中国株 業界レポート

保険業界~成長続く中国の保険市場~

2010年7月1日

市場動向 ~保険料収入が1兆元の大台に~

09年の業界規模:

保険料収入:1兆1137億元(前年比14%増)、うち生保8261億元(11%増)、損保2876億元(23%増)、資産総額:4兆634億元(22%増)

09年の保険料収入は初めて1兆元(約13兆円)の大台に乗った。金融危機によるマイナス影響も限定的で、保険料収入は増加基調を維持。運用環境も好転し、投資収益率は6.41%と前年を4.5ポイント上回り、投資収益は2141億元に達した。これにともない保険会社の利益総額も531億元に拡大した。中国の保険資産の対GDP比は10%強で、米国の40~50%を大きく下回っており、保険の浸透度は国際的にまだ低い。また中国の個人金融資産のうち預貯金が約8割で、証券と保険がそれぞれ約1割と、米国の個人金融資産に占める保険の割合(約3割)に比べても低い。今後、高齢化、中間所得層の増加、個人金融資産の構造変化(銀行預金から証券や保険へのシフト)、保険改革などにより、中国の保険加入者は増加していこう。

業界の特徴 ~保険の潜在的需要は大きい~

主力事業面:

国有系を中心とした大手数社の市場シェアが高い。保険商品は大きく生命、損害、医療、年金保険などに分けられ、全国的な社会保障制度がまだ確立されていない中国においては、保険の潜在的な需要は大きい。生保では年金、資産運用の要素を強めた保険の販売が拡大。損保では自動車販売の急増で、自動車保険の販売が好調。損保保険料収入の約7割を占めており、自動車販売の動向に左右されやすい。近年、内陸部での保険販売が増加しており、保険料収入に占める内陸部のシェアは約4割に達している。一方、保険金の支払いは自然災害などで一気に膨らむリスクもあり、支払い余力(ソルベンシー・マージン比率)は保険会社の健全性の指標となっている。 保険会社にとって資産運用は重要な要素であり、機関投資家としての役割も持つ。預金、債券、株式などで運用しているが、金融政策、資本市場などの影響を大きく受ける。

国際面:

外資系保険会社が数多く進出済み。日系では日本生命が合弁で参入し、大手損保は営業拠点を構えている。ただ、外資のシェアは大きくない。一方、中国系の大手保険会社は適格国内機関投資家(QDII)の資格を取得し、香港など海外市場での証券投資を強化している。

政策面:

規制色が強い業界。契約者保護をより確保するために、昨年10月に基本法である「保険法」が改正された。同時に保険会社の運用対象が不動産などにも広がった。生保の場合、外資の出資比率は50%以下との規制がある。損保は、出資比率規制はないが、自動車損害賠償責任保険への外資参入は認められていない。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~上位3社による寡占的な市場~

保険業界は地場系を中心に比較的に寡占度が高い。09年の保険料収入ベースで見ると、生損保とも、それぞれ上位10社の合計シェアは9割に上る。特に上位3社は全体の6割を占め、他を大きく引き離している。生保最大手は中国人寿保険(02628、シェア36%)、2位が平安保険(02318、16%)、3位が太平洋保険(02601、8%)。損保では最大手が中国人民財産保険(02328、40%)で、2、3位は平安保険(13%)、太平洋保険(11%)が競っている。このほか、中国太平(00966)も大手の一角を占める。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
ミン信集団 00222 80 152 1,498
香港 福建省政府系の投資持ち株会社で、金融サービス(保険、銀行)を主力事業としている。保険業はビン信保険有限公司が担当している。銀行業は廈門国際銀行を通じて中国本土とマカオで展開。
大新金融 00440 3,624 552 11,452
香港 香港地場系の金融コングロマリットで、大新銀行集団有限公司を中核に銀行、保険、証券事業を広く手がける。三菱UFJフィナンシャル・グループも主要株主として名を連ねている。
宏利金融 00945 241,324 8,051 217,327
香港 カナダを本拠に、米国やアジアなど世界各地で事業を展開する保険大手。生命保険、医療保険、団体年金、再保険、投資マネジメントなどを主力とする。日本ではマニュライフ生命保険株式会社が業務を担当している。
中国太平 00966 29,725 727 44,771
香港 本土の保険大手であり、国有系の「中国太平保険集団」の傘下にある上場旗艦企業。親会社の前身企業は1929年に創業され、古い歴史を持つ。「太平」ブランドで生命保険、損害保険などの各種保健サービスを提供するほか、香港を拠点にアジア各国で展開している再保険事業に強みを持つ。香港や本土に設けた運用会社を通じ、資産を運用している。
平安保険 02318 152,838 13,883 450,027
香港 本土の生命、損害保険市場で業界2位のシェアを占める大手保険会社。広東省深セン市に本拠を置き、匯豊控股(00005)を筆頭株主に持つ民営企業でもある。傘下に信託投資会社、証券会社、銀行などを持ち、総合的な金融サービスを提供できることが特徴。深セン発展銀行への出資を検討するなど、総合金融グループに向けた事業拡大に積極的。さらに、欧州大手の金融グループ「フォルティス・グループ」の大株主でもある。
中国人民財産保険 02328 119,771 1,783 84,901
香港 損害保険の本土最大手。親会社は国有企業の中国人民保険集団公司で、AIGも戦略投資家として資本参加している。車両保険、企業向けや一般家庭向けの損害保険、賠償責任保険、事故傷害保険、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)、貨物保険などを取り扱う。資産運用は筆頭株主の子会社である中国人保資産管理有限公司に委託している。
太平洋保険 02601 104,189 7,356 243,669
香港 上海市を本拠に全国で事業展開する総合保険会社。傘下企業を通じて生命、損害保険業務を手がけるほか、資産運用サービスも行う。生保、損保の保険料収入は業界3位の規模。前身は1991年に多数の企業の出資により、新中国で初めて設立された全国規模の総合保険会社「中国太平洋保険公司」であり、複数の国有企業が大株主となっている。
中国人寿保険 02628 339,290 32,881 862,717
香港 国内最大の保険会社であり、生命保険の最大手。親会社は中央政府直轄の中国人寿保険(集団)公司。農村部を含め、全国規模の販売ネットワークを持っていることが強み。主力商品は個人向け・団体向けの生命保険や事故傷害保険、健康保険、年金保険などで、特に個人向け保険の競争力は強い。資産、企業年金などは担当子会社が運用しており、国内有数の機関投資家としても有名。

売上高・純利益は09年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1香港ドル:0.881元、1カナダドル:6.017元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。

注目されるトピックス ~規制緩和で保険市場の自由化と多様化が進む~

上海市の確定拠出年金(401Kプラン)テストの実施:

個人の商業年金保険の購入を奨励するため、上海市で確定拠出年金導入のテストを実施する予定。09年12月に実施細則が制定され、10年に上海市でのテストを経て、将来的に全国で実施する。確定拠出年金業務を取り扱う保険会社の資格要件から、テスト段階では上位3社など一部の生保だけが展開できると見られる。上海を本拠地とする太平洋保険が最も恩恵を受けると見られる。現在、課税対象である年金保険料が個人所得税の控除対象となるため、このテストにより、保険加入者が増え、保険市場の拡大が促される効果が期待される。

保険資産運用の多様化:

09年10月から改正保険法が実施され、保険会社は条件付きながら不動産や未公開株への投資が可能となったほか、社債の投資比率も引き上げられた。海外投資の拡大も予想される。

保険業への銀行の参入で業界競争が激化:

09年11月に銀行による保険会社への出資に関する規定が出された。すでに交通銀行(03328)が中保康聯の株式を取得。銀行による保険業への進出が進み、競争激化、再編などの動きが強まる可能性がある。一方、保険会社による銀行買収、提携強化による銀行窓口での販売拡大などの動きも見られ、保険、銀行の両業界は競争しながら、お互いに補完し合っている面もある。

中国の保険市場の国際比較(06年基準) 成長する中国の保険市場 生命保険市場のシェア(09年、%)・損害保険の市場シェア(09年、%)

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