中国株 業界レポート

電力・電力設備業界 ~石炭火力への依存から脱却できるか

2010年7月1日

市場動向 ~世界第2位の発電能力を誇る一大電力消費国~

09年の業界規模:

発電容量:8億7407万kW(前年比10%増)、発電量:3兆6639億 kWh(6%増)、消費電力量:3兆6430億 kWh(6%増)、設備投資額:7558億元(20%増)

中国の発電容量は8.7億kWに達し、米国に次いで世界第2位の規模を誇る。09年の電力需要は前半に金融危機の影響で大きく落ち込んだものの、徐々に回復傾向を見せ、終盤にかけて大きく増加。通年の需給バランスは概ね安定し、消費量は前年を6%ほど上回った。11月までの業績をみると、川上の発電部門は発電量の回復、石炭価格の安定などが奏功し、黒字に転換。一方、川下の送電部門は最終ユーザーに対する電力価格の低さが響き、8割近い減益となった。09年の設備投資額は20%近い高い伸びを記録し、電力設備業界はこの恩恵を享受。発電部門では石炭火力への依存度を引き下げるために、原子力、風力発電施設などが建設ラッシュ。送電網整備も加速し、投資額は3847億元と前年に比べ9割近くも増加した。10年は景気回復にともない、電力需要は増加傾向を維持しよう。ただ、石炭価格の上昇圧力は懸念要因。発電、設備投資では、エネルギーバランス、環境問題などを考慮し、石炭火力以外の電源を強化する動きがさらに強まろう。

業界の特徴 ~石炭火力への依存度が高い~

生産・販売面:

電力業界は基本的にディフェンシブ、ドメスティックなセクター。日本とは異なり、発電会社、送電会社と明確に分けられている。発電容量の比率は火力75%、水力23%。この二つで100%近くを占め、風力、原子力などはわずか。石炭火力が主力であるため、石炭をいかに低価格、安定的に調達できるかが、発電会社の経営を大きく左右する。送電会社は、送電網の未整備、非効率さなどが課題。需要面は重工業のシェアが最も大きく、全体の6割を占める。家庭向けは1割強に過ぎない。このため、製造業の景気動向は電力需要に直結する。これは電力会社を取引先とする電力設備業界の経営に大きな影響を与える。設備業界は発電機器、送変電設備、制御装置などのサブセクターに分けられるが、全体的に鋼材、銅など主要原材料の価格動向が重要となってくる。

政策面:

電力価格は政府の規制下にあり、概ね低い水準に抑えられている。電力会社の業績を改善するために電力価格と石炭価格の連動性が導入された。発電会社は環境に与える影響が大きいため、政府は「上大圧小」政策(小規模施設を撤去し、大型施設に入れ替える)を進めている。さらに送電網の整備を重視。目玉政策として次世代送電システム(スマートグリッド)分野への巨額の投資計画を打ち出している。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~発電は5大発電集団、送電は2大国有企業が中心~

発電会社は発電容量で全体の半分近くを占める国有系の5大発電集団が業界大手で、全国展開している。上位2社は華能集団、大唐集団で、両社は発電容量が1億kWを超えている。これに中国国電、華電集団、中国電力投資の残り3社が続く。5大発電集団はそれぞれ複数の上場企業を傘下に置いており、華能国際電力(00902)、大唐国際発電(00991)、華電国際電力(01071)、中国電力国際(02380)などの発電会社に加え、風力など成長分野を専門とする龍源電力(00916)、中国電力新能源(00735)などもある。一方、地方政府系では広東電力(200539)、浙江東南電力(900949)などが代表的な銘柄。送電会社は国有企業2社による独占状態であり、最大手の国家電網公司は世界最大の電力会社に数えられる巨大企業となっている。

一方の発電設備は外資、民営を含め多くの企業が競争を繰り広げている業界。ただ、大手は政府系企業が多く、発電機器は東方電気(01072)、哈爾濱動力設備(01133)、上海電気(02727)などが強い。送変電設備では東北電気(00042)、制御装置では上海オートメーション器具(900928)などがある。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
東北電気 00042 424 8 3,461
香港 遼寧省瀋陽市を本拠とする民営の大手送変電設備メーカー。主力製品は蓄電器、相分離母線(IPB)、高圧スイッチ・遮断機など。研究開発から製造・輸出まで手がける。スイスのアセア・ブラウン・ボベリから技術を吸収。三峡プロジェクト、都市送電網向けに製品を供給している。
華潤電力控股 00836 29,261 4,685 80,275
香港 国有系の有力コングロマリット「華潤集団」に属する大手発電会社。主な事業エリアは、江蘇省、広東省、河南省、遼寧省、河北省、湖北省、湖南省など。発電した電力は、各地の送電会社に販売している。石炭火力発電が中心だが、風力発電などにも参入。さらに、燃料となる石炭の自給率が高いことも特徴。
華能国際電力 00902 76,863 4,930 76,806
香港 5大発電集団で最大手の中国華能集団公司の中核企業。発電所の建設・買収・運営などを手がけている。事業範囲は山東省、江蘇省、上海市など東部を中心に広範囲にわたり、発電した電力は全国各地の送電会社に販売。シンガポールの発電会社にも出資している。石炭火力に加え、最近では水力、原子力、風力発電などの分野を強化している。
龍源電力 00916 9,744 894 56,281
香港 風力発電で本土最大手。5大発電集団の一角を占める中国国電集団公司の傘下にある。本土各地で風力発電所を建設・経営。また、潮力、バイオマス、地熱発電などの実験プロジェクトにも取り組んでいる。このほか地方政府と交わしたコンセッション契約に基づき、風力発電所を建設することでも収入を得ている。
大唐国際発電 00991 47,943 1,612 83,940
香港 京津唐地区(北京市、天津市、河北省)を本拠とする発電大手。5大発電集団のなかでも上位に数えられる中国大唐集団公司の中核を占め、北部で高いシェアを誇る。火力発電が主力だが、雲南省や四川省での水力発電、内モンゴル自治区での風力発電事業も強化。さらに主要燃料の石炭についても、採掘、運搬、石炭化学など幅広く事業を展開している。
華電国際電力 01071 36,450 1,157 26,418
香港 5大発電集団の一角を占める中国華電集団公司を親会社に持つ発電大手。主力市場は本拠とする山東省で、石炭火力が主力だが、水力、風力、バイオマス発電などにも参入している。山東省以外にも四川、安徽省、河南省などに傘下企業を持つ。さらに石炭の安定調達に向け、炭鉱会社の買収を積極的に進めている。
東方電気 01072 32,754 1,712 51,963
香港 四川省を本拠とする大手の発電設備メーカー。中央政府系の企業で、タービン、ボイラーなどの発電設備は火力、水力、風力、天然ガス、原子力など主要電源をすべて網羅している。特に風力、原子力の分野で高い競争力を持つ。海外展開でも強みを見せており、南米、アフリカなどの新興国市場を開拓している。
上海電気 02727 57,622 2,453 92,809
香港 上海市政府系の大手重電メーカー。電力設備を中核事業とし、発電設備は主力の火力に加え、原子力、風力などの成長分野も手がけている。さらに送配電設備を製造していることも特徴。発電所の自動制御装置を製造する上海オートメーション器具(900928)を傘下に置く。
広東電力 200539 12,235 1,165 18,912
深セン 広東省の大型発電会社。石炭火力が中心。電力はすべて地元の送電会社に販売している。地元政府に加え、最大手の中国華能集団公司も出資している。燃料の多様化を推進。液化天然ガス、風力、水力のほか、オイルシェールやオリマルジョンなど、新エネルギーを採用した発電所を省内で建設している。
浙江東南電力 900949 7,485 485 8,050
上海 浙江省の大手発電企業。地元の政府系企業が筆頭株主となっているほか、最大手の中国華能集団公司も大株主として名を連ねている。発電した電気は地元の送電会社に供給。主力の火力発電に加え、水力発電所、エンジニアリング会社などを傘下においている。

売上高・純利益は09年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1香港ドル:0.881元、1米ドル:6.831元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。

注目されるトピックス ~石炭火力への依存から脱却できるか~

新エネルギー発電の振興、石炭火力への依存度を下げられるか:

発電では石炭火力への依存度を下げる動きがさらに強まるとみられる。当局が07年に発表した中長期目標によると、再生可能エネルギー(水力、バイオマス、風力、太陽光など)の発電量が全体に占める割合を、20年までに3割まで高めるという。このために総額2兆元もの投資が行われる見込み。これを受け発電、設備会社ともに関連事業を強化。競争は激しくなっているものの、同分野の成長性は高い。

「スマートグリッド」を柱とした送電網の整備が進む:

送電では送電網の整備・改良がさらに進む見通し。特に「スマートグリッド」が注目されており、国家電網公司が中心となって、すでに具体的な整備計画が進んでいる。これは特に発電設備業界にとってはプラスに働こう。

環境対策はさらに進む見通し、発電設備の淘汰、業界再編も:

電力業界はCO2排出量全体の4割を占める最大の排出源。政府の温暖化対策に対する決意は強く、排出量抑制に向け業界へのマクロコントロールはさらに強まろう。発電設備の淘汰、発電効率の向上、環境対策などが進むなか、業界再編を通じて、業界大手の競争力が高まる可能性もある。さらにこの流れは省エネなどに強い設備会社にとっても追い風となろう。

石炭価格の動向がリスク要因:

発電会社にとって、石炭価格の動向は最大のリスク要因。業界団体同士での石炭価格交渉は毎年波乱含みであり、基本的に価格上昇の圧力は強い。こうしたなか、大手を中心に自前での石炭調達の流れは加速している。安定した石炭調達力が競争力を左右しよう。

発電量の伸び率と電源別の発電量

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