レポート

【中国株緊急レポート】中期的な買いゾーンに入ってきた中国株式市場

11.12.02

 10月下旬を底にいったんは反転上昇の期待が高まった中国株式市場だが、11月入りとともに再び調整色を強めてきた。欧州債務問題がフランス、ドイツにまで飛び火、米国でも財政赤字問題が再燃、などで世界的にリスクオフの動きが拡大していることが主因だ。

 加えて国内的にも不動産引締めの継続、欧米債務問題の深刻化に伴う輸出環境の悪化、などを背景に景気の先行きに対する警戒感が高まっており、投資家心理は極端に冷え込んでいる。消費者物価指数の上昇鈍化から金融引締めは緩和の方向だが、未だ“微調整”の域を出ておらず、買い材料としては力不足のようだ。

 もっとも最近の株価下落により、中期投資の観点から買い場を示唆するサインともいうべき事象がいくつか現れている。具体的には、①PER、PBRが極端に低下するなどバリュエーションの割安感が際立ってきた、②金融引締めが最終段階に差し掛かっており、市中の流動性回復が今後、期待できる、③米国の恐怖指数が40を超えるなどショック安局面にあるが、経験的には底値圏にいる可能性が高い、などだ。これらの点を勘案すれば、中国本土株、香港株ともに現在の株価は半年、1年タームでの投資が十分に報われる水準にあると考える。

①PER、PBRが大幅に低下

 上海総合指数の予想PERは11.3倍(11/28)とリーマンショック時を下回る水準まで低下。PBRも1.87倍と同様に低水準。また、ハンセン指数についても予想PERは9.9倍、PBRが1.27倍とリーマンショック時並みの水準まで低下している。業績好調が続く中で、株価が大幅に下げていることが背景だが、バリュエーション的には既にリーマンショックレベルの危機を織り込んでいることになる。

予想PER(上海総合指数) PBR(上海総合指数) 予想PER(ハンセン指数) PBR(ハンセン指数)

②流動性(マネーサプライ)増大で株価も反転方向へ

 図の通りマネーサプライと(M1)と株価(上海総合指数)にはかなり強い相関性があるように見受けられる。総じてM1の伸び率が高まる局面では株価の上昇率も高まり、その逆も同様である。市中に出回る資金量が増えれば株式市場に回ってくるお金も増えるということだろう。ところでそのM1の伸び率だが最近の動きを見ると10年1月をピークに低下の一途を辿っており、株価も途中、反発場面はあったものの、結局、戻りきれずに直近でここ2年来の安値を付けている。一方、経験的にはM1の伸び率は10%を割れた時点で底打ち、反転しており、株価もその前後で底打ち、反発に転じている。然るに直近のM1伸び率は9月8.9%増、10月8.4%増と2ヵ月連続で10%を割り込んできた。したがって、過去のパターンからするとボトム圏に入ってきている可能性が高く、今後は反転、拡大に転じる公算が大きい。とすれば株価も同様に早晩、反転、上昇に向かうのではないか。

マネーサプライ(M1)と上海総合指数 マネーサプライ(M1)と上海総合指数(前年比)

③恐怖指数40超えは株価の大底付近で出現

 図はVIX指数(別名を恐怖指数)とニューヨーク・ダウ、ハンセン指数の動きを重ねて見たもの。通常であれば15~20前後で推移している恐怖指数だが、株価急落時には急上昇する。特に、何年かに一度発生するショック安的な状況においては40を上回る水準に跳ね上がる。最近では98年のLTCM危機、02年秋のエンロン・ワールドコム不正会計事件、08年秋のリーマンショックと恐怖指数が40超に上昇したショック安が3回あったが、いずれのタイミングでもその時株式に投資していれば半年ないし1年後には相応のリターンが得られた結果となっている。これは、ニューヨーク市場の値動きに影響されやすい香港市場でも同様だ。翻って足元の状況を見ると月末ベースで9月末に40を超えており株価も急落。直近の11月末では27.8と落ち着いてはきているが、株価を見るとニューヨーク市場はともかく香港市場は9月末から10月初めにかけての急落からそれほど回復しておらず、その意味ではまだ十分買える水準にあると考えられる。

VIX指数とハンセン指数

 なお、今回の預金準備率引下げは金融緩和への政策転換を明確にするものであり、株式市場にとっては朗報と言えるが、果たしてこの動きが“微調整”の域を脱して本格緩和に直ちに繋がるかどうか現時点では見極め難い。しかも、一方で今回の政策転換の裏には足元での景気減速という事実あるいは懸念が存在する点には留意すべきである。当面は今後の金融緩和の進展や財政出動に対する期待と、現実としての景気の減速度合いとの綱引きで、一進一退の動きが予想される。本格上昇には中国経済のハードランディング回避の確認と欧州債務問題解決へ向けての抜本的な対策の実現が必要であり、それにはもう少し時間がかかろう。

関連レポート

チャイナマンスリーレポート12月号

特集:物価上昇率の鈍化に伴って金融緩和観測が浮上

中国株市場トピック アナリストが話題をレポート

予想より早い金融緩和の動き ~約3年ぶりに預金準備率を引き下げ~

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。