中国株 業界レポート

非鉄金属業界 ~世界の非鉄大国、市況の影響を大きく受けやすい~

2012年6月22日

市場動向 ~世界最大の生産・消費国、11年は上期と下期で明暗が分かれる結果に~

11年の業界規模:

10種非鉄金属生産量:3438万トン(前年比9.8%増)、非鉄金属の貿易総額:1607億米ドル(同28.1%増)、一定規模以上の企業による売上高:3.9兆元(同35.0%増)、税引き後利益:1990億元(同53.1%増)

中国は非鉄金属の生産、消費量ともに世界最大の規模を誇る。11年前半は世界景気の回復期待、商品相場の上昇トレンドなどを背景に、輸出入ともに増加した。国内でも旺盛な固定資産投資の恩恵を受けたほか、業界再編・旧式設備の淘汰が進み、無秩序な生産増による過当競争リスクも低下。多くの金属で販売価格が上昇した。しかし、後半に入ると景気減速、引き締め政策の影響で需要が減少。これに欧州債務問題の深刻化で外需も落ち込み、金属価格が急落した。通年では多くの企業が増益を確保したものの、上期と下期では明暗が分かれた。

12年に入っても内需・外需ともに懸念要因が少なくなく、経営環境の先行き不透明感は強い。だが、一方でこれにより零細企業の淘汰が進むとみられ、大手にとっては戦略しだいでシェア拡大の機会ともなり得る。製品の高付加価値化や省エネなどにいち早く取り組んできた企業にとっては、むしろ追い風になるだろう。

業界の特徴 ~内外の市況の影響を大きく受けるセクター~

生産・販売面:

非鉄金属業界は国内外の商品市況の影響を大きく受けるセクター。大きく川上の探査・採掘・選鉱、川中の精錬、川下の製品加工に分けられ、最終的に建設、電力設備、家電など幅広い業界に販売されるため、需要は設備投資、個人消費などの影響を受ける。また希少金属、特に金は安定資産としての役割もあり、投資需要も大きい。非鉄金属資源の多くは中西部に分布。資源大国であるものの国内だけでは需要をまかないきれず、海外から鉱石を輸入しているため、価格交渉は重要。採掘・精錬・加工の過程では大量のエネルギーを消費するため、環境対策も必要になるほか、電力など燃料価格の動向もコストに影響する。鉄鋼と同じく一部生産設備の「過剰、小規模、老朽化」という構造的な問題を抱えている。

国際面:

中国は世界でのレアメタル埋蔵量の大半を占めるなど金属資源が豊富。このため資源の輸出国でもあるが、国内需要を優先するため、希少資源については輸出制限の方向にある。日本とのレアアースを巡る緊張もこの流れで発生した。一方、国内の需要増を受け、オーストラリア、チリなどからの鉱石輸入は拡大しており、非鉄金属関連の貿易収支は赤字基調。こうしたなか、資源確保のため中国企業による海外進出が活発化している。

政策面:

国内の非鉄金属資源は国有であり、企業は採掘・使用権を有償で取得するほか、鉱石の生産に対して資源税が課せられる。政府は過剰気味な生産能力の整備、業界再編、製品の高付加価値化、海外進出などを推し進めている。

主要企業、主な取扱銘柄 ~大手は政府系が中心、主要金属ごとに有力企業が存在~

非鉄金属業界は鉄鋼に比べ集約度は高い。川上・川中では大手は政府系企業に限られ、それぞれ複数の上場企業を持つ。11年は上期まで商品相場が概ね高値圏で推移。各社は生産量を増やし、業績を拡大させた。下期に入ると国内外の景気減速から経営環境が一段と厳しくなったが、大手の多くは通年で増益を確保できた。金属ごとに有力企業があり、銅最大手の江西銅業(00358)は二桁増益を記録。貴金属では主要な金鉱山がある福建省、山東省にそれぞれ本拠を置く大手の紫金砿業(02899)、招金砿業(01818)が、いずれも増益となった。これらの企業はいずれも地方政府が支配している。中央政府系の企業をみると、アルミ最大手の中国アルミ(02600)が製品価格の下落、製造コストの上昇に見舞われ、業績を大きく落とした。一方、中信資源控股(01205)は金属貿易事業が堅調で増収増益となるなど、明暗が分かれた。なお、金属貿易では国有企業の中国五砿集団公司が圧倒的なシェアを誇り、傘下の五砿資源(01208)は金属価格上昇の恩恵を享受。中国五砿集団公司は川上の金属生産にも進出しており、一昨年に買収した湖南有色金属(02626)は利益を増やした。このほか、レアメタル・レアアース価格の上昇を追い風に、鉱山権益を保有している洛陽欒川(03993)、中間製品を生産する民営の中国稀土(00769)も大幅増益を記録した。だが、12年に入ると業績が伸び悩む企業も目立ってきている。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
江西銅業00358117,11953.826,58632.0785,541
H株江西省に本拠を置く、国内の銅最大手。露天掘り銅山「徳興銅砿」、「永平銅砿」は国内最大級の埋蔵量を誇り、生産量は世界でも有数の規模。金、銀、モリブデンなども生産しており、貴金属・レアメタル価格の上昇による恩恵も受けやすい。
中国稀土007691,83798.20434292.533,513
その他蛍光体を含むレアアース製品、高温セラミックなど耐火材の生産・販売を手がける民営企業。製品は本土を中心に、日本、欧州、米国向けに販売している。香港上場企業では数少ないレアアース関連銘柄として名前を挙げられることが多いが、直接に資源権益を保有しておらず、注意が必要。
中国金属再生資源0077343,292131.651,545110.026,938
その他廃金属のリサイクル業を手がける民営企業。業界でトップクラスのシェアを持ち、大手の鉄鋼・非鉄金属メーカーを顧客としている点などが強み。華南地方を主力市場とし、華東、華北地方への進出を加速している。金属需要と環境保護を両立させるため、政府は金属リサイクル産業を重要視。政策的な恩恵も期待できる。
中信資源控股0120531,96319.361,82999.969,518
レッド政府系コングロマリットの中国中信集団に属し、資源事業を担当する企業。オーストラリアでアルミニウム、石炭などの鉱山権益を保有しており、鉱石や中間製品を中国に輸入している。このほか、中信大モン(01091)を通じて、中国最大のマンガン鉱、世界最大規模のマンガン製造・販売会社を保有している。
五砿資源0120814,40116.063,49532.1216,874
レッド中国最大の金属貿易会社「中国五砿集団」のグループ企業。主要事業はアルミナなど非鉄金属の貿易、アルミ加工などで、アルミナの輸入量は国内有数の規模を誇る。米アルコアと長期の供給契約を交わすことで、資源の安定調達を図っている。近年は企業買収を通じて、海外の鉱山権益の確保に努めている。
招金砿業018185,74140.101,66138.2729,149
H株山東省を本拠とする地方政府系の金鉱会社。金の採掘、加工、精錬、販売を手がける。保有する金鉱には国内最大規模の地下鉱脈が含まれる。主要製品は「招金」ブランドの延べ棒で、国内では有名。売上高のほとんどを金関連の事業から挙げており、金相場の影響を特に受けやすい点が特徴。
中国アルミ02600145,87420.56237▲69.4189,395
ハンセンアルミナ・一次アルミニウムの生産などで国内最大手の国有系企業。生産規模は世界でも上位に入る。原材料となるボーキサイトの採掘なども手がける。親会社は資源メジャーの一角を占めるリオ・ティント社に資本参加している。業界全体で見られる過剰気味な生産能力が懸念材料。
湖南有色金属0262624,54613.672932297.258,641
H株大手の非鉄金属メーカー。中国五砿集団が支配している。主力製品は希少価値のある金属が多い。金属資源の豊富な湖南省を本拠としており、採掘から加工製品の販売まで一貫した体制を構築していることが強み。
紫金砿業0289939,76339.335,71218.3292,391
H株福建省を地盤とする地元政府系の大手金鉱会社。主力とする金のほか、銅、亜鉛鉱など幅広い金属を手がける。規模と産出量で国内最大級の露天掘り金鉱など、複数の鉱山を保有。海外の資源会社に出資するなど、積極的に海外事業も展開している。
新疆新キン砿業038331,45424.53191▲45.393,536
H株新疆ウイグル自治区で非鉄金属事業を展開する地元政府系企業。採掘から加工まで一貫した生産体制を構築している。ニッケル、銅、コバルト、金、銀、プラチナなどの金属を生産。主力製品は国内有数のシェアを持つ電気ニッケル。
洛陽欒川039936,00136.521,12216.2914,190
H株河南省洛陽市の政府系企業で、中国屈指のモリブデンメーカー。採掘、浮遊選鉱、焙焼、精錬、川下分野の加工などを一貫して手がける。タングステンの生産にも力を入れており、保有する鉱山は世界有数のタングステン埋蔵量を誇る。
オルドスリソーシズ90093613,63216.148763.2110,762
上海内蒙古オルドス市の多角経営企業。世界最大級のカシミアメーカーとして知られているが、近年は金属(フェロシリコン、シリコン、シリコンマンガンなど)、石炭生産などの資源事業を強化。JFEスチール、三井物産など日本企業とも戦略提携し、合金鉄を生産する。フェロシリコンは世界最大規模の生産能力を誇る。

売上高・純利益はすべて11年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1HKドル=0.8303元、1米ドル=6.463元。

時価総額はオルドスリソーシズ(900936)が12年6月21日、それ以外が6月22日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。換算レートは1米ドル=7.760HKドル。

非鉄金属(業種別一覧) 鉱業(業種別一覧)

注目されるトピックス ~先行き不透明感が燻るなか、マクロ政策への対応、安定的な資源確保がカギに~

当局による強力なマクロコントロールの成否:

当局は同業界に対するマクロコントロールを強化。過剰気味の生産能力、エネルギー高消費・高汚染という体質を改善させることが目的であり、老朽化した設備淘汰を進めている。さらに地域を跨いだ業界再編を推進しており、今後も国有企業を中心に再編の波が加速するものと考えられる。こうした政策が今後も有効に機能すれば、業界の抱える構造問題の解決、小規模企業の淘汰、有力企業の競争力向上などにもつながろう。

生産・販売環境は厳しさを増す:

今後、非鉄金属メーカーの生産環境が益々厳しくなることが予想される。電力不足や旱魃により、生産に必要な大量のエネルギー・水の調達に影響が出る恐れがあるためだ。国内外の景気減速にともない年内は需要の先行きも楽観できない。

安定的な資源確保ができるか:

それでも、国内需要は都市化の進展、工業製品の高付加価値化などの流れを背景に、長期的には増加傾向をたどると予想される。安定的な資源確保は業界にとって重要テーマであり、中国企業による海外での資源獲得の動きは一層強まろう。一方でレアメタル・レアアースは輸出抑制の政策が続くと考えられるが、これにより諸外国との軋轢が増す恐れも。(中国部 畦田)

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中国の10種非鉄金属の生産量
主要3金属の国際価格の推移(過去10年の平均値を100として指数化)
非鉄金属業界の業績推移

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