエネルギーによる発電事業も手がける。子会社を含むグループ全体の総発電容量は今年6月末時点で3万8629メガワットに達しており、火力発電83.5%、水力発電12.5%、風力・太陽光発電4.0%。また、近年は事業の多角化を推し進めており、石炭の採掘や輸送だけでなく、石炭化学などの分野にも進出。

今上期は大幅な増益を達成

 13.6期(中間)の業績は前年同期比0.4%増収、純利益で同75.0%増益。景気減速に伴う電力需要の落ち込みを受け、発電事業が同3.6%減収と全体の足を引っ張った。また、火力発電ユニットに対するメンテナンス作業の実施や水不足による水力発電設備の稼働率低下の影響で発電設備全体としての稼働時間は前年同期を95時間下回り、発電量で同2.1%減。ただ、石炭事業が出荷量の増加で同37.0%増収となったほか、石炭化学・その他事業も新規生産施設が順次稼働したことで同39.4%増収。

 一方で、コスト全体の6割を占める燃料費は前年同期に比べ32.9億元減少。火力発電用石炭の価格が1トン当り同130元下落したためだ。これによって、電力事業はセグメント利益(以下同じ)で同134.0%増。逆に、非発電分野では石炭事業が市況低迷を受けて同32.9%減益。また、石炭化学事業も生産設備の稼働率低下や減価償却費の負担増等が響き、赤字に転落。

原発事業と石炭ガス事業が新たな成長エンジンに

 現在、中国政府は低炭素経済への移行を図るため、環境保護等に対して手厚い支援を実施している。実際、国務院は今年9月に大気汚染抑制の行動計画を発表した。この中では、クリーンエネルギーの利用拡大や有害化学物質の排出防止などの具体策が盛り込まれている。政府関係者によると、同計画の実施にともなって1兆7000億元規模の投資が生み出される見通しだ。

 このような中、省エネ・排出削減分野で着実に実績を積み上げてきた同社は今後も政府の支援を得て経営規模を引き続き拡大させよう。特に原発事業と石炭ガス事業では、これまでの巨額投資が実を結び、収穫期を迎える。今年4月、寧徳原発1号機がフル稼働に入り、通期の利益貢献は約1.3億元になる模様。さらに、16年には6基目の原発ユニットが操業を開始する予定。この時点で原発事業の利益貢献は約9億元に達する見込み。

 また、政府は環境に優しい天然ガスの利用を促すほか、不足分を石炭ガスの推進で補う方針も固めている。それゆえ、足元での天然ガス価格の引き上げも石炭ガス化業界にとって追い風となろう。現在、同社は2つの石炭ガス化プロジェクトを進めており、来年上期には北京市と遼寧省を中心に石炭ガスの供給を始める予定。加えて、石炭化学事業における懸念材料であった稼働率低下も技術面での問題を克服しつつある。これらを踏まえて同社は今後、経営の多角化を一層進めることで火力発電に大きく左右された今までの体質を脱却し、中長期的に安定した成長を続けよう。(高)

部門別売上構成比(13.1H) 業績推移

国泰航空(キャセイパシフィック)

00293〈N7410〉香港 株価チャート

香港のフラッグ・キャリア、航空会社コードは「CX」

 国際的な航空連合「ワンワールド」のメンバー。昨年末時点で138機の運航機体を保有し、世界39カ国・地域の172都市に旅客便や貨物便を就航。また、ドラゴン航空や華民航空などを傘下に持つ。さらに近年は中国国際航空(00753)との間で資本業務提携を結び、本土での事業を強化。

 13.6期(中間)の業績は、売上高が前年同期比0.6%減となったものの、純利益が24百万香港ドル(前年同期9.3億ドル赤字)と黒字転換。輸送能力を削減したことで旅客部門のロードファクター(有償座席利用率)が前年同期に比べ1.2ポイント上昇して81.3%に改善。また、ジェット燃料の価格下落等も燃料コストの低下に繋がり、利益を押し上げた。

旅客部門を中心に収益は改善傾向に

 年後半、旅客部門を中心に業績が改善する見通し。実際、旅客輸送に対する需要が足元で徐々に回復しており、旅客数は7月に前年同月比6.9%増、8月も同5.3%増と堅調に推移。旅客ロードファクターも7月が85.0%(前年同月比3.9ポイント上昇)、8月で86.7%(同3.6ポイント上昇)。特に、米国路線でビジネスクラス等の利用率が好転しているようだ。

 一方、20年までに新型航空機を80機以上調達する計画を立てるなど、ジェット燃料使用量の削減等を通じた合理化に取り組む構え。格安航空会社との競争激化など、同社を取り巻く経営環境は厳しいが、コスト削減を図ることで収益力を一段と強化させよう。(有井)

中国通信服務(チャイナコミュニケーションズ)

00552〈N0552〉香港 株価チャート

通信支援サービスの国内大手

 主力事業は、通信インフラ建設を行う電気通信インフラ・サービス(TIS)と、ネットワークの保守点検などの電気通信事業者向けビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)。このほか、インターネット付加価値サービス等を提供するアプリケーション・コンテンツ(ACO)事業なども手掛ける。

 13.6期(中間)の業績は、前年同期比9.6%増収、純利益で同1.7%増益。通信網の設計やメンテナンスサービス等の質を向上させた結果、通信キャリア向けの売上高が同7.1%増となった。また、ACO事業が好調だった影響で非通信キャリア向けも同11.8%増。ただ、コストの増加に伴って利益率が悪化、純利益は微増にとどまった。

スマホの普及に伴うインフラ投資の拡大が成長を後押し

 低価格スマホが中国国内で急速に普及するなか、当局は携帯端末等を用いた電子商取引の拡大を一段と促進する構えだ。そのため、各通信キャリアは第4世代(4G)通信網の整備や「スマートシティ」の建設など、通信インフラへの投資を今後一層活発化させる見通し。

 このような環境のもと、同社は収入の大半を国内3大通信キャリアとの取引で占めており、競合他社に比べて大きな恩恵を受けよう。さらに、高速通信ネットワーク構築後も保守点検を含む支援サービスが続く。年内には4Gライセンスの正式交付が見込まれているだけに、インフラ投資の拡大に伴って同社は再び高成長路線を歩もう。(高)

海信科龍電器(ハイセンス・ケロン)

00921〈N0070〉香港 株価チャート

海信グループ傘下の白物家電メーカー

 「海信(Hisense)」、「科龍(Kelon)」、「容声(Ronshen)」といったブランド名で冷蔵庫、エアコンや洗濯機等の製造を手掛ける。主力製品である冷蔵庫は昨年の国内シェアで16.3%を占め、業界2位。また、エアコンに関しても日立と合弁事業を展開するなど、国内トップクラスの市場シェアを誇る。

 13.6期(中間)の業績は、売上高が前年同期比30.3%増、純利益で同86.1%増。高機能製品を中心とした事業規模の拡大戦略が功を奏し、冷蔵庫とエアコンが同24.5%、34.6%増収。また、ハイエンド製品の充実を図ったことで家電製造部門における粗利益率は前年同期に比べ1.5ポイント上昇して22.5%となった。

買い替え需要の拡大から今後も高成長を維持

 同社は現在、ハイエンド製品の開発を積極的に推し進めている。冷蔵庫の大容量化やエアコンのインバーター方式化などを通じてアップグレードを図り、高性能機器の販売比率を今後更に高めていく方針だ。これによって、国内での家電の買い替え需要の取り込む構え。

 一方、足元では銅やアルミなど、原材料価格の下落による利益率の向上も見込める。今年に入ってから商品相場が比較的軟調な展開となっており、この傾向は欧州での景気低迷などを背景に当面続きそうだ。それゆえ、製造コストに占める原材料費の比率が相対的に高い同社にとって利益率の更なる改善に繋がろう。(有井)

太平洋保険(CPIC)

02601〈N2601〉香港 株価チャート

上海市の総合保険会社、13.6期(中間)は大幅増益

 上海市を本拠とする総合保険会社。保険料収入ベースで昨年度は生命保険が国内4位、損害保険が3位のシェア。今上期の保険料収入の内訳は生保57.1%、損保42.9%。

 13.6期(中間)は純利益が前年同期比107.1%増の54.6億元に上り、同業他社と比べて業績回復がより鮮明だった。市況改善に伴い投資収益が急増。また、保険料収入も986.6億元、同9.0%増と伸び率が再び加速してきた。制度改革、研修強化などを通じて契約代理店・営業員の士気・能力向上に注力。これが奏功して生保の保険料収入は同1.9%増と増収を確保したほか、損保の保険料収入も20%台の高い伸びとなった。

上海市の発展で中長期的な恩恵が見込める

 中国では上海を国際金融・貿易の一大都市に飛躍させようという動きが活発化。政府も近く「上海自由貿易区」を発足し、金融自由化、貿易手続きの簡素化などを進める見通しだ。

 こうしたなか、同社は地場系唯一の総合保険グループとして高い競争力を有しており、上海市の発展から中長期的な恩恵が見込まれよう。同市は税金繰延型個人年金保険の先行導入の予定があるなど、保険商品の開発・投入に有利な環境。この中で同社が先行して展開できれば、新規需要をいち早く獲得できる。また、ライフサイクルに合わせて富裕層に多様な保険商品をワンストップで提供できる体制が強み。その競争力が更に強化されれば、保障重視のニーズを取り込むことができ、今後も安定的に契約を増やすことができよう。(畦田)

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