中国株 業界レポート

電子・電器業界 ~「世界の工場」から「世界の市場」へ~

2011年5月12日

市場動向 ~世界の工場、市場としての存在感を発揮~

10年の業界規模:

売上高:6兆3645億元(前年比24.1%増)、輸出入額:1兆128億米ドル(同31.2%増)

中国の電子・電器業界は「世界の工場」として多くの完成品で世界トップクラスの生産シェアを誇り、10年の輸出入額は初めて1兆米ドルを突破。外需の回復で輸出は前年比で約3割増とV字回復を果たした。同時に消費刺激策などを背景に「世界の市場」としての地位も固めており、業界全体の売上高は再び2ケタの大きな伸び。全体の利益率も1%ほど向上したほか、サプライチェーンの強化、研究開発の促進などが奏功し、製品全体の高付加価値化も進んだ。ただ、原材料、人件費などのコスト圧力は強く、企業は内陸部進出の動きを強めている。11年も消費刺激策は継続されるほか、所得水準の向上にともなう販売増なども見込まれ、安定成長の可能性が高い。

業界の特徴 ~内需、外需を両輪とする市場、ただ競争は厳しい~

生産・販売面:

労働集約型、加工輸出型の産業。沿海部が中心地で、安価で豊富な労働力などを強みに生産。欧米など海外に輸出するほか、国内では大手量販店などを通じて、「世界の市場」での販売拡大に努めている。ただ、業界再編は道半ばであり、多くの企業がひしめく状態。価格競争が激しく、生産能力も過剰気味であるほか、地場系シェアも3割弱にとどまる。それでも所得増加などの政策支援を背景に需要は拡大中。

国際面:

「世界の工場」として、部品を輸入、国内で完成品を生産。これを世界各国に輸出する加工貿易が中心。輸出額は全産業の4割近くを占めている。競争力は強いものの、人民元高、コスト増加などの圧力も。

政策面:

政府は「家電下郷」(農民による家電購入の促進策)、「以旧換新」(主に都市部での家電買い替え奨励策)、「節能恵民」(省エネ家電の促進策)という消費刺激策を継続しており、業界はこの恩恵を受けることが可能。加えて当局は重要分野を戦略的新興産業に組み入れ、特に支援を強化している。

主要企業、主な取扱銘柄 ~地場系の有力企業が健闘~

主要企業は地方政府系、民営と幅広く、外資と競争しながらも、国内市場で健闘。当局が発表した10年度の「エレクトロニクス企業100強」によると、通信設備メーカーの華為技術、総合家電最大手の海爾集団、パソコン大手の聯想集団(00992)が上位3強に入り、いずれも1000億元台の売上高を記録した。国内市場が引き続き堅調だったほか、輸出の回復もあり、香港上場の大手家電メーカーの業績は概ね堅調。海爾集団傘下の海爾電器(01169)と家電大手の海信集団傘下にある海信科龍電器(00921)は、それぞれ内陸都市や農村部での販売増加や再編効果を背景に白物家電が好調で、大幅な増益決算となった。一方、通信・IT機器では3Gの普及に合わせスマートフォンを中心とした携帯電話端末の販売が好調。地場系の有力メーカーである聯想集団、中興通訊(00763)の収益源の一つとなった。一方、台湾系の上場企業で製造サービス世界大手の富士康国際(02038)は労使問題の煽りを受け、巨額の赤字を計上。AV機器では、テレビは在庫処理が重しとなり、大手の創維数碼控股(00751)が苦戦を強いられた。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
創維数碼控股 00751 19,836 48.5 1,089 172.0 13,466
香港その他 深セン市を本拠とし、「創維」(Skyworth)のブランド名で知られる大手のテレビメーカー。価格競争、在庫調整などの影響で10年9月中間期は減益まで落ち込んだ。ただ、主力製品の液晶テレビは国内市場でトップクラスのシェアを占めており、競争力は強い。在庫調整、LED液晶テレビなど製品の高付加価値化が進めば、地力があるだけに、再び増益基調に回帰も
中興通訊 00763 70,264 16.6 3,250 32.2 93,699
H株 中国の大手通信設備メーカー。海外売上比率が高いグローバル企業であり、新興国市場で特に強みを持つ。近年は携帯電話端末のサプライヤーとしての存在感も高めており、昨年の出荷台数は世界第4位となった模様。低価格帯のスマートフォン、タブレット端末を積極的に投入する方針で、この分野の成長余地も大きい
海信科龍電器 00921 15,811 32.5 632 204.3 10,097
H株 中国の総合家電大手「海信集団」(ハイセンス・グループ)で冷蔵庫、エアコンなどの白物家電を担当する上場企業。海信集団からの資産注入により一気に経営規模を拡大させた。10年の冷蔵庫事業では前年比3割増の650万台を売り上げた。
聯想集団 00992 112,387 11.4 873 黒転 43,852
レッドチップ 「Lenovo」や「ThinkPad」などのブランドでグローバルに展開する世界屈指のパソコンメーカー。同社は成長市場の中国国内でトップシェアを維持した上で、新興国、先進国の市場に攻勢をかけている。加えて成長分野のスマートフォン、タブレット端末も供給。中国では数少ないグローバルに展開するエレクトロニクス企業として、注目度は高い
海爾電器 01169 35,807 178.0 964 114.9 22,414
香港その他 本土の家電最大手「海爾集団」(ハイアール・グループ)」で白物家電を担当する上場旗艦企業。洗濯機と給湯器を製造・販売する。中長期的に成長余地が大きい内陸部・農村市場で、業界最大手としての優位性をフルに発揮できる点に強みがあり、10年の業績は大幅な増収増益を記録。洗濯機では圧倒的な規模を誇る
富士康国際 02038 44,846 ▲8.1 ▲1,475 赤転 31,965
ハンセン 世界最大のEMS企業「鴻海グループ」の傘下で、携帯電話端末の製造サービスを受け持つ台湾系企業。従業員の人事管理などで国内外の批判に晒されたほか、人件費を含む製造コストの増加などもあり、経営は苦しい。ただ、「iPhone」の製造を担当するなど、同分野では世界有数のマーケットプレゼンスを持つことも事実
TCL通訊 02618 7,580 99.5 611 2951.0 7,837
レッドチップ 家電大手「TCL集団」で、携帯電話端末・部品などを担当する企業。中国では「TCL」、海外では「Alcatel」を主力ブランドとし、最近はスマートフォン、タブレット端末の分野を強化。アンドロンド搭載機種の投入などラインナップの充実を図っており、10年の携帯電話端末の販売台数は全体で3600万台と前年比で125%も増えた

売上高・純利益は創維数碼控股(00751)と聯想集団(00992)が10年3月本決算。残りはすべて10年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1米ドル=6.768元、1香港ドル=0.871元

時価総額は11年5月11日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。

ITハードウエア(業種別一覧)

半導体(業種別一覧)

家電・家具・電子製品 (業種別一覧)

注目されるトピックス ~農村部への市場拡大、買い替え需要の増加~

内需拡大策の継続で、都市・農村双方の消費を底上げか

引き続き「家電下郷」、「以旧換新」などの政策効果が続こう。10年はこれらの政策を通じて3000億元近い消費が創出された。今後も所得水準の上昇にともなう消費余力の増大で買い替え需要が増えるほか、農村部を中心に全体の市場規模も拡大するとみられる。

「創新国家」に向け戦略的新興産業を強化

中国は官民挙げて「創新」(イノベーション)を柱に据えた成長を志向しており、この中心は戦略的新興産業。電子・電器業界は中核部品などを担っているだけに、ビジネスチャンスは広がろう。「三網融合」(電信、放送、インターネット網の一体化=トリプルプレイ)、「物聯網」(モノのインターネット)、自動制御装置、スマートグリッド、電気自動車など、多くの分野が含まれる。

輸出下振れリスクには留意

国内消費は伸びているものの、依然として輸出が重要である点は変わりない。中国企業の強みである価格競争力について、人民元、原材料・人件費の上昇圧力などの懸念要因も挙げられ、輸出の下振れリスクもありえよう。加えて外資企業もミドル・ローエンド市場への進出を加速させており、競争は激しい。

ITハードウエア(業種別一覧)

半導体(業種別一覧)

家電・家具・電子製品 (業種別一覧)

エレクトロニクス企業100強での幣社取扱銘柄に関連する企業を一部抜粋
電子・電器産業の業界規模

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。