中国株 業界レポート

不動産業界 ~政策・景気に敏感な内需セクター~

2010年7月1日

市場動向 ~産業支援一辺倒の政策からバブル抑制へと転換~

09年の業界規模:

商品不動産取引金額:4兆3995億元(前年比75.5%増)、商品不動産販売面積:93,713万㎡(同42.1%増)

08年10月から打ち出された不動産支援策、金融の大幅緩和を背景に、09年は業界の景況感が一気に改善し、取引金額、販売面積ともに大きく拡大した。09年12月の全国70都市の販売価格は前年同月に比べ7.8%上昇。デベロッパーの開発意欲も高まり、通年の投資額も3兆元を超え、前年実績を27.5%上回る水準。一方で、こうした価格上昇、投資拡大によって不動産バブルへの懸念が拡大。09年末に一部の支援策が打ち切られ、バブル抑制へと政策が転換した。ただし、当局は実需の拡大を引き続き支援しており、内陸部の都市化加速などの政策も同時に採られ、10年は緩やかな業界成長が期待できる。

業界の特徴 ~政策と景気サイクルなどに大きく連動する産業~

主力事業面:

政府の政策や景気サイクルに大きく左右されるセクター。不動産投資そのものはGDPの約1割に相当するが、鉄鋼などの素材産業や消費への波及効果を考慮すると、経済全体への影響力はそれ以上である。短期的には政策による影響が大きいが、中長期的には人口の増加と、都市化の拡大が業界需要の堅実な成長をもたらす要因である。参入障壁は低く、多くの企業が競争を繰り広げる。開発から販売、資金回収までの期間が長いため、資金調達力、財務基盤の良し悪しが企業の競争力に直結。

国際面:

基本的にドメスティックな産業ではあるが、不動産は投資・投機の対象となりやすく、人民元の切り上げ期待などを背景に国際的なホットマネーも流入しやすいセクターである。商業用不動産、高級住宅開発において、恒隆地産(00101)、新世界中国(00917)など香港系をはじめとしたアジア企業が中国進出を積極化している。

政策面:

土地はすべて国有であり、使用権が売買される制度。当局にとってマクロ経済コントロールの最重要分野であり、使用権の払い下げ、開発認可、税金など様々な手段を通じて安定的な成長を目指している。外需が相対的に弱い状況では国内で不動産投資を本格的に抑制する政策を採ることが当面難しい。価格上昇の著しい沿海部大都市にはより厳しい融資政策が行われるが、価格水準が相対的に低く、実需も大きい内陸都市部の不動産供給を拡大する、といった差別化対策が採られる可能性がある。今後は都市部において農村人口への都市戸籍の付与が段階的に開放されると見られ、これも地方都市の不動産投資需要を促進する要素となろう。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~土地取得の資金力に富む民営大手、政府系デベロッパーが有利~

業界の集中度が低く、全国展開しているのは政府系シンクタンクなどが発表する「中国不動産デベロッパー100強」に載るような業界大手に限られる。住宅開発は大手民営企業、政府系企業が有利で、商業用不動産では香港系企業も食い込んでいる。最大手は万科企業(200002)で、最新の100強ランキングでも第1位。このほか民営として、碧桂園控股(02007)、雅居楽地産(03383)、世茂房地産(00813)、広州富力地産(02777)が有力企業である。政府系としては、中国海外発展(00688)、華潤置地(01109)が代表格である。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
恒隆地産 00101 3,676 3,639 127,266
香港 香港系の不動産デベロッパー大手。有力コングロマリットである恒隆集団(00010)の傘下にあり、香港や本土で不動産開発、賃貸事業を手がける。本土では上海市の恒隆広場(プラザ66)などを経営。香港では中環(セントラル)の高層ビルなどを保有している。
北京北辰実業 00588 4,849 1,508 13,509
香港 北京市政府系の不動産会社。不動産の開発・販売、賃貸・管理などのほか、商業物件・小売業やホテル経営も手がける。北京五輪関連の物件を開発した実績を持つほか、最近では湖南省長沙市での開発にも進出している。
中国海外発展 00688 32,880 6,580 125,687
香港 本土不動産業界のリーディングカンパニー。国有系で、中国建築股フン有限公司(601668)の傘下にある。環渤海地区、長江デルタ、珠江デルタ、四川省など、主要都市の中心部や都市近郊の好立地物件を中心に住宅開発を手掛けるため、不動産価格の下落に対して比較的強い抵抗力を持つ。
世茂房地産 00813 17,032 3,511 44,727
香港 民営の大手不動産会社。創業者の許栄茂・主席が実質支配している。上海、北京といった大都市での大規模分譲マンション、商業ビルの開発に強みを持ち、近年は中堅都市への進出を積極化。ホテル事業や不動産投資も手がける。「世茂」シリーズの住宅などを開発している。上海市内の5つ星ホテルを経営するほか、不動産投資では超高層ビル「上海世茂国際広場」を保有・賃貸している。
新世界中国 00917 1,796 1,198 14,335
香港 香港の大手コングロマリットである新世界発展(00017)の傘下にあり、本土での不動産事業を担当する企業。珠江デルタ地帯などを中心に、全国各地で不動産開発を手がけている。このほか、ホテル経営などにも進出している。
華潤置地 01109 14,626 3,884 76,252
香港 国有系の大手不動産会社。建築・装飾なども手がける。北京市や上海市、四川省成都市などで住宅・商業物件を開発。主な賃貸物件には、オフィスビル「北京華潤大廈」や商業施設「上海時代広場」などがある。
碧桂園控股 02007 17,586 2,080 35,864
香港 広東省を本拠に不動産開発事業を展開する民営企業。大都市近郊などを中心に、「碧桂園」シリーズの住宅などを開発。中国北部や中部の主要都市にも進出する。実質筆頭株主は楊主席の娘である楊恵妍氏で、米誌「フォーブス」が発表している中国長者番付で、2007年の1位になったことで知られる。
復地(集団) 02337 5,185 497 5,337
香港 上海市を拠点とする民営不動産デベロッパー。郭広昌・前董事長など復旦大学の卒業生グループが復星国際(00656)を中核とする復星グループ各社を通じて支配している。住宅販売が主力。北京市、江蘇省の南京市や無錫市、浙江省杭州市、湖北省武漢市、天津市、重慶市などにも進出している。
広州富力地産 02777 18,196 2,900 34,544
香港 広東省を本拠とする民営の不動産デベロッパー。北京市、天津市、陝西省西安市、重慶市などでも事業を展開。各地に「富力城」や「富力桃園」ブランドなどの物件を開発している。
北京首創置業 02868 5,393 538 4,736
香港 北京市政府系の不動産デベロッパー。不動産開発、ホテル経営を中核事業としている。中高級物件の住宅開発を主力とし、本拠地の北京市のほか、天津市、四川省成都市などほかの主要都市にも進出している。 
雅居楽地産 03383 13,331 1,865 30,181
香港 広東省を本拠に不動産開発事業を展開する民営企業。「雅居楽花園」シリーズの住宅などを販売。長江デルタ地域や西部などにも進出している。また、不動産管理のほか、ホテル経営も手がける。
万科企業 200002 48,881 5,330 90,176
深セン 中国本土で最大手の住宅デベロッパー。企業表彰や企業ランキングの常連で、知名度が高く、同社の王石・董事長も業界を代表する人物として有名。深セン市を本拠に、珠江デルタ地区(広東省)、長江デルタ地区(上海市など)、環渤海地区(北京市など)など全国各地で事業展開している。
招商局地産控股 200024 10,138 1,644 31,204
深セン 広東省を地盤とする国有系の不動産デベロッパー。広東省に加え、上海市、重慶市などでも事業展開する。不動産賃貸、不動産仲介、不動産管理も手がける。
上海陸家嘴金融貿易区開発 900932 3,488 1,132 33,871
上海 上海市浦東新区の陸家嘴金融貿易区の開発を手がける政府系のデベロッパー。土地使用権の譲渡、分譲物件の開発、不動産賃貸、インフラ施設の建設、工事請負などを手がける。陸家嘴金融貿易区は金融、貿易、商業、不動産、情報、コンサルティングなど第三次産業の発展を目的に計画された国家級開発区。

売上高・純利益は恒隆地産(00101)、新世界中国(00917)が09年6月本決算。このほかはすべて09年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1香港ドル:0.881元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル、換算レートは1米ドル:7.777香港ドル。

注目されるトピックス ~供給の拡大は企業収益の押し上げ要因に~

これまでの過熱抑制策が方向転換へ:

従来までは不動産市況の過熱感を抑える場合に供給抑制が主な手段だった。今後は供給拡大で価格の安定化を図る方向に変更され、10年は各地方政府が土地の供給を加速させると予想される。不動産政策が投機抑制の方向に転じるものの、09年の好業績を背景にデベロッパーには資金面の余裕があり、土地の取得や建設投資ペースが堅調に伸びる見込みである。

販売の拡大が見込まれ業界収益の見通しは明るい:

資金回収の圧力は高くないため、販売価格の引き下げリスクは低い。北京、上海、広州、深センなどの所得水準の高い大都市は抑制策により取引量の増加が大きく期待できないものの、地方都市は販売拡大の傾向が続き、供給量の増加は業績成長の押し上げ要因となろう。

市場の集中度が引き続き上昇:

資金力に富む国有系デベロッパー、上場企業は引き続き業界再編が進む環境で優位性を保つグループである。特に土地の供給価格が既に高い状況では、小規模な開発企業の淘汰が加速している。土地供給が強化される局面では、大手上場企業がより恩恵を受けやすい。

中国不動産デベロッパー100強(2009年版)のうち、弊社取扱い銘柄を抜粋

中国不動産デベロッパー100強(2009年版)のうち、弊社取扱い銘柄を抜粋

出所:2009年開発百強企業研究報告

中国の固定資産投資の伸び率

出所:国家統計局

全国70都市、不動酸価格指数の対前年同期比%

出所:国家統計局

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