中国株 業界レポート

自動車業界

~世界最大の自動車大国、高成長から安定成長へ~
2013年6月17日

市場動向 ~世界最大の自動車市場、高成長から安定成長への転換~

12年の業界規模:

販売台数:1931万台(前年比4.3%増)、乗用車:1550万台(同7.1%増)、メーカー売上高:5兆532億元(同8.5%増)

中国は世界最大の自動車大国。昨年の国内市場は年後半から回復に転じ、販売台数は1931万台と4年連続で世界1位。伸び率は4.3%と低水準ながらも改善した。減税措置に支えられ、排気量1.6リットル以下の乗用車や SUV(スポーツ型多目的車)の需要が堅調な伸びを確保。乗用車販売に占める地場系ブランドの比率は41.9%とやや低下したが、海外勢では日系ブランドが日中関係悪化の影響を受けて販売が大きく落ち込んだ。また、国内外の景気低迷を背景に輸出入とも減速。業界全体では増収増益を維持したが、伸び率は昨年に続いて1桁台にとどまっており、すでに高成長時代は終焉し、緩やかな成長ステージに転換したようだ。もっとも有望なマーケットであることは変わらず、昨年も世界の自動車業界の約6割の投資が中国に集中。今年に入り再び2桁台の販売伸び率を記録するなど、足元の市況は改善傾向にある。外資の合弁会社が販売攻勢を強めるなか、地場系ブランドの巻き返しも考えられ、引き続き厳しい競争が繰り広げられることになる。

業界の特徴 ~世界の有力メーカーが進出し激しい競争を展開~

生産・販売面:

多くの自動車メーカーが乱立。上位5社の国内シェアも約7割に過ぎず、産業集中度は日本に比べると低い。また、過剰な生産能力も問題となっている。東北、長江デルタ、中部地区などが自動車産業の中心地。中国企業の多くは、日本のような基幹部品を含めた一貫生産や系列化が進んでおらず、多くは部品を他社から調達し、組立を行っている。経済発展、所得水準の向上、道路インフラの整備などを背景に、ここ数年でモータリゼーションが進展。独立系の販売ディーラーや、自動車用品店も成長してきた。一方で渋滞の深刻化、国内のエントリーユーザー市場の飽和、自動車排気ガスなどの問題も出てきている。

国際面:

世界の主要自動車・部品メーカーのほとんどが進出しており、トヨタ、日産、ホンダの日系大手3社も、合弁会社を通じて現地生産を拡大。また、富裕層をターゲットとする高級車などを海外工場から輸入している。一方の輸出は地場系ブランドが主役であり、昨年の輸出台数は約100万台と輸入を下回ったものの、伸び率は2割前後と比較的高い。

政策面:

外資は規制を受けており、上限50%の合弁形式、同車種については合弁パートナー2社までしか認められていない。政策の方向性では渋滞緩和を目的とした北京市の走行規制、ナンバープレート供給制限措置など、需要引き締めの政策が目立っている。一方で昨年から排気量1.6リットル以下の乗用車やエコカーの減税を導入。環境問題を考慮した政策設計となっている。

主要企業、主な取扱い銘柄 ~有力外資と合弁する政府系メーカーが大手、一部の民営企業も健闘~

安定成長に転じた国内市場ではユーザーの目線が日に日に厳しくなる一方、製造コストは増加傾向。昨年の自動車メーカーの業績は明暗が分かれた。大手の中心は政府系で、それぞれ有力外資と合弁事業を展開し、海外ブランド車が主力車種。上海汽車、東風汽車、第一汽車などがリーディングカンパニーだ。上場企業をみると東風汽車集団(00489)、広州汽車(02238)の両大手は日本車の販売が両国関係悪化の影響を受け、最終利益が減少。一方、同じ政府系でも独BMWと合弁を組む華晨中国汽車(01114)は高級車需要を取り込み、好業績が続いた。また、長安汽車(200625)は自主ブランド車がカバーし、業績回復に貢献。もっとも地場系ブランドは民営企業が中心であり、比亜迪(01211)の大幅減益に見られる通り概ね苦戦を強いられた。しかし、SUVが好調の長城汽車(02333)、輸出を伸ばした吉利汽車(00175)など、健闘したケースも見られる。商用車は国内の景気低迷の影響から販売が落ち込み、大手の中国重汽(03808)、ディーゼルエンジンを提供するイ柴動力(02338)がいずれも業績を落とした。

メーカーの系列に属さない独立系のディーラーも多く、中升集団(00881)、宝信汽車(01293)、正通汽車(01728)、中国永達汽車(03669)などが大手。このうち、高級車を得意とする宝信汽車、正通汽車は増益を確保した。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
吉利汽車00175 24,62817.52,04032.230,115
香港その他 華東地区を本拠とする大手の民営自動車メーカー。「吉利」(GEELY)ブランドで知られる。低価格帯、小型の乗用車を中心とし、民営企業の中でも海外市場の開拓に熱心な点などが特徴。親会社による「ボルボ」買収にともなう長期的なシナジー効果が期待される。
東風汽車集団00489 124,036▲5.69,092▲13.398,396
H株 湖北省に本拠を置く大手自動車メーカー。中央政府系の大型企業で、親会社を含むグループ全体の自動車販売台数は昨年、国内2位の308万台を記録した。SUVや商用車のシェアが高い。日産、ホンダ、プジョーなどの有力外資と合弁事業を展開。一方で自主ブランドは目立たず、日中関係の悪化による影響も受けやすい。
中升集団00881 50,04819.4750▲47.016,642
香港その他 上場企業ではトップクラスの売上高を誇る独立系ディーラー。国内各地で4S(新車販売、アフターサービス、部品提供、顧客情報の4つの機能を持つ販売代理店)を展開。メルセデス・ベンツ、アウディ、トヨタ、日産、ホンダなどの海外ブランド車を取り扱う。長く日本車を販売してきただけに、日中関係の影響を受けやすい。
華晨中国汽車01114 5,916▲8.22,30127.043,573
レッドチップ 遼寧省政府系の大手乗用車メーカー。ワンボックスバン、セダンの製造・販売などを手がける。傘下に置くBMWとの合弁会社は、BMW3シリーズ、5シリーズをセミノックダウン生産。BMWは国内でもブランド力が強く、高級車市場の拡大に合わせて利益を拡大。同社の大きな収益源となっている。
比亜迪01211 44,381▲4.281▲94.192,262
H株 自動車、電池、IT部品の3事業を柱とする民営企業。広東省に本拠を置き、主力ブランドの「F3」は国内の新車販売市場で第1位を記録したこともある。世界大手のシェアを占める二次(充電式)電池のノウハウを生かし、ハイブリッド車、電気自動車の開発にも注力。著名投資家のウォーレン・バフェット氏が大株主として出資している。
正通汽車01728 27,64991.460415.39,238
香港その他 北京市を本拠とする大手輸入車ディーラー。BMWを中心に、アウディ、ボルボ、フォルクスワーゲン、ポルシェなどの高級車に注力している。4S機能を持つ販売店を都市部で展開。アフターサービスをはじめとした、販売以外の収益の割合が高い点が特徴。
広州汽車02238 12,96418.01,134▲73.561,876
H株 広州市政府系の大手自動車メーカー。傘下に広州トヨタ 、広州ホンダ、広汽日野など、日本企業との合弁会社を複数抱える。乗用車が大半を占め、ブランド力が高く、中・高級車に強み。自動車産業の集積地である広東省に地盤を置くことも中長期的にはプラスとなり得る。一方で日本車の比率が高いゆえに日中関係の影響を受けやすい点がリスク要因。
長城汽車02333 43,16043.45,69266.1118,433
H株 河北省保定市に本拠を置く民営の自動車メーカー。ピックアップトラック、SUVを主力としており、同分野の販売台数は国内トップクラス。このほか、ロシアや欧州などへの輸出に積極的な点も注目。研究開発を強化しており、今年も数多くの新モデルを投入する計画。
イ柴動力02338 48,165▲19.82,991▲46.650,935
H株 山東省に本拠を置く、大型トラック、建設機械、ディーゼルエンジンの大手メーカー。地元政府系の企業で、大型トラック向けのディーゼルエンジンでは国内最大手。07年にはM&A等を通じてトラック製造事業への参入も果たした。将来の成長分野として天然ガスエンジンの開発に力を注いでいる。
中国重汽03808 27,888▲23.8123▲87.711,182
レッドチップ 「中国重汽」(SINOTRUK)ブランドで知られる大型トラック業界のリーディングカンパニー。山東省政府系の中国重型汽車集団の傘下にある。大株主のドイツ大手トラックメーカー「MAN」からの支援をてこに技術・ブランド力の向上を目指している。
長安汽車200625 29,46311.01,44649.453,091
深センB株 販売台数で国内4位の自動車メーカー。重慶市の国有系企業で、フォード、スズキ、マツダと合弁事業を展開している。自主ブランド車が近年伸びており、「長安之星」シリーズのバン、長安ブランドの小型トラックなどが有名。軽自動車、軽トラックメーカーの江鈴汽車(200550)を傘下に置く。

売上高・純利益はすべて12年12月本決算。単位は百万元。

時価総額は13年6月17日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

自動車・二輪車(業種別一覧)

注目されるトピックス ~内陸・農村部、海外市場は引き続き大きな成長余地が見込める~

新規需要が牽引するモータリゼーションは一服感も、長期的には買い替え需要が焦点に:

長く中国のモータリゼーションは沿海部の都市住民での初回購入層が牽引してきた。しかし、昨年末時点の中国の自動車登録台数は1億2000万台を突破。このうち8割弱が個人所有となり、沿海都市部の新規需要は一服感が漂ってきた。政府の公費抑制策の影響で公用車の需要も振るわないとみられ、都市部のマーケットの重点は買い替え需要に移りつつある。アフターサービスも含めた品質面がより重視されると考えられ、業界は新たな競争段階に入っていこう。

内陸・農村部、海外市場の開拓が重要:

それでも国内の内陸・農村部、またアフリカなど新興国ではまだまだ巨大なエントリーユーザーのマーケットが見込める。 特に地場系ブランドにとっては、この市場を如何に開拓できるかが勝負となろう。吉利汽車、長城汽車、比亜迪など民営大手による輸出拡大が期待される。

積極的な新車投入が勝負の分かれ目、モーターショーは市場の関心が集まる:

新車販売においては如何にタイムリーに新車を投入できるかが競争を勝ち抜くカギとなる。今年も各メーカーが積極的に新型モデルを投入していく方針。主戦場は成長分野のSUV、そして低燃費・低排出の環境対応型車となろう。国内には北京、上海、広州の3大モーターショーがあり、北京は偶数年のメーデー、上海は奇数年の4月最後の週、広州は毎年11月後半に開催される。モーターショーは新型モデル発表の重要イベントであり、市場の関心が一気に集まる。(中国部 畦田)

自動車・二輪車(業種別一覧)

中国の自動車販売台数
親会社のベースの販売台数(12年)
生産企業別販売台数(12年)
ブランド保有企業別販売台数(12年)
ブランド別販売台数(12年)

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