中国株 業界レポート

船舶運輸・港湾業界 ~世界の貿易、港湾大国~

2010年7月1日

市場動向 ~09年後半から始まった回復傾向は10年も続こう~

09年の業界規模:

輸出入総額:2兆2072億米ドル(前年比13.9%減)、主要沿海港湾貨物取扱量:69.1億トン(同8.2%増)、コンテナ取扱量:1億2082万TEU(同5.8%減)

09年は金融危機の影響が残り、中国本土の貿易総額は2兆2073億米ドル、前年比で13.9%減少。これでも輸出額はドイツを抜いて世界第1位になったほか、輸入も第2位の規模であり、不動の貿易大国となっている。貿易を担う船舶運輸・港湾業界は内需刺激政策の効果と輸出の回復を背景に、09年後半から回復傾向。海運運賃の国際的な動向を示すバルチック海運指数は、08年12月時の安値水準660から上昇に転じ、09年11月には4600台まで回復した。中国はコンテナ取扱世界上位20港のうち7港を占める港湾大国でもある。うち上海港は貨物(ばら積み貨物(バルク)など)で世界1位、コンテナで2位の規模。主要港湾の取扱量はコンテナこそマイナス成長に落ち込んだものの、発電量の回復で石炭輸入が急増したことなどを受け、貨物は8.2%増と堅調だった。このほか、香港もアジアで歴史のある自由貿易港であり、中国本土と海外との中継貿易の拠点となっている。10年は主要国の景気回復の動きが強まると見られているほか、中国の内需も堅調。このため輸出、輸入ともに回復傾向は続くものと思われる。

業界の特徴 ~外需、内需両方の影響を受けるセクター~

外需面:

船舶運輸・港湾はともに外需の影響を強く受けるセクター。輸送品目は大きくバルク・タンカー輸送、コンテナ輸送に分けられるが、需要はそれぞれ海外の資源価格・需給、輸出先である先進国などの景気動向に大きく左右される。さらに港湾業のコンテナ業務でも輸出向けが約8割以上であり、特に深セン港、寧波-舟山港は同比率が高い。

内需面:

船舶運輸・港湾業界は石炭や鉄鉱石など資源の輸入、ならびに産出地から消費地への国内輸送について、中心的な役割を担っている。沿海部の港湾を利用した沿海輸送網、並びに長江など多くの河川を利用した河川輸送網が発達。石炭などの取扱量は内需による影響が大きい。

投資面:

貿易量の拡大にともない、船舶会社は保有船隊の規模拡大に積極的。その分輸送能力の過剰、競争激化による運賃価格の低下などへの懸念も強い。さらに巨額の設備投資負担、注文から引渡しまでの期間の長さなどもリスク要因。一方、中国の港湾建設は安定成長期に入っている。政府は08年後半から港湾投資を加速させており、やや供給過剰気味。09年にはコンテナ港への投資が既に減速している。しかし、バルク、原油ターミナルへの投資の伸びはまだ相対的に高い。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~政府系企業が中心~

船舶運輸・港湾ともに政府系企業が中心。船舶運輸は国有系大手の寡占状態で、それぞれ傘下に複数の上場企業を持つ。サブセクターごとに、遠洋輸送は中国遠洋運輸(集団)総公司、沿海輸送は中国海運(集団)総公司、フォワーダー・河川輸送は中国外運長航集団有限公司が強い。港湾を見ると、本土で全国展開する大手は中遠太平洋(01199)、招商局国際(00144)など国有系が大半。多くの港湾は各地方政府系の企業が経営しており、天津港(03382)、大連港(02880)、廈門国際港務(03378)などが代表的な銘柄として挙げられる。さらに長江実業(00001)などの香港系コングロマリットが香港などで港湾事業を展開。このほか関連企業として、コンテナ製造の中国国際コンテナ(200039)、港湾機械の上海振華重工(900947)などがあり、両社はそれぞれの分野で世界トップクラスのシェアを占める。造船業では広州広船国際(00317)などが挙げられる。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
招商局国際 00144 3,161 2,853 63,389
香港 国務院系の企業グループ「招商局集団有限公司」の傘下で、大手の港湾企業。香港、珠江、長江デルタ、環渤海地区などで、コンテナふ頭やバルクふ頭の運営、関連運輸などを手がける。中国国際コンテナ(200039)にも出資。
中外運航運 00368 1,565 727 12,415
香港 大型国有企業の中国外運長航集団有限公司の傘下にある大手船会社。ドライバルク輸送を主力とする。ばら積み船は、ハンディなど各種サイズの船舶を保有。船主として定期傭船契約や航海傭船契約を交わし、保有船を傭船者にリース。バルクは鉄鉱石、石炭、穀物、鋼材などを中心とする。
中遠国際控股 00517 1,436 743 6,043
香港 海運最大手の中国遠洋運輸の傘下で、船舶関連の各種サービスを担当する会社。主力は船舶の建造・売買・リースの代理業務、海上保険、船舶・コンテナ用塗料、貿易、不動産など。塗料事業では関西ペイントと提携。不動産では遠洋地産(03377)を傘下に置く。
中国外運 00598 27,635 425 7,606
香港 国有企業「中国外運長航集団有限公司」の傘下にあるフォワーダーの最大手。このほかエクスプレスサービスなどを手がける。華東地区を中心に、本土の主要都市で事業を展開。エクスプレスサービスではDHL、海外新聞普及株式会社(OCS)と合弁している。 
中海発展 01138 8,730 1,065 35,195
香港 国有大手「中国海運(集団)総公司」傘下の大型船会社。主に原油・燃料油、石炭、乾貨物などの沿海・遠洋輸送などを手がける。沿海輸送に強み。中海コンテナ運輸(02866)とは兄弟会社の関係にある。
中遠太平洋 01199 2,387 1,179 25,814
香港 国内最大の海運会社「中国遠洋運輸(集団)総公司」が中国遠洋控股(01919)を通じて支配する港湾会社。環渤海、長江、珠江デルタ地区などでコンテナふ頭を経営するほか、スエズ運河やアントワープなど海外の港湾会社にも出資。コンテナリース事業も展開している。中国国際コンテナ(200039)にも出資し、コンテナ製造にも参入。
中国遠洋控股 01919 68,463 ▲7,468 103,394
香港 中国遠洋運輸(集団)総公司の上場旗艦企業。海上運輸を主力とするほか、コンテナふ頭の経営、コンテナリース、フォワーダーなども手がける。コンテナふ頭の経営とコンテナリースなどは中遠太平洋(01199)を通じて展開。中遠太平洋は中国国際コンテナ(200039)に出資している。
中海コンテナ運輸 02866 19,740 ▲6,489 44,488
香港 中国海運(集団)総公司の傘下で、コンテナ海上輸送などを担当する大手海運会社。国際・国内航路に、定期便・チャーター便を就航させている。使用船舶は自社保有のもののほか、賃借したものもある。中海発展(01138)とは兄弟会社の関係。主な国際航路は、太平洋航路、欧州・地中海航路、アジア太平洋航路など。 
大連港 02880 1,678 609 10,095
香港 遼寧省大連市の地元政府系の港湾企業。石油製品、コンテナ、自動車のふ頭業務、曳航、水先案内などの付加価値業務なども手がける。日本郵船、中国海運(集団)総公司も出資。大連港は東北地方の海の玄関口。大連市は四大石油備蓄基地の一つに指定されているほか、自動車輸入も許可されているため、石油、自動車ふ頭の分野で強みを持つ。
天津港 03382 1,236 ▲42 11,392
香港 天津港で最大規模のコンテナふ頭を運営する地元政府系の企業。天津市政府の支配下にあり、天津発展(00882)などが大株主となっている。コンテナバースに加え、非コンテナふ頭も経営しており、食糧、鋼材、鉄鉱石などの積卸業務にも従事。中遠太平洋(01199)やA.P. モラー・マースク社、シンガポール港湾局(PSA)などと合弁している。

売上高・純利益は09年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1香港ドル:0.881元、1米ドル:6.831元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。

注目されるトピックス ~内需、外需の回復と政策効果もプラス、ただ貿易摩擦などのリスク要素も~

「国際海運センター」建設に向けた各種政策の動向:

当局はさらなる国際競争力の強化に向け積極的。09年3月に国務院は「上海国際海運センター計画」を発表し、20年までに世界最重要の海運センターにする目標を掲げ、洋山深水港の整備などを進めている。さらに大連、天津とあわせ、国際競争力のある3大海運センターの建設を目指す方針。河川輸送網の整備も強化しており、相乗効果を狙う。こうした重点プロジェクトは業界への追い風となろう。

堅調な国内景気を背景に貨物輸送の伸びは09年より若干加速か:

中国の港湾貨物取扱量は国内景気との相関がより高い。10年のGDP成長率は前年より高くなる公算が大きいなか、港湾取扱量全体の57%を占める石炭、鉄鉱石などバルクの需要増加も期待できる。貨物輸送の伸びは09年よりも若干加速か。

外需などの回復はコンテナ輸送の伸びにプラス:

主要国の景気底入れ、新興国など新たな市場の開拓などを背景に、10年の輸出環境は08年、09年よりも良好。輸出の回復はコンテナ輸送の増加に直接結びつく。

通商環境に影響する各ファクターに留意:

業界にとって、良好な通商環境の継続は重要な要素。貿易相手は従来の欧米など先進国中心から、10年から中国とアセアン(東南アジア諸国連合)間のFTA(自由貿易協定)が発効されることもあり、今後はアジア、アフリカなど新興・途上国のウエイトが高まると期待される。ただ、貿易摩擦や人民元レートは動向次第で通商環境にマイナスに働く可能性が高い。

中国の輸出入額 港湾景気指数(07年の各基準月を100とする) バルチック海運指数

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