中国株 業界レポート

石炭業界~エネルギー源の中核を担う~

2010年7月1日

市場動向 ~世界最大の石炭生産・消費国、需要増で輸入が急増~

09年の業界規模:

原炭生産量:30.5億トン(前年比8.8%増)、輸入量:1億2583万トン(同211.9%増)

中国は世界最大の石炭生産・消費国であるとともに、資源保有量も世界有数の規模を誇っている。石炭は生産・消費両面から見て1次エネルギー源全体の7割前後を占め、エネルギーバランス上で極めて重要な位置づけにある。09年は業界全体では11月までで9.4%の減益となった。ただ、生産量は前年比で8.8%増加した。景気回復にともない、発電・工業用の消費量が回復、年末に向けて需給が逼迫した。これにつれ輸入が急増したことで、中国は初めて石炭の純輸入国に転じた。業界の成長にとって安定した国内需給バランスは必須。元々供給過剰のリスクを抱えているなか、10年は需要の伸びがやや減速する可能性はある。ただ、輸入量の調整で国内バランスを保つことも可能と見られ、10年の業界環境は昨年よりも安定したものとなるだろう。

業界の特徴 ~エネルギーの中核産業、資源は豊富であるが、課題も抱える~

生産・販売面:

国内エネルギーの中核を担う石炭業界は基本的にドメスティックな産業であるものの、国内外の石炭価格動向の影響を受ける。中国は世界有数の石炭資源を保有しており、資源開発を進めている。ただ、資源は山西省など内陸部に集中しており、主要消費地である沿海部と離れているため、鉄道を中心とする石炭輸送が重要となるが、輸送能力は不足気味。生産面では数多くの企業が乱立し、業界集約度は低い。小規模炭鉱の乱立、エネルギー多消費・環境汚染など構造的問題を抱えており、業界・鉱山の再編がなど課題。電力、鉄鋼、建材、化学向けの需要が全体の8割を占め、暖房用需要の増える冬季が繁忙期。電力、鉄鋼会社との価格交渉が特に重要であり、動向は石炭、並びに顧客である電力、鉄鋼などの業界双方に影響を与える。

国際面:

国内石炭だけでは需要をまかなえないため、中国の石炭輸入は拡大しており、大半をオーストラリアから買い付けている。ただ、交渉先に比べ、中国側の寡占度は低いため、価格交渉力は弱く、輸入価格も上昇基調にある。このため海外の石炭会社買収に積極姿勢を見せ始めており、最近ではヤン州煤業(01171)によるオーストラリア上場企業の買収があった。

政策面:

炭鉱は中央政府管轄の「国有重点炭鉱」、地方政府の「地方炭鉱」、政府以外が管理する「郷鎮炭鉱」の3種類に分けられるが、政府の目が届かない小規模炭鉱が多い。このため石炭は政府の規制色こそ強いものの、末端まで中央政府のコントロールが届きにくい。このため政府はマクロコントロールを強化しており、炭鉱閉鎖などで具体的な目標を定めている。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~集約度の低い業界、大手の大半は政府系~

中国の石炭業界は業界集約度が低く、08年の原炭生産上位10社の総生産量は全体の3割に過ぎない。大半の企業が損益分岐点付近での経営を強いられているなか、業績が比較的好調な大手企業の大半は政府系であり、主要石炭産地の企業が強い。売上高・生産量ともに業界1位で中央政府直轄の神華集団は、神華能源(01088)の親会社。これを全国展開する国有系企業や、主要産地の地方政府系企業などが追っている。中煤能源(01898)は親会社が生産量で第2位を占め、コークス、石炭関連設備に強み。このほか、ヤン州煤業(01171)、内モンゴル伊泰石炭(900948)も親会社を含むグループ全体では業界の大手に数えられる。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
神華能源 01088 121,312 31,706 548,120
香港 中央政府直轄の国内最大手の石炭会社。石炭の生産・販売、発電事業、鉄道や港の経営も手がける。内モンゴル自治区、陝西省などで複数の炭坑を経営。石炭は自社経営の鉄道などを通じて沿海地区にも輸送するほか、河北省などの専用港を通じて海外にも輸出する。発電事業では、北京市、天津市、河北省などの発電会社に出資している。
ヤン州煤業 01171 20,253 4,117 95,245
香港 山東省を本拠とする地方政府系の大手石炭会社。採炭、選炭、販売など石炭事業を幅広く手がける。鉄道施設も保有するほか、メタノール生産など石炭化学事業も展開していることが強み。オーストラリ上場の石炭会社を買収するなど海外事業を強化するなど、買収による事業拡大に積極的。
中煤能源 01898 53,187 7,834 142,604
香港 生産量ベースで国内2位の大手石炭会社。中央政府直轄の企業で、山西省を拠点とし、華東、華北、西北地区などの炭田に、坑内掘りと露天掘りの炭坑を保有する。石炭輸出やコークス生産、石炭関連設備の製造などに強みを持つ。上海証券取引所に上場する上海大屯能源股フン有限公司を傘下に置く。
丹化化工 900921 263 ▲45 12,088
上海 無水酢酸を主力とする石炭・石油化学企業。親会社は地元である江蘇省丹陽市の政府系企業。以前はトリ肉加工、不動産事業が主力であったが、数度の資産リストラ・業態転換を経て、現在の業態に転換した。石炭大手の河南煤業化工集団の支援を受け、石炭を原料とするエチレングリコール(EG)の生産プロジェクトに注力している。
内モンゴル伊泰石炭 900948 10,997 3,141 30,576
上海 内モンゴル自治区を本拠とする民営の大手炭鉱会社。原炭の生産から輸送・販売までを手がける。自治区内に複数の炭鉱を保有しており、同社の石炭は「伊泰」ブランドで知られる。このほか石炭輸送鉄道も経営。液化石炭などの石炭化学事業、天津市の港湾などにも投資している。

売上高・純利益は09年12月本決算。単位は百万元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。換算レートは1米ドル:7.777香港ドル。

注目されるトピックス ~構造問題解決に向け、さらなる再編が進む見通し~

石炭業界の再編動向:

当局は業界の構造問題解決に向け、小規模炭鉱の閉鎖・整理、業界再編を通じた集約度の向上などに努めており、同業界は今後も大手企業を中心とする買収・合併などが進むと見られる。現在作成が進んでいる石炭産業の第12次五カ年計画(2011~2015年)では、業界再編、生産効率の向上、環境対策などが中心テーマになってこよう。

環境対策の優劣が競争力に直結:

石炭はほかのエネルギー源に比べてエネルギー効率の低さ、二酸化炭素排出量の多さなどが目立つ。中国は温暖化問題をはじめ環境対策が待ったなしの状況にあり、政府はエネルギーの石炭依存度を下げる方向で政策を進めている。完全に代替できるエネルギー源がないために石炭は今後も中心的な地位を占め続けると見られるが、さらなる環境対策が政府、そして企業に求められる。環境対策の強化や、石炭化学など石炭有効利用の推進が企業の競争力に直結しよう。

価格動向しだいではリスク要因にも:

石炭価格の変動要因は多く、急激な価格変化はリスク要因にもなりうる。スケールメリットから業界大手が有利。国内価格は基本的に市場に基づいており、国内需給バランス、国際価格などに影響される。ただ、需要の約半分を占める電力業界向けは、業界同士での定期的な価格交渉で決められることが多い。交渉は紛糾することが多く、電力会社はこのために海外からの調達に積極的。電力需要は製造業の生産動向に左右されるほか、末端である電力価格の値上げも難しく、価格交渉を複雑にしている。

国内大手企業の売上げだか・原炭生産量(08年実績、弊社取扱銘柄に関連する企業だけを抜粋)
国内石炭価格の推移(泰皇島市)
石炭の生産・消費量
石炭の輸出入量

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。