中国株 業界レポート

ホテル・娯楽・観光業界 ~世界の観光大国として存在感を発揮~

2011年6月1日

市場動向 ~万博など一大イベントも起爆剤に、高成長で世界の観光大国に~

10年の業界規模:

観光業総収入:1兆5700億元(前年比21.7%増)、国内観光収入:1兆2600億元(同23.5%増)、外国人観光収入:458億米ドル(同15.5%増)。

長い歴史と広大な土地を持つ中国は、多数の世界遺産・遺跡など観光資源に恵まれた観光大国。10年の観光業収入は前年比で2割以上の伸び率を記録した。堅調な景気動向、所得水準の向上、レジャーの多様化、高速交通網の整備などを背景に、国内の観光収入は好調を維持。上海万博などの一大イベントも追い風となった。このほか、外国人観光収入も増加に転換。海外からの観光客数(延べ人数、以下同)は1億3400万人で前年に比べ5.8%増え、世界第4位の多さだった。一方、人民元高の追い風もあり、中国人の旅行ブームは国内にとどまらない。同年は前年比で2割増の5739万人が観光目的で海外に渡航。これは世界3位の規模だ。

11年は上海万博のような特段のイベントがない。ただ、当局は観光業を戦略的な重要産業として位置づけているほか、高速鉄道の整備などを通じて観光地へのアクセスもより便利になる。大手を中心に、成長トレンドに大きな変化はみられないものと考えられる。

業界の特徴 ~国内外の様々な要因に左右されやすいセクター~

主力事業面:

数多くの企業がひしめき、競争が激しいなか、景気などの外的要因に影響を受けやすいセクター。外国人観光客も多いため、海外景気の影響を大きく受ける。災害・伝染病といった特殊要因によるリスクもある。10月の長期連休や夏休みなどの行楽シーズンと閑散期との差が大きいことも特徴。鉄道、航空路線など交通アクセスの整備状況も需要を左右する。

国際面:

世界の主要なホテルが巨大市場の攻略を目指して中国に進出。さらに中国人の海外旅行というマーケットが年々成長しており、各国は旅行客の取り込みに躍起になっている。

政策面:

政府は15年までの5年間で、国内旅行者数を33億人(年平均10%増)、入国旅行者数を9000万人(同8%増)、出国旅行者数を8300万人(同9%増)に引き上げるとともに、旅行総収入を年平均12%増、観光業の付加価値をGDPの4.5%にするなどの目標を掲げた。これを踏まえ、海南省に「免税特区」を設立するなど、具体策を矢継ぎ早に打っている。

主要企業、主な取扱銘柄 ~観光収入の伸びに比例して各社ともに増収決算~

観光業界には政府系・民営問わず、多くの企業が参入。このうち上場企業になると大手に限られるが、観光業収入の伸びに比例して、各社ともに増収を確保した。旅行代理店をみると、上海で最大手の上海錦江国際トラベル(900929)が万博効果も加わり、30%台の増益を記録。広東・香港の大手である香港中旅(00308)も、本土から香港への観光客の増加などを背景に、これを上回る大幅増益を達成した。観光客は同じ特別行政区であるマカオにも押し寄せ、通年のカジノ収入は前年比で6割も増加。著名なスタンレー・ホー氏ファミリーが率いる地場系最大手の澳門博彩控股(00880)に、米系の金沙中国(01928)と永利澳門(01128)を合わせた上位3社は軒並み3桁の増益率を記録。ホテル経営ではアジア各地で高級ホテルを展開する香格里拉(亜洲)(00069)が増収増益を確保。上海では地元政府系の上海錦江国際酒店(02006)とその子会社の上海錦江国際酒店発展(900934)が最大手。ビジネスから高級ホテルまでを経営しており、万博の需要をうまく取り込んで好業績を記録している。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
香格里拉(亜洲) 00069 10,660 28.1 1,943 12.4 63,390
香港その他 マレーシア華僑財閥系のホテル会社。アジア各地や欧米で、高級ホテル「シャングリラ」(香格里拉)を経営している。日本でも東京駅の前に5つ星ホテルを開業。香港や、中国本土の主要都市に進出している。アジアを代表する高級ホテルとして、ブランド力に定評がある。
香港中旅 00308 3,890 9.1 132 439.7 8,087
レッドチップ 観光・レジャーを主力とする国有系の観光サービス会社。総合旅行サイト「芒果網」を運営するほか、広東省で大型温泉リゾート施設、ゴルフ場、各種テーマパークなどを経営する。香港・広東省を往来する人々の増加は、同社にとってビジネスチャンスの拡大につながる。
澳門博彩控股 00880 49,828 67.9 3,101 292.6 104,495
香港その他 マカオのカジノ最大手。長きに渡ってマカオのカジノ産業を独占支配していた企業を前身とし、老舗の「カジノ・リスボア」や「グランド・リスボア」などを経営している。高いブランド力、豊富なノウハウなどが強み。創業者のスタンレー・ホー主席は業界内でも圧倒的な存在感を持つ。ただ、同氏がすでにかなりの高齢であることが懸念材料か。
永利澳門 01128 19,549 59.4 3,852 113.8 141,100
香港その他 マカオでカジノホテルリゾート事業を展開する米国系企業。ナスダックに上場するウィン・リゾーツの傘下にあり、24時間営業のカジノ、高級小売店、レクリエーション施設などを備えた高級カジノホテル「ウィン・マカオ」を経営する。
金沙中国 01928 28,034 25.5 4,508 210.0 162,169
香港その他 米国のカジノ大手であるラスベガス・サンズによる世界展開のなかで、マカオ事業を担当する企業。マカオで最初のラスベガス式カジノ「サンズ・マカオ」、大型総合カジノリゾート「ベネチアン・マカオ・リゾートホテル」などを運営している。
上海錦江国際酒店 02006 6,522 96.4 248 202.2 7,147
H株 地元政府系で上海最大の観光業者である錦江集団の傘下にあるホテル大手。上海錦江国際酒店発展(900934)を子会社に持つ。1929年に竣工した「錦江飯店」や「和平飯店」などクラシックホテルのほか、豪華ホテル、ビジネスホテルなどを経営。「錦江之星」ブランドのエコノミーホテルチェーンも展開する。
上海錦江国際トラベル 900929 2,075 29.7 51 31.5 1,426
上海B株 錦江集団の傘下にある上海最大の旅行会社。インバウンド団体(海外からの旅行団)の取り扱いなど海外観光客の中国本土ツアー業務、中国本土住民の海外渡航・国内旅行業務、乗車券・搭乗券の代理販売などを手がける。中国本土住民の日本ツアーを積極的に企画・催行。
上海錦江国際酒店発展 900934 2,125 11.9 381 16.3 11,538
上海B株 上海錦江国際酒店(02006)の傘下にあり、ホテル、外食チェーン事業を展開する企業。ホテル事業では、エコノミーホテルチェーン「錦江之星」の経営に集中。旺盛な国内観光需要の取り込みを狙う。外食チェーンでは、「ケンタッキーフライドチキン」、「吉野家」、中華ファーストフードの「大家楽」などを合弁展開する。
黄山旅行開発 900942 1,445 28.1 231 44.5 8,164
上海B株 中国屈指の名山として知られ、世界自然遺産にも認定されている黄山の観光サービス会社。黄山風景区の入園チケット販売、ロープウエー運営、ホテル経営、旅行会社経営などを手がける。黄山は商都「上海」を中心とした長江デルタ地域と距離的に近い。交通アクセスは益々便利になってきており、観光客の一層の増加も見込める

売上高・純利益はすべて10年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1米ドル=6.768元、1香港ドル=0.871元

時価総額は11年5月31日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル、換算レートは1米ドル=7.778香港ドル

ホテル・娯楽・観光(業種別一覧)

注目されるトピックス ~イベントが続く業界、政府主導プロジェクトでさらなる成長余地~

国内観光は需要の変化に注目:

上海万博、広州アジア競技大会のような重要イベントがなくとも、国内観光の起爆剤は多い。特に所得水準の向上、休暇の増加などを背景に、個人旅行ブームが到来。観光需要に変化の波が訪れている。この流れに乗り、エコノミーホテルを展開する上海錦江国際酒店発展は業績を大きく拡大。変化に敏感な企業にとっては、大きなビジネスチャンスが転がっているといえよう。

高速交通網の整備が追い風に:

国土の広い中国では観光地へのアクセス状況が観光客の数を左右する。こうしたなか、急ピッチに進む高速交通網の整備は業界全体にとって追い風。黄山旅行開発(900942)が管理する世界自然遺産「黄山」のように、大都市とのアクセスに強みを持つ観光地には、観光客の一層の増加が見込まれる。

人民元高が海外旅行ブームを後押し:

市民にとって海外旅行は年々身近なものになってきているが、これを後押しする一つの要素が人民元の先高感。元高は海外での購買力を強めるからだ。これには外貨への両替を必要とする香港・マカオへの旅行も含まれる。香港系の観光銘柄、マカオのカジノセクターにとって、本土からの観光客の動向は最重要の関心事といえよう。

リスク要因:

同セクターは外的要因に左右されやすく、特に外国人観光客の増減は天災・疾病・紛争などの影響を受けやすい。このほか、原油高で航空など輸送手段の価格上昇が進めば、観光需要の下振れにも繋がる。

ホテル・娯楽・観光(業種別一覧)

観光収入の推移
中国に訪問する観光客上位国(10年、総計2613万人)
外国人観光客(香港・マカオ・台湾を除く)上位都市とシェア

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