中国株 業界レポート

非鉄金属業界

~世界の非鉄大国、金属価格の下落で苦境に~
2013年6月27日

市場動向 ~世界最大の生産・消費国、景気低迷の影響から苦しい経営環境に~

12年の業界規模:

10種非鉄金属生産量:3696万トン(前年比7.5%増)、非鉄金属の貿易総額:1664億米ドル(同3.7%増)、一定規模以上の企業による売上高:4.2兆元(同6.8%増)、税引き後利益:1666億元(同16.3%減)

中国は非鉄金属の生産、消費量ともに世界最大の規模を誇る。しかし、昨年は国内外の景気低迷から需要が不振。金属価格が下落し、非鉄金属の生産量、貿易量ともに伸び率が大きく鈍化した。政府主導で業界再編・旧式設備の淘汰が進められ、同年の固定資産投資額の伸び率は急減。それでも15.5%と高い水準にあり、過剰な生産能力という構造問題が続いた。こうした状況下、金属価格の下落、製造コストの増加圧力に晒され、全体の企業業績も概ね後退。川下の製品加工こそ小幅増益となったが、川上の鉱山、川中の精錬会社は利益を大きく減らした。

今年に入っても厳しい状況は変わらず、4月には金の国際相場が急落。景気低迷の影響から国内の金属価格も下落基調で、収益率の悪化が続いている。こうしたなか、業界再編、旧式設備の淘汰、製品のハイエンド化、環境対策の強化など、官民挙げた構造改革が進行中。その成果が徐々に表れてくるか、注目される。

業界の特徴 ~内外の市況の影響を大きく受けるセクター~

生産・販売面:

非鉄金属業界は国内外の商品市況の影響を大きく受けるセクター。大きく川上の探査・採掘・選鉱、川中の精錬、川下の製品加工に分けられ、最終的に建設、電力設備、家電、自動車など幅広い業界に販売されるため、需要は設備投資、個人消費などの影響を受ける。また希少金属、特に金は投資商品にも位置づけられ、金融政策の影響を受けやすい。非鉄金属資源の多くは中西部に分布。採掘・精錬・加工の過程では大量のエネルギーを消費するため、環境対策も必要になるほか、電力など燃料価格の動向もコストに影響する。鉄鋼と同じく一部生産設備の「過剰、小規模、老朽化」という構造的な問題を抱えている。特に一次アルミニウムの設備稼働率は7割という低水準。

国際面:

中国は世界でのレアメタル埋蔵量の大半を占めるなど金属資源が豊富。このため資源の輸出国でもあるが、国内需要を優先するため、希少資源については輸出の割当措置を採用。主な輸出先の先進国と貿易摩擦が起きやすい。一方、国内の需要増を受け、オーストラリア、チリなどからの鉱石輸入が拡大していることから、非鉄金属の貿易収支は赤字が続いており、昨年も634億米ドルの輸入超。こうしたなか、資源確保のため中国企業による海外進出が活発化している。

政策面:

国内の非鉄金属資源は国有であり、企業は採掘・使用権を有償で取得するほか、鉱石の生産に対して資源税が課せられる。政府は過剰気味な生産能力の整備、業界再編、製品の高付加価値化、海外進出などを推し進めている。

主要企業、主な取扱銘柄 ~主要金属ごとに有力企業が存在、概ね業績が悪化~

非鉄金属業界の大手は川上・川中では国有企業に限られ、それぞれ上場企業を持つ。昨年以来、金属価格が下落し、業界全体が苦しい状況。特に鉱山・精錬会社が苦戦している。金属ごとに有力企業があり、銅最大手の江西銅業(00358)は昨年の生産量が過去最高を更新。しかし、利益率は大幅に悪化し、減益となった。金の最大手は中国黄金集団で中国黄金国際(02099)を傘下に置く。紫金砿業(02899)、招金砿業(01818)なども有力企業。これら上位10社の大半が政府系企業で、国内生産量の約半分を占める。いずれも金相場の下落などを背景に、業績を落とした。非鉄金属業界でも特に過剰な生産能力に苦しむアルミは、国有最大手の中国アルミ(02600)が大幅な赤字を計上。他の金属についても同様で、海外に多くの鉱山権益を有する五砿資源(01208)、湖南省の主要鉱山を傘下に置く湖南有色金属(02626)が、いずれも大幅減益に後退した。両社とも金属貿易最大手、国有企業の中国五砿集団公司の支配下にある。同じ国有系の中信資源控股(01205)は傘下に置く中信大モン(01091)がマンガン資産の減損を計上したことを受け、両社とも赤字を計上した。

一方、金属貿易は中国五砿集団公司のほか、欧州の大型資源商社であるグレンコアインターナショナル(00805)が有名だが、販売価格の低迷に悩まされた。価格低迷の波は希少金属にも波及。レアメタル・レアアース業界の不況を反映し、鉱山権益を保有する洛陽欒川(03993)、民営企業で中間製品を生産する中国稀土(00769)の両銘柄も業績が悪化した。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
江西銅業00358158,00634.95,170▲21.559,025
H株江西省に本拠を置く、国内の銅最大手。露天掘り銅山「徳興銅砿」、「永平銅砿」は国内最大級の埋蔵量を誇り、生産量は世界でも有数の規模。金、銀、モリブデンなども生産しており、貴金属・レアメタル価格の上昇による恩恵も受けやすい。一方で金属価格が下落した場合、その影響も大きく、経営陣は13.6期(中間)も大幅減益となる見通しを示している。
中国稀土007691,745▲5.0▲564赤転1,890
香港その他蛍光体を含むレアアース製品、高温セラミックなど耐火材の生産・販売を手がける民営企業。製品は本土を中心に、日本、欧州、米国向けに販売している。香港上場企業では数少ないレアアース関連銘柄として名前を挙げられることが多いが、資源権益を直接保有してはいない。レアアース業界は深刻な供給過剰となっており、製品価格の下落にともない業績が悪化している。
グレンコアインターナショナル008051,353,09115.26,335▲75.2444,324
香港その他スイスに本拠を置く世界有数の総合商社。金属資源に強く、亜鉛、銅の取引量は世界トップクラスであるほか、グローバルでの鉱山権益の獲得に積極的。石油・石炭などのエネルギー、穀物・綿花・砂糖などの農作物の取引高も多い。ロンドンと香港に重複上場している。大口顧客である中国企業との価格交渉力を高める目的もあり、同じ資源大手のエクストラータと合併した。
中信資源控股0120540,21425.8▲1,063赤転1,966
レッドチップ政府系コングロマリットの中国中信集団の中で資源事業を担当する企業。オーストラリアでアルミニウム、石炭などの鉱山権益を保有し、鉱石や中間製品を輸入している。このほか、中信大モン(01091)を通じて、中国最大のマンガン鉱山、世界最大規模のマンガン製造・販売会社を保有。豪アルミナ生産大手への出資計画が注目を集めている。
五砿資源0120815,76812.21,211▲64.46,688
レッドチップ中国最大の金属貿易グループ「中国五砿集団」の系列下にある鉱山会社。傘下に置く豪資源会社「MMG」を通じて、豪州、ラオスなどで亜鉛、銅、鉛など複数の鉱石を採掘している。この中でも亜鉛の生産量は世界トップクラス。親会社と共同で積極的に海外の鉱山権益を取得している。
招金砿業018187,60332.41,92415.814,866
H株山東省を本拠とする地方政府系の金鉱会社。金の採掘、加工、精錬、販売を手がける。保有する金鉱には国内最大規模の地下鉱脈が含まれる。主要製品は「招金」ブランドの延べ棒で、国内での知名度も高い。売上高の大半を金が占めており、金相場の影響を特に受けやすい。13.1-3期は金相場下落の影響から増益率が低下した。
中国黄金国際020992,0946.8448▲10.77,570
レッドチップ金生産で国内最大手の中国黄金集団公司を親会社としている。上海上場の中金黄金(600489)とは兄弟会社の関係。カナダに本拠を置き、トロント証券取引所にも重複上場するグループ内の海外旗艦子会社。内モンゴル自治区の長山豪金鉱、チベット自治区の甲瑪金銅鉱で金、銅などを採掘し、精錬・加工までを手がける。
中国アルミ02600149,4792.5▲8,234赤転47,413
H株アルミナ・一次アルミニウムの生産などで国内最大手の国有系企業。生産規模は世界でも上位に入る。原材料となるボーキサイトの採掘なども手がける。親会社は資源メジャーの一角を占めるリオ・ティント社に出資しているほか、レアアースの開発も手がける。過剰気味な生産能力が懸念されており、生産調整をどこまで進められるかが業績改善のカギ。
湖南有色金属0262626,5928.37▲97.79,121
H株大手の非鉄金属メーカー。中国五砿集団が支配している。主力製品は希少価値のある金属が多い。金属資源の豊富な湖南省を本拠としており、採掘から加工製品の販売まで一貫した体制を構築していることが強み。
紫金砿業0289948,41521.85,211▲8.855,997
H株福建省を地盤とする地元政府系の大手金鉱会社。主力の金をはじめ、銅、亜鉛鉱など幅広い金属を生産する。規模と産出量で国内最大級の露天掘り金鉱など、複数の鉱山を保有。海外の資源会社に出資するなど、積極的に海外事業も展開している。金・銅価格の下落にともない、13.6期(中間)の業績は大幅に悪化する見通しという。
新疆新キン砿業038331,5295.122▲88.62,718
H株新疆ウイグル自治区で非鉄金属事業を展開する地元政府系企業。採掘から加工まで一貫した生産体制を構築している。ニッケル、銅、コバルト、金、銀、プラチナなどの金属を生産。主力製品は国内有数のシェアを持つ電気ニッケル。
洛陽欒川039935,711▲6.41,050▲6.135,126
H株河南省の政府系企業で、中国屈指のモリブデンメーカー。採掘、浮遊選鉱、焙焼、精錬、川下分野の加工などを一貫して手がける。主な用途は鋼材の添加元素で、鉄鋼市場の影響を受けやすい。レアメタルの一つであるタングステンの生産にも力を入れており、保有する鉱山は世界有数の埋蔵量を誇る。昨年のA株IPOの調達資金を用い、タングステンの総合利用プロジェクトを進める。

売上高・純利益はすべて12年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1HKドル=0.8303元、換算レートは1米ドル=6.310元

時価総額は13年6月27日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

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注目されるトピックス ~供給過剰という構造的問題を解決できるか~

業界の構造的問題を解決できるか、当局の手腕が問われる:

非鉄金属業界は長年にわたり過剰気味の生産能力、製品の低付加価値、エネルギー高消費・高汚染という構造的問題を抱えている。これを解決するため、政府は5カ年計画を策定。まずは旧式設備淘汰の徹底と、大手を中心とする業界再編を推し進めている最中だ。その対象はコントロールの効きやすい上場企業が中心になると考えられ、引き続き生産調整を迫られよう。一方で、上場企業を中核に企業買収・合併も一層増えてくる可能性が高い。M&Aが今年の主要な刺激材料と考えられる。

金属相場の不安定さは続く見通し、今まで以上に市況を注視する必要も:

昨年の金属相場は国内外の景気低迷から、概ね下落基調。今年に入っても4月中旬に金相場が歴史的な急落となり、業界が混乱に陥った。遠からず米国のQE3(量的緩和策)の縮小により商品市場に流れていたリスクマネーが流出し、これに米ドル高が追い打ちをかける可能性も。これまで以上に金属相場安、高いボラティリティのリスクが大きくなっており、これまで以上に市況を見ていく必要があるだろう。

レアアース業界が再び勢いづくか、政策効果に注目:

世界シェアの多くを占めるレアアースは中国にとって戦略的資源。数年前までレアアース価格が高騰し、関連企業も高収益を上げていた。しかし乱開発による供給過剰が深刻化、価格も急落した。この反省に立ち、当局は昨年から矢継ぎ早に政策を発表。参入条件の引き上げ、業界団体の設立、違法操業の取締り強化、旧式設備の淘汰などが対策の柱だ。これにより、レアアース価格が底入れすれば、中国稀土など関連銘柄の業績回復が期待できる。(中国部 畦田)

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非鉄金属業界の業績推移 中国の10種非鉄金属の生産量

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非鉄金属10種の生産量(12年、地域別)

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主要3金属の国際価格の推移

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