中国株 業界レポート

ホテル・観光・娯楽業界 ~内需拡大や上海万博などの恩恵が大きい~

2010年7月1日

市場動向 ~多数の観光スポットと所得の増加を背景に成長を続ける巨大な潜在市場~

09年の業界規模:

観光業総収入:1兆2,900億元(前年比11.3%増)、国内観光収入:約1兆元(同16.4%増)、外国人観光収入:397億米ドル(同2.9%減)。

長い歴史と広大な土地を持つ中国は、多数の世界遺産・遺跡など観光資源に恵まれている。金融危機にもかかわらず、09年の観光業総収入は前年から二ケタの伸びを見せた。観光業を内需拡大の重点分野と位置づける政府は、20年までに世界一流の観光都市をつくるというスローガンを掲げており、継続的な観光開発が行われる見通しである。また、国民所得の向上に伴うレジャーの拡大などとも相まって、観光・ホテル業界の成長は今後も続くと考えられる。10年は上海万博という一大イベントの開催もあり、業界への恩恵は大きい。世界観光機関(UNWTO)の推計によると、15年までに中国は世界第1位の外国人訪問者数、4位の出国者数、同時に世界最大の旅行市場を国内に持つ、「観光大国」になると予測されている。

業界の特徴 ~業績はブレやすいが、政策の後押しあり~

主力事業面:

数多くの企業がひしめき、価格競争も激しい。景気などの外的要因に影響を受けやすいセクターであり、外国人観光客も多いため、海外景気の影響も大きく受ける。また、悪天候や新型インフルエンザなどといった特殊要因による変動も大きいほか、10月の長期連休や夏休みなどの旅行シーズンと閑散期との差が大きい。このほか鉄道、航空路線など交通アクセスの整備状況も需要を左右する。

国際面:

世界の主要なホテルが巨大市場の攻略を目指して進出済み。北京五輪、上海万博をきっかけに、外資系高級ホテルの開業ラッシュが続いている。

政策面:

政府は09年に、15年までに国内旅行者数を延べ33億人(年平均10%増)、入国旅行者数を9000万人(同8%増)、出国旅行者数を8300万人(同9%増)に引き上げるとともに、旅行総収入を年平均12%増、観光業の付加価値をGDPの4.5%にするなどの目標を掲げた。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~地場系など業界大手が有利~

旅行サービス、代理店の分野では、中国国旅、黄山旅行開発(900942)、中青旅、首旅股フンなどのブランド力を背景とした業界大手が有利。ただ圧倒的なガリバーはまだない。ホテル経営では、上海錦江国際酒店(02006)、香格里拉(亜洲)(00069)などの成長が著しい。カジノ観光を主力とするマカオの関連銘柄も多く、著名なスタンレー・ホー氏ファミリーが率いる地場系最大手の澳門博彩控股(00880)のほか、米国資本の永利澳門(01128)、金沙中国(01928)などが競争を繰り広げている。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
香格里拉(亜洲) 00069 8,402 1,745 42,502
香港 マレーシア華僑財閥であるケリーグループの傘下にあるホテル会社。香港、中国本土をはじめ、アジア各地や欧米で、「シャングリラホテル」(香格里拉)を経営するほか、ホテル管理サービスも提供する。
富豪酒店 00078 1,217 380 3,126
香港 香港上場の世紀城市国際(00355)の傘下にあるホテルの経営・管理、不動産開発・投資などを主力とする企業。創業者ファミリーが支配する。香港で「富豪香港酒店」(リーガル・ホンコン・ホテル)などを経営。上海市でもホテル事業を展開している。
新濠国際 00200 625 ▲1,277 4,060
香港 「マカオのカジノ王」として知られるスタンレー・ホー氏のファミリーが支配する。豪クラウン社との合弁カジノ会社を通じ、高級カジノ「澳門皇冠」、新都市型娯楽リゾート「新濠天地」、ゲーム機カジノの「モカクラブ」など経営。
香港中旅 00308 3,604 25 9,967
香港 観光・レジャーを主力とする国有系の投資持ち株会社。総合旅行サイト「芒果網」を運営するほか、大型温泉リゾート施設「珠海海泉湾海洋温泉度假城」やゴルフ場「港中旅聚豪(深セン)高爾夫球会」などを経営する。「錦繍中華」、「中国民俗文化村」、「世界之窓」など深セン市のテーマパークも手がける。
澳門博彩控股 00880 30,012 799 33,967
香港 スタンレー・ホー主席が率いるマカオのカジノ最大手。長きに渡ってマカオのカジノ産業を独占支配していた企業を前身とし、老舗の「カジノ・リスボア」や「グランド・リスボア」などのほか、オールドマカオを再現したカジノリゾート「十六浦」も経営している。
九洲発展 00908 209 20 805
香港 広東省珠海市政府系の観光会社。高速旅客船や珠海市の旅客ふ頭を運営するほか、リゾート・ビジネスホテルの経営も手がける。このほか清朝の離宮「円明園」をモチーフにしたテーマパーク「円明新園」やリゾートプール「夢幻水城」を運営するなど、リゾート事業も展開する。
永利澳門 01128 12,402 1,822 69,409
香港 マカオでカジノホテルリゾート事業を展開する米国系企業。ナスダックに上場するウィン・リゾーツの傘下にあり、24時間営業のカジノ、高級小売店、レクリエーション施設などを備えた高級カジノホテル「ウィン・マカオ」を経営する。
金沙中国 01928 22,550 1,461 95,770
香港 米国のカジノ大手であるラスベガス・サンズマカオの傘下にある、マカオのカジノ大手。2004年5月にマカオで最初のラスベガス式カジノ「サンズ・マカオ」を開業。2007年8月には大型総合カジノリゾート「ベネチアン・マカオ・リゾートホテル」をオープンした。
上海錦江国際酒店 02006 3,321 119 8,567
香港 上海市の旅行最大手で。地元政府系の錦江集団の傘下にあるホテル大手。上海錦江国際酒店発展(900934)を子会社に持つ。1929年に竣工した「錦江飯店」や「和平飯店」などクラシックホテルのほか、豪華ホテル、ビジネスホテルなどを経営。「錦江之星」ブランドのエコノミーホテルチェーンも展開する。
上海錦江国際トラベル 900929 1,600 39 1,559
上海 錦江集団の傘下にある上海最大の旅行会社。インバウンド団体(海外からの旅行団)の取り扱いなど海外観光客の中国本土ツアー業務、中国本土住民の海外渡航・国内旅行業務、乗車券・搭乗券の代理販売などを手がける。中国本土住民の日本ツアーを積極的に企画・催行。
上海錦江国際酒店発展 900934 783 281 11,912
上海 上海錦江国際酒店(02006)の傘下にあり、ホテル、外食チェーン事業を展開する企業。ホテル事業では、「上海新亜湯臣大酒店」、「揚子江大酒店」、エコノミーホテルチェーン「錦江之星」などを経営する。外食チェーンでは、「ケンタッキーフライドチキン」、「吉野家」、中華ファーストフードの「大家楽」などを合弁展開する。
黄山旅行開発 900942 1,128 160 8,683
上海 中国屈指の名山として知られ、世界自然遺産にも認定されている黄山の観光サービス会社。 黄山風景区の入園チケット販売、ロープウエー運営、ホテル経営、旅行会社経営などを手がける。 

売上高・純利益09年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1米ドル:6.831元、1香港ドル0.881元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル、換算レートは1米ドル:7.777香港ドル。

注目されるトピックス ~イベントが続く業界、政府主導プロジェクトでさらなる成長余地~

上海万博や政府主導のプロジェクトによる恩恵が大きい:

10年5月1日から約半年間にわたって、上海万博が開催される。総来場者数の目標は7000万人に設定され、08年の北京五輪で沸き上がったような熱気が国内で再燃する可能性も十分ある。飲食店、旅行会社、ホテルなどには巨大な事業機会がもたらされ、恩恵は大きいとみられる。また、10年11月12日からは、広州において第16回アジア競技大会が催される。多くの国内外観光客が見込まれており、こちらも一定の恩恵を受けることが期待される。そのほか14年の開業が予定されている「上海ディズニーランド」なども注目される。政府主導のプロジェクトとしては、国務院が海南島を20年までに世界一流の観光都市にし、観光業を現地GDPの12%以上にまで高める計画などを打ち出している。

所得と休暇の増加を両輪とする成長市場:

所得水準の向上にともない、余暇の過ごし方として旅行需要が今後も高まるものと見られる。さらに08年から新しい労働法が施行され、有給休暇が取りやすくなったほか、祝日総数も増加。こうした休暇の増加傾向も業界の成長を後押ししている。

旅行需要の変化:

連休制度の変更、ネットの普及、趣向の多様化などを背景に、業界はこれまで主力としてきた「1週間の長期連休、ツアー、観光第一」型の旅行商品に加え、新たな商品開発の必要性に迫られている。有休を見据えた「近場、日帰り」的なものや、「個人」を中心とし「観光」以外の要素も織り交ぜた商品の投入などが始まっており、場合によっては業界シェアの変動も。

業界再編の動向:

スケールメリットの追求、事業地域の拡大などを目指し、再編の動きも活発。上海錦江国際酒店発展(900934)は親会社である上海錦江国際酒店(02006)との資産再編案について、すでに当局の承認を獲得した。このほか複数の有力企業が今年中での資産再編、もしくは地域再編に積極的。

リスク要因:

09年は国内観光収入が昨年から増加した一方、金融危機や新型インフルエンザの流行の影響で、外国人観光客は減少し、平均客室単価は大きく下落した。同セクターは外的要因に左右されやすく、不確定要素もあることには注意を要する。

観光業総収入の推移 中国観光業収入の伸び率

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。