中国株 業界レポート

非鉄金属業界~世界の非鉄大国、安定的な資源確保が重要~

2010年7月1日

市場動向 ~世界最大の生産、消費量~

09年の業界規模:

10種ベースメタル生産量:2681万トン(前年比5.8%増)、大手70社の売上高:6479億元(同0.72%増)、利益:176億元(同1.5%減)。

中国は非鉄金属の生産、消費量ともに世界最大の規模を誇る。09年は金融危機の影響が見られ、非鉄金属の輸出入額も前年比で1割以上の減少。過剰気味な生産能力という構造的な問題を抱えているため販売価格も下落し、大手企業は小幅ながらも減益を強いられた。だが、政府の財政出動などを背景とした固定資産投資の拡大、景気回復などを追い風に需要は徐々に盛り返しており、10種ベースメタルの生産量は前年比で5.8%増加。10年以降も国内景気の回復傾向は続くと見られるほか、主要国の景気持ち直しで輸出環境が好転する可能性も高い。このほか当局主導の再編、生産能力削減などが強まることで、中長期的には業界の収益性向上につながることも期待できよう。

業界の特徴 ~内外の市況の影響が大きいセクター~

生産・販売面:

非鉄金属業界は国内外の商品市況の影響を大きく受けるセクター。大きく川上の探査・採掘・選鉱、川中の精錬、川下の製品加工に分けられ、最終的に建設、電力設備、家電など幅広い業界に販売されるため、需要は固定資産投資、機械製品の販売動向などの影響を受ける。また希少金属、特に金は安定資産としての役割もあり、投資需要も大きい。非鉄金属資源の多くは中部、西部に分布しており、上位10省の全体に占める生産量は7割を超える。資源大国であるものの国内だけでは需要をまかないきれず、海外から鉱石を輸入しているため、価格交渉は重要。採掘・精錬・加工の過程では大量のエネルギーを消費するため、環境対策も必要になるほか、電力など燃料価格の動向もコストに影響する。鉄鋼と同じく一部生産設備の「過剰、小規模、老朽化」という構造的な問題を抱えている。

国際面:

中国は世界でのレアメタル埋蔵量の大半を占めるなど金属資源が豊富。このため資源の輸出国でもあるが、国内需要を優先するため、希少資源については輸出制限もかけられる。輸出加工製品の大半が低付加価値品なのが課題。国内需要増を受け、オーストラリア、チリなどからの鉱石輸入は拡大しており、非鉄金属関連の貿易収支は赤字基調が続いている。こうしたなか、資源確保のため中国企業による海外進出が活発化しており、すでにオーストラリア、カナダ、アフリカ諸国などで大型買収が成立している。

政策面:

国内の非鉄金属資源は国有であり、企業は採掘・使用権を有償で取得するほか、鉱石の生産に対して資源税が課せられる。政府は過剰気味な生産能力の整備、業界再編、製品の高付加価値化、海外進出などを推し進めており、09年5月に『非鉄金属産業振興策』の全容を明らかにした。11年までに3~5社の競争力のある総合非鉄企業を育成、主要金属ごとに国内上位10社合計の市場シェア目標値を定めた(銅は90%、アルミは70%)。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~川上・川中は政府系企業が強いが、川下では民営も健闘~

鉄鋼に比べ業界集約度は高く、川上・川中では大手は政府系企業に限られ、それぞれ複数の上場企業を持つ。主要金属ごとに「ガリバー」があり、08年の業界売上高ランキングで第1位となった中国リョ業公司は国有系のアルミ最大手で、旗艦上場企業は中国アルミ(02600)。2位は地方政府系の江西銅業集団で、銅最大手の江西銅業(00358)の親会社。このほかタングステン大手の湖南有色金属(02626)を傘下に持つ湖南有色金属控股集団が10位。さらに金では紫金砿業(02899)、モリブデンでは洛陽欒川(03993)などが強い。一方、川下の製品加工などでは民営企業も目立ち、中国忠旺控股(01333)はアルミ形材、中国稀土(00769)はレアアース製品で有名であるほか、中国金属再生資源(00773)は金属リサイクルの最大手に成長している。また金属貿易では国有企業の中国五砿集団公司が圧倒的なシェアを誇っており、傘下に五砿資源(01208)を持つほか、湖南有色金属の実質筆頭株主になるなど、鉱石生産にも乗り出している。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
江西銅業 00358 51,431 2,383 72,971
香港 銅資源が豊富な江西省を本拠とする地元政府系の銅生産企業。銅資源の埋蔵量、精錬能力、銅製品の販売量などでいずれも国内最大規模を誇る。地元採掘、選鉱、溶錬、精錬のほか、顧客の銅原料を加工するサービスも手がける。主力製品は銅地金(電気銅)、銅ワイヤロッドなどの銅材。国内最大級の露天掘り銅山、溶錬・精錬所を有する。
中国稀土 00769 1,067 75 2,885
香港 蛍光体を含む希土類(レアアース)製品、高温セラミックなど耐火材の生産・販売を手がける民営企業。製品は本土を中心に、日本、欧州、米国向けに販売している。川上分野に事業を広げるために、遼寧省で耐火材の原材料となるマグネシウム粒の製造にも乗り出した。このほか米ゼネラル・エレクトリック(GE)、蛍光体関連の韓国大手企業と戦略提携を結んでいる。
中国金属再生資源 00773 7,985 421 7,430
香港 廃金属(スクラップ)のリサイクル業を手がける業界シェアトップの民営企業。広東省、香港などにリサイクル拠点を設置している。主要顧客は中国の大手鉄鋼・非鉄金属メーカーで、国内外から買い取ったスクラップから各種金属を選別。顧客の要望に応じた再生金属を生産し、販売する。華南地方を主力市場とし、華東、華北などへの本格進出も加速させる方針。
五砿資源 01208 5,476 160 5,917
香港 中国最大の非鉄金属貿易会社「中国五砿集団公司」の傘下にある国有系企業。主要事業は、アルミナなど非鉄金属の貿易、アルミ加工など。国内で最大規模の輸入アルミナの供給能力を持つ。米アルミ大手・アルコアとは長期のアルミナ供給契約を交わしている。
中国忠旺控股 01333 13,853 3,529 28,005
香港 遼寧省を本拠とする民営のアルミ形材メーカーで、業界のリーディングカンパニー。鉄道車両、自動車など交通・輸送分野の工業向けアルミ製品に注力。中国南車(01766)と戦略的提携関係を構築している。また、建築向けアルミ製品も生産。北京オリンピック会場、上海万国博覧会会場で使用されている。
招金砿業 01818 2,797 754 26,933
香港 山東省を本拠とする地方政府系の総合金会社。金の採掘、加工、精錬、販売を手がける。同省招遠地区にある5つの金鉱などを保有しており、うち大尹格荘金砿は国内最大規模の地下金鉱。主要製品は「招金」ブランドの延べ棒で、主に上海黄金交易所を通じて販売している。
中国アルミ 02600 70,268 ▲4,643 134,043
香港 アルミナ・一次アルミニウムの生産などで国内最大手の国有系企業。世界でも有数の規模を誇る。主力製品は、アルミナ、一次アルミ、ガリウム、炭素など。このほか原材料のボーキサイトの採掘なども手がける。親会社の中国リョ業公司は世界的な資源大手であるリオ・ティント社の大株主でもある。
湖南有色金属 02626 18,037 ▲358 9,934
香港 非鉄金属資源の豊富な湖南省を本拠とする大手の非鉄金属メーカー。アルミを除いた非鉄金属では国内で最大規模の生産量を誇る。非鉄貿易の最大手である国有企業の中国五砿集団公司が実質筆頭株主。このほか地元政府も大株主となっている。世界最大規模のタングステン・ビスマス(蒼鉛)の鉱山を保有。探査・採掘から選鉱、精錬、高付加価値加工の一貫生産体制を整えていることが強み。
紫金砿業 02899 20,215 3,552 106,080
香港 福建省を地盤とする地元政府系の大手金生産企業。主力とする金のほか、銅、亜鉛鉱など幅広い金属の探査、採掘、選鉱、精錬、販売などを手がける。規模と産出量で国内最大級の露天掘り金鉱など、複数の金鉱・銅山を保有。カナダ、オーストラリアの上場資源会社、スイスの金属商社などに出資するなど、積極的に海外事業も展開している。
洛陽欒川 03993 3,046 503 22,625
香港 河南省洛陽市の政府系企業の傘下にある中国屈指のモリブデンメーカー。採掘、浮遊選鉱、焙焼、精錬、川下分野の加工などを一貫して手がける。タングステンの生産にも力を入れている。保有する同市欒川県の「三道荘砿」は、世界有数のタングステン埋蔵量を誇る。

売上高・純利益は09年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1香港ドル:0.881元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。

注目されるトピックス ~安定的な資源確保がカギ~

当局による強力なマクロコントロールの成否:

当局は同業界に対するマクロコントロールを強化している。過剰気味の生産能力、エネルギー高消費・高汚染という体質を改善させることが目的。特に電解アルミの供給能力は過剰となっており、老朽化した設備淘汰を進めている。さらに地域を跨いだ業界再編を推進しており、最近では中国五砿集団公司による湖南有色金属の親会社との再編があった。環境汚染対策の必要性も増しており、こうした政策が今後も有効に機能すれば、業界の抱える構造問題の解決、小規模企業の淘汰、有力企業の競争力向上などにもつながろう。

安定的な資源確保ができるか:

中国の非鉄金属需要は都市化の進展、所得水準の向上、工業製品の高付加価値化などの流れを背景に、今後も増加傾向をたどると思われる。安定的な資源確保は業界全体にとって最重要項目。資源の海外依存度がさらに高まる可能性は大きいなか、中国企業による資源獲得の動きは今後も拡大しよう。ただ、政治・開発リスクに留意する必要がある。

税制・税率の変更が業績に影響:

業界内では資源税改革の行方が注目を集めている。税負担の低さが資源の大量・過剰な消費の一因と言われているだけに、今後は対象範囲の拡大、税率引き上げなどの可能性がある。このほか輸出は、輸出税還付率の上げ下げの影響を受ける。

商品相場の動向:

非鉄金属業界に大きな影響を与える国内外の金属相場は世界的な需給観測、供給・調達間の価格交渉、自然災害、政治的緊張など変動要因が多い上、さらに投機資金も流入するため、不安定になりやすい。基本的に景気周期と一致する傾向があるものの、ボラティリティも大きく、注意を要する。

主要資源の生産高伸び率(前年同月比%) 主要3資源の国内価格(07年発を100として指数化)

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