中国株 業界レポート

電子・電器業界 ~刺激策の大幅縮小を受け、成長はやや鈍化か~

2012年7月3日

市場動向 ~伸び鈍化も、消費刺激策の効果から二桁増は確保~

11年の業界規模:

売上高:7兆4909億元(前年比17%増)、輸出額:6612億米ドル(同12%増)

中国の電子・電器業界は「世界の工場」として多くの完成品で世界トップクラスの生産規模を誇る。だが、11年は国内の売上高、輸出額ともに伸び率が鈍化。国内では景気減速、住宅市況の悪化など、海外では欧州債務問題などが重しとなった。それでも「家電下郷」(農民による家電購入の促進策)をはじめとする消費刺激策が内需を下支え。新興国向けの輸出も堅調で、全体としては国内外で前年比二桁増を維持した。ただ、刺激策の効果が切れる12年は内需の伸びが一層落ち込む懸念も。競争激化による価格の下落圧力、先進国の景気後退などのリスクもある。こうしたなか、スマートフォン、タブレットPCなどのハイエンド製品は今後も堅調な売れ行きが見込めよう。さらに政府は5月に省エネ製品に的を絞った直接補助策を発表しており、省エネ製品のラインナップが豊富な家電メーカーには追い風だ。

業界の特徴 ~労働集約・輸出型の産業、激しい競争を繰り広げる~

生産・販売面:

労働集約型、加工輸出型の産業。沿海部が中心地で、安価で豊富な労働力などを強みに生産。欧米など海外に輸出するほか、国内では大手量販店やネットサイトなどを通じて、「世界の市場」での販売拡大に努めている。ただ、業界再編は道半ばであり、多くの企業がひしめく状態。国内勢は低価格帯の製品に強みを持つが、価格競争に巻き込まれやすい。国内市場は大都市部で飽和の兆しも出ているが、地方都市・農村部は引き続き堅調な伸びを示している。

国際面:

「世界の工場」として、部品を輸入、国内で完成品を生産。これを世界各国に輸出する加工貿易が中心であり、中国の輸出の主力となっている。競争力は強いものの、人民元高、コスト増加などの圧力も。一方、日系、韓国系を含む海外の有力メーカーも国内市場に進出しており、激しい競争を繰り広げている。

政策面:

政府の消費刺激策のうち、「以旧換新」(主に都市部での家電買い替え奨励策)は昨年末を以って終了。「家電下郷」も、12年11月までにはすべて打ち切られる見込みだ。両政策を通じた販売額は昨年で6000億元近くに上ったと見込まれており、5月に発表された省エネ家電の購入補助策の効果を見込んでも、政策打ち切りの影響は大きい。

主要企業、主な取扱銘柄 ~厳しい競争環境の中、業績の二極化が進展~

主要企業は政府系、民営など幅広く、外資と厳しい競争を繰り広げている。当局が発表した11年度の「エレクトロニクス企業100強」によると、前年と同じく、通信設備メーカーの華為技術、パソコン大手の聯想集団(00992)、総合家電最大手の海爾集団が上位3強に入った。上場企業をみると、業績の二極化が進んだ。聯想集団は中国を含めた新興国向けのパソコン販売が伸び、12.3期も好業績が続いた。海爾集団の傘下で主に白物家電を担当する海爾電器(01169)は低価格を武器に、国内外で売上を伸ばした。海爾集団と同じく山東省に本拠を置く大手の海信集団も、傘下の海信科龍電器(00921)が特別損益を除けば増益を確保。

一方、AV部門をみると大手テレビメーカーは明暗が分かれ、創維数碼控股(00751)と TCL多媒体(01070)の業績は回復傾向。反対に、康佳集団(200016)は競争激化による値下げが圧迫要因となり、利益を大幅に減らした。こうしたなか、通信・IT機器では3Gの普及に合わせスマートフォン・タブレットPCなどハイエンド製品の販売が好調。 完成品メーカーのTCL通訊(02618)が二桁の増収増益となったほか、 EMS(電子機器の受託製造サービス)を世界的に展開する台湾系の富士康国際(02038)、音響部品を提供する瑞声科技(02018)も利益を計上した。一方、通信システム・携帯電話端末の大手である中興通訊(00763)は製品の粗利益率低下に苦しみ、減益だった。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
創維数碼控股0075123,36215.601,0396.649,568
その他深セン市を本拠とし、「創維」(Skyworth)のブランド名で知られる民営の大手テレビメーカー。LCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)、3Dテレビなどのハイエンド分野も扱っている。主力製品の液晶テレビは国内市場でトップクラスのシェア。輸出も手がける。
中興通訊0076386,25423.392,060▲36.6257,514
H株中国の大手通信設備メーカー。グローバル企業であり、新興国市場で特に強みを持つ。スマートフォンを含む携帯電話端末のサプライヤーとしての存在感も高めており、11年第4四半期の出荷台数は世界第5位だった。今後も低価格帯のスマートフォン、タブレット端末を積極的に投入する方針。加えて、通信設備では4Gの需要が将来的に注目される。
海信科龍電器0092118,4884.51227▲61.214,843
H株山東省を本拠とする総合家電大手「海信集団」(ハイセンス・グループ)の上場旗艦企業。冷蔵庫、エアコンなどの白物家電を担当している。元々は広東省の民営企業であったが、経営危機にともない海信集団の傘下に入った。冷蔵庫、エアコンの国内シェアはトップクラス。海外にも輸出している。
聯想集団00992191,14836.953,05773.1165,756
レッド「Lenovo」や「ThinkPad」などのブランドでグローバルに事業展開する世界屈指のパソコンメーカー。中国国内でトップシェアを維持しつつ、新興国、先進国の市場に攻勢をかけている。成長分野のスマートフォン、タブレットPCの生産にも従事。中国では数少ないグローバルに展開するエレクトロニクス企業として、海外での認知度も高い。
TCL多媒体0107027,34322.20375黒字転換5,571
レッド広東省の家電大手「TCL集団」で、カラーテレビ、AV機器を担当する企業。LCDバックライトテレビ、LEDテレビが主力製品。価格競争、在庫整理が重しとなり、業績が低迷していたが、サプライチェーンの統合、製品の高品質化などを進めたことで、11年に入り業績は回復の傾向。同年は前年比15.6%増の1505万台のテレビを売り上げた。
海爾電器0116949,89935.621,40644.3222,179
その他本土の家電最大手「海爾集団」(ハイアール・グループ)で白物家電を担当する上場企業。洗濯機と給湯器を製造・販売するほか、グループ内の家電の流通・販売事業も手がけている。中長期的に成長余地が大きい内陸部・農村市場で、豊富な販売網・製品ラインナップを持つ点などが強み
瑞声科技020184,05921.221,0365.0128,735
その他携帯電話端末などに使われる小型音響部品の製造を主力とする新興の民営企業。主力製品は小型のマイクロフォン、音声レシーバー、スピーカー、バイブレータ、多機能デバイスなど。同社部品はスマートフォンを含む携帯電話端末、タブレットPCなどに使われており、アップル社、サムスン、ソニーなど海外の有力メーカーに納入実績がある。
富士康国際0203841,070▲4.10470黒字転換20,107
その他世界最大のEMS企業「鴻海グループ」の傘下で、携帯電話端末の製造サービスを受け持つ台湾系企業。従業員の人事管理などで国内外の批判に晒されたほか、人件費を含む製造コストの増加などもあり、経営は苦しい。ただ、アップル社の「iPhone」製造を担当するなど、EMSでは世界有数の競争力を持っている点は強みといえよう。
TCL通訊026188,84522.4466413.972,826
レッド家電大手「TCL集団」で携帯電話端末・部品などを担当。中国では「TCL」、海外では「Alcatel」を主力ブランドとし、スマートフォン、タブレットPCを強化している。欧米を始め、アフリカ、東南アジアなど世界各国に販売網を持ち、海外売上比率が高い。世界的なスマートフォン市場の拡大が同社に追い風となる可能性も。

売上高・純利益は創維数碼控股(00751)、聯想集団(00992)が12年3月本決算。それ以外はすべて11年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1米ドル=6.4633元、1HKドル=0.8303元。

時価総額は12年7月3日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

ITハードウエア(業種別一覧)

半導体(業種別一覧)

家電・家具・電子製品 (業種別一覧)

注目されるトピックス ~省エネ能力、高付加価値化、ブランド力が益々重要に~

省エネ製品の競争力がより重要に:

当局は後継の消費刺激策として、今年5月に省エネ家電の購入補助策を発表。基準を満たした洗濯機、エアコン、温水器、冷蔵庫、薄型テレビの5品種に対して補助金を支給する。交付額は総額265億元、期間は1年を予定。目的は景気下支えにとどまらず、環境問題への対応、技術力の向上などに及ぼう。今後、省エネ製品の競争力が一層重要となる。

製品の高付加価値化は不可欠:

外資が中低価格帯にも積極的に進出してきたことから、中国企業は価格競争力を維持しつつも、ハイエンド市場も視野に入れる必要が出てきた。特にスマートフォン、タブレットPCなどへの買い替え需要は通信インフラの整備にともない、今後の成長分野。これまで以上にブランド・研究開発力が求められることから、企業間の淘汰も一段と進むと考えられる。

輸出環境は一層不透明に:

先進国は依然として景気低迷の傾向が続いており、輸出環境は不透明。先進国企業の下請けとして加工貿易に甘んじていれば、中国のコスト競争力は年々低下しており、先行きは厳しくなる。このため、自主ブランドによる輸出拡大が重要となってきており、新興国市場がその主戦場となろう。海外でも競争力がある聯想集団などの企業が注目される。(中国部 畦田)

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11年度国内エレクトロニクス企業100強の上位10社
カラーテレビの国内シェア(11年、%)
携帯電話機のブランド関心度調査(11年、%)

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