中国株 業界レポート

建設・機械業界~景気・政策動向の影響が業績を左右~

2012年6月21日

市場動向 ~5カ年計画の初年度で重要プロジェクトが始動~

11年の業界規模:

固定資産投資額:31兆1022億元(前年比23.6%増)、鉄道投資額:5767億元(同22.5%減)、建設業総生産高:11兆7734億元(同22.6%増)

11年も投資が引き続き中国の成長をけん引し、固定資産投資額は20%台の高い水準を記録した。各企業の設備投資意欲が高かったほか、5カ年計画(11~15年)の初年度を迎えて多くの重要プロジェクトが始動するなど、官民ともに巨額の投資が動いた。これを受け、競争力のある大手の機械設備メーカーは生産量を拡大。建設業でも公共事業を中心に工事量が増加し、両業界は全体として増収増益を持続した。一方で、投資バブルの抑制を目的に年後半にかけて引き締め政策が強まり、通年では伸びが鈍化。特に鉄道インフラは昨年7月の高速鉄道事故の煽りを受け、投資に急ブレーキがかかった。

12年に入ると国内外で景気後退が進み、機械メーカー、建設会社の経営環境が一層悪化。4月末時点で業績拡大ペースは明らかに減速してきた。それでも、今後は景気下支えを目的に公共投資が増える可能性は高い。経営環境は徐々に逆風から追い風へと転じよう。

業界の特徴 ~景気動向の影響を受けやすいセクター~

主力事業面:

建設・機械設備ともに無数の企業がひしめくが、大手の大半は政府系企業であり、大型プロジェクトではほぼ寡占の状況。企業の設備投資は景気動向の影響を受けやすい。好景気の際は企業の投資意欲は高まるが、往々にしてブレーキが利かなくなり、一部製造業では過剰な生産能力が深刻な問題となっている。一方、基礎インフラをみると、交通インフラをはじめ足りない分野が多い。さらに設備の更新・改良などが課題。その分潜在的な需要は大きく、政府も安定成長に向けて積極的に支援策を展開。全体として利益率は低めであり、鋼材、建材、原油など生産要素の価格動向が収益に直接響く。

国際面:

日系も含め、海外の大手機械メーカー、大型建設会社の多くが中国に進出済み。一方、中国企業による海外での大型プロジェクトの獲得は途上国を中心に増加傾向。ただ、海外である分、為替・政治リスクはつきもの。

政策面:

新5カ年計画に基づき、政府は基礎インフラの整備を重視。一方、公共事業の規模拡大は投資バブルに結びやすいことから、審査の厳格化など手綱も引き締めるなど、硬軟織り交ぜた政策スタンスをとっている。インフラ関連企業は官需に頼る部分も大きく、政策の影響を受けやすい。

主要企業、主な取扱銘柄 ~政府系企業が主役、投資増減の影響を受け各社で明暗が分かれる~

大型の建設プロジェクトは国有系大手の寡占状態。鉄道インフラ建設は鉄道事故により工事が滞り、大手の中国中鉄(00390)は11.12期に減収減益となった。ライバルの中国鉄建(01186)は海外事業で前期のような巨額損失がなかったことから、大幅増益。それでも売上を減らしており、事故の影響は受けた。一方、中国交通建設(01800)は事故の影響は軽微であり、強みとする港湾、橋梁建設事業が伸びて好業績を確保した。さらに国内最大の建築・不動産総合企業グループを形成している中国建築(601668)は、子会社の中国建築国際(03311)が大幅な増収増益を記録。全般的に大手といえども人件費・原材料価格の上昇に苦しみ、その中でもプラント建設の中国冶金科工(01618)は二桁減益に後退した。

一方、機械設備は分野ごとの業界集約度が比較的高い。鉄道設備大手の中国南車(01766)はこれまでの豊富な受注残に支えられ、鉄道事故の余波に負けずに大幅な増収増益。工事に欠かせない建設機械は需要が拡大し、大手の中聯重科(01157)は利益を大きく増やした。しかし、競争は激しく、数少ない民営大手の中国龍工(03339)は減益に後退。工作機械でも競争激化や生産コスト高の影響で、雲南省を本拠とする瀋機集団昆明機床(00300)が利益を大きく減らした。

なお、12.12期に入ると、好業績を確保していた建設会社・機械メーカーでも業績にブレーキがかかってきている。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
中国中鉄00390442,216▲3.066,690▲9.5768,509
H株鉄道建設を中核とする国有系の総合建設会社。世界でも有数の事業規模を誇る。主力のインフラ建設は鉄道、道路、トンネル、港湾などを幅広くカバー。特に鉄道では国内トップクラスのシェアを持つ。インフラ建設との相乗効果を狙い、不動産開発を積極展開している点も特徴。
山東墨龍石油機械005682,7381.29168▲39.046,083
H株山東省を本拠とする民営の石油採掘設備メーカー。主力製品は油井管。3大石油会社を顧客に持ち、良好な関係を築いている点が強み。製品の高付加価値化に向けて口径180ミリメートルの油井管の生産プロジェクトを進めており、この成否が今後の競争力を大きく左右しよう。
中聯重科0115746,32343.898,06672.8794,219
H株地元政府系の建設機械メーカー。建設機械で国内2位、世界でも上位にランキングされる。主力製品はコンクリートポンプ車、起重機。5カ年計画で重点的なインフラ整備が見込まれる内陸部の湖南省を本拠としている。
中国鉄建01186457,366▲2.727,85484.9770,905
H株国有系の総合建設企業。主力は工事請負事業で、鉄道建設が中心。足元では鉄道以外の分野も強化しており、高速道路、発電、空港、港湾、都市インフラなどを幅広く網羅。海外事業に積極的な点も特徴として挙げられる。
中国冶金科工01618229,72111.304,243▲20.2654,167
H株国有系の大手エンジニアリング企業。金属精錬プラントの建設では圧倒的なシェアを誇る。金属生産設備や鋼構造の製造、金属資源の開発など、金属関連の総合企業を目指している。一方で金属相場や、顧客である鉄鋼、非鉄金属メーカーの影響を受けやすい。
中国南車0176679,51623.993,86452.9680,345
H株二大国有鉄道メーカーの一角を占める。主な製品は機関車、客車、貨車、マルチプル・ユニット、高速鉄道車両。主要顧客の鉄道部との関係が深く、鉄道インフラ整備の恩恵を受けやすい。鉄道向け制御システムは傘下の株洲南車(03898)が担当している。
中国交通建設01800294,2817.9011,76722.59100,377
H株交通インフラ建設で大きなシェアを占める中央政府系企業。港湾クレーン最大手の上海振華重工(900947)を傘下に収め、国内外で事業展開している。港湾・河川関連のインフラ建設、浚渫では国内最大の規模を誇り、海外の受注実績でも国内勢の先頭を走る。
重慶機電0272210,54618.727377.204,237
H株重慶市政府系の機械メーカー。主な製品は商用車部品、電力設備、一般機械、工作機械。内陸部最大の都市、重慶市に本拠を置き、地元政府との関係が深いことなどが特徴。欧州企業への買収・合弁事業の展開を通じて、技術導入を進めている。
上海電気0272767,9177.883,26717.3770,509
H株上海市政府系の大型工業企業。電力設備を中心に、重工業設備、電機、輸送設備など、数多くの大型機械を生産している業界のリーディングカンパニー。上海機電(900925)をはじめとした複数の上場企業を傘下に置くほか、上海オートメーション器具(900928)、上海集優機械(02345)など、兄弟会社とする上場企業も多い。
中国建築国際0331113,59936.691,25145.4626,542
レッド国内最大級の建築・不動産グループ「中国建築」(601668)に属する建設会社。香港を中心に、中国本土や海外各地で建設・土木・インフラ工事などを展開する。低所得者向け住宅の建設では親会社の競争力を背景に受注を獲得できる可能性が高い。
中国龍工0333912,7215.831,729▲2.048,689
その他民営の大手建設機械メーカー。主力製品はホイールローダ、油圧ショベルなどで、中核部品を自社開発している点が特徴。収益源の多様化を図るため、利益率の高い油圧ショベルの生産能力を倍増させる計画。

売上高・純利益は11年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1HKドル=0.8303元、1米ドル=6.463元。

時価総額は12年6月21日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

建設(業種別一覧)  産業用機械(業種別一覧)
その他輸送用機械(業種別一覧)  電気設備(業種別一覧) 

注目されるトピックス ~5カ年計画の2年目、インフラ需要は引き続き増加が見込める~

5カ年計画の2年目、民生分野のインフラ整備には手厚い予算も:

5カ年計画の2年目にあたる今年は、公共事業による景気下支えという色彩がより濃厚となった。一方で過去の反省を踏まえ、バブルを誘引するような大盤振舞となる可能性は低い。低所得者向け住宅の整備、農村・西部地区の基礎インフラなど、民生分野には予算が手厚く配分されるようだ。

インフラ投資に潜むリスクを暴露した高速鉄道:

一方で旺盛な固定資産投資の弊害も顕在化。昨年7月に浙江省で起きた高速鉄道事故は拡大一辺倒の鉄道インフラ投資に大きな反省を迫るものだった。ただ、当局による見直し作業はひと段落ついたと考えられ、鉄道を含めた今後の交通インフラ需要は増加が見込める。

製造業の高度化を目指した企業の設備投資:

民間の設備投資は益々、“生産能力の拡大一辺倒“から”効率化・高度化の追求“という方向に進んでいこう。これを促進するため、戦略的新興産業に機械設備のハイエンド化が盛り込まれた。政府・顧客企業のニーズに応えられない設備メーカーは淘汰、あるいは大手に吸収される可能性も。業界の再編が一層進むものと考えられる。(中国部 畦田)

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都市部固定資産投資の内訳と前年比伸び率(11年)
固定資産投資額と前年比伸び率の推移 ※毎年1月単月の値は発表されず、2月に1-2月の累計値が発表される
建設業の総生産高の推移(四半期ベース)

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