チャイナマンスリーレポート

2月号

2014年2月3日 内藤証券中国部

悪材料の織り込みが進む、割安感の強まりもあり反騰へ

本土市場
調整局面継続だが、中小型株は堅調

 1月の本土株式市場は月初から軟調なスタートとなり、その後も中旬にかけて下値模索が続いたが、月後半には下げ止まりから反発の動きに。

 12月終盤にかけて下げ止まりから回復に転じた上海総合指数だが、新年に入ると初日の2日から3営業日続落。1月から再開された新規株式公開(IPO)が予想を上回るペースで進むとの見方が強まり株式需給の悪化懸念が拡がったうえ、12月の製造業購買担当者指数(PMI、物流協会算出)が市場予想を下回ったことも響いた。

 その後も下落基調は続き、1日置いた8日から4日続落。13日にはザラ場で2000ポイントすれすれまで売られた。引き続き需給悪化への警戒感が根強いなか、10日に発表された12月の輸出統計が下振れたことで、景気に対する先行き不安が強まったため。さらに20日には市中金利が大きく上昇、銀行の資金繰り悪化への懸念が高まったことから終値で1991.25ポイントと昨年7月末以来の2000ポイント割れに。

 もっとも2000ポイント割れの水準ではさすがに値頃感からの買いが入り、21日は17.0ポイント高と反発し2000ポイントを回復。22日には国際通貨基金(IMF)が中国の経済成長見通しを引き上げたほか、中国人民銀行による資金供給で短期金利が低下したことから大幅に続伸。ただ、その後は月末にかけて一進一退の動きに。

 IPO再開に伴う株式需給の悪化懸念、足元の景気減速に対する警戒感、金融市場の資金ひっ迫感、などを背景に調整局面が続いている。ただ、12月初めの戻り高値2260.87ポイントからは既に12%余りの下落となっており、悪材料の大半は織り込んだ可能性が高い。IPOについては確かに既上場銘柄への売り圧力にはなるが、一方で中小型株に対する物色意欲の高まりにも通ずる。現に中小型銘柄のウエイトの高い深セン市場は堅調な値動きが続いている。割安感も強まっていることから、ここからの下値は限定的と考える。(1/28 村上)

香港市場
新興国不安が一巡すれば再度上昇へ

 1月の香港株式市場は月初こそ堅調に始まったものの、その後反落。中旬には上昇に転じる場面もあったが続かず、月末にかけて再度急落、下値模索の動きとなった。

 12月終盤にかけて反発に転じたハンセン指数だが、新年に入ると初日の2日こそ続伸し、23000ポイント半ば近くまで戻したが、翌3日には前日比522.7ポイント、2.2%の大幅安となり一気に23000ポイントを割り込んだ。ニューヨーク株安が嫌気されたほか、12月のPMIが前月割れとなったことで市場に景気の先行きに対する警戒感が拡がったことが背景。

 ただ、その後は23000ポイントを挟んでのボックス圏での推移が中旬まで続いた。有力投資銀行による香港株の楽観的見通しの公表や、世界銀行の成長率見通し上方修正、などの好材料と12月の中国の主要経済統計が総じて予想を下回り、国内経済の減速懸念が強まったことや、本土A株市場でのIPO再開による需給悪化に対する警戒感、などの悪材料が相半ばしたことが要因。

 しかし、23日以降は3営業日連続で急落、27日の終値は約5カ月ぶりに22000ポイントを割り込んだ。23日に発表された1月のHSBC中国製造業PMI(速報値)が市場予想を下回り、かつ50を割り込んだことで中国本土の景気減速懸念が強まったことに加え、アルゼンチン・ペソ中心に一部の新興国通貨が急落するなど外部環境が急激に悪化、世界的な株安につながった。外国人投資家のウエイトが高い香港市場もこの影響は免れず大きく売られる結果となった。

 1月中旬までは本土市場が大きく売られるなかで12月初めの戻り高値24111.55ポイントからは5~6%の下げにとどまっていたが、直近の世界的な株安に巻き込まれ足元では9%近くにまで下げ率は拡大している。本土市場同様にバリュエーションの面でも極端に割安なレベルまで売られており、この水準からの下値は限られよう。新興国経済・通貨を巡る動揺が一巡すれば再び香港市場への資金流入が期待できよう。(1/28 村上)

ハンセン指数(日足)上海総合指数(日足)

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特集:景気減速は政府の想定内、今上期は構造改革の行方が焦点

景気減速は織り込み済み

 中国の昨年のGDP成長率は7.7%で、政府目標の7.5%を上回った。しかし、4Qの成長率は3Qに比べて減速。また、12月の統計も概ね伸び悩み、この結果、貿易、生産、消費の各統計はいずれも年間目標をクリアできなかった。1月のHSBC中国製造業PMI(速報値)も半年ぶりの低水準となるなど、足元では需要不足が目立ち、先行き不透明感が広がっている。ただ、これは中国が内需主導の安定成長に向けた構造改革の途上にあり、改革の痛みを反映した結果とも考えられる。景気は基本的に政府の想定内で動いており、先行きに悲観的な見方をとる必要もないだろう。

構造改革の進展に注目

 こうしたなか、今年上期を展望すると、構造改革の行方がより重要となってこよう。主要スケジュールをみると、3月の全人代を通じて予算・立法面で改革の具体化が進む見込み。これがエンジンとなり、都市化、社会保障、金融改革などで一定の成果が期待できる。もっとも、内需の力不足が課題といえ、旧正月や4月以降の連休などでの消費動向がカギ。状況次第では新たな消費刺激策が出されるだろう。また、構造改革の推進には安定した外部環境が不可欠。これに関しては米金融当局の出口戦略が主要なリスク要因となり得る。イエレン新議長の手腕を注意深く見守りたい。(1/27 畦田)

中国の主要経済指標

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今上期の主要スケジュール

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石薬集団(CSPCファーマスティカル)

01093〈N4050〉香港 株価チャート

聯想控股を実質筆頭株主とする大手医薬品メーカー

 旧社名は中国製薬集団。12年10月に実施した企業買収を通じ、ビタミンCや抗生物質など、原薬、医薬中間体を中心としていた以前の事業体制を改め、医薬品開発の分野に注力。昨年3月には社名を現在のものに変更した。主力製品は、脳血管疾患治療薬の「恩必普」、痴呆症・記憶障害治療薬の「欧来寧」、高血圧治療薬「玄寧」など。また一方で、後発医薬品の製造も手掛ける。

新薬を中心に医薬品の販売は好調

 13.1-9月期の業績は、前年同期比226.8%増収、純利益で同76.8%増益。一昨年に行った買収が香港会計基準のもとで「逆買収(未上場企業による上場企業の買収)」とみなされ、比較対象となる前年同期の業績は買収対象であった康日控股の決算を採用。当期は、これに旧中国製薬集団の業績が加わったことで大幅な増収増益となった。また新薬の販売も好調、「恩必普」カプセルの売上高が同37%増、注射液で同98%増。さらに、「欧来寧」注射剤が同41%増、カプセルで同33%増となった他、「玄寧」も同46%増加。これらに伴って新薬・後発薬事業は同153.0%増収と、全体の売り上げを大きく押し上げた。ただ、ビタミンCは供給過剰の影響で苦戦が続き、セグメント利益で唯一赤字を計上。

 一方、13年通期は大幅な減益となったもよう。前期、買収に絡んで「負ののれん代」として18.1億香港ドルの評価益を計上した反動が出るためだ。もっとも、新薬事業を中心に業容は順調に拡大しており、今期は増益となる見通し。

都市化・高齢化に伴い、医薬品に対する需要が拡大

 中国の医薬品市場は高齢者人口の増加に伴って医薬品の需要や医療費の支出が拡大傾向にある。実際、国連人口統計によれば、2030年には国内の65歳以上の人口が2.35億人と、現在に比べ1億人強増加する見通しだ。さらに近年、所得水準の向上とともに国内の疾病構造は急激に変化しており、心疾患などの生活習慣病が増えてきた。なかでも、心脳血管疾患の死亡者数は年間300万人以上に達する。また高血圧患者数も全国で2億人以上に上り、脳卒中、心疾患、糖尿病等を併発し易いとされている。

 このようななか、同社の「玄寧」は高血圧に対する治療効果が高く、13年に国家技術発明賞を受賞した。省レベルの衛生当局による入札リスト(省の医療保険医薬品目録)にも選ばれ、市場シェアは今後一段と拡大するだろう。このほか、「恩必普」、「欧来寧」についても高成長が見込まれる。

研究開発の強化で、新薬が成長を牽引

 さらに現在、政府当局の手厚い支援を受け、同社は生活習慣病治療薬を重点項目とする研究開発に注力している。それゆえ今後も、高品質で治療効果の高い新薬が次々と上市される見通しだ。

 なかでも、最近発売されたばかりの抗腫瘍薬「多美素」と白血球の減少に対する治療薬「津優力」は急成長が見込まれる。また他にも、複数の新型抗がん剤を開発しており、そのうち2件に関しては生産申請が既に受理されている。加えて、抗感染症、心臓・脳血管疾患、糖尿病などの分野でも積極的に研究を行い、開発中の新薬は足元で合計49件に上る。同社は、新薬開発に伴って更なる成長を遂げよう。(高)

中国の65歳以上の人口推移 売上高構成比(13.1-9期)

利豊(リーアンドフン)

00494〈N4940〉香港 株価チャート

香港を本拠とする大手アパレル商社

 1906年に広東省で設立された利豊貿易公司を前身として1937年に香港へ進出。デザインから原材料の仕入、委託生産工場の選択、生産・品質管理、出荷まで手掛ける。欧米、アフリカ、アジアなど、世界40カ国・地域以上に300カ所を超える拠点を持ち、米ウォルマート等を主要顧客とする。昨年上期の地域別売上比率は米国61%、欧州18%、アジア14%。

 13.6期(中間)の業績は売上高が91.3億米ドル、前年同期と比べ横ばいだったものの、純利益が1.0億米ドル、同69.1%減と大幅な減益。ただ、前年同期に計上した未払い金に関する評価益の影響を除けば、純利益は実質的に同15.6%減。中国をはじめとするアジア地域が比較的好調だったが、欧米での需要減が重石となった。

生産工場の支援強化などで、業績は改善の方向

 同社は現在策定中の新3カ年計画で、流通サポートや製品試験の協力など、生産工場に対する支援を強化する方針だ。これまでの原料調達や製品開発等の運営サポートに加え、生産拠点の総合的な支援に向けて専門チームを設立する。このようなサプライヤーとの関係強化によって品質向上やコストダウンに繋げ、業績の改善を図る。

 一方、最大市場である米国の景気回復が鮮明となってき た。さらに、欧州経済も底打ちから回復へと向かいつつある。 近年のアジア地域での成長に加えて欧米市場の需要回復 から今期は二ケタ増益の見通し。(高)

中国自動化集団(チャイナオートメーション)

00569〈N0569〉香港 株価チャート

安全装置や制御システムの大手サプライヤー

 石油化学プラントや鉄道向けの安全装置、制御システム等を提供。緊急遮断装置(ESD)、火災ガス検知システム(FGS)、列車集中制御システムなどの設計、生産からメンテナンスまで手掛ける。高い技術力に定評があり、中国南車や大手石油会社等、複数の国有企業を顧客に持つ。

 13.6期(中間)の業績は、売上高が前年同期比7.0%増、純利益で同27.1%減。石化部門は比較的堅調だったものの、鉄道部門が大きく足を引っ張った。特に、鉄道向け動力システム事業が同56.1%減収、粗利益率も29.4%と前年同期の40.5%から大幅に低下した。ただ、鉄道信号システム事業の粗利益率が前年同期に比べ3.6ポイント上昇して48.4%となるなど、業績改善の兆しも一部に見受けられる。

鉄道向け部門が急回復する見通し

 旧鉄道部の解体に伴って設立された中国鉄路総公司は昨年下期に入り、鉄道車両に対する大規模な入札を複数回実施した。高速鉄道事故や幹部の汚職事件を契機に滞っていた鉄道事業への投資も、ようやく本格的に再開されたようだ。そのため今後、鉄道関連の動力システムや安全システムなど、同社が得意とする分野の需要が大きく伸びる見通し。

 一方で、石化部門の事業規模も順調に拡大していこう。海底油田プロジェクトやシェールガス開発など、新規プラントの案件が多数あるためだ。加えて、同社の主力製品である制御バルブは一般的に3年程度で交換が必要なことから中長期的に安定した収益も見込める。(有井)

中国外運(サイノトランス)

00598〈N0580〉香港 株価チャート

貨物フォワーディングを主力事業とする総合物流大手

 主な事業は貨物フォワーディングのほか、宅配便、船舶代理、海運など。ワンストップで総合的な物流サービスを提供し、陸海空の全てを網羅する貨物フォワーダーとしては国内最大手。また、ドイツポスト傘下のDHLと宅配便事業で提携。

 13.6期(中間)の売上高は前年同期比8.4%増の251.1億元、純利益は同15.4%増の4.5億元。1-9月期(中国会計基準)も同9.1%増益となった。景気の緩やかな回復を受け、主力とする貨物フォワーダーの取扱量が増加。また、赤字続きの海運部門も燃料価格の低下を受けて損失額が縮小。電子商取引(eコマース)の普及で宅配便の需要が伸び、DHLと の合弁会社による利益も増加した。

3PL、eコマースの普及が成長を牽引

 中国政府は、これまでに交通網の整備や物流業界の支援策を強化。都市化による内需拡大の効果も加わり、貨物取扱量はこの先も増加する見通し。また、ここ数年はメーカーによる3PL(サードパーティーロジスティクス)の採用、eコマースの普及などが物流業界に追い風となっている。

 こうしたなか、同社は豊富な物流ノウハウなどを武器に3PLで着実に実績を積み上げてきた。加えて、サービスの質を左右するIT化でも業界をリードしており、eコマース普及による恩恵を大きく受けよう。さらに、宅配便市場ではDHLとの合弁会社による一層のシェア拡大が見込める。3PL、eコマースが、同社の中長期的な成長を牽引していこう。(畦田)

中国航空科技工業(アビチャイナ)

02357〈N2357〉香港 株価チャート

政府系の大手航空機メーカー

 主に、ヘリコプターや訓練機などを製造。欧州の航空機メーカーと合弁事業を手掛けるほか、ブラジルのエンブラエル社と共同で小型ジェット機も生産する。以前は自動車等の製造を主力事業としていたが、11年に同事業から撤退。現在では航空機分野に経営資源を集中。

 13.6期(中間)の業績は、売上高が前年同期比18.6%増、純利益で同11.2%増。主力であるヘリコプターの販売が好調だったことで航空機部門が同17.1%増収。また、部品関連部門も同20.4%増収と、堅調であった。ただ、全体の粗利益率は18.8%と、原材料価格の上昇等の影響を受けて前年同期に比べ1.1ポイント低下した。

国内の航空機需要は中長期的に拡大傾向

 ヘリコプターをはじめとする航空機の国内需要は今後も拡大する見通し。特に民間部門ではプライベートジェットやヘリコプター等の普及率が先進国に比べ大きく下回っており、小型航空機の需要拡大余地は大きい。一方で、中国政府は国内航空機産業の支援に積極的だ。昨年初めには、中国製小型ジェット機等の開発や活用を支援し、業界再編を加速させる旨が示された。航空機やエンジンの製造に対する現地化を促進するとともに、環境を重視した航空機産業の育成を図る方針だ。このようななか、同社は近年、国内の中小部品メーカーを買収するなど、競争力の強化や収益力の改善に努めており、業界内での存在感を更に高めていこう。( 有井)

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