中国株 業界レポート

通信業界

~スマートフォンの普及が進むなか、3G、将来的には4Gが主戦場に~
2013年6月5日

市場動向 ~世界最大の携帯電話加入件数を誇る、3G増加が追い風となるも競争は激化~

12年の業界規模:

営業収益:1兆763億元(前年比9.0%増)、固定資産投資:3614億元(同8.5%増)、携帯電話加入件数:11億1216万件(同12.8%増)。

通信キャリアにとって、主要収益源は移動通信事業。中国は世界最大の携帯電話市場であり、12年末の携帯電話加入件数は11億件を突破。純増数の多くを3G(第三世代移動通信)が占め、その数は1億件を超えた。低料金の3Gサービス拡充を受けてスマートフォンの利用者が急増、携帯電話全体の約26%を占めるに至った。同年の通信業者の営業収益は3Gユーザーの順調な増加を受け、初めて1兆元の大台に乗せた。このうち、携帯電話事業からの収益は7934億元。ただ、伸び率は10.6%に減速した。通話料収入が伸び悩んだほか、激しい価格競争、販促費負担などがキャリアの重荷となった。また、固定電話部門の不振も続いている。

なお、市場の関心は今年中とも噂される4G(第四世代移動通信)ライセンスの交付に移っている。4Gを見込んで昨年は抑制気味だったキャリアによる設備投資も、今年は再び盛り返す可能性が高い。4Gサービスは激しい競争が予想されるものの、市場全体の活性化に繋がろう。また、当局主導で「三網融合」(電信、放送、インターネット網の一体化=トリプルプレイ)や、大規模なブロードバンド網整備が進められる見込み。3G、そして将来の4G需要を喚起する可能性が高い。

業界の特徴 ~国有系大手3社が寡占する、規制色の強い業界~

主力事業面:

国有系の通信キャリアが市場をほぼ寡占しており、携帯電話とブロードバンドが成長源。収入の多くを東部沿海地域で得ている。3Gサービスの普及が更に進み、携帯電話も多機能化が進行。スマートフォンの需要が急増した。このチャンスを捉えるために、各キャリアは独自のサービスを展開。市場シェアの拡大にしのぎを削っている。だが、サービス拡大にあわせ通信網などを整備する必要があり、巨額の設備投資の負担は重い。販促費の増加も悩みだ。すでに広く普及している携帯電話は、双方向の課金制、プリペイドカード方式などが中心であり、システムが日本とは大きく異なっている。

国際面:

本土では外資による通信サービス事業への参入は原則的に禁止されており、端末、通信設備などの周辺市場に限られているが、そこでの存在感は大きい。3Gの通信規格は国際規格であるW-CDMA、CDMA2000に加え、中国独自開発の「TD-SCDMA」がある。さらに将来的に4Gの可能性を考えると、中国主導の「TD-LTE」という規格も注目される。

政策面:

規制色の強い業界。当局は独自開発のTD-SCDMAの拡大を支援しているほか、端末機の購入補助などを通じて、携帯電話の内陸・農村部へのより一層の普及を狙っている。

主要企業、主な取扱銘柄 ~本土は国有系3社、香港は財閥系企業が中心、いずれも競争は厳しい~

本土の通信業界は国有系大手3社による寡占状態。3社は特に成長分野の3Gで激しい競争を繰り広げている。最大手であり、中国独自の3G規格「TD-SCDMA」を担う中国移動(00941)は引き続き、加入件数、営業収益・利益いずれの面でも他社を圧倒。しかし、販管費が嵩み全体としては小幅な増収増益にとどまった。固定通信最大手の中国電信(00728)は主戦場の3G部門で「iPhone」投入の効果が表れたものの、こちらも販促費の負担に苦しみ、12.12期の最終損益は減益に後退した。一方で、移動・固定通信ともに業界2位の中国聯合網絡通信(香港)(00762)は大幅な増益を確保。コンテンツ力などを強みに3G部門が順調にユーザー数を伸ばし、収益増に大きく貢献した。3社ともに低価格帯のスマートフォンを積極投入し、中低価格層の3Gユーザー開拓に注力。2Gの加入件数では中国移動が他社を大きく引き離しているが、3Gでみると3社ともに接近している。しかし、年後半にかけては中国移動が3G純増数を大きく伸ばした。なお、大手通信キャリアを顧客とする中国通信服務(00552)と中信国際電訊(01883)の両社も、12.12期は増収増益を確保することができた。 一方、香港の通信業界は地場系企業が主役。数碼通電訊(00315)、和記電訊香港(00215)と電訊盈科(00008)、香港移動通訊(CSL)の大手4社はいずれも香港の有力財閥に属する。これと本土最大手の中国移動の香港子会社を加えた5社体制となっており、すでに商用サービスを開始した4G分野を中心に、激しい競争を繰り広げている。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
電訊盈科0000821,0212.81,3803.526,617
香港その他香港大手の通信事業者。固定・移動・国際電話サービス、ブロードバンド・テレビ事業などを展開。クワドロプルプレイ(固定電話、ブロードバンド、テレビ、移動通信の複合サービス)を実現している点が特徴。実質筆頭株主の李沢楷主席は、香港一の富豪として知られる李嘉誠氏の次男。このほか、中国本土の大手キャリアである中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)も大株主となっている。
和記電訊香港0021512,89915.91,01820.320,047
香港その他香港の大手通信キャリア。香港とマカオで「3」ブランドの携帯電話サービスを提供するほか、「HGC」ブランドでブロードバンド、音声通話、国際通話など固定電話事業も手がける。携帯電話事業はGSM、3G、4Gサービスを提供。NTTドコモや米アップル社、英ボーダフォンと提携している。香港一の富豪と知られる李嘉誠氏が、長江実業(00001)、和記黄埔(00013)を通じて支配している。
数碼通電訊003158,26350.184935.613,701
香港その他香港・マカオで携帯電話サービス事業、携帯電話端末の販売事業を展開する大手企業。郭炳江・主席などが率いる有力コングロマリット「新鴻基地産」(00016)の傘下にある。長年続けてきたボーダフォングループとの提携を解消し、現在は「SmarTone」ブランドでサービスを展開。LTEに対応した「iPhone5」を取り扱っている。
中国通信服務0055261,51714.42,40713.033,591
H株中国電信集団(チャイナテレコム)の傘下にある通信事業のサポートサービス会社。通信事業者向けのBPO、アプリケーション・コンテンツなどの事業を展開する。「三網融合」、ブロードバンド拡張計画を契機に通信事業者の設備投資意欲が強まるとみられるなか、同社がその恩恵を享受する可能性も。
中国電信00728283,07315.514,925▲9.5299,450
H株3大通信キャリアの一角。固定通信・ブロードバンドでは国内最大のユーザー数を誇るなか、携帯電話事業への参入を手がかりに業績は改善傾向。3Gに限ると、先行する2社に対して健闘しており、「iPhone」の取扱いも始めた。通信事業者の総合力が問われるなか、固定・ブロードバンドでトップシェアを誇る同社は注目を集めよう。
中国聯合網絡通信(香港)00762248,92619.07,09667.9250,033
ハンセン中国聯合網絡通信の傘下にある携帯電話事業の国内大手。2GではGSM、3GではW-CDMA規格の携帯電話サービスを提供するほか、再編により中国網通集団の固定通信事業を引き継いだ。移動、固定通信ともに国内第2位の規模。長らく「iPhone」を独占的に取り扱ってきた。
中国移動00941560,4136.1129,2742.71,614,088
ハンセンユーザー数で世界最大の携帯電話事業会社。国内で2位以下を大きく引き離している。GSM/GPRS規格の移動通信網を運営するほか、3Gでは国産規格「TD-SCDMA」を通じた通信サービスを提供。さらにそれを発展した4G規格「TD-LTE」を展開しており、香港ではすでに商用サービスを開始。本土でも試験サービスや基地局設置を進めている。
中信国際電訊018832,99712.93820.77,257
レッドチップ政府系コングロマリット「中信集団」(CITIC)に属する通信事業者。本土と香港・マカオの国際電話などで、通信キャリア向けに、音声通話、ローミング、ショートメールの中継サービス、モバイル向け付加価値サービスなどを提供する。

売上高・純利益は数碼通電訊(00315)が12年6月本決算。それ以外はすべて12年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1HKドル=0.8303元。

時価総額は13年6月5日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

情報通信サービス(業種別一覧)

注目されるトピックス ~4G時代がいよいよ到来、新規参入の可能性も~

伸び悩みが予想される携帯電話市場、2Gからの切り替え需要を見込み主戦場は農村・内陸部か:

中国の携帯電話保有率は去年8割に達し、以前のような急速な伸びは期待しにくい。それでもユーザーの多くが2Gで、キャリアにとってはスマートフォンへの切り替えを前提とした3G(将来的には4G)需要を如何に取り込めるかがカギ。主戦場は農村・内陸部と考えられ、魅力的な料金体系とスマートフォンのラインナップを用意できるかが勝負となる。

端末機・通信設備メーカーも巻き込んだ“4G時代”の到来:

4Gはすでに香港でスタート。中国本土でも今年中のライセンス発給が見込まれており、ついに“4G時代”を迎える。国産の4G規格「TD-LTE」を推進する最大手の中国移動は4G整備に向けて巨額の設備投資を予定。同社を中心に、端末機メーカー、通信設備メーカーを巻き込みつつ、激しい競争が繰り広げられることになろう。注目されるのは「iPhone5」後継機の動向。中国移動も取り扱うという観測も出ており、3社のシェアに影響を与える可能性も。

異業種参入も見込まれるなか「ARPU」を如何に伸ばせるか:

中国政府は自社の回線網を持たずに通信サービスを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)制度を導入する考えを発表。大手3社に対して通信網を開放するように求めた。加えてネット大手のサービスも進化。チャットアプリの微信(Wechat、日本のLINEに相当)を代表とする通信系OTT(Over The Top)が通話需要を取り込むなか、通信キャリアは対抗策として微信で用いられるデータ通信に対して課金の構えを見せるなど、これまで寡占が続いていた通信市場に変化の兆しが見て取れる。微信の普及などでARPUに下振れ圧力が働くなか、如何に魅力的なコンテンツを用意できるかが重要となる。(中国部 畦田)

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大手キャリアの比較

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携帯電話加入件数の推移
3G純増数の推移

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