中国株 業界レポート

小売業界 ~所得増加、都市化などを追い風にさらなる成長へ~

2010年7月1日

市場動向 ~政策、都市化の進展などを受け拡大する市場~

09年の業界規模:

小売総額:12兆5343億元(前年比15.5%増)、小売・卸売業の販売総額:10兆5413億元(同15.6%増)

人口大国である中国の消費拡大が続いている。09年の社会消費品小売総額は12兆5343億元に上り、伸び率も15.5%を記録。04年から6年連続の2ケタ成長となった。このうち小売・卸売業の販売総額10兆5413億元の内訳を品目別で見ると、自動車、石油製品、食品、衣類、家電などが上位を占める。10年は百貨店、スーパーマーケット、家電量販店の各サブセクターが、経済成長にともなう所得水準の向上、政府による内需振興策、都市化の進展などの追い風を受け、さらなる成長が見込まれる。

業界の特徴 ~数多くの外資も進出し、競争は激しい~

主力事業面:

地場系、外資を含め数多くの企業がひしめく業界。主力市場は7割弱の需要を占める都市部で、旧正月をはじめとした長期休暇中が消費のシーズンとなる。高級衣類・宝飾品など高級品に強みを持つ百貨店、耐久消費財を主に扱う家電量販店は景気変動の影響を受けやすいが、スーパーマーケットが得意とする食品など生活必需品の需要は総じて安定的。販売競争が激しく値下げ圧力も強いため、有力企業は買収・合併などを通じてスケールメリットの拡大に努めている。今後は所得増加にともなう都市部での消費レベルの高度化、農村部での新規需要の増加など、小売市場のさらなる拡大が見込まれる。

国際面:

中国需要を取り込もうと、数多くの外資企業が進出済み。外資規制の緩和・撤廃を追い風に事業を拡大させており、一部の欧米企業は業界のトップ10に名を連ねている。

政策面:

内需主導の経済成長に転換するために、政府は「家電下郷」(農民による家電購入の促進策)、「以旧換新」(自動車と家電の買い替え奨励策)など、各種の消費振興策を矢継ぎ早に実施している。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~上位には家電量販店の両雄や、地方政府系の企業がランクイン~

民営、地方政府系、外資など多くの企業があるが、業界の寡占度は低い。08年の「チェーンストア企業100強」のうち上位10社の売上高合計は100社全体の5割弱に過ぎず、しかもここ数年大きくは変わっていない。100社を見ると、家電量販店の両雄である国美電器控股(00493)と蘇寧電器の民営2社が、グループ全体で売上高1000億元を超え、それぞれ1位、2位。これに上海市政府系の総合小売企業で、上海友誼集団(900923)や聯華超市(00980)を傘下に持つ百聯集団が943億元、華潤創業(00291)傘下のスーパーを主力とする華潤万家が638億元と続いている。さらにフランスのカルフール、米国のウォルマートも6位、9位に入っている。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
莎莎国際 00178 3,181 278 8,546
香港 有名ブランド化粧品の卸小売などを手がける民営企業。香港を拠点に、マカオ、中国本土、台湾、シンガポール、マレーシアなどで、「Sasaストア」(莎莎化粧品専門店)などの店舗を展開している。
華潤創業 00291 63,127 2,567 70,472
香港 国有系の大手コングロマリット。主力事業の一角として小売事業を手がけており、「華潤万家」、「華潤蘇果」、「蘇果」などのスーパーマーケットを経営している。
国美電器控股 00493 42,668 1,409 37,638
香港 本土各地で事業展開する家電量販チェーン大手。黄光裕・前主席が北京で創業した。「国美電器」の家電量販店を出店する。香港上場の永楽電器を傘下におさめるなど、企業買収を通じて規模を拡大している。
北京京客隆 00814 6,691 148 3,710
香港 北京市を本拠とする卸小売チェーン。ハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストアを直営方式とフランチャイズ方式で経営しており、「京客隆」、「朝批」などの商号で知られる。
新世界百貨中国 00825 1,517 482 12,005
香港 香港の大手コングロマリットである新世界発展(00017)の傘下にある百貨店企業。本土の主要都市などで「新世界百貨」や「巴黎春天百貨」(プランタン)などの百貨店事業を展開している。
聯華超市 00980 24,018 507 18,194
香港 上海政府系の大手小売企業。上海市を中心に、全国各地でハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストア(コンビニ)などの店舗網を広げている。上海友誼集団(900923)の傘下にあるほか、三菱商事なども出資している。
銀泰百貨 01833 1,572 463 14,476
香港 民営の大手百貨店。浙江省杭州市を本拠に、湖北省などにも進出。ターゲット顧客は若年者層や新しいタイプの家庭で、アッパーミドルの商品を取り揃えている。
百盛 03368 3,909 911 37,232
香港 本土の主要各都市に「百盛」(パークソン)や「愛客家」(エキストラ)ブランドの百貨店・スーパーマーケットを展開するマレーシア系の企業。アッパーミドル層をターゲットとした経営戦略をとっている。
北京物美商業 08277 10,511 438 17,830
香港 民営の小売企業。京津地区(北京市、天津市、河北省)を中心に、ハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどをチェーン・フランチャイズ展開する 
上海友誼集団 900923 29,187 188 7,218
上海 上海政府系の大手小売企業で、聯華超市(00980)などを傘下に持つ。上海友誼商店、スーパーマーケット「聯華超市」、建材ショップ「好美家」などを経営する。

売上高・純利益は莎莎国際(00178)が09年3月本決算、新世界百貨中国(00825)が09年6月本決算。 このほかはすべて09年12月本決算となっている。単位は百万元。換算レートは1香港ドル:0.881元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。換算レートは1米ドル:7.777香港ドル。

注目されるトピックス ~政策、人口ボーナスの恩恵は継続~

消費刺激策の動向:

政府は投資・輸出主導から内需主導の安定的な成長モデルへの転換を急いでいる。この流れを受け、今後も消費刺激策は続き、対象品目、規模も拡大される可能性が高い。短期的には「家電下郷」・「以旧換新」など既存の消費刺激策の動向が注目。長期的には民生分野への財政支出拡大などがプラスに働こう。教育、医療、社会保障などに対する将来不安は強く、これが市民の高貯蓄率の原因となってきた。この最大の消費抑制要因が徐々に解消に向かえば、その分新たな消費市場に繋がるだろう。

人口ボーナスのメリット:

消費における人口ボーナスのメリットが長期的にも続くと見られる。消費性向の高い20-50歳代の全人口に占める割合は08年の46.3%から10年後には48.9%に上昇する見込みであり、彼らは所得水準の向上、安定化、消費ニーズの高級化などを追い風に消費市場の中核となろう。このほか高齢化社会を見据え政府が一人っ子政策の緩和・撤廃に動く見通しもあり、人口ボーナスの継続にプラスに働く可能性もある。

都市化の流れを受け、拡大・高度化する内陸市場:

インフラ投資の拡大、戸籍制度の緩和などにより、内陸部を中心に急ピッチで都市化が進行中。都市人口比率は08年の46%から20年は55-60%、50年には70%に達するという予測もある。全体的な所得水準も上昇。これを追い風に内陸部の消費市場も拡大しており、都市では自動車、住宅の高価格の耐久財、娯楽、教育などサービス分野など、農村では家電などの耐久消費財の伸びが期待できる。

業界再編を通じたスケールメリットの拡大:

業界大手を中心とする買収・合併の動きは今後も強まろう。広大な中国市場すべてをカバーするのは容易ではなく、買収を通じて特に地方への出店を加速させている。これにより業界大手の優位性がさらに強まることも。

「08年チェーンストア企業100強」のうち、弊社の取扱銘柄と関連する企業、外資企業などを一部抜粋

「08年チェーンストア企業100強」のうち、弊社の取扱銘柄と関連する企業、外資企業などを一部抜粋

販売規模は直営店、加盟店などを含んだ、当該企業のブランドでもって販売される商品・サービスの総額。このため、上場企業の売上高とは一致しない。

出所:中国連鎖経営協会

小売総額の推移 09年の小売・卸売業(一定規模以上)の販売額上位品目

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