中国株 業界レポート

電子・電器業界

~厳しい経営環境のなか、製品のハイエンド化に活路~
2013年6月3日

市場動向 ~「世界の工場」も景気低迷の影響を受け、価格競争・在庫整理に追われる厳しい状況~

12年の業界規模:

売上高:8兆4619億元(前年比13.0%増)、税引き前利益:3506億元(同6.2%増)、輸出額:6980億米ドル(同5.6%増)

「世界の工場」である中国は多くのエレクトロニクス企業が集積する一大生産拠点。多くの分野で世界トップクラスの規模を誇り、輸出比率も高い。12年は国内外の景気低迷の影響を受け、売上高、利益、輸出額ともに伸び率が鈍化。国内では「家電下郷」(農民による家電購入の促進策)の打ち切り、住宅需要の減少を受け、過剰気味の生産設備があだとなった。海外でも欧州債務問題などの影響を受けるなど、大手といえども安値競争と在庫整理に追われる厳しい経営環境。製品の高付加価値化、M&A、新興国市場の開拓などに活路を見出す企業もみられた。

国内外の景気見通しが不透明な段階では、市況の本格回復は時期尚早といえよう。それでも昨年9月を底に、生産は緩やかながらも回復基調。引き続きスマートフォン、大画面テレビなどハイエンド製品は堅調な需要が見込めるほか、急速に発展する内陸市場や電子商取引の恩恵を如何に取り込めるかがカギとなろう。

業界の特徴 ~労働集約・輸出型の産業、「世界の工場」で生産し、海外や「世界の市場」で販売~

生産・販売面:

労働集約型、加工輸出型の産業。沿海部が中心地で、安価で豊富な労働力などを強みに生産。欧米など海外に輸出するほか、国内では大手量販店やネットサイトなどを通じて、「世界の市場」での販売拡大に努めている。ただ、業界再編は道半ばであり、多くの企業がひしめき、価格競争が非常に厳しい状態。こうしたなか、国内勢が外資(特に日系企業)からシェアを奪いつつあることが最近の特徴。大都市部の市場に飽和感が強まるなか、地方都市・農村部の販売網で優位に立っているためだ。

国際面:

「世界の工場」として部品を輸入、国内で完成品を生産し、世界各国に輸出する加工貿易が中心。エレクトロニクス製品は輸出全体の約35%を占める。ただし、人民元高、コスト増加などの圧力に晒され、価格競争力はやや低下している。輸出の主な担い手は日系、韓国系を含む外資で、国内市場でも積極的に販売攻勢をかけている。一方、これを迎え撃つ地場系企業も力をつけており、海外にも進出。昨年4月には大手の海爾集団が日本の三洋電機の白物家電事業を買収した。

政策面:

政府の消費刺激策のうち最後まで残った「家電下郷」は昨年2000億元を超える販売効果をもたらしたが、今年1月に完全に終了。これを引き継ぐかたちで昨年に導入された省エネ家電の購入補助制度も今年5月末には打ち切られる見通しだ。政策的な支援材料は乏しい。

主要企業、主な取扱銘柄 ~競争激化のなか、製品のハイエンド化に成功した大手は好調~

主要企業は政府系、民営など幅広い。12年度の「エレクトロニクス企業100強」によると、引き続き華為技術、聯想集団(00992)、海爾集団が他社を引き離し上位3強に入った。香港上場企業をみると業績の二極化がさらに進んだ。聯想集団はパソコン、スマートフォン、タブレットPCなど主力製品のシェア拡大を受け、好業績を継続。また、白物家電メーカーは比較的堅調だった。総合家電の大手である海爾集団と海信集団はともに山東省青島市に本社を構えており、それぞれ海爾電器(01169)、海信科龍電器(00921)が白物家電を担当。いずれも製品構成の改善や積極的なマーケティングが奏功して大幅増益を達成した。

テレビ市場は海信集団のほか、広東省を地盤とするTCL多媒体(01070)、創維数碼控股(00751)、康佳集団(200016)の3社が大手を形成しており、いずれもハイエンド化を通じて外資のシェアに食い込み、業績を拡大させた。このほか、昨年もスマートフォン市場の拡大が目立ち、部品サプライヤーの瑞声科技(02018)は大幅増益を達成した。しかし、多くのメーカーは価格競争から抜け出せず、「ZTE」ブランドを展開する中興通訊(00763)、TCL多媒体と兄弟会社の関係にあるTCL通訊(02618)などは販売こそ伸ばしたものの、利益貢献は限られた。また、国内外の景気低迷を受け、EMS(電子機器の受託製造サービス)の世界大手である台湾系の富士康国際(02038)が赤字に転落した。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
創維数碼控股00751 23,36215.61,0396.613,989
香港その他 国内市場を中心とする深セン市の民営のテレビメーカー。「創維」(Skyworth)のブランド名で知られ、液晶テレビではトップクラスのシェアを誇る。LCD、LED、3Dテレビなどのハイエンド分野に注力しており、外資のシェアを侵食し、12.9期(中間)は2ケタの増収増益を達成した。輸出も手がける。
中興通訊00763 84,219▲2.4▲2,841赤転52,479
H株 国内屈指のエレクトロニクス企業。「ZTE」ブランドでグローバルに事業展開している。主力の通信設備部門は将来の4G需要が注目される。スマートフォンを含む携帯電話端末のサプライヤーとしての存在感を高めており、13.1-3期の世界シェアは第5位の3.4%。世界の国際特許出願数で企業として2年連続の1位に輝くなど、研究開発に強い。
海信科龍電器00921 18,9592.5718216.211,312
H株 山東省を本拠とする総合家電大手「海信集団」(ハイセンス・グループ)の上場旗艦企業。冷蔵庫、エアコンなどの白物家電を担当し、主力ブランド名は「海信」、「科龍」、「容声」。元々は広東省の民営企業であったが、経営危機にともない海信集団の傘下に入った。冷蔵庫、エアコンの国内シェアはトップクラス。
聯想集団00992 213,72814.54,00634.381,646
ハンセン 「Lenovo」や「ThinkPad」などのブランドでグローバルに事業展開する世界屈指のエレクトロニクス企業。主力製品のパソコンは国内トップ、世界2位にランキングされている。また、成長分野のスマートフォン、タブレットPCは地場系ブランドとして国内トップクラスのシェアを誇るまでに成長。海外では新興国市場に攻勢をかけている。中国では数少ないグローバルブランドとして、海外での認知度も高い。
TCL多媒体01070 32,95020.5756101.38,540
レッドチップ 広東省の家電大手「TCL集団」で、カラーテレビ、AV機器を担当する企業。サプライチェーンの統合、製品のハイエンド化などを進めたことで、11年に業績が回復傾向に入ると、12年に利益が大幅に増加。年間のテレビ販売台数を世界4位の1756万台(前年比16.7%増)まで伸ばした。
海爾電器01169 55,61511.01,69520.434,394
香港その他 本土の家電最大手「海爾集団」(ハイアール・グループ)で白物家電を担当する上場企業。洗濯機と給湯器を製造・販売するほか、グループ内の家電の流通・販売事業も手がけている。中長期的に成長余地が大きい内陸部・農村市場で、豊富な販売網・製品ラインナップを有する点などが強み。同社グループは旧三洋電機の白物家電事業を傘下に収めており、今後の買収効果が期待される。
瑞声科技02018 6,28354.81,76370.154,339
香港その他 携帯電話端末などに使われる小型音響部品の製造を主力とする新興の民営企業。主力製品は小型のマイクロフォン、音声レシーバー、スピーカー、バイブレータ、多機能デバイスなど。同社部品はアップル社の「iPhone」を含むスマートフォン、タブレットPCなどに使われており海外の有力メーカーを顧客としている。
富士康国際02038 33,062▲17.5▲1,993赤転32,042
香港その他 世界最大のEMS企業「鴻海グループ」の傘下で、携帯電話端末の製造サービスを受け持つ台湾系企業。従業員の労務管理などで国内外の批判に晒されたほか、海外の景気低迷による大口顧客からの受注減少、人件費を含む製造コストの増加などもあり、経営は苦しい。ただ、EMSとしては世界有数の競争力を持っており、海外の景気回復に連れて業績が持ち直す可能性は十分にある。
TCL通訊02618 9,98912.9▲172赤転4,466
レッドチップ 家電大手「TCL集団」で携帯電話端末・部品などを担当。中国では「TCL」、海外では「Alcatel」を主力ブランドとし、スマートフォン、タブレットPCを強化している。欧米を始め、アフリカ、東南アジアなど世界各国に販売網を持ち、海外売上比率が高い。スマートフォン市場の拡大が販売面で追い風になっておりものの、価格競争からなかなか抜け出せず、製品のハイエンド化が課題となっている。
康佳集団200016 18,33813.14683.54,587
深センB株 深セン市を本拠とする大手家電メーカー大手。「康佳」(KONKA)ブランドで知られ、主力とする液晶テレビ、携帯電話端末から、冷蔵庫、炊飯ジャーなどの白物家電も手がける。改革開放政策により誕生した最初の中外合弁電器メーカーを前身とする、業界の老舗である。

売上高・純利益は創維数碼控股(00751)は12年3月本決算、聯想集団(00992)は13年3月本決算。それ以外はすべて12年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1HKドル=0.8303元、1米ドル=6.3097元。

時価総額は13年6月3日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

ITハードウェア(業種別一覧) 半導体(業種別一覧)

家電・家具等(業種別一覧)

注目されるトピックス ~製品のデジタル化、新興国市場の開拓が不可欠に~

新たな消費刺激策が導入されるか、政策見通しは不透明に:

「家電下郷」が今年1月に完全終了し、省エネ家電の購入補助制度も5月末から段階的に打ち切られるなか、市場の関心は当局が後継となる消費刺激策を導入するかに集まっている。リーマンショック後、家電業界が政策効果に頼ってきた部分は否定できず、特に中小メーカーには厳しい局面が訪れよう。ただ、消費刺激策は業界の健全な発展にはマイナスという指摘も。政策見通しは不透明といえる。

デジタル化に対応した製品ラインナップの構築は不可欠:

外資が中低価格帯、中国勢が高価格帯への進出を強めるなど、これまでの住み分けが壊れつつある。以前までの高成長は望みにくいなか、価格競争力を保ちつつデジタル化に対応した製品ラインナップを如何に充実できるかがカギ。通信機器ではスマートフォン、タブレットPC、テレビではスマートテレビなどへの買い替え需要を取り込めるかが重要となる。

輸出では新興国市場の開拓力が勝負の分かれ目に:

世界景気の先行きが不透明のなか、先進国企業の下請けとして加工貿易だけに甘んじていれば、中国のコスト競争力は年々低下しており、業績悪化のリスクが大きい。このため、自主ブランドによる輸出拡大が重要となってきており、新興国市場がその主戦場となろう。大手はすでに動いており、聯想集団は今年1月にブラジル大手家電会社への買収を成功させた。(中国部 畦田)

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家電・家具等(業種別一覧)

エレクトロニクス産業の販売・輸出額(12年、製品分野別)
12年度国内エレクトロニクス企業100強の主要企業

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製品別の校内販売シェア(12年、★は地場系ブランド)

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