中国株 業界レポート

建設・機械業界

~投資主導の経済成長に限界も~
2013年7月9日

市場動向 ~投資は総じて高い伸びとなるも、建設・機械業界の収益率は一段と悪化~

12年の業界規模:

固定資産投資額:37兆4676億元(前年比20.3%増)、機械総生産高:18兆4100億元(同12.6%増)、建設業総生産高:13兆5303億元(同14.9%増)

昨年も引き続き投資が中国の成長をけん引。固定資産投資額は20%台の比較的高い伸び率を維持した。5カ年計画(11~15年)が2年目を迎え、多くの投資プロジェクトが着工。景気対策の面から公共投資も活発で、建設会社、機械メーカーの総生産高は2桁台の伸びを確保した。一方で国内外の景気減速にともない、民間設備投資の伸びがやや鈍化。海外からの投資も減少したほか、中国政府が厳しい不動産引き締めを続けたこともあり、両業界の増収率は前年に比べ大きく縮まった。また、受注減少、価格競争、人件費の上昇などにより、元々低めの利益率がさらに悪化することとなった。

今年に入ると昨年後半から続く景気対策の効果から、建設・機械の両業界ともに収益環境が改善してきた。しかし、春から再び景気減速の傾向となりつつあり、企業の設備投資意欲も鈍ってきた。また、投資主導の経済成長の限界が過剰な生産設備などの面から問題視されており、以前のような巨額の財政出動とそれによる投資増加は期待しにくい。

業界の特徴 ~国内の投資動向が業績に直結、成長とバブル抑制のバランスが重要~

主力事業面:

建設・機械ともに無数の企業がひしめくが、大手の大半は政府系であり、大型プロジェクトではほぼ寡占の状況。業績は公共事業と企業の設備投資の動向に左右され、同時に国内景気の影響を強く受ける。大型の財政出動で景気が底上げされれば企業の投資意欲も高まるが、往々にして官民とも投資にブレーキが利かなくなり、製造業での過剰な生産能力が問題となりやすい。一方、基礎インフラをみると、交通インフラをはじめ足りない分野が多い。さらに設備の更新・改良などが課題。その分潜在的な需要は大きく、政府も安定成長に向けて積極的に支援している。

国際面:

機械は中国の輸出製品の主力であり、昨年の輸出額は3506億米ドル、540億米ドルの黒字を計上した。また、大手建設会社は設備メーカーと一体で新興国市場を開拓。昨年の海外での請負工事売上高は前年比12.7%増の1166億米ドルに上り、13.1-3月期の新規受注高は前年同期を35%上回った。一方で国内では有力外資との競争が激しくなっている。

政策面:

新5カ年計画に基づき、政府は基礎インフラの整備を重視。一方で公共事業の規模拡大は過剰投資に繋がりやすいことから、内陸部・農村を優先し、審査の厳格化を通じて手綱を引き締めるなど、硬軟織り交ぜた政策スタンスをとっている。インフラ関連企業は官需に頼る部分が大きく、政策の影響を受けやすい。

主要企業、主な取扱銘柄 ~政府系企業が主役、投資増減の影響を受け各社で明暗が分かれる~

昨年の建設業界の業績は景気低迷などから、全体的に伸び悩んだ。大手は概ね政府系企業に限られ、その中でも4社が中心的な存在。インフラ建設は中国中鉄(00390)、中国鉄建(01186)、中国交通建設(01800)の3社が主役。鉄道建設プロジェクトが再開し、中国中鉄と中国鉄建の業績が緩やかに回復。13.1-3月期は両社ともに2桁の増収益を確保した。一方、中国交通建設は強みとする港湾・橋梁建設の国内受注が伸び悩み、業績面でやや見劣りした。国内最大の建築会社は不動産建設を中心とする中国建築(601668)で、引き締め策の中でも業績を拡大。国内外で事業展開する子会社の中国建築国際(03311)も好業績で続いた。プラント建設は分野ごとに大手が存在し、主要顧客の景気動向で業績の明暗が分かれた。鉄鋼は中国冶金科工(01618)、電力は中国機械設備工程(01829)が大手。一方、有力メーカーが系列にプラント会社を抱える場合も多く、非鉄の中リョ国際工程(02068)、石油の中石化煉化工程(02386)がその典型例だ。

昨年の機械業界は景気減速の影響から売上の伸びが鈍化。一方で供給過剰から価格引き下げの圧力が強く、収益環境は悪化した。今年に入り業績改善の動きも見られるが、大手も含めて全般的に業績は振るわなかった。機械メーカーは分野ごとの集約度が比較的高い。鉄道設備は中国南車(01766)がリーディングカンパニー。建設工事に欠かせない建設機械は同じ湖南省に本拠を置く三一重工(600031)と中聯重科(01157)が激しいトップ争いを繰り広げている。電力設備は上海電気(02727)を含む大手3社が中心。エンジン製造はイ柴動力(02338)、工作機械は重慶機電(02722)などが有名だ。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
第一トラクター0003811,318▲3.3349▲20.76,856
H株河南省を本拠とする農業機械大手。国内最大の機械メーカー「中国機械工業集団」の傘下にある。同社製品は「東方紅」のブランド名で知られ、主力製品のトラクターは国内トップクラスのシェアを誇る。昨年のA株IPOで調達した資金を通じて農業機械の大型化・効率化を推進。政府の農村振興策で農業の機械化が進めば、恩恵が見込める。
中国中鉄00390465,6255.37,3549.963,778
H株鉄道建設を中核とする国有系の総合建設会社。主力のインフラ建設は鉄道、道路、トンネル、港湾などを幅広くカバー。特に鉄道建設は中国鉄建と市場を寡占している。インフラ建設との相乗効果を狙い、不動産開発を積極展開している点が特徴。また、成長が見込まれる都市軌道交通の建設でトップクラスの実績を持っていることも強みだ。
三一重装006313,641▲3.7500▲35.56,129
香港その他民営の建設機械大手「三一集団」で、石炭採掘設備を担当する企業。同集団の中核をなす三一重工(600031)とは創業者の梁穏根氏を介して兄弟会社の関係にある。岩盤を掘削するロードヘッダーの販売台数はトップクラスで、国内の主要炭鉱で使用されている。石炭採掘設備に特化しているだけに、石炭市況に業績が左右されやすいことがリスク要因。
興業太陽能007503,09828.732913.05,045
香港その他中国のソーラーパネル設置工事のリーディングカンパニー。07年に新興の民営企業として同分野に参入後、急成長してきた。太陽光発電の関連業界は全体的に過当競争気味だが、同社はその中でも利益率が高い設置工事、特にマイクログリッド(分散型電力網)に対応した工事に注力している点が注目できる。
中聯重科0115748,0713.87,330▲9.146,881
H株湖南省政府系の建設機械メーカー。主力製品のコンクリートポンプ車、起重機の売上は国内2位(11年度)。世界でも上位10社に入る。湖南省は5カ年計画で重点的なインフラ整備が見込める中部地区に位置しており、政策的な恩恵が期待される。一方で、同じ湖南省の三一集団との激しいシェア争いは内外に大きな波紋を広げており、主要なリスク要因と考えられる。
中国鉄建01186484,3135.98,4798.064,160
H株国有系の総合建設企業。主力は工事請負事業で、鉄道建設が中心。近年は鉄道以外の分野を強化しており、高速道路、発電、空港、港湾、都市インフラなどの建設に進出済み。同業他社と比べて、海外事業により積極的で、財務状況も比較的良好な点が強みだ。都市化推進策にともなう都市軌道交通、地下鉄の建設需要から恩恵が見込める。
中国南車0176689,01912.04,0093.858,477
H株国有系の大型鉄道設備メーカー。主な製品は機関車、客車、貨車、マルチプル・ユニット、高速鉄道車両。鉄道向け制御システムは傘下の株洲南車(03898)が担当。主要顧客の中国鉄路総公司との関係が深く、鉄道インフラ整備の恩恵を受けやすい。高速鉄道車両の入札がいつ本格的に再開されるか、注目が集まっている。
中国交通建設01800295,3210.412,2484.180,756
H株交通インフラ建設で大きなシェアを占める国有系企業。港湾クレーン最大手の上海振華重工(900947)を傘下に収め、国内外で事業展開している。港湾・河川関連のインフラ建設、浚渫では国内最大の規模を誇り、海外での受注実績も豊富。近年はパプア・ニューギニア、ケニア、パキスタンなどの新興国市場で受注を獲得している。
中国機械設備工程0182921,2963.81,92830.715,265
H株大手のプラント建設会社。顧客は電力会社を中心に、鉄道、道路、通信企業など幅広い。国有企業で機械最大手の中国機械工業集団が親会社。世界45カ国で設計・調達・建設(EPC)を展開し、プロジェクトのオープンからクローズまで一貫して担当できる体制が強み。昨年12月の香港上場で調達した約25億HKドルはインフラ建設に充てる予定だ。
中国航空科技工業0235716,80026.660020.321,460
H株民間航空機・航空機部品のメーカー。EADS(欧州航空防衛宇宙会社)と合弁生産するヘリコプターの販売台数は国内有数。ブラジル企業とはリージョナル機を共同生産している。複数のA株上場企業を傘下に持つ。親会社の中国航空工業集団公司は国内最大規模の航空機メーカーで、同国の軍事産業で重要な役割を担う。
中石化煉化工程0238638,52625.93,317▲1.744,457
H株石油精製最大手の中国石油化工集団の支配下にあるプラントエンジニアリング会社。主力事業は石油精製・石油化学や石炭化学のプラントをめぐるEPC(設計、調達、施工)で、親会社を含む3大石油会社や石炭会社が主要顧客となっている。中国石油化工(00386)とは兄弟会社の関係。石油プラントの地場系大手として、研究開発力や技術力に定評がある。
上海電気0272776,5917.22,715▲14.747,204
H株上海市政府系の大型工業企業。電力設備を中心に、重工業設備、電機、輸送設備など、数多くの大型機械を生産している業界のリーディングカンパニー。上海機電(900925)をはじめとした複数の上場企業を傘下に置く。上海オートメーション器具(900928)、上海集優機械(02345)など、兄弟会社の関係にある上場企業も多い。
中国建築国際0331116,41020.71,76941.445,109
レッドチップ中国建築(601668)の傘下にある建設会社。香港を中心に、中国本土や海外各地で建設・土木・インフラ工事などを展開する。国内では親会社の競争力を背景に低所得者向け住宅の建設契約を獲得できる可能性が高い。海外では昨年買収したカーテンウォール大手の遠東環球(00830)とのシナジー効果を発揮し、さらなる事業拡大に挑む。

売上高・純利益はすべて12年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1HKドル=0.8303元。

時価総額は13年7月9日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

建設(業種別一覧)  産業用機械(業種別一覧)
その他輸送機械等(業種別一覧)  電気設備(業種別一覧)

注目されるトピックス ~曲がり角を迎えた両業界、「都市化推進策」、「生産革命」に注目~

投資依存の経済成長に限界、曲がり角を迎えた建設・機械メーカー:

長年の投資主導の経済成長の結果、中国経済は“投資依存”の構造になっており、非効率な投資が過剰な設備を生み出した。このため、今後の投資は官民ともに効率性を重視したものにならざるを得ない。建設・機械の両業界は曲がり角を迎えており、いつまでも規模拡大のみを追求していれば、大手といえでも業績悪化は避けられないだろう。

「都市化推進策」が中長期的な投資テーマに:

以前のような超大型の財政出動は期待薄。しかし、国家戦略である「都市化推進策」に沿った公共投資は活発に行われる可能性が高く、如何にその需要を取り込めるかがカギとなる。政府は一昨年末時点で40.6%の都市化率を、20年には56%まで高める目標。これに不可欠な低所得者向け住宅、地下鉄など都市軌道交通への投資は、中長期的に伸びていこう。

ロボット化、3Dプリンター、人工知能をはじめとする「生産革命」:

ロボット化、3Dプリンター、人工知能をはじめとした 「生産革命」が、中国でも大きな話題に。特に3Dプリンターは最もホットなテーマで、官民総出の普及組織が立ち上がり、大手メーカーも参加してプロジェクトが進んでいる。中国はこれらの分野で先進国に後れを取っているが、こうした取り組みを通じて優良メーカーが生産手段の高度化を実現できれば、他社との差別化に繋がる。(中国部 畦田)

建設(業種別一覧)  産業用機械(業種別一覧)
その他輸送機械等(業種別一覧)  電気設備(業種別一覧)

都市部固定資産投資の内訳と前年比伸び率(12年)

拡大上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます

固定資産投資額と前年比伸び率の推移

拡大上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます

建設業の総生産高の推移(4半期ベース)

拡大上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます

中国機械メーカー売上上位100社(12年度)を一部抜粋

拡大上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。