中国株 業界レポート

建設・機械設備業界~新5カ年計画の初年度で需要は堅調か~

2011年5月31日

市場動向 ~活発な設備投資、公共事業を背景に、関連業界の恩恵は継続~

10年の業界規模:

固定資産投資額:27兆8140億元(前年比23.8%増)、鉄道投資額(基本建設):7091億元(同18.1%増)、建設業総生産高:9兆5206億元(同24.0%増)

投資は引き続き中国の成長をけん引。10年の固定資産投資額も20%台の高い水準を記録した。景気回復を追い風に各企業の設備投資意欲が高かったほか、当局も安定成長に向け公共事業を推進。官民ともに巨額の投資が動いた。インフラ建設に民間主体の製造業の設備投資を加えた「基本建設」という投資全体の6割弱を占める両分野が活発化。この需要を取り込むために、多くの機械設備メーカーが生産能力を増強、合わせて堅調な業績を記録した。また、高速鉄道など交通インフラの整備も進み、鉄道投資額は7000億元を突破した。不動産建設の需要なども加わり、建設業も引き続き恩恵を享受。09年までの大型景気対策の反動もあり、10年の固定資産投資はやや減速したが、11年は第12次5カ年計画の初年度であり、多くの重要プロジェクトが始動。このため、減速が続く可能性は低い。安定成長のトレンドが続こう。

業界の特徴 ~景気動向の影響を受けやすいセクター~

主力事業面:

建設・機械設備ともに無数の企業がひしめくが、大手の大半は政府系企業であり、大型プロジェクトではほぼ寡占の状況。企業の設備投資は景気動向の影響を受けやすい。好調な景気動向を受け実需は増加。一方、往々にして投資は過剰になりやすく、一部製造業では過剰な生産能力が深刻な問題となっているため、当局は是正に動いている。一方、基礎インフラをみると、交通インフラをはじめ足りない分野が多い。さらに設備の更新・改良などが課題。その分、潜在的な需要は大きく、政府も安定成長に向けて積極的に財政出動を行っている。全体として利益率は低めであり、鋼材、建材、原油など生産要素の価格動向が収益に直接響く。

国際面:

日系も含め、海外の大手機械メーカー、ゼネコンの多くが中国に進出済み。一方、中国企業による海外での大型プロジェクトの獲得は途上国を中心に増加傾向。ただ、海外である分、為替・政治リスクはつきもの。

政策面:

新5カ年計画に基づき、低所得者向け住宅、高速鉄道、水利施設など、政府主導のインフラ整備プロジェクトは目白押しの状況。一方、担い手となる機械設備についてはハイエンド化を目指しており、戦略的新興産業の一角に位置づけている。

主要企業、主な取扱銘柄 ~国有系大手が主役、投資拡大の恩恵を享受~

インフラ投資など大型プロジェクトは国有系大手の寡占状態となっている。鉄道インフラは中国中鉄(00390)、中国鉄建(01186)の両社がこの分野の両雄。巨額の鉄道インフラ投資の恩恵を享受し、両社ともに売上高を拡大させた。ただ、中国鉄建は積極展開していた海外事業で巨額の損失計上を迫られたことから、減益に後退。港湾、橋梁などは中国交通建設(01800)が強く、40%近い高い増益率となった。このほか、国内最大の建築・不動産総合企業グループである中国建築(601668)は、子会社の中国建築国際(03311)が大幅な増収増益を記録した。金属精錬プラントの建設では中国冶金科工(01618)が最大手。これら国有系大手の建設市場でのプレゼンスは非常に大きい。一方、機械設備は分野ごとの業界集約度が比較的に高い。鉄道設備大手の中国南車(01766)は高速鉄道関連の受注増加を背景に好業績を達成。工事に欠かせない建設機械は需要が拡大し、大手の中聯重科(01157)、中国龍工(03339)はいずれも利益を大幅に増やした。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
中国中鉄 00390 456,102 36.5 7,490 8.9 100,667
H株 鉄道建設を中核とする国有系の総合建設会社。国内最大、世界でも有数の事業規模を誇る。主力のインフラ建設は鉄道、道路、トンネル、港湾などを幅広くカバー。特に鉄道では業界トップクラスのシェアを持つ。このほか相乗効果を狙って不動産事業を積極展開している点も特徴として挙げられる。
山東墨龍石油機械 00568 2,704 30.3 276 2.9 6,022
H株 山東省を本拠とする石油採掘設備の大手民営企業。主な製品は油井管、サッカーロッド、採油ポンプ、ケーシングパイプ。主要顧客である国有系の大手石油会社から、着実に受注実績を積み上げている。国内外での油田開発は今後もますます増えていくものと考えられるなか、同社は顧客との良好な関係を築いている点が強み。
中聯重科 01157 32,193 55.1 4,666 90.7 98,404
H株 中国第2位の建設機械メーカー。世界でも第10位の規模を誇る。新5カ年計画では、内陸部を中心にさらなるインフラ整備がうたわれているほか、低所得者向け住宅の供給拡大、都市化の進展なども期待でき、建設機械の需要はさらに増える可能性が高い。さらに、投資増加が見込まれる湖南省を本拠としていることも強み。
中国鉄建 01186 456,339 32.3 4,246 ▲35.7 89,562
H株 国有系の超大型の総合建設企業グループ。主力は工事請負事業で、得意とする鉄道に加え、高速道路、発電、空港、港湾、都市インフラなどを幅広く網羅。海外事業に積極的である点が特徴だが、為替損失や地政学的リスクの影響を受けやすいという点も指摘できる。新たな成長源として位置づける水資源事業の動向が今後のカギとなろう。
中国冶金科工 01618 206,397 24.7 5,321 20.2 84,429
H株 国有系の大手エンジニアリング企業。金属の精錬・生産プラントの建設では国内で圧倒的なシェアを誇る。金属生産設備や鋼構造の製造、金属資源の開発など、金属関連の総合企業としての素地は十分。金属事業への依存度を低くするために、近年は建設事業を中心に非金属分野を強化しており、この行方が同社の将来性を左右しよう。
中国南車 01766 63,912 40.1 2,531 50.8 92,312
H株 中国の二大鉄道車両メーカーの一角を占める国有系企業。主な製品は機関車、客車、貨車、マルチプル・ユニット、高速鉄道車両。このほか主な部品を製造する。主要顧客である鉄道部、鉄路局との関係が深く、鉄道インフラ整備の恩恵を受ける可能性が最も高い銘柄の一つといえる。
中国交通建設 01800 272,734 20.2 9,863 37.0 103,182
H株 国有系の交通インフラ建設大手。本土のほか、海外でも事業展開する。主な事業は各種インフラの建設・設計、浚渫、港湾機械の製造。港湾クレーン最大手の上海振華重工(900947)を傘下に収め、港湾・水利関連のインフラ建設、浚渫で国内最大の規模を誇る。当局による海洋政策や巨額の水利設備の建設などが同社の追い風になるものと考えられる。
重慶機電 02722 8,883 28.9 687 15.7 9,322
H株 重慶市政府系の機械メーカー。主な製品は商用車部品、電力設備、工業用ポンプやガスコンプレッサなどの一般機械、工作機械。内陸部最大の都市で一層の発展が見込まれる重慶市に本拠を置き、市政府との関係が深いことなどが強み。欧州企業への買収・合弁事業の展開など海外企業からの技術導入に積極的な姿勢は注目できる。
中国建築国際 03311 10,440 23.5 903 53.7 30,340
レッドチップ 国内最大の建築・不動産総合企業グループである中国建築(601668)の傘下にある建設会社。香港を中心に、中国本土や海外各地で建設・土木・インフラ工事などを展開する。足元の豊富な受注残を背景に今後2~3年の業績を楽観視できることが強み。注目の低所得者向け住宅の建設でも親会社の競争力を背景に一定の売上を獲得できる可能性が高い。
中国龍工 03339 12,020 74.2 1,766 120.7 17,548
香港その他 民営の大手建設機械メーカー。主力製品はホイールローダ、油圧ショベルなどで、中核部品を自社開発している点が特徴。鉱山開発、インフラ建設の需要を取り込み、建設機械の販売を拡大。このほか収益源の多様化を図るため、利益率の高い油圧ショベルの生産能力を倍増させる計画で、全体としての利益率向上への期待感も持てる。

売上高・純利益はすべて10年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1米ドル=6.768元、1香港ドル=0.871元

時価総額は11年5月30日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。換算レートは1米ドル=7.778香港ドル

建設(業種別一覧)  産業用機械(業種別一覧)
その他輸送機械等(業種別一覧)  電気設備(業種別一覧) 

注目されるトピックス ~新5カ年計画の初年度で重要プロジェクトがスタート~

新5 カ年計画では重要プロジェクトが目白押し:

新5カ年計画の初年度にあたる11年は、計画に盛り込まれた重要プロジェクトが本格的に動き出す。受注能力のある大手には追い風となろう。代表的な例として低所得者向け住宅建設、水利設備への投資、高速鉄道の建設、スマートグリットの整備などの公共事業が挙げられる。

製造業の高度化を目指した企業の設備投資:

民間の設備投資も、これまでの“生産能力の拡大一辺倒“から、次第に効率化・高度化の追求というベクトルに向かっていこう。これを支えるため、戦略的新興産業に機械設備のハイエンド化が盛り込まれた。政府・顧客企業のニーズに応えられない設備メーカーは淘汰、あるいは大手に吸収される可能性も。業界の再編が一層進むものと考えられる。

政策・為替・原材料価格などのリスク要因も:

インフラ建設は官からの需要や支援策が大きなウエイトを占めるため、政策動向、特に投資、財政支出に関する変化が大きな影響を与える。さらに鋼材、セメントなど原材料の価格変動リスクを抱えるほか、海外の大型プロジェクトを展開する場合は、為替リスクのヘッジ如何では巨額の損失を計上する恐れもある。

建設(業種別一覧)  産業用機械(業種別一覧)
その他輸送機械等(業種別一覧)  電気設備(業種別一覧) 

都市部固定資産投資の推移(※毎年2月は1-2月の合計値)、都市部固定資産投資(製造業設備投資、基礎インフラ投資のみ)

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。