チャイナマンスリーレポート

12月号

2013年12月2日 内藤証券中国部

金融引き締め懸念は残るが、政策期待もあり株価は回復へ

本土市場
政策期待の高まりを背景に堅調な展開へ

 11月の本土株式市場は月初こそ堅調に始まったものの、その後反落。中旬にはもみ合いから急反発に転じ、月末にかけては高値圏で一進一退の動きとなった。

 10月終盤にかけて下げ止まりから回復に転じた上海総合指数だが、11月に入っても堅調な動きが続き、初日の1日から5日まで小幅ながら3営業日連続で上昇。10月の製造業購買担当者指数(PMI、物流協会算出)が市場予想を上回ったことや、中国共産党の第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)を間近に控え、政策期待が高まった、などが背景。

 もっとも、その後は6日から3日続落となり8日にはザラ場で2100ポイントすれすれまで売られた。週末に主要経済指標の発表や「三中全会」を控えて、様子見姿勢が強まるなか、中国人民銀行が最新の「貨幣政策執行報告書」でインフレリスクに言及したことから金融引き締めへの警戒感が拡がったためだ。

 「三中全会」が終了した12日の引け後に発表された公告には市場が期待した戸籍改革など大胆な内容が盛り込まれず、失望感が広がり、翌13日は前日比で1.8%の急落となった。しかし、その後、詳細が明らかになるに連れ市場は改革案を再評価、18日には同2.9%の急上昇となり、終値は2200ポイントに接近。以降も2200ポイント前後での高値もみ合いが続いた。

 9月の経済指標の一部に停滞感が見られ、10月後半の株価下落を招いたが、10月の指標は総じて良好で、景気減速に対する警戒感は取り敢えず後退した。ただ、消費者物価が2カ月連続で3%を超える上昇、さらに不動産価格の高騰も収まらず、金融引き締め懸念は残らざるを得ない状況だ。とは言え景気の再減速懸念が消えつつあるうえ、世界的な金融環境も株式市場にとってポジティブな情勢が続きそうだ。しかも今後は、12月の中央経済工作会議、そして3月の全人代に向けて政策期待が一段と高まる季節に入る。したがって当面、堅調な相場展開が予想される。(11/25 村上)

香港市場
米国の量的緩和は当面継続、香港への資金流入も続く

 11月の香港株式市場は堅調にスタートしたものの、中旬にかけて反落。その後、急反発し下旬には一時年初来高値に迫る場面もあったが届かず、高値圏でのもみ合いとなった。

 10月末にかけて反発に転じたハンセン指数だが、11月に入ると初日の1日こそ43.4ポイント高と確りだったが、4日からは5日続落となり8日には終値で22744.39ポイントまで売られた。週末に10月の中国の経済指標発表や「三中全会」の開幕を控えて、様子見ムードが強いなか、中国人民銀行がデレバレッジ(負債圧縮)やインフレリスクに言及したうえ、市中への資金供給となる公開市場操作での買いオペを停止したことで、引き締め懸念が強まったことが背景。

 11日には米国雇用統計の好転を背景に世界的にリスクオンの動きとなり急反発したものの、12、13日と続落。特に、13日は「三中全会」の結果に対する失望感が広がり、前日に比べ2%近い急落、終値で22463.83ポイントまで下げた。ただ、その後「三中全会」での決定事項の全容が明らかになるに連れ市場の見方は一変、買い意欲が盛り上がり14日から18日まで3営業日続騰となり、3日間で1196.2ポイント、5.3%の急上昇となった。

 一方、月末にかけては急上昇の反動に加えて、「各種政策の進展を見守る必要がある」との慎重な見方も広がり、利益確定売りを誘う一方で、ニューヨーク・ダウの最高値更新などが下支えとなり、高値圏で一進一退の展開に。

 中国本土での不動産規制や金融引き締めに対する懸念は引き続き残るものの、一時の景気先行き不安はかなり後退している。香港市場の最大の懸念材料でもある米国の量的金融緩和の縮小は来年度にずれ込む可能性が高そうだ。したがって、米国発の世界的な流動性相場は当面継続が予想され、香港へのリスク・マネー流入も続くものと思われる。本土市場の回復も期待されることから香港市場も同様に再度上昇局面へと向おう。(11/25 村上)

ハンセン指数(日足)上海総合指数(日足)

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特集:三中全会が閉幕、構造改革の行方が焦点

三中全会を経て、相場環境は改善

 注目された中国共産党の中央委員会第3回全体会議(三中全会)は、習近平政権の政治綱領ともいえる構造改革加速の決議を採択して12日に閉幕。直後の株式市場はサプライズ不足から調整したが、決議の全文が明らかになると改革への期待感が高まり、その後は反発。海外投資家の関心も高く、中国経済の回復期待も加わり、リスク・マネーが中国本土・香港に流入。人民元高が続くなど、相場環境は改善してきている。決議文には60項目に上る改革の方針が明記されており、共産党指導部は市場メカニズムを活用してトップダウンで推進。20年までに決定的な成果を獲得することを国内外に約束したといえる。

構造改革が長期的な投資テーマに

 改革に共通するのは安定を維持しつつ、規制緩和と国際化を段階的に進めていくという点だ。実効性への懸念は残るが、指導部の意思は強く、意欲的な内容も多い。今後7年間に国有企業、社会保障、土地・戸籍、価格制度等様々な方面で、中国に構造的な変化が出てくる可能性が高い。その中でも注目されるのが金融改革。人民元の変動相場制への転換、資本取引規制の緩和など、銀行、証券、保険の各業界に大きな影響を与えよう。特に、証券は国際化によって国内外での取引規模が一段と拡大する可能性がある。構造改革はいずれも長期的な投資テーマ。株式市場でも好材料として織り込まれていくことが期待される。(11/25 畦田)

三中全会で定期された構造改革

目標:20年までに決定的な成果を獲得 方法:市場メカニズムを活用
企業改革

民間資本による国有企業への出資、国有寡占業界への参入を促進

  1. 株式市場への影響
    事業拡大を見込み、民営大手に注目。国有企業の民間資本受け入れ、資産注入、全体上場の関連銘柄が物色されよう
  2. 関連銘柄
    騰訊控股(00700)、中国民生銀行(01988)等
社会保障・民生政策

一人っ子政策の緩和と年金制度の充実化、高齢者向けサービスの振興を通じて、少子高齢化に対応

  1. 株式市場への影響
    子供・高齢者向けの商品・サービスを主力とする大手企業に追い風
  2. 関連銘柄
    広州白雲山医薬(00874)、恒安国際(01044)等

都市化

土地・戸籍制度の差異を減らし、都市・農村の二元構造を解消、安定的な都市化を目指す

  1. 株式市場への影響
    都市化の実需を取り込める企業に注目。農村部の土地流動化はデベロッパーの事業拡大にとって有利
  2. 関連銘柄
    国美電器控股(00493)、万科企業(200002)等
国際化

投資規制の緩和、自由貿易区の建設加速、内陸・国境地帯の開放

  1. 株式市場への影響
    自由貿易区の関連銘柄には中長期的な好材料。外資との合弁、海外展開に強みを持つ中国企業は追い風となる可能性も
  2. 関連銘柄
    平安保険(02318)、大連港(02880)等

価格制度改革

水道、電力、石油、ガス、通信、交通等の価格統制について、自由化を段階的に推進

  1. 株式市場への影響
    価格自由化は基本的に料金引き上げ、売上増加に繋がる可能性が高い。各業界の大手に注目
  2. 関連銘柄
    北控水務(00371)、中国石油天然気(00857)等
環境調和社会の確立

民間資本を活用し環境保護市場を拡大。省エネ・新エネを進め、排出権取引等を整備

  1. 株式市場への影響
    技術力の高い省エネ・新エネ関連の企業は追い風。市場拡大の恩恵が期待できる
  2. 関連銘柄
    京能清潔能源(00579)、新疆金風科技(02208)等

注目される金融改革

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中国南車(CSR)

01766〈N1766〉香港 株価チャート

鉄道車両の大手メーカー

 筆頭株主は国務院傘下の中国南車集団公司。鉄道車両の大手メーカーとして、中国北車(601299)と国内市場を二分する。鉄道車両の電気系統を製造する株洲南車(03898)を傘下に置く。主な製品は機関車、客車、貨車、マルチプル・ユニット(EMU、動力分散方式の鉄道車両)、高速鉄道車両。

13.6期(中間)は減収減益

 今上期の業績は前年同期比12.9%減収、同23.8%減益。また、高付加価値製品の収入に占める割合が減少したことで、営業利益率は5.6%にとどまり、前年同期の7.8%から2.2ポイント低下。

 国内景気の減速による需要低迷、3月の鉄道部(鉄道事業の運営・行政部門)の解体に伴う鉄道車両の入札遅延が業績を大きく圧迫した。部門別では、客車と貨車の製造部門は売上高でそれぞれ同34.6%、31.0%減と大幅な減収となった。さらに、採算性の高いEMU製造部門も売上高が同63.4%減、売上比率も前年同期に比べ19.1ポイント低下。加えて、都市軌道交通車両の製造部門は海外事業の取り組みを強化したが、出荷額が30.3億元となり、前年同期の実績30.9億元に比べほぼ横ばいだった。

 一方、機関車部門は部品販売が拡大したことで同3.1%増収と健闘。さらに、周辺事業・その他部門は、工事用機械、自動車部品と風力発電設備の需要増加や、新しく参入した物流事業が好調だったことで同61.2%増収と急成長。

鉄道投資の回復などが追い風に、業績改善の傾向が強まる

 足元では、鉄道建設の需要が順調に回復しているほか、海外市場の開拓も大きな進展を遂げている。同社は5月に機関車、客車、EMU、地下鉄車両等の製販・修理に関して、国内外で計8件、総額78.1億元の大口契約を獲得。これを追い風に、13.7-9月期の業績(中国会計基準)は、前年同期比7.0%減収と前四半期に比べ減収率が縮小した。一方、純利益で同12.3%増と、収益力改善の兆しが顕著となっている。

 当局は今年の全国鉄道固定資産投資の計画規模を当初設定の6500億元から最終的に6900億元まで引き上げ、そのうち鉄道設備の投資額は1000億元を上回る見通し。今年8月には、中国鉄路総公司による鉄道車両の大型入札が実施された。調達規模は500億元を超え、同社は5割程度を受注した模様。さらに、年末までに約500億元規模の入札が再度実施される見込み。こうした鉄道設備投資の本格的な回復が業績改善の追い風となろう。

 また、都市化推進策をもとに都市軌道建設や高速鉄道等の需要が高まっている。都市鉄道網の運転距離は現在の2000キロから15年には3000キロまで伸びる見通し。また、高速鉄道の開通距離も13年、14年にそれぞれ3600キロ、6000キロに達する見込みだ。鉄道網の拡大には巨額な資金が必要であるため、政府は鉄道投融資の改革プランをまとめ、鉄道開発の所有権と経営権を民間資本にも開放し、官民合わせて鉄道建設への投資を促す方針を立てている。これによって鉄道車両の需要に関しても中長期的に増加するだろう。鉄道車両の国内市場シェアで5割を握る同社にとっては安 定した成長をもたらそう。(高)

部門別売上構成比(13.1H) 業績推移

山東晨鳴紙業‘ H ’(チェンミンペーパーH)

01812〈N1812〉香港 株価チャート

国内大手製紙メーカー、13.6期(中間)は大幅な増益

 主力製品はアート紙、新聞紙、ライナー紙、塗工紙、普通紙、微塗工紙、白板紙など。このほか、パルプ製造、建築材料などの販売、電力・熱の供給事業も手がける。今上期の売上構成比は紙製品90.0%、電力・熱8.2%、建材・その他1.8%。

 13.6期(中間)の業績は前年同期比0.6%増収、同253.8%増益。積極的な市場開拓によって紙製品の販売量が同5.2%増となったほか、人民元高に伴う原料コスト低下や製品構成の調整などによって収益力も向上。売上高純利益率は同2.4ポイント上昇し、3.3%に改善。続く13.7-9月期は同0.5%増収、同405.2%増益。財務状況の大幅な改善に伴い収益力の回 復も顕著。

経営環境の好転などで、コア事業が更なる成長へ

 当局は旧式設備による環境汚染を抑えるために、中小企業の淘汰と大型企業の育成を加速させている。このため、生産技術の優れた大手企業にとっては、業界全体での統廃合が需給の改善をもたらし、更なる業績改善に繋がろう。

 加えて、同社が注力している海外市場の需要も回復傾向にある。実際、中国全体で今1-9月期の紙製品の輸出量は前年同期比17.6%増と好調。このように紙需要が国内外で回復しつつあるなか、同社は約70億元に上る複数の新規投資計画を発表した。国際パルプの価格変動は激しいが、同社は原料の安定供給、コスト抑制だけでなく、製品の高級化を図ることで競合他社よりも高い成長を続けよう。(高)

大連港(ターリエンポート)

02880〈N2881〉香港 株価チャート

遼寧省大連市政府傘下の大手港湾会社

 石油化学ターミナルやコンテナターミナルを運営するほか、貿易業務なども手がける。大連港は渤海湾の入り口に位置する天然の良港で、東北地方の海の玄関口。

 13.6期(中間)は売上高が前年同期比63.1%増の33.4億元、純利益が同29.0%増の3.8億元と、業績が急回復した。新規の貿易業務が増収をけん引。また、大手海運会社との提携拡充、鉄道輸送との連携強化などの施策が奏功。主力のコンテナ貨物の取扱量は同20.2%増と、業界平均を上回る伸びとなった。業績改善の流れは今下期に入っても続いており、7-9月期の純利益は前年同期に比べ44.5%増加している。

安定的に貨物取扱量を伸ばす可能性が高い

 今後も同社の貨物取扱量は順調に伸びていく見通し。短期的には、今下期から続く輸出入の改善、欧米のクリスマス商戦、中国の旧正月が追い風。さらに冬季を迎え、暖房用燃料の需要拡大が本格化するため、石炭や液化天然ガス(LNG)などの取扱量も伸びよう。また、大連港は東北地方でも数少ない国際貿易港であり、国家戦略の一つ「東北振興」の要。物流の中心的役割を担う同社は中長期的に安定した成長が見込める。加えて大連市は日本、韓国と距離的に近く、日中韓FTAが発効した場合、真っ先にその恩恵を享受できる立場にある。さらに政府によって大胆な規制緩和を認める自由貿易区に指定される可能性もあろう。FTAや自由貿易区が実現すれば、同社は更なる成長を遂げよう。(畦田)

中海油田服務(チャイナオイルフィールド)

02883〈N2870〉香港 株価チャート

中国海洋石油総公司傘下の油田開発企業

 中国海洋石油(00883)やペトロチャイナ(00857)を顧客に持ち、主として本土近海における油田の探査掘削、資材等の海上輸送、地質データの調査収集処理といったサービスを担う。今年6月末時点で掘削リグを37基保有しており、近年は国内のみならず、東南アジア、中米や北欧などでも事業を展開。昨年の売上高に占める海外比率は31%。

 13.1-9月期の業績(中国会計基準)は、売上高が前年同期比24.4%増、純利益で同40.1%増。新規掘削リグの投入や稼働効率の改善などに伴って作業日数が同15.7%増加。また、運搬船や作業船の利用率も94.5%と、前年同期に比べ3.0ポイント向上した。

今後も新規リグの投入で事業規模は拡大する見通し

 今年8月に購入した半潜水式掘削リグ「NH9」は10月下旬からサービスを開始。さらに、年内には375フィート級のジャッキアップリグが2基完成する予定だ。すでに2基とも海外市場でのサービス請負先が決まっており、来期以降の収益に大きく貢献する見通し。

 加えて15年から16年に掛け、5000フィート級の半潜水型掘削リグ1基と400フィート級のジャッキアップリグ2基が配備される模様。これによって深海域や特殊な区域での作業能力は大幅に向上する。中国政府は現在、海洋資源の開発および利用を積極的に推し進めているだけに、同社は今後も高成長を続けよう。(有井)

中国建築国際(チャイナステート)

03311〈N3310〉香港 株価チャート

香港を本拠地とする総合建設会社

 中国本土、香港を中心に、マカオ、インド、ドバイ等で建設や土木工事などを手掛ける。香港国際空港ターミナルビルをはじめ、数多くの実績を持ち、近年は本土の低所得者層向け住宅整備プロジェクトにも注力。

 13.6期(中間)は、売上高が前年同期比21.6%増、純利益で同32.2%増。地域別では、特に中国本土が同36.9%増収と好調。鎮江市や温州市での低所得者層向け住宅整備事業に加え、BT(建設・譲渡)方式、BOT(建設・運営・譲渡)方式によるインフラ事業が堅調だったためだ。また、今1-9月期の業績も、売上高が同30.2%増、営業利益と共同支配会社に対する持ち分法利益の合計で同33.0%増。

足元、高水準が続く新規受注

 今1-10月の新規受注額は前年同期比2割増の432.7億香港ドルと、当初の通期目標額(400億香港ドル)を大きく上回った。部門別では低価格住宅整備事業を含むインフラ投資部門が同38.7%増となったほか、建設及び関連部門も同11.2%増。なかでも、建設部門におけるマカオでの新規受注が同217.1%増と急拡大。カジノ業者による開発案件が目白押しだった上、同社も一部のプロジェクトで自己資金を投入するなど、積極的な事業展開が功を奏した。来期も本土、香港、マカオを中心に新規受注は拡大する見通しだ。10月末時点の受注残高に関しても前年同期に比べ25.9%上回っており、同社は今後も高成長を続けよう。(有井)

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