中国株 業界レポート

通信業界 ~3G時代の到来~

2010年7月1日

市場動向 ~成長を続ける世界の携帯大国~

09年の業界規模:

営業収入:8424億元(前年比3.9%増)、携帯電話加入件数:7億4738万件(同16.6%増)、ブロードバンド加入件数:1億323万件(同23.7%増)。

中国は、世界最大の携帯電話大国であり、09年末の携帯電話加入件数は7億4738万件で、世界1位。日本の7倍余りの規模となる。09年の通信業者の営業収入は8424億元を記録。固定電話の伸びは頭打ちになっているものの、収入全体の55%を占める主力の携帯電話事業は13.2%増収となり、加入件数とあわせ高い伸びを示している。さらにブロードバンド加入件数はこれを上回るスピードで拡大しており、09年は1億件の大台を突破。高い成長性に加え成長余地も大きい。さらに3G(第三世代移動通信)時代の本格到来で、大きな転換点を迎えている。

業界の特徴 ~携帯電話、ブロードバンドが成長源~

主力事業面:

国有系の通信キャリアが市場をほぼ寡占しており、携帯電話とブロードバンドが成長源。収入の多くを東部沿海地域で稼いでいる。携帯電話の多機能化にあわせ、各キャリアは独自のサービスを展開。09年9月に3Gサービスがすべて出揃い、各社は市場シェアの拡大にしのぎを削っている。だが、サービス拡大にあわせ通信網などを整備する必要があり、巨額の設備投資負担は重い。すでに広く普及している携帯電話は、双方向の課金制、SIMカード方式で料金前払いなど、システムが日本とは大きく異なっている。

国際面:

本土では外資の通信事業参入は原則的に禁止されているため、端末機、通信設備、付加価値サービスなどの周辺市場に進出している。通信規格は2G(第二世代移動通信)については国際的に最も普及しているGSM。ただし3Gについては国際規格であるW-CDMA、CDMA2000に加え、中国独自の規格「TD-SCDMA」がある。

政策面:

規制色の強い業界。当局は独自規格のTD-SCDMAの拡大を支援しているほか、端末機の購入補助などを通じて、携帯電話の内陸・農村部へのより一層の普及を狙っている。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~再編で大手3社による競争に~

08年の業界再編を通じて、本土の通信キャリアは国有系の大手3社に集約された。最大手は中国移動(00941)で携帯電話では圧倒的なガリバー。特に内陸部の市場で強く、3GではTD-SCDMAを採用している。同社を中国電信(00728)と中国聯合網絡通信(香港)(00762)が追う。中国電信は、再編を通じて CDMA2000のライセンスを取得し、念願の携帯電話事業に参入。積極的な投資、固定・ブロードバンド最大手としての強みを生かした販売攻勢などを通じて、毎月の加入純増件数では健闘している。中国聯合網絡通信(香港)は国際的な主流規格である W-CDMAを採用し、「iPhone」も投入している。前述した2社と違い、再編前から固定・携帯の両通信事業を展開してきたノウハウも豊富。

このほか、中国通信服務(00552)、中信1616(01883)などの通信キャリアをサポートする企業がある。さらに香港では、電訊盈科(00008)などいくつかの地場系の通信キャリアがある。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
市場
売上高 純利益 時価総額
電訊盈科 00008 22,093 1,327 15,576
香港 香港で最大規模の電気通信事業者。香港一の富豪として知られる李嘉誠氏の次男が筆頭株主となっているほか、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)も大株主に名を連ねる。
中国通信服務 00552 39,499 1,599 22,279
香港 中国電信集団(チャイナテレコム)の傘下にある電気通信事業のサポートサービス会社。通信事業者向けのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、アプリケーション・コンテンツなどの事業を展開する。
中国電信 00728 209,370 14,422 301,878
香港 中国電信集団(チャイナテレコム)の中核企業で固定通信事業の国内最大手。市内・市外・国際電話、インターネットなどのサービスを提供している。通信再編にともない、CDMA2000規格の携帯電話事業に参入した。
中国聯合網絡通信(香港) 00762 153,945 9,556 241,747
香港 中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)の傘下にある携帯電話事業の国内大手。2GではGSM、3GではW-CDMA規格の携帯電話サービスを提供するほか、再編により中国網通集団の固定通信事業を引き継いだ。
中国移動 00941 452,103 115,166 1,584,939
香港 ユーザー数で世界最大の携帯電話事業会社。国内トップのシェアを誇り、GSM/GPRS規格の移動通信網を運営するほか、3Gでは中国独自の規格である「TD-SCDMA」による通信サービスを提供している。
中信1616 01883 2,393 327 5,172
香港 本土と香港の国際電話などで、通信キャリア向けに音声通話の中継サービスを提供する企業。中信泰富(00267)の傘下にある。

売上高・純利益はすべて09年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1香港ドル:0.881元。

時価総額は10年6月25日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。

注目されるトピックス ~3G時代の到来による新規需要に注目~

主戦場の携帯電話、3Gへの切り替え需要の取り込み:

通信業界の主戦場である携帯電話では、3Gの更なる普及が見込まれ、2Gから3Gへの切り替え需要が拡大する可能性は高い。この需要をいかに取り込むかがキーポイント。2Gでは中国移動が圧倒的な存在感を示していた分、3Gの拡大で健全な競争環境が整うと期待される。

内陸・農村部などへの市場拡大:

中国の携帯電話普及率は09年11月末で5割強に過ぎず、中部・西部など内陸地域などを中心に市場拡大の余地は大きい。当局による「家電下郷」(農民による家電購入の促進策)などの政策は追い風。

通信環境の制度変更など当局の動向:

中国では3Gが本格的に始まったが、一方で世界では次世代の通信規格の議論も盛ん。さらに単方向課金制度の拡大など、制度変更の要因は多く、一旦変更されれば業界への影響も大きいため、当局の動向が注目される。

モバイルビジネス市場の発展:

3G時代の到来にともない、携帯の多機能化、サービスの多様化・高度化へのニーズは高まるものと見られる。これにともない、携帯のコンテンツ・ショッピングなどモバイルビジネスがより一層拡大し、 ARPU(1契約あたり平均月間収入)の増加、周辺産業の成長、それにともなう相乗効果なども期待できよう。

成長を続ける携帯電話、ブロードバンド 主要3キャリアの比較

売上高・純利益は08年12月本決算、単位は百万元。加入件数は09年末のデータ。

出所:年報、企業HPなど各種資料より内藤証券作成

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