中国株 業界レポート

建材業界

~高成長も曲がり角を迎える中、業界再編に期待~
2013年7月5日

市場動向 ~公共投資が下支えするも、設備稼働率は過去最低の水準~

12年の業界規模:

セメント生産量:21.8億トン(前年比7.4%増)、建材企業3.4万社の総売上高:5.3兆元(同13.4%増)、税引き前利益:3750億元(同3.5%増)

中国はセメント、ガラスなど主要建材の大半で世界最大の生産量、生産能力を有し、市場規模も大きい。昨年の建材企業3.4万社の総売上高は前年比13.4%増加。税引き前利益は同3.5%と一桁増益にとどまった。国内の景気減速にともない固定資産投資が伸び悩み、主要な建材価格も低迷。公共投資の増加を受けて年後半にかけてやや持ち直したが、主力のセメント企業が前年比3割減益で足を引っ張り、高成長を続けてきた建材業界も曲がり角を迎えた。旧式・過剰気味の生産設備、過当競争という構造的問題の解決も道半ばで、セメント、ガラスの設備稼働率はそれぞれ73%、68%と過去最低を更新した。今年は春頃までは公共投資に支えられ、4月までのセメント生産量は前年同期比で8.4%の伸びを確保。建材業界全体でも1-3月期で同17.8%の増益となった。しかし、春以降は再び景気の下振れ圧力が強まっており、先行きは楽観できない。建材業界はエネルギー多消費型、過剰生産の典型的な業界であり、政府のマクロコントロールが一層強まろう。

業界の特徴 ~国内の投資動向に敏感に反応する内需型セクター~

生産・販売面:

建材はセメント、ガラス、装飾用建材をはじめ多くの製品種類があり、いずれも多くの企業が激しい競争を繰り広げるなど、業界の集約度は低い。生産設備は多くが旧式、過剰であり、エネルギー消費量、環境負荷が大きいという構造的な問題を抱えており、電力や石炭など価格動向がコスト面を大きく左右する。セメントは沿海部が主な生産地となっている。販売面をみると、セメント、装飾用建材などは不動産建設需要の影響を大きく受ける。中国の住宅は内装の余地・自由度が高いことから、個人による建材消費量も多い。需要動向は政府、企業などの固定資産投資に大きく影響される。ガラスは建設用のほか、自動車向けの需要も注目される。

国際面:

基本的に内需型の業界であり、輸出比率は大きくない。最大の輸出先はアジアであり、香港、日本、韓国、インドなどが主要市場。一方で外資企業も中国市場に積極的に進出している。

政策面:

過剰気味の生産能力という構造的な問題の解決に向け、当局は業界全体への締め付けを引き続き強化。中心となるセメントでは、業界再編を織り交ぜながら生産設備の整理・統合を推進していく。このほか、新規参入に厳しい条件を設定。過当競争や環境汚染の防止に努めている。

主要企業、主な取扱銘柄 ~大手は政府系が中心、販売価格の低迷から業績後退が続く~

建材業界の再編は道半ばで、例えばセメント業界の上位20社でもクリンカー生産能力の6割を占めているに過ぎない。大手の多くが政府系企業で、セメントは地域別にマーケットリーダーが異なる。国内最大の建材コングロマリットを形成している中国建材(03323)は全国各地に子会社を持ち、グループ全体での生産能力は他社を大きく引き離す存在。しかし、2位以下では主力地域がより明確で、業界2位の安徽海螺水泥(00914)は経済が発展している東部地域に強いほか、南部は華潤セメント(01313)、北部は北京金隅(02009)が高いシェアを持つ。このほか、中部は華新セメント(900933)、南部は台泥国際(01136)という両外資系企業、西部は民営の西部セメント(02233)が大手の一角を占める。ただ、こうした企業も含めて昨年のセメント業界は業績が悪化。需要低迷、在庫増加で販売価格が落ち込み、各社は軒並み減益となった。さらにセメントプラント最大手の中国中材(01893)も業績が悪化した。ガラス業界もセメントと同じ状況に陥り、日本板硝子が大株主として名を連ねている中国玻璃(03300)と上海耀皮玻璃(900918)の両社が厳しい業績。こうしたなか、建材業界で数少ない民営大手である中国忠旺(01333)は国内顧客の開拓が進み、大幅な増収増益と気を吐いた。

なお、今年に入っても1-3月期を見る限り、建材業界にとって業績回復までの道のりは遠い。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
山水セメント0069116,161▲4.21,519▲31.89,011
香港その他山東省に本拠を置く民営のセメント会社。国家重点支援の対象である大手12社の一角を占め、山東省のほか、遼寧省で大きなシェアを占める。京滬高速鉄道や青島海底トンネルなど国家重点プロジェクトにセメントを供給した実績がある。
安徽海螺水泥0091445,766▲5.96,331▲45.492,122
H株国内1位の生産能力(単体ベース)を持つ地元政府系のセメントメーカー。本拠地の安徽省を含む中部や、経済発展で先行する東部で大きなシェアを誇る。地元の良質で豊富な石灰資源を使い、高品質のセメントとクリンカーを提供できることが強み。昨年のセメント・クリンカー販売の伸び率、利益率は業界平均を上回っている。
台泥国際011369,3850.3506▲62.85,767
香港その他台湾の巨大企業グループ「台湾セメント」の中国子会社。主に中国本土で販売しており、一部は海外にも輸出している。積極的な買収戦略が特徴。香港に上場していた嘉新水泥を08年に支配下に置き、10年も大型買収を成功させて事業エリアを大きく広げた。12.12期の売上比率は華南が50%、西南が28%、華東が13%。
華潤セメント0131321,0439.11,929▲44.424,317
レッドチップ国務院系コングロマリット「華潤集団」の傘下にあるセメントメーカー。地盤とする華南地域の最大手であり、同地域は原材料の石灰岩が豊富に産出されることで有名。近年は山西省、陝西省など内陸部にも進出し、事業基盤を拡大している。今年に入りセメント販売量は順調に増加。一方で3月には海砂を混ぜたコンクリートを使用したとして、子会社が処罰を受けた。
中国忠旺控股0133313,49731.01,80663.512,489
香港その他遼寧省を本拠とする民営の大手アルミ形材メーカー。実質支配者は創業者の劉忠田・董事長。主力は鉄道車両、自動車、航空機などに使用される工業用アルミ形材。一方でアルミサッシやカーテン・ウォール(CW)など建築用アルミ形材も生産しており、北京国際空港、北京オリンピック会場、上海万国博覧会会場で使用された。
中国中材0189346,273▲8.8474▲67.65,000
H株国務院系の大手プラントメーカー。主力のセメントプラント部門は世界屈指の規模を誇り、国内外で事業展開している。川下のセメント生産事業でも西北地区で有数のメーカーまで成長してきた。また、グラスファイバー、風力発電ブレードを成長分野として位置づけている。グループ全体でのシナジー効果を如何に発揮できるかが課題。
北京金隅0200934,05418.52,965▲13.524,352
H株北京市政府系の建材メーカー。北京市・環渤海地区で高いシェアを持つ。事業は川上のセメント、建築資材の生産から川下の不動産開発や投資まで多岐にわたり、事業間でのシナジー効果が見込める。建築資材では「TOTO」など海外製品の代理販売を手がけており、「建材下郷」の恩恵を享受できる銘柄といえよう。
中国建材0332387,2188.95,580▲30.433,744
H株中央政府系の総合建材企業。製品種類が豊富、その多くで国内トップクラスのシェアを占めている点が強み。主力製品はセメント、石膏ボードなど軽量建材、グラスファイバーなど。製品は「建材下郷」の恩恵が見込めるほか、新素材など「戦略的新興産業」の範囲にも含まれており、政策的な支援が期待できる。
中国南玻集団2000126,994▲15.4275▲76.721,237
深センB株広東省深セン市を本拠とする地元政府系の大手ガラスメーカー。長く高級フロートガラスなど建築用ガラスを主力事業としてきた。しかし、近年は事業の軸足をデバイス、電池用ガラス、ポリシリコンなどの太陽光発電に移行。また、タッチパネルの開発に取り組み、同社製の13.3インチOGS(One Glass Solution)はマイクロソフトの「Win8 touch」の認証を取得している。
上海耀皮玻璃9009182,308▲4.758▲25.34,215
上海B株大手ガラスメーカー。主力製品は透明フロートガラス、着色ガラス、家具用ガラス、自動車ガラスなど。同社は日本板硝子傘下の英ピルキントン社と上海市政府系の企業などの合弁で設立された。課題となっていた技術力の改善に取り組み、経営効率が向上。13.1-3期に黒字転換を果たすと、13.6期(中間)でも業績改善が見込まれている。
華新セメント90093312,521▲0.9556▲48.311,090
上海B株湖北省を本拠とする大手セメントメーカー。同社の歴史は古く、セメント、クリンカーなどの製品は「華新」や「堡塁」のブランドで知られる。事業の中心は湖北省。筆頭株主はセメント世界大手のスイス・ホルシム社。地元政府系企業も大株主となっている。

売上高・純利益はすべて12年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1HKドル=0.8303元。

時価総額は13年7月4日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。換算レートは1米ドル=7.760HKドル。

建設資材(業種別一覧)

注目されるトピックス ~業界再編、大手主導の“強者連合”の今後に注目~

構造的問題の解決に向けて再編は継続、大手主導の“強者連合”に注目:

セメント業界も過剰気味の生産能力、過当競争という構造的問題を抱える。このため、官民挙げた業界再編が行われており、当局もマクロコントロールを一層強化。大手といえども厳しい状況に変わりない。こうしたなか、セメント首位の中国建材と2位の安徽海螺水泥の提携合意に始まり、安徽海螺水泥と中国中材、中国建材と台泥国際など、生き残りをかけて、大手主導の“強者連合”の動きが活発化。これら提携の具体的な成果が試される。

短期的な政策的好材料は乏しいが、長期的には都市化推進が起爆剤になる可能性も:

今後の建材需要は国内の投資動向に左右され、投資は政策の影響を大きく受ける。政府は当面、経済の構造改革を重視しており、厳しい不動産引き締め、抑制的な財政出動を採用する可能性が高く、旺盛なセメント需要は期待しにくい。一方で、長期的な国家戦略として「都市化推進」が掲げられており、低迷する需要の起爆剤となる可能性がある。都市化推進策のガイドラインが年末までに発表されるかどうか、注目が集まっている。

環境規制、製造コスト高を吸収できる生産性の向上が不可欠:

中国にとって環境問題の解決は待ったなしの課題。エネルギー多消費型の典型である建材業界にも環境規制の更なる厳格化が見込まれる。人件費も上昇傾向にあり、各メーカーはそれを上回る生産性の向上が求められてくる。こうした状況は競争力のある大手メーカーにとって有利か。また、環境対策装置、ハイエンド設備、コンサルティングなど関連産業のビジネスチャンスも広がると考えられる。(中国部 畦田)

建設資材(業種別一覧)

中国のクリンカー生産能力上位企業(12年末時点)

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セメント業界の売上高・利益率・在庫高の推移

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セメントの生産量・販売価格の推移

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