中国株 業界レポート

道路・鉄道業界~景気回復、インフラ建設の拡大で安定成長に~

2010年7月1日

市場動向 ~景気回復にともない、今後も安定成長に~

09年の業界規模:

貨物輸送量:274億トン(前年比6.1%増)、旅客輸送量:298億人(同3.8%増)、道路営業距離:6.5万キロ(同7.8%増)

広大な国土を持つ中国の有料道路の営業距離は09年末時点で6.5万キロ、鉄道営業距離は8.6万キロに上り、ともに世界第2位の規模を誇る。交通インフラの整備、都市化の進展、経済成長などを背景に、「人・物」の動きが活発化。09年は金融危機の影響が見られたものの、貨物輸送量は前年比6.1%増の274億トン、旅客輸送量は3.8%増の298億人と前年実績を上回った。道路輸送の規模は鉄道など他の手段を大きく上回り、貨物全体の8割弱、旅客全体の9割以上を占めている。景気回復を背景に10年は09年を上回る経済成長が見込まれるなか、道路・鉄道業界の事業環境も改善。国家統計局が発表している交通・輸送業界の景況感指数は既に4四半期連続で上昇している。政府による積極的なインフラ整備などもプラスに働き、道路・鉄道業界は今後も安定成長が期待できよう。

業界の特徴 ~官がほぼ独占する規制色の強い業界~

事業環境面:

公共セクターである道路・鉄道はほぼ官が独占する業界。旅客輸送は旧正月の交通ダイヤ「春運」中に例年最大のピークを迎える。貨物輸送は国内の景気動向などが需要に影響する。両業界とも巨額の設備投資、投資回収の長期化が避けられないため、財務体質、資金調達力が重要。

道路は運営・管理の多くを政府系企業が担当しており、政府から付与される徴収権を元に通行料収入を得る事業形態。道路輸送はより高付加価値な工業製品の中・短距離輸送に向いており、工業生産の動向は輸送需要に大きく影響する。鉄道は鉄道部の各地方局が直接運営する形態が大半で、行政・企業の分離が進んでいないため、事業の効率・収益性は低い。一方で鉄道は大量の旅客を廉価で長距離輸送できることが強み。貨物では資源の長距離・大量輸送に向いているため、資源需要・価格動向の影響を受けるものの、発電所への石炭・石油輸送で中心的な役割を担うなど、重要性は高い。

事業地域面:

道路網は「五縦七横」(南北に5本、東西に7本の幹線)、鉄道網は「四縦四横」(南北に4本、東西に4本の幹線)を中心に全国をカバーしている。ただ、中国は広大な国土、世界最大の人口を持つだけに、インフラは道路・鉄道ともに不足している状況が続いている。

政策面:

道路・鉄道ともに規制色が非常に強い業界。交通インフラ不足が経済成長のボトルネックとなっているため、政府は巨額の資金を投じて、道路・鉄道の建設を加速させている。08年に発表された4兆元の景気対策でも、同分野には重点的に予算が配分された。

競合面:

道路・鉄道は航空とあわせ、いずれも官が主役。さらに全体の輸送量は拡大傾向を維持。このため、これら3つの業界は競合関係にあるものの、共倒れとなるような悪性の競争には至らないだろう。道路、鉄道はともに低価格が魅力であり、それぞれ中・短距離、長距離輸送に強み。航空は高価格であるものの、輸送距離・スピードは圧倒的。国土が広く所得格差の大きい中国では、これらの交通手段が互いに棲み分ける余地が大きい。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~政府系企業が主役、上場する鉄道企業は少ない~

両業界ともに政府系企業が主役。道路業界は地域独占型であるため、企業規模は事業地域の経済状況に左右される。ただ上場企業の多くは地方政府系で当局との関係が深く、長期的に安定した成長性が見込まれよう。経済水準の高い沿海部では江蘇高速道路(00177)、浙江高速道路(00576)が長江デルタ地帯、越秀交通(01052)、深セン高速道路(00548)、広東高速道路(200429)が珠江デルタをカバー。道路整備が急ピッチで進む中西部では、四川高速道路(00107)、安徽高速道路(00995)が上場している。このほか、合和公路基建(00737)など、一部の香港系企業なども本土へ進出している。

一方、鉄道は企業化が進んでいないために上場企業が非常に少なく、広深鉄路(00525)と香港鉄路(00066)の2社にとどまる。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
香港鉄路 00066 16,560 8,492 159,459
香港 香港政府傘下の地下鉄運営会社。住宅開発や不動産賃貸なども手がける。傘下の鉄道は、◇ツェンワン線(ツェンワン-セントラル)、◇観塘線(油麻地-調景嶺)、◇将軍澳線(宝琳-ノースポイント)、◇港島線(柴湾-上環)、◇東涌線(香港-東涌)、◇迪士尼線(欣澳-ディズニー)など。
四川高速道路 00107 1,879 827 21,799
香港 四川省で有料道路事業を展開する地元政府系の企業。主な傘下の高速道路は、◇成渝高速公路(四川省成都市-重慶市:全長226キロメートル)、◇成雅高速公路(成都市-雅安市:全長144キロメートル)、◇成都城北出口高速公路(成都青竜場-白鶴林:全長10.42キロメートル)など。西部大開発が追い風に。
江蘇高速道路 00177 5,587 2,052 36,614
香港 江蘇省を本拠地とする本土最大手の上場道路企業。中核資産は上海南京高速道路の江蘇省区間(248.2km)など。江蘇省における道路使用料の全部あるいは、一部の権益を有しており、運営・管理している道路の総延長は700キロを超える。江蘇省のある長江デルタ地域は経済が発展しており、今後も自動車の普及率上昇とともに交通量の順調な拡大が見込める。
広深鉄路 00525 12,386 1,365 27,957
香港 本土で唯一海外上場している国有系の鉄道会社。広東省深セン市-広州市-楽昌市坪石の鉄道(全長481.2キロメートル)を経営する。同鉄道は広東省を縦断し、他地域へ向かう主要鉄道などに接続している。香港鉄路(00066)と共同で本土と香港を結ぶ広九鉄道の旅客輸送を行う。広州市-深セン市区間では時速200キロメートルの国産高速列車(CRH)の「和諧号」が運行している。
深セン高速道路 00548 2,475 540 10,490
香港 広東省深セン市を中心に有料道路事業を展開する地元政府系の企業。深セン国際(00152)の傘下にある。深セン市内の主な傘下道路は、東莞市と香港を結び、深セン市を横断する梅観高速公路など。深セン市以外でも広東省内の陽茂高速公路(陽江市~茂名市)、湖北省の武黄高速公路(武漢市~黄石市)などの高速道路に出資している。
浙江高速道路 00576 6,036 1,795 30,966
香港 浙江省で有料道路事業を展開する地元政府系の企業。香港に加え、米国、ロンドン市場にも上場している。傘下の有料道路には、国内最大の経済都市である上海市と省都の杭州市を結ぶ「滬杭高速公路」、杭州市と寧波市を結ぶ「杭甬高速公路」など。経済が発展する杭州湾の周辺を囲むかたちで道路網を張り巡らせていることが強み。このほか地元の証券会社にも出資している。
合和公路基建 00737 2,665 933 16,200
香港 香港系コングロマリットである合和実業(00054)の傘下にある道路会社。珠江デルタ地域で高速道路・有料橋・トンネルの建設・運営などを手がける。主力道路は広州市と深セン市を結ぶ高速道路「広深高速公路」(総延長122.8キロメートル)など。同社の胡応湘・主席は世界最長クラスの海上橋「パールリバー・ブリッジ」の建設を最初に提案した人物としても有名。
安徽高速道路 00995 2,529 667 9,846
香港 安徽省の有料道路を経営する地元政府系の企業。主力道路は省都である合肥市と江蘇省を結ぶ合寧高速公路(全長134キロメートル)、国道205号線・天長区間(天長市内、全長30キロメートル)など。
越秀交通 01052 1,001 383 6,458
香港 有料道路事業を展開する広州市政府系企業。越秀投資(00123)とは兄弟会社の関係にある。傘下企業が経営する主な高速道路・有料道路・橋は、◇広深公路(広州市-広東省深セン市)、◇広汕公路(広州市-広東省スワトー市)など。このほか、陝西省、湖南省、広西チワン族自治区、天津市など広東省以外の道路への出資も積極的。
路勁基建 01098 4,053 641 4,433
香港 本土での有料道路や高速道路の投資・開発・経営などを手がける民営企業。投資会社の恵記集団(00610)が筆頭株主となっているほか、深セン市政府系の深セン控股(00604)も主要株主に名を連ねる。本土各地に道路関連の合弁企業を設立し、河北省、安徽省、広東省、湖南省などで有料道路を開発・経営している。このほか不動産開発も展開している。
広東高速道路 200429 937 332 6,238
深セン 広東省で高速道路・有料橋の開発・運営事業を展開する地元政府系の企業。運営・資本参加する道路は、広仏高速公路(広州市~仏山市)、仏開高速公路(仏山市~開平市)、九江大橋(仏山市)、恵塩高速公路(恵州市~深セン市塩田港区)など。

売上高・純利益は合和公路基建(00737)が09年6月本決算、このほかは09年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1香港ドル:0.881元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。

注目されるトピックス ~内陸部を重視した政府のインフラ投資~

大型プロジェクトに代表される政府の積極的なインフラ整備:

当局は交通インフラの整備に積極的であり、特に内陸部の整備を重視している。20年までに高速道路の営業距離を10万キロ以上、鉄道を12万キロに引き上げる計画。引き続き巨額の投資が行われるとされ、今年は道路・鉄道それぞれで8000億元以上の規模になる見込み。数々の大型プロジェクトが進んでおり、鉄道では新規の長距離路線の建設に加え、既存路線の電化・複線・高速化、地下鉄など都市交通の整備などが進む見込み。こうしたインフラ整備は輸送量の増加に直接結びつこう。

内陸部の交通量拡大の将来性にも注目:

中長期的には内陸部でのさらなる輸送需要の増加が期待できる。インフラ整備の進展に加え、政府が振興策を矢継ぎ早に出しており、これらの地域は今後高い経済成長ポテンシャルが見込める。さらに購入奨励策の効果もあり、農村部での自動車保有は拡大傾向。これらは内陸部の道路会社にとって追い風になろう。

財務・資金調達力がキーポイント、上場増加の可能性が高い:

企業にとってインフラ整備の資金需要に耐えうる財務基盤・資金調達力は必須。資本市場からの資金調達ニーズは今後も拡大すると見られ、有料道路会社の上場、ひいては地域の垣根を超えた再編も増えていこう。鉄道についても、企業化が進み、上場企業の数も増える可能性が高い。

貨物・旅客輸送量の推移 有料道路・鉄道の営業距離の推移 五縦七横(高速道路網)の概要 四縦四横(鉄道網)の概要

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