中国株 業界レポート

流通業界 ~“世界の市場”の主要プレイヤーとして存在感を拡大~

2012年7月3日

市場動向 ~世界の市場として安定成長を維持~

11年の業界規模:

小売総額:18兆3919億元(前年比17.1%増)、商品の販売総額:16兆3284億元(同17.2%増)

所得水準の向上、内需拡大策などを背景に、中国は「世界の市場」としての地位を一層強化している。11年の社会消費品小売総額は18兆3919億元に上り、実質でも11.6%増加。景気減速の影響で伸び率こそ鈍化したものの、04年から8年連続の2ケタ成長を確保した。最低賃金の引き上げ、消費レベルの高度化などが流通業の売上増に寄与。特に宝飾品など高級品の販売が好調だった。しかし、依然としてGDPに占める内需の割合は小さく、消費は全般的に力不足の感は否めない。このため、政府は新5カ年計画で内需拡大を重要視。矢継ぎ早に政策措置を講じる見込み。競争は激しいものの、全体のパイは着実に拡大すると考えられ、業界全体では大手を中心とした安定成長が今後も続くだろう。

業界の特徴 ~数多くの外資も進出し、競争は激しい~

主力事業面:

地場系、外資を含め数多くの企業がひしめく業界。主力市場は都市部で、旧正月をはじめとした長期休暇が消費のシーズンとなる。ブランド衣類・宝飾品など高級品に強みを持つ百貨店、家電量販店は景気変動や季節的要因の影響を受けやすいが、スーパーマーケットが得意とする食品など生活必需品の需要は総じて安定的。販売競争が激しく、有力企業は買収・合併などを通じてスケールメリットの拡大に努めている。

国際面:

中国需要を取り込もうと、数多くの外資企業が進出。外資規制の緩和・撤廃を追い風に事業を拡大させており、一部の欧米企業は業界のトップ10に名を連ねている。

政策面:

内需主導の経済成長に転換するために、政府は最低賃金の引き上げ。このほか、市民の所得水準向上に向けた政策措置も強化する見込みで、購買力の拡大が期待できる。

主要企業、主な取扱銘柄 ~業界の寡占度が低く、民営、政府系、外資など多くの企業が乱立~

民営、地方政府系、外資など多くの企業があるが、業界の寡占度は低い。11年の「チェーンストア企業100強」の売上高合計は全体の1割に届かず、価格競争から前年比でも約7%減少。上海市政府系の総合小売企業「百聯集団」は前年の3位から1位に順位を上げた。中核子会社の上海友誼集団(900923)は11.12期で増収増益を確保。しかし同子会社の傘下にあり、スーパーマーケット部門を担当する聯華超市(00980)は競争激化により小幅増益にとどまった。2位、3位は家電量販店の両雄である蘇寧電器と国美電器控股(00493)という民営企業がランクイン。4位は国有系コングロマリットである華潤創業(00291)傘下の華潤万家が続いた。

一方、こうした上位企業にはやや水をあけられているが、大手には民営や外資企業も多く、増益が目立った。北京市を本拠に置く大手スーパーの北京物美商業(01025)は新規出店効果で好業績を記録。スケールメリットを発揮した大手の百貨店・ハイパーマーケットが高級品の需要などを取り込み、増収増益となった。銀泰百貨(01833)、金鷹商貿(03308)、茂業国際(00848)などの地場系、新世界百貨中国(00825)、百盛(03368)、高キン零售(06808)を代表とする外資系企業が利益を増やした。このほか、香港の小売企業も隣接する本土からの観光客が大きな客層となり、売上を伸ばした。化粧品販売大手の莎莎国際(00178)、大手百貨店の利福国際(01212)などが代表銘柄。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
莎莎国際001785,31830.6857235.4313,955
その他有名ブランド化粧品の卸小売などを手がける民営企業。香港を拠点に、マカオ、中国本土などで「Sasaストア」などの店舗を展開している。「Sasa」ブランドは中華圏での知名度が高く、個人消費の拡大、健康・美容指向の高まりというトレンドを追い風にすることができる銘柄といえる。
華潤創業0029191,46927.022,351▲50.0956,525
ハンセン国有系のコングロマリット「華潤集団」に属し、消費関連事業を幅広く展開する企業。小売、飲料、食品などが中核事業で、小売ではスーパーマーケット「華潤万家」、ドラッグストア「采活」、漢方薬店「華潤堂」、伝統工芸品店「中芸」、コーヒーショップ「パシフィック・コーヒー」などを経営している。内需関連の中心銘柄といえよう。
国美電器控股0049359,82017.501,839▲6.2117,550
その他家電量販大手。企業買収を通じて規模を拡大してきた。前主席の逮捕などの影響でライバルの蘇寧電器に遅れをとってきたが、ここ数年は積極的に出店し、挽回を目指している。オンラインショッピングサイトの開設、地方都市での店舗拡大などを進めているが、一方で蘇寧電器などとの激しい競争にさらされている。
茂業国際008483,35752.7864011.057,787
その他広東省、江蘇省、四川省などを中心に中国の南部・南西部に出店する民営百貨店。傘下の成商集団(600828)は四川省での百貨店事業に加え、不動産開発も展開している。河北省の秦皇島渤海物流控股(000889)への出資を強化し、営業エリアを拡大している。
北京物美商業0102514,56215.8458610.6120,910
H株民営の小売企業。京津地区(北京市、天津市、河北省)を中心に、ハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスチェーンを展開している。本拠とする北京市で高いシェアを誇るほか、北京市と距離的に近い天津市と河北省および、東南部の浙江省で新規出店や吸収合併などにより店舗網を拡大している。
銀泰百貨018333,11736.2082119.8816,379
その他浙江省を主な地盤とする民営の大手百貨店。98年に杭州市に1号店を開設した比較的若い企業。主要顧客は都市部の富裕層。アパレル、化粧品、アクセサリーなど、中高級品の品揃えに強みを持つ。本拠を置く浙江省のほか、湖北省、陝西省や安徽省など、個人消費の拡大が見込まれる内陸部にも積極的に出店する方針。
金鷹商貿033083,21631.281,21226.3632,189
その他民営の大手百貨店。比較的に所得水準が高い江蘇省を地盤とし、同省でブランド力を発揮している。店舗の自社保有比率の高さが同社の特徴。各店舗は主な商業地の一等地にあり、国内・海外の一流ブランドをそろえ、中高所得者層を主な顧客としている点が強みだ。これまでに新規店舗を同業他社よりも速いペースで黒字化した実績を持つなど、収益力も強い。
百盛033684,93812.231,12213.2220,039
その他「百盛」(パークソン)のブランドで、百貨店事業を本土で展開するマレーシア系企業。94年に中国に進出し、北京市、上海市、重慶市、陝西省西安市、四川省成都市など主要都市に店舗を構える。アッパーミドル層をターゲットとした経営戦略をとっている。主な商品は、アパレル、化粧品・アクセサリー、家庭用品・家電、食品。
高キン零售0680868,08421.211,60055.1985,380
その他仏台合弁のハイパーマーケット大手。フランスの小売大手「オーシャン」と台湾の有力財閥「潤泰グループ」が90年代末にそれぞれ上海市に進出後、両社のシナジー効果を発揮するために合弁事業化した。国内の主要都市のほか、地方都市にも進出。「欧尚」と「大潤発」ブランドのハイパーマーケットを経営しており、市場シェアは国内トップクラス。
上海友誼集団90092347,0157.121,39133.8022,283
上海上海政府系の大型流通グループ「百聯集団」の中核企業。百貨店の「友誼百貨」、ホームセンターの「好美家」のほか、傘下に置く聯華超市(00980)を通じて、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、コンビニを経営。上海市を筆頭に、所得水準の高い華東地区を中心に多くの店舗を展開している。

売上高・純利益は莎莎国際(00178)が12年3月本決算。それ以外はすべて11年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1HKドル=0.8303元。

時価総額は12年7月3日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。換算レートは1米ドル=7.754HKドル。

小売業(業種別一覧) 卸売業・貿易(業種別一覧)

注目されるトピックス ~内需拡大が見込めるものの、物価動向には要注意~

所得水準の引き上げを通じた内需拡大へ:

政府は直接的な消費刺激策に代わって、国民の所得水準の底上げ、社会保障の整備を通じて、中長期的には内需主導型の安定成長モデルへの転換を目指している。このため、具体的な数値目標を新5カ年計画に盛り込み、最低賃金の引き上げ、所得税の減税などを推進。内需拡大の余地は依然として大きく、全国展開し、内陸部の市場でも一定のプレゼンスを築いている企業は注目できる。

新しいビジネスモデルが成長中:

流通業界では百貨店・スーパーという旧来型に加え、専門店、アウトレット、通信販売、電子商取引(Eコマース)など多くの新しいビジネスモデルが成長している。特にEコマースは注目分野であり、各社が進出している。しかし、国美電器控股のEコマース事業が苦戦するなど、一筋縄にはいかない。

物価動向には要注意:

流通業者にとって、インフレ、デフレともに収益環境の悪化を意味する。インフレ状況下では仕入価格の上昇圧力が強い一方、競争激化で販売価格への転嫁は容易でなく、体力勝負の様相ともなってくる。逆にデフレでは売れ行き自体が鈍る。国土の広さから中国の流通業者は地域ごとに分散しており、日本ほど集約されていない。メーカー側との価格競争力を高める目的もあり、地域の垣根を越えた買収・合併が増えていくものと考えられる。(中国部 畦田)

小売業(業種別一覧) 卸売業・貿易(業種別一覧)

「11年チェーンストア企業100強」のうち、弊社の取扱銘柄と関連する企業を一部抜粋
11年の流通企業(一定規模以上)の販売額上位品目流通企業(一定規模以上)の販売額の推移(品目別、11年)

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