中国株 業界レポート

通信業界 ~「三網融合」の時代へ~

2011年5月12日

市場動向 ~“3G元年”は安定成長~

10年の業界規模:

営業収益:8988億元(前年比6.4%増)、携帯電話加入件数:8億5900万件(同15.0%増)、ブロードバンド加入件数:1億2633万件(同21.5%増)。

中国は世界最大の携帯電話市場であり、10年末の携帯電話加入件数は8億5900万件。日本の7倍余りの規模となる。10年の通信業者の営業収益は8988億元を記録。固定電話の伸びは頭打ちになっているものの、収益全体の7割を占める主力の携帯電話事業は11.2%増収となり、加入件数とあわせ堅調な伸びを示している。さらにブロードバンド加入件数はこれを上回るスピードで拡大しており、ネット利用者の大半を占める。ネット人口は4億5700万人と世界最大の規模を誇るものの、普及率は34%と成長余地は依然として大きい。10年は3G普及元年となった。さらに11年は「三網融合」(電信、放送、インターネット網の一体化=トリプルプレイ)を起爆剤に、一層の成長が見込まれる。

業界の特徴 ~規制色の強い業界、成長源は携帯電話、ブロードバンド~

主力事業面:

国有系の通信キャリアが市場をほぼ寡占しており、携帯電話とブロードバンドが成長源。収入の多くを東部沿海地域で得ている。3Gサービスの本格化にあわせ、携帯電話も多機能化が進行。スマートフォンの普及が加速した。このチャンスを捉えるために、各キャリアは独自のサービスを展開。市場シェアの拡大にしのぎを削っている。だが、サービス拡大にあわせ通信網などを整備する必要があり、巨額の設備投資の負担は重い。すでに広く普及している携帯電話は、双方向の課金制、SIMカード方式・料金前払い制などが中心であり、システムが日本とは大きく異なっている。

国際面:

本土では外資の通信事業参入は原則的に禁止されているため、端末、通信設備、付加価値サービスなどの周辺市場に進出している。通信規格は2G(第二世代移動通信)については国際的に最も普及しているGSM。ただし3Gについては国際規格であるW-CDMA、CDMA2000に加え、中国独自の規格「TD-SCDMA」がある。さらに将来的に4Gの可能性を考えると、中国主導の「TD-LTE」という規格も存在する。

政策面:

規制色の強い業界。当局は独自規格のTD-SCDMAの拡大を支援しているほか、端末機の購入補助などを通じて、携帯電話の内陸・農村部へのより一層の普及を狙っている。

主要企業、主な取扱銘柄 ~再編で大手3社による競争に~

本土の通信業界は国有系大手3社による寡占状態。ただ、3社は特に成長分野の3Gで激しい競争を繰り広げている。業界の圧倒的ガリバーであり、中国独自の規格「TD-SCDMA」を担う中国移動(00941)は概ね安定成長の増収増益を維持。08年に悲願である移動通信に参入した中国電信(00728)は積極的な投資に加え、固定・ブロードバンド最大手としての強みを生かした販売攻勢などを通じて、3G加入件数が一気に800万件増加。好業績につながった。一方、移動通信2位の中国聯合網絡通信(香港)(00762)は会計基準変更、端末補助金という要因に ARPU(1契約あたり平均月間収入)の減少が追い討ちをかけ、大幅減益。競合2社と明暗を分けた。

このほか、通信キャリア・サポート大手の中国通信服務(00552)は海外市場の開拓なども奏功し、2ケタの増収増益を記録。香港の通信業界をみると、大手の数碼通電訊(00315)が「iPhone」などスマートフォン・ユーザー拡大の恩恵を受け、10年6月期で大幅増益。12月期も高い利益の伸びを示している。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
数碼通電訊 00315 3,447 6.9 256 591.9 13,471
香港その他 香港・マカオで携帯電話サービス事業、携帯電話端末の販売事業を展開する大手企業。英ボーダフォングループと提携し、「SmarTone-Vodafone」ブランドでサービスを提供する。アップルの「iPhone」対応などスマートフォンに強みを持ち、10年は業績を大きく伸ばした
中国通信服務 00552 45,417 15.0 1,818 13.7 28,801
H株 中国電信集団(チャイナテレコム)の傘下にある通信事業のサポートサービス会社。通信事業者向けのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、アプリケーション・コンテンツなどの事業を展開する。「三網融合」を契機に通信事業者の設備投資意欲が強まるとみられるなか、同社がその恩恵を享受する可能性も
中国電信 00728 219,864 5.0 15,759 9.3 366,624
H株 3大通信キャリアの一角。固定通信・ブロードバンドでは国内トップシェアを誇るなか、悲願の携帯電話事業への参入を手がかりに業績は改善傾向。さらに携帯電話では3Gに限ると、先行する2社に対して健闘している。今後、通信各業者間で総合力が問われる中、固定・ブロードバンドで圧倒的な強みを持つ同社の潜在力は高い
中国聯合網絡通信(香港) 00762 171,298 11.3 3,851 ▲59.7 369,926
ハンセン 中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)の傘下にある携帯電話事業の国内大手。2GではGSM、3GではW-CDMA規格の携帯電話サービスを提供するほか、再編により中国網通集団の固定通信事業を引き継いだ。移動、固定通信ともに国内第2位の規模。長らく「iPhone」を独占的に取り扱ってきた。
中国移動 00941 485,231 7.3 119,640 3.9 1,449,823
ハンセン ユーザー数で世界最大の携帯電話事業会社。国内で2位以下を大きく引き離すシェアを誇る。GSM/GPRS規格の移動通信網を運営するほか、3Gでは中国独自の規格である「TD-SCDMA」による通信サービスを提供。さらに他のキャリアに先駆け、4G展開に向けた布石を打っている点にも注目

売上高・純利益は数碼通電訊(00315)が10年6月本決算。残りはすべて10年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1香港ドル=0.871元

時価総額は11年5月11日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。

情報通信サービス(業種別一覧)

注目されるトピックス ~3Gの本格普及、「三網融合」で新たなビジネスチャンスも~

3Gの本格普及が業界構造に変革の波

通信業界の主戦場である携帯電話では、3G普及のインパクトが大きい。10年末時点の加入者数は5000万件だが、政府は11年末に一気に3倍まで引き上げる目標を立てている。2G→3Gへの移行は通話以外の各種機能の充実などインパクトが大きい。業界構造も、キャリア主導による、端末メーカー、販売店を巻き込んだ激しい競争環境に変わってきており、新たな“戦国時代”に突入している。

モバイルビジネス市場の発展

3G時代の到来にともない、携帯の多機能化、サービスの多様化・高度化へのニーズは高まるものとみられる。これにあわせ端末もスマートフォン普及の勢いが著しい。携帯のコンテンツ・ショッピングなどモバイルビジネスがより一層拡大し、ARPUの増加、ITなど周辺産業の成長、それにともなう相乗効果なども期待できよう。

「三網融合」時代の到来

当局は15年までの発展計画に「三網融合」を採用。積極的に通信、ネット、放送の一体化したサービスの提供、双方向の業種参入、業種の垣根を超えた統合などを進める。テスト期間などを経て、15年までに全国に広げる予定で、新たなビジネスチャンスが生まれることも。この流れに呼応し、将来的な4G導入も視野に入ってきており、設備投資の需要も期待できる。

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主要3キャリアの比較

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