中国株 業界レポート

自動車業界 ~急成長に一服感がみられるも、安定成長は変わらず~

2011年4月14日

市場動向 ~世界一の自動車大国に成長~

10年の業界規模:

販売台数:1806 万台(前年比32%増)、乗用車:1376 万台(同33%増)、売上高(1-11 月):3 兆9350 億元(同39%増)

中国は名実ともに世界一の自動車大国となった。10年の生産・販売台数はいずれも前年比で3割以上も増加し、1800万台を突破。過去最高を更新し、世界第1位の規模に成長した。特に上期は前年比で5割近い伸びを記録。購買力の上昇、競争激化による販売価格の低下、各種政策の効果、08年の金融危機の反動などが主な要因とみられる。このなかでもSUV(スポーツ型多目的車)、多目的車(MPV)の伸びが著しい。好調な販売を受け、自動車会社の業績も拡大した。ブランド別では外資が依然として強く、乗用車全体の半分以上のシェアを維持。ただ、地場系のシェアも着実に上昇している。

政府による販売奨励策の多くが10年末をもって終了。渋滞緩和のために北京市が打ち出した規制の拡大などが懸念され、11年は成長鈍化の見通し。ただ、自動車税負担の軽減措置が続くほか、成長余地も大きいために、業界団体は販売台数の伸びが10~15%に落ち着くとみている。

業界の特徴 ~多くの企業が競争を繰り広げる巨大市場~

生産・販売面:

多くの自動車メーカーが存在し、産業集積度は日本に比べると低い。東北、長江デルタ、中部地区などが自動車産業の中心地。日本のような基幹部品を含めた一貫生産や系列化が進んでおらず、多くは部品を他社から調達し、組立を行っている。経済発展、所得水準の向上、政策支援、道路インフラの整備などを背景に、市場は拡大中。

国際面:

世界の主要自動車・部品メーカーのほとんどが進出済み。トヨタ、日産、ホンダの日系3社も、現地で合弁事業を展開している。輸出も10年で50万台後半と全体での割合は小さいものの、地場系の民営企業などがけん引役となり、拡大中。

政策面:

外資は規制を受けており、上限50%の合弁形式、同車種については合弁パートナー2社までしか認められていない。政府による様々な販売奨励策が取られている。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~政府系、民営の多くが好業績を記録~

主要企業の多くが好決算となった。大手の中心は国有系で、それぞれ有力外資と合弁事業を展開し、外資ブランド車を主 力車種とする。上海汽車、第一汽車などがリーディングカンパニー。香港上場企業をみると、東風汽車集団(00489)、広 州汽車(02238)の大手2 社が大幅増益を達成。地方政府系の華晨中国汽車(01114)もBMW との合弁事業がけん引役とな り、黒字転換を果たした。民営企業が積極的に展開する地場系ブランド車ではSUV に強みを持つ長城汽車(02333)が健闘 し、一気に業績を拡大。小型車を主力とする吉利汽車(00175)も増収増益を維持した。一方、「F3」が去年に続いて乗用車販売台数のトップとなった比亜迪(01211)だが、価格引き下げ戦略が利益率の悪化につながり、減益を強いられている。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
吉利汽車 00175 20,099 42.9 1,368 15.7 22,415
香港その他 華東地区を本拠とする大手の民営自動車メーカー。「吉利」(GEELY)ブランドで知られる。低価格帯、小型の乗用車が中心。親会社による「ボルボ」買収にともなうシナジー効果に注目。今後はマルチブランド戦略を展開し、ハイエンド市場に本格参入していく。
東風汽車集団 00489 122,395 33.4 10,981 75.7 109,769
H株 湖北省に本拠を置く国内第3位の大手自動車メーカー。中央政府系の大型企業で、特にSUVではトップクラス、商用車では国内2位のシェアを持つ。日産、ホンダ、プジョーという有力外資と合弁事業を展開し、幅広い外資ブランド車のラインナップを有することなどが強み。
華晨中国汽車 01114 8,948 45.5 1,270 黒転 39,003
レッドチップ 遼寧省政府系の大手乗用車メーカー。ワンボックスバン、セダンの製造・販売などを手がける。業績のけん引役はBMWとの合弁会社事業で、BMW3シリーズ、5シリーズをセミノックダウン生産している。赤字が続いていた「中華」ブランドのセダンの生産事業を切り離したことも、業績の改善につながった。
比亜迪 01211 46,685 18.3 2,523 ▲33.5 69,163
H株 広東省に本拠を置き、自動車事業と電池、IT部品事業を収益の柱とする民営企業。主力の自動車事業は「F3」が国内の新車販売市場で第1位の台数を誇る。二次(充電式)電池の製造でも世界大手であるだけに、ハイブリッド車、電気自動車などでも有名。著名投資家のウォーレン・バフェット氏が大株主として出資している。
広州汽車 02238 59,847 19.1 4,295 111.4 57,853
H株 中国の大手自動車メーカー。広州市を本拠とする地元政府系の企業であり、傘下に広州トヨタ 、広州ホンダ、広汽日野など複数の有力外資との合弁会社を抱える。乗用車が大半を占め、ブランド力が高く、中・高級車に強み。販売力も大きい。このほか自動車産業の集積地である広東省に地盤を置くことも中長期的にはプラスに。
長城汽車 02333 22,174 78.9 2,698 163.9 36,527
H株 河北省の保定市に本拠を置く民営の自動車メーカー。主力とするピックアップトラック、SUVに強みを持つ。それぞれの主力ブランドの販売台数は国内トップクラスの規模。このほか、ロシアや欧州などの海外事業に積極的な点も特徴として挙げられる。
中国重汽 03808 39,656 42.1 1,480 77.0 18,830
レッドチップ 「中国重汽」(SINOTRUK)ブランドで知られる、大型トラック業界のリーディングカンパニー。積載重量14トン以上に限れば、2割程度の国内シェアを誇る。山東省政府系の中国重型汽車集団の傘下にある。ドイツの大手トラックメーカー「MAN」が大株主として名を連ねており、同社からの支援をてこに技術・ブランド力の向上を目指す。

売上高・純利益はすべて10年12月本決算。単位は百万元。

時価総額は11年4月7日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。

自動車・二輪車(業種別一覧)

注目されるトピックス ~再編観測が続く業界、販売奨励策の継続で更なる成長余地も~

政府主導の業界再編策の行方

当局は国内での過当競争の防止、過剰気味の生産能力の削減、国際的なメーカーの育成などを目的に、積極的な業界再編に動いている。大手を中心とした再編が続く見込み。

購入支援策も規模こそ縮小すれ継続

政府による自動車購入の支援策も、規模こそ縮小するものの、継続される。所得水準の向上も手伝い、自動車販売が大きく減速する可能性は低いだろう。一部でナンバープレート規制といった動きがあるが、「車船税」改正による税額が当初の原案から引き下げられるなど、当局は一定の配慮を見せている。

エコカー開発が戦略的新興産業に

15年までの発展計画中に列挙された戦略的新興産業に、エコカーが盛り込まれた。ハイブリッド車、電気自動車などの研究開発では、国内外の有力企業が開発・製品化に向けてしのぎを削っている。補助金など政策支援も見込まれるだけに、今後の注目点ともいえよう。

自動車・二輪車(業種別一覧)

2010年乗用車(SUVなどを除く)の上位10ブランド
2010年大手自動車メーカーの販売台数推移

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