中国株 業界レポート

陸運関連業界 ~広大な国土、世界最大の人口を繋げるネットワーク~

2011年6月14日

市場動向 ~堅調な景気動向を追い風に、「人・モノ」の移動が活発化~

10年の業界規模:

物流総費用:7兆1000億元(前年比16.7%増)、貨物輸送量(11月まで):289億トン(前年同期比14.8%増)、鉄道営業距離:9.1万キロ(10年末、前年比6.4%増)

広大な国土と世界最大の人口を持つ中国は、輸送規模も大きい。堅調な景気動向を背景に10年も「人・モノ」の移動が活発。国内の物流総費用は通年で7兆1000億元に上り、前年比で約17%増加した。貨物・旅客輸送量の伸び率も再び加速し、11月末までで前年通年の実績に並んだ。ただ、総費用の物流総額に占める割合(業界の取り分)は前年より低下しており、価格競争は激しい。運輸の中心は陸運であり、特に道路は貨物・旅客ともに輸送量全体の9割以上を占める第一の手段。道路に次ぐ規模の鉄道需要も堅調だった。交通インフラ投資額も前年比で2割増の2兆8000億元の規模を確保。特に高速鉄道網の整備が進んだ。今後も運輸需要の増加基調が続くとみられるなか、インフラは依然として不足気味。政府は向こう5年間も積極的にインフラ整備に努めるとしており、中長期的な安定成長の基盤は整いつつある。

業界の特徴 ~陸運を担う物流業界は“優勝劣敗”、一方の道路・鉄道は規制色が強い~

事業環境面:

物流会社は官民含めて数多く存在し、競争も激しい。一方、インフラである道路・鉄道はほぼ官が独占する業界。旅客輸送は旧正月の交通ダイヤ「春運」中に例年最大のピークを迎える。貨物輸送は国内の景気動向などが需要に影響する。両業界とも巨額の設備投資、投資回収の長期化が避けられないため、財務体質、資金調達力が重要。道路は運営・管理の多くを政府系企業が担当しており、政府から付与される徴収権を基に通行料収入を得る事業形態。鉄道は鉄道部の各地方局が直接運営する形態が大半で、行政・企業の分離が進んでいないため、事業の効率・収益性は低い。

事業地域面:

道路網は「五縦七横」(南北に5本、東西に7本の幹線)、鉄道網は「四縦四横」(南北に4本、東西に4本の幹線)を中心に全国をカバー。今後5年はこれらを中心に高速化を進めていく。

政策面:

物流業界は市場原理に委ねられている一方、道路・鉄道業界は規制色が非常に強い。交通インフラ不足が経済成長のボトルネックとなっているため、政府は巨額の資金を投じて、道路・鉄道の建設を加速させている。

主要企業、主な取扱銘柄 ~上場企業の多くが政府系、全体的に堅調な業績を確保~

上場している物流会社は限られており、このなかでも大手は貨物フォワーダーを主力とする国有系の中国外運(00598)ぐらい。輸出回復にともなう物流需要の増加などを手がかりに、同社の10年業績はV字回復を遂げ、50%台の増収増益を記録した。一方、上海市を拠点とする大衆交通集団(900903)と上海錦江国際実業投資(900914)の2社は、補助金の減少などを背景に、業績は伸び悩んだ。

インフラ運営企業をみると道路は地域独占型であり、上場企業の多くが地元政府との関係が深い。このため、各社は概ね安定した業績を確保した。事業地域の経済状況は企業規模を左右。珠江デルタをカバーする深セン高速道路(00548)、越秀交通(01052)、広東高速道路(200429)の3社は、国内最大の製造業エリアを本拠とする優位性を発揮し、いずれも2ケタ増益となった。長江デルタ地帯で事業を展開する江蘇高速道路(00177)と浙江高速道路(00576)の両社も、通行料収入を拡大。ただ、浙江高速道路は金融業が足を引っ張り、増益率は小幅にとどまった。このほか、高い経済成長率を背景に、内陸部の道路会社が躍進。特に四川高速道路(00107)の好業績が目立った。

一方、鉄道は企業化が進んでいないために上場企業が少なく、広深鉄路(00525)と香港鉄路(00066)の2社にとどまる。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
香港鉄路 00066 25,716 57.0 10,506 25.1 157,609
ハンセン 香港政府傘下の独占的な鉄道運営会社。傘下の鉄道・地下鉄網は香港全土を広くカバーしており、安定した収益基盤などが強みに挙げられる。加えて鉄道事業者の利点を生かし、沿線での不動産開発を展開していることも特徴。香港以外での鉄道事業にも参画している。
四川高速道路 00107 4,305 78.3 1,145 38.4 18,559
H株 四川省で有料道路事業を展開する地元政府系の企業。成都市と重慶市の2大都市を結ぶ成渝高速公路を中心に、複数の高速道路を経営している。「西部大開発」で注目される同省の経済成長は、同社の業績拡大に直接結びつく可能性が高い。加えて、12年末頃には新たな高速道路が開通する見込みで、中期的に同社の収益に寄与するものと考えられる。
江蘇高速道路 00177 6,578 17.7 2,530 23.3 35,872
H株 江蘇省を本拠地とする国内最大手の上場道路企業。中核資産は上海南京高速道路の江蘇省区間(248.2km)など。江蘇省における道路使用料金の全部あるいは、一部の権益を有しており、運営・管理している道路の総延長は700キロを突破。江蘇省は経済が発展しており、今後も自動車の普及率上昇とともに交通量の順調な拡大が見込める。
広深鉄路 00525 13,484 8.9 1,486 10.7 32,294
H株 唯一海外上場している国有系の鉄道会社。深セン市-広州市-楽昌市の鉄道(全長481.2キロメートル)を経営する。同鉄道は広東省を縦断し、他地域へ向かう主要鉄道などに接続。香港鉄路(00066)と共同で本土と香港を結ぶ広九鉄道の旅客輸送を行う。今後も運賃の上昇余地があるほか、低コストで建設したことによるメリットがある点も注目。
深セン高速道路 00548 3,042 22.9 746 38.1 11,493
H株 深セン市を中心に有料道路事業を展開する地元政府系の企業。深セン国際(00152)の傘下にある。深セン市内の主な傘下道路は、東莞市と香港を結び、深セン市を横断する梅観高速公路など。深セン市以外でも広東省内、湖北省などの高速道路に出資。深センと内陸部を繋ぐ物流網の重要性が増すなか、大きな役割を担う同社の安定性には注目できる。
浙江高速道路 00576 6,769 12.1 1,871 4.2 26,232
H株 浙江省で有料道路事業を展開する地元政府系の企業。国内最大の経済都市である上海市と省都の杭州市を結ぶ「滬杭高速公路」、杭州市と寧波市を結ぶ「杭甬高速公路」などが主力であり、経済が発展する杭州湾の周辺を囲むかたちで道路網を張り巡らせていることが強み。このほか地元の証券会社にも出資している。
中国外運 00598 42,547 54.0 616 55.2 7,946
H株 国有系の物流サービス大手。地場系では珍しい総合物流業者で、陸・海・空運すべてを網羅した貨物フォワーダーを主力事業とする。エクスプレスサービス、倉庫・ふ頭の運営なども展開。国内で最も経済が発展している華東地区を拠点としている点も強み。物流サービス”高度化”の担い手として期待される。
広東高速道路 200429 1,002 7.0 388 17.0 6,173
深センB株 広東省で高速道路・有料橋の開発・運営事業を展開する地元政府系の企業。主力は広州~仏山~開平を結ぶ高速道路で、広東省の一大工業地帯を通っている点などが強み。
大衆交通集団 900903 3,447 0.4 530 ▲13.3 10,820
上海B株 上海市のタクシー最大手。労働組合支配の企業が、上海A株企業を通じて支配している。物流事業にも進出しており、02年には佐川急便と宅配事業の合弁会社を設立。最近では上海万博の物流に携わったほか、上海での空港貨物の輸出入で実績を上げるなど、地元で一定の存在感を示している。
上海錦江国際実業投資 900914 1,842 15.2 284 5.5 5,812
上海B株 タクシー、自動車販売などの事業を手がける地元政府系の企業。近年は物流事業の強化に注力しており、国際フォワーダーや空港貨物倉庫などを展開。米国の運輸大手と合弁事業を展開している。低温物流では三井物産を戦略パートナーとして迎え入れ、競争力の強化を図っている。

売上高・純利益はすべて10年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1米ドル=6.768元、1香港ドル=0.871元

時価総額は11年6月13日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万香港ドル。換算レートは1米ドル=7.778HKドル

道路・鉄道(業種別一覧) 運輸・物流サービス(業種別一覧)

注目されるトピックス ~物流業界の“高度化”、積極的なインフラ整備に注目~

物流業界は徐々に“高度化“の流れへ:

中国の物流業界はインフラ、ソフト面ともに先進国に比べると依然として低い水準にあるとされ、これが業界、引いては経済全体の成長の足かせとなっている点は否めない。一方で、より高度な物流サービスのニーズは日増しに高まっており、今後はこの需要に応えられない零細企業の淘汰・再編が進むだろう。大手にとっては市場シェアの拡大に繋がる。

積極的なインフラ整備が輸送量の増加に結びつく:

当局は交通インフラの整備に積極的であり、特に内陸部の整備を重視している。新5カ年計画では高速道路と高速鉄道の営業距離について、今後5年間でそれぞれ7.41万キロ→8.3万キロ、0.84万キロ→4.5万キロまで伸ばす予定。引き続き巨額の投資が行われる見込みだ。これらの新規路線の建設に加えて、既存路線の複線化、地下鉄など都市交通の整備なども進む。こうしたインフラ整備は輸送量の増加に直接結びつこう。

政策リスク、財務リスクには注意が必要:

陸運関連の業界でもインフラ運営企業は、統制価格である通行料の収入に依存しており、政策による影響が大きい。加えて財務体質の悪化が問題視されており、特に鉄道事業者の財務リスクには注意が必要となる。

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中国の貿易取扱額上位10税関
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