中国見聞録

比べてみれば何が見える?

第17回「日中の花比較、~春、花見です!~」

◆春、春、春、「花見」です!

「比べてみれば何が見える?」。17回目は「日中の花比較、~春、花見です !~」です。東京ではお花見シーズンは過ぎましたが、花見は当然、桜に限 りません。春……、色々な花を楽しめる季節となりました。まさしく本格的 な「花見」シーズンの到来。楽しみにしている方も多いでしょうか。今回は 花にまつわる事情を日中で比較してみようと思います。

◇日本の花~桜が彩る日本の美、しかし市場は伸び悩み~

日本には数多くの美しい花々が咲き、私たちを楽しませています。2007年 に東京電力が「好きな花」に関するアンケートを実施しました。合計2万6000人が答えた結果は以下の通りです。
http://www.tepore.com/research/co/070517/index.htm
1位:桜(34.8%)、2位:バラ(33.0%)、3位:チューリップ(22.2%)、 4位:ひまわり(13.4%)、5位:カスミ草(13.3%)。

1位は桜、多くの人にとって納得の結果でしょうか。桜は日本の国花ともいえ る、代表的な花。桜のお花見は国民的な大イベントといえ、有名な公園には 毎年たくさんの人が訪れます。上位の花の多くは、やはり春の花。春はやは り、花見には絶好のシーズンです。

花をビジネスとする花卉(かき)産業は、長く日本人の生活に結びついて います。誕生日、結婚記念日などの節目に贈る花束、公園にある花壇、盆栽 ・植木、園芸用の苗など……、まさしく生活に欠かせない産業です。この日 本の花卉産業、08年で主要市場での卸売額が約3660億円。うち7割を占める切 り花は前年に比べ8%減少するなど、不況の影響、日常生活への浸透度の低さ などを受け、嗜好品である花への需要は伸び悩んでいます。さらに中国など からの輸出攻勢にもさらされており、厳しい環境にあるといえましょう。

◆中国の花~十大名花が彩る世界一の花卉大国?~

中国でも数多くの花がもちろん見られ、その数は1万種を超えるといいます。 中国古来の祭日の一つで墓参りをする清明節。今年はつい最近の4月5日でし た。毎年ちょうど花の見ごろにあたるということから、花を愛でる日でもあ るようです。去年から法定の休日になったこともあり、多くの人が花見を楽 しみました。中国の代表的な花は、「中国十大名花」と呼ばれ、梅、牡丹、 菊、ラン、ツツジ、サザンカ、ハス、キンモクセイ、スイセン、コウシンバ ラを指します。このうち、梅と牡丹の二つが歴史も古く、代表的な花だと言 われています。

(雪化粧をした杭州の梅)
http://news.xinhuanet.com/photo/2005-03/13/xinsrc_2620302130842421128924.jpg
(満開の洛陽の牡丹)
http://news.xinhuanet.com/life/2008-04/01/xinsrc_4920405011631453122213.jpg

中国も、日本と同様に「花」という文化が昔から浸透しており、花見がと ても盛んであることは間違いないでしょう。「花」については、見るだけで なく、飲む「花茶」、書く「花文字」など豊富。さらに、中国でも花卉産業 は発展しており、農業部によると08年の花卉作付面積は前年比3.3%増の116 3万ムーで、規模では世界1位に達したもよう。売上総額は8.7%増の666億元 (8658億円)、輸出額は21.8%増の約4億元(52億円)を記録したといいます。

◇相違点~国花が決まらない、梅と牡丹の争い?~

このような日中両国の「花」事情。どのような違いがあるのでしょうか。 まず花見といっても、「桜のお花見」ほどの日本での入れ込み具合は、中国 ではないようです。日本は膨大な数のソメイヨシノが全国各地に植えられて おり、開花時期にいくらかのズレがあるものの、春というシーズンに全国民 が一斉に桜のお花見を楽しみます。「花より団子」で、宴会こそが楽しみと いう方も多いでしょう。私もその一人です(笑)。一方、中国では同じ花が 全国各地で、近い期間に一斉に咲くというケースは少ないのかもしれません。 地べたに座って宴会という文化も、日本ほどではないでしょう。

ほかにも相違点として、「国花」の有無が挙げられると思います。日本も法 律で明文化されている訳ではないものの、「桜=国花」という認識は国内外 で広く共有されています。しかし、中国は「国花」がいまだない、数少ない 国であると指摘されています。豊富な花の資源、悠久の歴史、世界の大国で ある中国で、世界に示せる「国花」を決めようという動き。特に今年の建国 60周年、あるいは来年の上海万博までに間に合わせようという声も見られ、 3月に開かれた全国政治協商会議では、国花制定の提議があらためて出されて います。

しかし、すでに20年以上も議論されているのに、決まりません。その原因は 「梅」支持と「牡丹」支持という両陣営の論争。2005年に行われた市民への ネット調査では、一番相応しい花として、牡丹が41.42%を集め、36.39%の 梅を退けたものの、両者の差は接近しています。景勝地同士などの様々な利 害を背景に専門家の間で論争が続いているものの、国花は「1つだけ」、「2 つでも良い」、「いや四季ごとに決めるべき」など、議論は百家争鳴の様相 です。

◆結びにかえて~国花の制定、花大国への一里塚に?~

国花がなかなか決まらない。この背景には、やはり日本でいう桜のような 絶対的な「花」がないという点があると思われます。日本人の多くが「桜」 を共有。しかし広大な国土と気候条件の差、膨大な人口などを背景に、中国 では絶対的な存在を決めることが難しいと思います。ただ、そもそも日本で も法律で決められているわけではありません。中国でも法律で決められてい ないだけ。多くの人々にそれぞれの花があるでしょう。梅と牡丹は絶対的で なくても、その代表格であることは確かです。中国にはすでに「梅」、「牡 丹」という2つの国花があるのではないか。これが私の考えです。

とはいっても、国花制定の動きは建国60周年、上海万博に向けて強まるで しょう。すでに当局の最終判断待ちとの観測もあります。もし「梅」、「牡 丹」、あるいはその両方、いずれにしても制定されたならば、中国の花卉業 界にとって、一里塚になる可能性があります。金融危機の影響で短期的にマ イナス影響も考えられるものの、中長期的には生活、余暇需要の向上、贈呈 品の高級化・多様化、都市公園の整備拡大、農業全体への支援策などを背景 に、市場拡大は続くと思われます。国内的には国花の制定が「花」に対する 需要をあらためて高めるチャンスになるかもしれませんし、官民挙げた統一 的なブランド戦略で、輸出にもプラスに働く可能性があります。

すでに中国は世界の花大国であり、成長を続けています。将来的には海外 の投資家が投資できる、関連する上場企業も出てくるかもしれません。

春本番、「花見」のベストシーズンが到来しています。日本、中国、ある いはその両方で、「花見」に行くと最高かもしれませんね。

(中国部畦田和弘、画像はすべて新華網から)

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