中国株 業界レポート

小売・卸売業界 ~世界の市場を担う消費関連の中核セクター~

2011年6月1日

市場動向 ~世界の市場として安定成長を維持~

10年の業界規模:

小売総額:15兆6998億元(前年比18.3%増)、小売・卸売業の販売総額:13兆9350億元(同18.4%増)

所得水準の向上、内需拡大策の効果などを背景に、中国は「世界の市場」としての地位を一層強化している。10年の社会消費品小売総額は15兆6998億元に上り、伸び率は実質でも14.8%を記録。04年から7年連続の2ケタ成長を記録した。堅調な消費動向は11年に入っても継続し、小売総額は3月末までで約4兆3000億元に達した。ただ、インフレによるマイナス影響も顕在化しており、販売価格への転嫁が難しい企業では収益の悪化が出ている。さらにGDP成長率に占める内需の割合は大きくなく、消費は全般的に力不足の感は否めない。このため、政府は新5カ年計画で所得水準の引き上げ、内需拡大を重要視。矢継ぎ早に政策措置を講じる見込み。競争は激しいものの、全体のパイは着実に拡大すると考えられ、業界全体では大手を中心に安定成長が今後も続くだろう。

業界の特徴 ~数多くの外資も進出し、競争は激しい~

主力事業面:

地場系、外資を含め数多くの企業がひしめく業界。主力市場は都市部で、旧正月をはじめとした長期休暇中が消費のシーズンとなる。ブランド衣類・宝飾品など高級品に強みを持つ百貨店、耐久消費財を主に扱う家電量販店は景気変動の影響を受けやすいが、スーパーマーケットが得意とする食品など生活必需品の需要は総じて安定的。販売競争が激しく値下げ圧力も強いため、有力企業は買収・合併などを通じてスケールメリットの拡大に努めている。

国際面:

中国需要を取り込もうと、数多くの外資企業が進出。外資規制の緩和・撤廃を追い風に事業を拡大させており、一部の欧米企業は業界のトップ10に名を連ねている。

政策面:

内需主導の経済成長に転換するために、政府は「家電下郷」(農民による家電購入の促進策)を含む各種の消費振興策を矢継ぎ早に実施。このほか、市民の所得水準向上に向けた政策措置も強化する見込みで、購買力の拡大が期待できる。

主要企業、主な取扱銘柄 ~上位には家電量販店の両雄や、政府系の企業などがランクイン~

民営、地方政府系、外資など多くの企業があるが、業界の寡占度は低い。10年の「チェーンストア企業100強」の売上高合計は全体の1割程度に過ぎず、前年と大きくは変わっていない。ただ、堅調な個人消費を背景に前年比で21.2%増加し、小売総額の伸びを上回った。家電量販店の両雄が1位、2位を独占し、トップは日本のラオックス買収でも知られる蘇寧電器。これを国美電器控股(00493)が追う。両社は消費振興策の効果も加わり、売上高を1500億元の大台に乗せた。このほか上海市政府系の総合小売企業で、上海友誼集団(900923)や聯華超市(00980)を傘下に持つ百聯集団、国有系コングロマリットである華潤創業(00291)傘下の華潤万家などが上位10位以内に名を連ねた。大手10社にやや水をあけられているが、大手には民営や外資企業も多い。百貨店では香港系の新世界百貨中国(00825)、マレーシア系の百盛(03368)が堅調な業績を記録。富裕層に的を絞った戦略が奏功した金鷹商貿(03308)は300%近い大幅増益となった。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
莎莎国際 00178 3,582 13.9 332 20.6 13,153
香港その他 有名ブランド化粧品の卸小売などを手がける民営企業。香港を拠点に、マカオ、中国本土などで「Sasaストア」などの店舗を展開している。「Sasa」ブランドは中華圏での知名度が高く、個人消費の増加、健康・美容指向の高まりというトレンドを業績拡大の追い風にすることができる銘柄といえる。
華潤創業 00291 75,557 35.2 4,943 94.8 74,723
ハンセン 国有系の大手コングロマリット。小売事業では「華潤万家」、「華潤蘇果」、「蘇果」などのスーパーマーケットを全国各地に展開しており、売上は業界有数の規模を誇る。他にも飲料、食品加工などの事業も展開。内需関連の中核銘柄として、グループ全体の総合力が強みとなりうる。
国美電器控股 00493 50,910 19.3 1,962 39.2 51,516
香港その他 全国各地で事業展開する家電量販チェーン大手。企業買収を通じて規模を拡大してきた。前主席の逮捕などの影響でここ数年はライバルの蘇寧電器に遅れをとったが、直近では再び成長トレンドに復帰。さらに地方都市への出店、オンラインショッピングサイトの開設など、収益拡大に向けた布石を着実に打っている。
新世界百貨中国 00825 1,632 8.8 504 5.5 10,707
香港その他 香港の大手コングロマリット「新世界発展」(00017)に属する流通企業。本土の主要都市などで「新世界百貨」や「巴黎春天百貨」(プランタン)などの百貨店を展開している。
聯華超市 00980 25,887 7.8 623 22.8 20,937
H株 上海政府系の大手小売企業。全国各地でハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの店舗網を広げている。特に上海市を中心とした東部地域の出店数が全体の8割以上を占め、経済規模の大きい地域を基盤としていることが強み。上海友誼集団(900923)の傘下にある。
金鷹商貿 03308 2,450 32.4 959 282.3 39,383
香港その他 江蘇省に本拠を置き、同省で優れたブランド力を発揮している百貨店グループ。店舗の自社保有比率の高さが同社の特徴となっている。各店舗は主な商業の一等地にあり、国内・海外の一流ブランドをそろえ、中高所得者層が主なターゲット。高級路線が奏功し、11年も4月までで既存店売上高が3割増と高い伸びを示している。
百盛 03368 4,400 12.6 992 8.9 33,501
香港その他 本土の主要各都市に「百盛」(パークソン)や「愛客家」(エキストラ)ブランドの百貨店・スーパーマーケットを展開するマレーシア系の企業。アッパーミドル層をターゲットとした経営戦略をとっている。
北京物美商業 08277 12,572 19.6 530 21.0 22,909
H株 民営の小売企業。京津地区(北京市、天津市、河北省)を中心に、ハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどをチェーン・フランチャイズ展開する。
上海友誼集団 900923 31,052 6.4 298 58.4 8,275
上海B株 上海政府系の大手流通企業で、聯華超市(00980)などを傘下に持つ。上海友誼商店、スーパーマーケット「聯華超市」、建材ショップ「好美家」などを経営。現在、資産買収などを含めた再編を進めており、完了すれば国内最大規模の流通企業となる見込み。

莎莎国際(00178)は10年3月本決算、新世界百貨中国(00825)は10年3月本決算。このほかはすべて10年12月本決算。換算レートは1香港ドル=0.871元

時価総額は11年5月31日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。換算レートは1米ドル=7.778香港ドル

小売業(業種別一覧) 卸売業・貿易(業種別一覧)

注目されるトピックス ~中長期的な~

所得水準の引き上げを通じた内需拡大へ:

政府は「家電下郷」・「以旧換新」のような直接的な消費刺激策に代わって、国民の所得水準の底上げを通じて、中長期的な内需主導の安定的な成長モデルへの転換を急いでいる。このため、具体的な数値目標を新5カ年計画に盛り込んだ。加えて内需低迷の遠因とも指摘される社会・医療保障の未整備について改善が進めば、個人消費の拡大余地はさらに広がろう。国美電器控股、華潤創業などのように全国展開し、内陸部の市場でも一定のプレゼンスを築いている企業は注目できる。

新しいビジネスモデルが成長中:

市場規模の拡大に加え、その中身も変化のスピードが速い。百貨店・スーパーという旧来型に加え、専門店、アウトレット、通信販売、電子商取引(Eコマース)など多くの新しいビジネスモデルが成長している。特にEコマースは注目分野。阿里巴巴(01688)の兄弟会社が運営する「淘宝網」は国内最大、アジア有数のネットショッピングサイトとなっている。

物価動向には要注意:

流通業者にとって、インフレ、デフレともに収益環境の悪化を意味する。足元のインフレ状況下では仕入価格の上昇圧力が強い。一方、競争激化で販売価格への転嫁は容易でなく、体力勝負の様相ともなってくる。中国の流通業者は地域ごとに分散しており、日本ほど集約されていない。メーカー側との価格競争力を高める目的もあり、今後は地域の垣根を越えた買収・合併が増えていくものと考えられる。

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「10年チェーンストア企業100強」のうち、幣社の取扱銘柄と関連する企業を一部抜粋
小売総額の推移
10年の小売・卸仰(一定規模以上)の販売額上位品目

広告審査済

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