中国株 業界レポート

インフラ建設関連業界 ~加速するインフラ投資、国有系など大手に恩恵~

2010年7月1日

市場動向 ~加速するインフラ投資、建設など関連業界に恩恵~

09年の業界規模:

インフラ投資額:4兆1913億元(前年比44.3%増)、鉄道投資額(基礎インフラ):6006億元(同77.9%増)、建設業総生産高:7兆5864億元(同22.3%増)

中国のインフラ投資が拡大している。国家統計局が発表した09年のインフラ投資額は前年比44.3%増の4兆1913億元に急拡大。08年に発表された4兆元の景気刺激策でインフラ建設に重点的に予算が配分されたことが背景にある。特に交通インフラの伸び率が高く、道路が同40.1%増、都市軌道交通が同59.7%増など。そのなかでも鉄道の伸びは大きく、09年の鉄道投資額は6823億元に達し、前年実績を67.5%上回る水準。鉄道部が発表した基礎インフラへの投資額は6006億元を記録し、05年までの10年間の合計額をも超えた。これらの恩恵は建設会社、設備メーカーなど広い範囲に及び、09年の建設業総生産高は7兆5864億元で前年比22.3%増。交通設備製造業の工業付加価値も18.4%拡大した。今年も鉄道分野に8000億元以上を投資する方針など、政府はインフラ投資に積極的。関連業界は今後も安定的で高い成長が見込まれよう。

業界の特徴 ~圧倒的に足りない交通インフラ~

主力事業面:

需給面では中国の交通インフラは不足気味といえる。07年までの30年間で中国の名目GDPが67倍に拡大したなか、道路総営業距離は3倍余りの増加に過ぎない。特に鉄道は顕著で、営業距離がわずか1.5倍の増加にとどまっており、圧倒的に足りない。これらの建設を担う建設業界は多くの企業がひしめき、競争は厳しく、鋼材、セメントなど主力建材の価格動向の影響も受ける。収益源も工事収入に頼り、利益率も低め。ただ、インフラ建設のような大型プロジェクトの分野では担い手が国有系の大手に限られ、寡占化が進んでいる。

国際面:

日系も含め、海外の大手ゼネコンの多くは中国に進出済み。一方、中国企業による海外大型プロジェクトの獲得はアフリカなど途上国を中心に増加傾向。ただ、海外である分、為替・政治リスクはつきもの。

政策面:

4兆元の景気刺激策に見られるように、政府はインフラ整備に積極的。特に鉄道建設を重視しており、現段階の政府計画によると、今後3年間において、鉄道建設投資の規模が少なくとも年平均7000億元の規模になると予想される。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~国有系大手の寡占、インフラ整備の恩恵が集中~

インフラ投資など大型プロジェクトは国有系大手の寡占状態となっている。鉄道インフラは中国中鉄(00390)、中国鉄建(01186)の両社がこの分野の両雄。港湾、橋梁などは中国交通建設(01800)が強い。中国建築(601668)は鉄道、道路などからビル・マンションまで幅広く競争力がある。これら大手4社の市場でのプレゼンスは非常に大きい。鉄道でいえば設備製造も業界集中度は高い。業界を二分する中国南車(01766)は、株洲南車時代電気(03898)を傘下に持つ有力な国有企業。こうした大手はインフラ整備の恩恵を集中的に受けやすい。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
中国中鉄 00390 333,486 6,887 107,640
香港 鉄道建設を中核とする国有系の総合建設会社。08年版「Fortune Global 500」で同業企業のうち、国内1位、世界4位にランクインしている。主力のインフラ建設では、鉄道、道路、トンネル、港湾などを幅広くカバー。鉄道建設ではトップクラスのシェアを誇る。このほか不動産、鉱山開発なども行う。
中国高速伝動 00658 5,647 966 21,091
香港 高速トランスミッション(変速機構)の製造を主力とする民営企業。国内外に販売している。製品は風力発電のほか、高速鉄道、船舶、鉄鋼生産設備など用途は幅広い。国内で販売するほか、海外にも輸出している。これまでにドイツのSMSグループ、日本の三菱重工業などと提携している。
NWSホールディングス 00659 15,198 2,228 31,028
香港 香港系コングロマリットである新世界発展(00017)の傘下にあるインフラ施設の建設・運営事業者。本土、香港、マカオなどで発電、有料道路、水処理、港湾などのインフラ施設の建設・運営などを手がける。
中国鉄建 01186 344,976 6,599 106,669
香港 国有系の超大型の総合建設企業グループ。主力は工事請負事業で、得意とする鉄道に加え、高速道路、発電、空港、港湾、都市インフラなどを幅広く網羅。近年では「青蔵鉄路」(青海~チベット)を手がけた実績を持つ。本土のほか、香港・マカオ、アフリカ、中近東など海外事業にも積極的。
中国南車 01766 45,621 1,678 66,384
香港 中国の二大鉄道車両メーカーの一角を占める国有系企業。主な製品は機関車、客車、貨車、マルチプル・ユニット、高速鉄道車両。このほか主な部品を製造する。同社製品は「南車」(CSR)の商標で知られる。主な顧客は鉄道部、鉄路局など。このほか海外にも輸出している。株洲南車(03898)を傘下に持つ。
中国交通建設 01800 226,920 7,200 107,185
香港 国有系の交通インフラ建設大手。本土のほか、中東・アフリカなど海外でも事業展開する。主な事業は港湾、道路、鉄道など各種インフラの建設・設計や、浚渫、港湾機械の製造。港湾関連、浚渫では国内最大手。傘下に上海上場の路橋建設(600263)、上海振華重工(900947)を持つ。 
宝業集団 02355 10,974 502 3,016
香港 浙江省を地盤に全国各地で事業を展開する民営の建設会社。建築工事(政府・公共・インフラ施設など)、建材製造(鋼構造など)、不動産開発などを手がける。建材製造では浙江省紹興市や安徽省合肥市などに拠点を設けている。日本の大和ハウスと提携している。
上海電気 02727 57,622 2,453 92,809
香港 上海市政府系の大手重工業企業「上海電気(集団)総公司」の傘下にある上場旗艦企業。電力、電機、重工業設備などを製造するほか、都市軌道輸送の設備なども手がける。上海機電(900925)などを傘下に置く。
中国建築国際 03311 9,992 540 7,546
香港 中国本土系の建設会社。香港を中心に、マカオ、本土、インド、ドバイなどで、建物の建設、土木工事、インフラ工事などを展開する。香港国際空港のターミナルビル建設などの実績がある。親会社は本土の大手ゼネコンである国有系の中国建築(601668)。
株洲南車 03898 3,326 531 17,652
香港 中国南車(01766)の傘下にある鉄道車両の電気系統を製造する企業。研究開発、設計、販売、アフターサービスまでを手がける。主な顧客は中国政府の鉄道部や地方の鉄路局、鉄道車両メーカーなど。 
上海オートメーション器具 900928 1,118 6 3,727
上海 発電設備や鉄道車両の自動制御システム、計器、器具などの大手メーカー。上海市地下鉄の信号システムなどを落札した実績がある。日本のチノーや横河電機と合弁事業を展開。上海電気(集団)総公司の傘下にある。
上海振華重工 900947 27,564 840 30,986
上海 世界シェアトップの港湾機械メーカー。コンテナクレーン、バルク(ばら積み貨物)用機械設備を製造する。中東など海外事業にも積極的。国有系の大手ゼネコンである中国交通建設(01800)の傘下にある。

売上高・純利益はNWSホールディングス(00659)が09年6月本決算、これ以外は09年12月本決算。単位は百万元。 換算レートは1米ドル:6.831元、1香港ドル:0.881元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル、換算レートは1米ドル:7.777香港ドル。

注目されるトピックス ~政府の積極的なインフラ整備が追い風に~

政府による積極的なインフラ整備が追い風に:

広大な国土、多くの人口を抱える中国は今後も大規模なインフラ整備を必要としており、当局は多くのプロジェクトを推進中。今後も巨額の資金が投じられる見込みだ。交通インフラでは、鉄道が鉄道網の延長、高速化、都市軌道交通の整備を進め、20年までに営業距離を12万キロ(09年末で8.6万キロ)に、高速道路が総営業距離を10万キロ以上(09年末で6.5万キロ)に引き上げる計画。このほかにも「西気東輸」(西部の天然ガスを東部に輸送)、「西電東輸」(西部で生産した電力を東部に輸送)、「南水北調」(南部の水を北部に送る)など多くの国家プロジェクトが目白押し。これらのインフラ建設は、引き続き建設、設備など関連セクターに追い風となろう。

海外プロジェクトの受注動向:

コスト競争力などを強みに、中国企業による海外でのインフラ建設受注が相次いでいる。特にアフリカ、南米、中東などの新興国地域で顕著。最近の大型契約では、中国鉄建を中心とする企業連合が09年6月にアルジェリアの鉄道建設プロジェクトを落札(契約額21億5900万ユーロ)した。また、中国中鉄も親会社が09年8月にベネズエラの鉄道プロジェクトの設計・施工を請け負った(契約額75億米ドル)。大手は巨大な国内市場で安定したシェアを持つだけに、海外市場へのさらなる進出は為替・政治など様々なリスクはあるものの、業績拡大に繋がろう。

より収益性の高いビジネスモデルへの転換:

大手、中小問わず、建設業界では低い利益率の改善が最大の課題。このため「BOT」(建設・運営・譲渡)、「BOOT」(建設・所有・運営・譲渡)など、管理・運営まで手がけるビジネスモデルへの転換がカギとなる。

政策・原材料価格などのリスク要因も:

インフラ建設は官からの需要や支援策が大きなウエイトを占めるため、政策動向、特に投資、財政支出に関する変化が大きな影響を与える。さらに鋼材、セメントなど原材料の価格変動リスクも抱えるほか、海外の大型プロジェクトを展開する場合は、為替リスクのヘッジ如何では巨額の損失を計上する可能性もある。

鉄道投資額(基礎インフラ)の推移 建設業界の総生産額

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