中国見聞録

中国を読み解く

2010.09.27
第4回「深センB株市場に注目」

■堅調な深センB株市場

 深センB株指数は2010年9月3日に終値ベースで700ポイントを突破。同ポイントを超えたのは2008年1月15日以来のことだった。その後も堅調に推移し、9月13日時点で指数は721ポイントまで上昇するなど年初来高値の更新が続いた。このように、深センB株市場は好調さを持続している。

 深センB株指数は、年初から9月13日までの間に15.3%上昇。一方、同時期の上海総合指数は17.9%下落、上海B株指数も3.4%ほどの上昇にとどまっている。こうした主要指数の動きから、本土市場ではB株市場が堅調に推移していることが分かる。そのなかでも、年初からの上昇率で上海B株を上回る深センB株のパフォーマンスのよさが見て取れる。

■年初来高値を9月に更新した銘柄

 深センB株市場では、15銘柄が9月に年初来高値(9月13日時点まで)を更新。以下に高値を更新した銘柄名、セクターと2010年6月中間決算を挙げる。

  • 安徽古井貢酒(200596)酒造
    21.4%増収 201.5%増益
  • 張裕葡萄酒(200869)酒造
    26.0%増収 28.6%増益
  • 中国南玻集団(200012)建材
    64.8%増収 143.5%増益
  • 方大集団(200055)建材
    14.4%増収 11.7%増益
  • 石家荘宝石電子ガラス(200413)建材
    14.1%減収 赤字拡大
  • 一致薬業(200028)医薬
    23.1%増収 23.2%増益
  • 麗珠医薬(200513)医薬
    9.3%増収 2.5%減益
  • 中国国際コンテナ(200039)海運
    124.9%増収 10.5%増益
  • 山東航空(200152)空運
    33.8%増収 82.7%増益
  • 大連冷凍機(200530)機械
    19.3%増収 14.7%増益
  • 杭州スチームタービン(200771)機械
    11.7%増収 7.1%増益
  • 江鈴自動車(200550)自動車
    62.5%増収 140.8%増益
  • 無錫威孚高科技(200581)自動車部品
    110.1%増収 263.2%増益
  • 無錫小天鵝(200418)家電
    91.0%増収 149.8%増益
  • 中魯遠洋漁業(200992)水産・農林
    76.0%増収 14.9%増益

終値ベースで9月に年初来高値(9月13日時点まで)を更新した銘柄

■高値更新の背景と今後の見通し

 深センB株市場が好調な理由を次にいくつかあげる。まず、好業績の銘柄が少なくないという点が挙げられよう。2010年6月中間決算を見ても、深センB株市場に上場している54社のうち、増益・黒字転換を果たした会社は38社、そのうち利益が2倍以上になった企業は11社に上る。上海総合指数も好業績銘柄が多いが、深センB株市場では株価指数構成銘柄のウエートが大きい、中国国際コンテナ(14%)、張裕葡萄酒(13%)、江鈴自動車(5.9%)、中国南玻集団(5.2%)などが堅調に推移し、指数上昇に貢献している。そして、高値更新銘柄を業種別にみると、酒造、建材、医薬品などに多いが以下にその主要背景を紹介する。

 酒造銘柄の安徽古井貢酒と張裕葡萄酒は、いずれも上場来高値を更新している。両銘柄の株価は年初から9月13日までに、それぞれ88.2%、32.9%上昇している。酒造銘柄が好調な理由として、ワインや白酒(パイチュー)などの需要拡大があげられる。中国の2009年のワイン年間生産量は前年比28%増の96万トン、白酒も前年比24%増の707万トンと、いずれも20%以上伸びている。そして、本土では9月下旬の「中秋節」、10月初旬の「国慶節」など大型連休が控えており、また、10年8月の小売売上高も18.4%増と、前月から伸び率が0.5ポイント加速している。こうした需要拡大への期待が今後も材料視されると思われる。

 建材銘柄では中国南玻集団の株価が年初から9月13日までに64.6%上昇しているのが目立つ。同社は近年「省エネ型建築材料」の低放射ガラスの開発・生産すると同時に、太陽光発電事業を拡大させている。2010年6月中間期では、同社の太陽光発電事業の売上高は前年に比べ約4倍となり、売上高に占める割合も10%から24%に拡大している。そして、中国政府は2011年から2020年までの10年間に、新エネルギー産業策に5兆元を投じる計画を検討している。こうした中国のエネルギー政策と同社の事業展開の方向性は今後も注目されると考えられる。

 医薬銘柄の一致薬業と麗珠医薬の株価も年初から9月13日までに、いずれも30%以上、上昇している。中国では「雇用問題・住宅問題」と同じく、「医療問題」も庶民の関心が非常に高い社会問題となっている。こうした現状を背景に、民生重視、バランスのとれた社会の実現を重要な政策課題にあげている中国政府は2009年に、2011年までの3年間に8500億元を投じ、「医療制度改革」を実施する計画を発表。こうした点からも、医薬関連銘柄は今後も注目される可能性が高い。

■まとめ

 以上のとおり、深センB株市場にも業績、株価ともに堅調な銘柄は少なくない。しかし、B株銘柄に関する情報は、香港上場銘柄に比べあまり多くない。こうした理由から、私は日経CNBC「ASIA エクスプレス・中国株式Flash」でいくつかのB株銘柄を、これまで紹介してきた(張裕葡萄酒、安徽古井貢酒、中国南玻集団、麗珠医薬など)。今後も引き続き深センB株市場に注目し、情報を発信して行こうと思っている。

(中国部 佐藤一樹)

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