中国株 業界レポート

石油・石油化学業界~3大石油メジャーを中心とする重要産業~

2010年7月1日

市場動向 ~世界第2位の石油消費国、海外依存度は50%を突破~

09年の業界規模:

原油生産量:1.89億トン(前年比0.4%減)、加工量:3.74億トン(同7.9%増)、見掛消費量:3.88億トン(同6.2%増)

中国は世界第2位の石油消費国。主要なエネルギー源、原材料として最重要資源に位置づけられる石油は、国内の経済成長を受け、需要は常に増加基調を維持している。石油の見掛消費量は金融危機の影響が残ったにもかかわらず、09年は通年で前年に比べ6.2%増加し、原油加工量も7.9%増と高い伸びを示した。一方、国内の原油生産量は近年頭打ちであり、国内需要をまかないきれないことから、09年の輸入量は前年を13.9%上回り、石油の海外依存度は初めて50%を突破。今後も需要増加の傾向は変わらないと見られ、見掛消費量は少なくとも15年に4.9億トン、20年には5.6億トンに達する見込み。09年の石油・石油化学業界は11月までで1ケタの減収減益となった。10年は川上分野の石油開発を見ると資源確保がより重要となろう。一方、川中・川下の石油精製・石油化学では供給過剰懸念こそ残るものの、低位で抑えられてきた石油製品価格の値上がりが進めば、景気回復で需要も底堅いと見られ、安定した成長が期待されよう。

業界の特徴 ~国有系の独壇場、価格設定などが足かせに~

生産・販売面:

業界は大きく、①油田探査・採掘、原油生産などの川上、②原油からガソリンなど石油製品を生産する石油精製などの川中、③石油製品の小売や、ナフサをはじめとする石油製品からプラスチックなどの石油化学製品を製造する川下――の分野に分けられる。いずれも概ね国有大手による寡占状態。川上の石油開発は油田権益の確保、輸送網の整備に加え、巨額の開発コストなどリスクが大きく、国有系大手の独壇場となっている。原油の販売価格は国際相場に大きく影響されるものの、価格上昇はこれを調達して石油製品を生産する川中の石油精製、さらに石油化学にとってコスト増となるため、川上と川中・川下の両方の収益向上を両立させることは容易ではない。石油精製は過剰気味の生産能力に加え、低く抑えられている販売価格などの問題を抱えている。主力製品であるガソリン需要は自動車普及にともない伸びている。石油化学製品は基礎材料として幅広い製造業で使用されており、製造業全体の景気動向に左右される。

国際面:

中国は政府と国有石油メジャーが一体となり、海外石油資源の獲得の動きを加速させている。09年だけでもリビアなどアフリカ諸国、カナダ、オーストラリアなどの資源会社を買収したほか、中東、中央アジア、ロシア、ブラジルなどと資源開発・パイプライン建設などで合意。ただ、こうした動きは現地での摩擦、国際的な警戒感などを引き起こしかねない。

政策面:

政府は石油・石油化学業界を重要産業として位置づけており、資源開発などで積極的に支援している。一方で規制も厳しく、石油製品(特にガソリン)の販売価格は市民生活への影響が考慮され、政府により低水準に抑えられるなど、価格の市場・自由化は道半ば。川上分野では価格が一定水準を上回った場合に、「特別収益金」を石油会社から徴収するほか、石油製品についても消費税が課されている。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~3大石油メジャーによる寡占状態~

中国の石油・石油化学業界は国有系の3大石油メジャーが市場を寡占している。このなかでも中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)と中国石油化工集団(サイノペック)の2大メジャーは規模が飛びぬけている。両社とも幅広く事業を手がけるものの、それぞれペトロチャイナは川上分野、サイノペックは川中・川下で大きなシェアを持つ。これをもう一つのメジャーで、海底油田の開発で圧倒的なシェアを誇る中国海洋石油総公司(シノック)が追いかける構図。3大メジャーはそれぞれ傘下に中核となる上場企業を持っており、香港、上海などに上場している。これら3大メジャー以外は、地場系、外資含めて国内での存在感は小さい。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
崑崙能源 00135 4,652 1,061 49,738
香港 中国石油天然気(00857)の傘下にある国際石油開発会社。油田の探査や原油・天然ガスの生産を手がける。本土のほか、カザフスタン、タイ、ペルー、オマーン、インドネシア、ミャンマーなどで事業展開。グループ戦略の一環で天然ガス関連事業を中核と位置づけており、同分野に経営資源を集約している。
中国石化上海石油化工 00338 47,345 1,591 50,433
香港 中国石油化工(00386)の傘下にある石油化学の大手。上海市を本拠とする。主力製品は合成繊維、樹脂・プラスチック、中間製品、燃料油など。
中国石油化工 00386 1,315,915 61,760 777,853
香港 中央政府の直接管理下にあり、3大石油メジャーの一角を占める中国石油化工集団(サイノペック)の中核上場企業。超大型の総合石油会社で、川中分野の石油精製・燃料油、石油化学製品では、国内最大のシェアを持つ。このほか川上分野である油ガス田の探査・開発、原油・天然ガスの生産・貿易も手がけており、国内有数の油田である「勝利油田」などを保有。さらに、中国石化上海石油化工(00338)、中石化冠徳(00934)、中国石化儀征化繊(01033)など複数の上場企業を傘下におさめている。
中国石油天然気 00857 1,019,275 103,387 2,173,931
香港 3大メジャーの一角を占める中央政府直轄の中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)を親会社に持つ中国最大級の石油会社。国内最大の「大慶油田」を保有するなど、油田、天然ガス田の探査、採掘など川上分野では圧倒的な規模を誇る。中燃料油や石油化学製品の製造・輸送・販売など川中分野への進出も積極的。油田探査は四川盆地、オルドス盆地など国内のほか、カザフスタンなど海外でも展開。輸送部門では「西気東輸」をはじめとするパイプラインを建設している。
中国海洋石油 00883 105,195 29,486 603,034
香港 川上分野の原油・天然ガス資源の開発で特に海底資源に強みを持つ、大手の石油・天然ガス会社。3大石油メジャーの一角を占める中央政府直轄の中国海洋石油総公司(シノック)の傘下にある。渤海湾、南シナ海の西部・東部、東シナ海など近海のほか、インドネシア、オーストラリア、ナイジェリアなどにも開発範囲を広げている。
中石化冠徳 00934 18,749 173 4,614
香港 中国石油化工(00386)の傘下にある石油関連の貿易会社。主要事業は、原油・燃料油・石油化学製品の貿易、広東省恵州市での原油ふ頭・関連設備の運営や荷役・備蓄など。親会社グループが最大の原料仕入先と販売先になっている。
中海油田服務 02883 17,879 3,135 55,019
香港 海底油田開発で最大手の中国海洋石油総公司(シノック)を親会社に持ち、海底油田サービスを担当する企業。掘削リグ、各種作業船、石油、ケミカルタンカー、物理探査船などを保有し、掘削サービス、測定、掘削流体の供給、セメンチング、傾斜掘り、近海作業船サービス、輸送などを手がける。海外事業も積極的で最近ではノルウェーの同業大手を買収した。
中海石油化学 03983 5,795 985 21,344
香港 中国海洋石油総公司(シノック)を親会社に持つ国内最大手の窒素肥料メーカー。兄弟会社である中国海洋石油(00883)が海南省で産出する天然ガスを原料に、代表的な窒素肥料である尿素を生産、販売している。同社の大粒尿素は「富島」ブランドで有名。もう一つの主要原料であるメタノールの生産も行う。

売上高・純利益は09年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1香港ドル:0.881元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。

注目されるトピックス ~資源確保、販売価格の動向などに注目~

川上では資源確保の動きがさらに加速か:

中国は官民挙げて西部などを中心に国内資源を開発しているものの、国産原油の生産量は20年までに約2億トンまでしか増えないと見られている。圧倒的に足りないため、海外の石油資源獲得の動きがさらに加速、国際市場における存在感はさらに高まる可能性が高い。3大メジャーは巨額の外貨準備を持つ政府の支援を受けることができ、今後も世界各地で攻勢をかけてくると思われる。さらに国内では戦略的な石油備蓄を始めており、安定的な石油供給の布石を打っている。

川中・川下では販売価格の動向に注目:

業界全体が抱える構造的な問題として、石油製品の販売価格の低さが指摘される。当局は国際相場にあわせて価格を調整しているものの、企業側が自由に設定できないため、特に川中・川下の企業にとっては採算割れのリスクを抱えている。当局は価格決定メカニズムをより市場化していく意向。関係する税制と合わせ、企業業績を左右する重要な要素といえる。

国際原油価格の変動要因は大きい:

中国の原油輸入量が拡大している以上、国際原油価格の動向は国内の業界全体に大きな影響を与える。価格上昇は川上に有利、川中・川下に不利と総じて言うことができ、08年上期の急騰局面では、コスト増から石油精製・石油化学会社の経営が悪化した。国際原油価格は基本的な需給関係に加え、在庫、リスクマネー、米ドル為替の状況など多くの変動要因があり、注意を要する。

WTI原油価格

出所:ブルームバーグ



中国の原油構成

出所:CEIC

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