中国株 業界レポート

石油・石油化学業界

~価格改革を経て採算性改善が見込める~
2013年7月9日

市場動向 ~世界2位の消費国、国内生産が頭打ちのなか輸入依存度が拡大~

12年の業界規模:

石油見掛消費量:5.03億トン(同5.6%増)、原油生産量:2.07億トン(同1.9%増)、輸入量:2.71億トン(同7.3%増)、一定規模以上の企業の売上高:11.9兆元(同10.9%増)

中国は世界第2位の石油消費国。主要なエネルギー源、原材料として重要資源に位置づけられる石油は、国内の経済成長を受け、需要は増加基調を維持してきた。ここ数年は景気減速の影響から、伸び率がやや低迷。それでも昨年は後半にかけて需要が回復し、通年の石油見掛消費量は初めて5億トンの大台に乗せた。需要を賄うため、原油輸入量は7.3%増加。国内の原油生産量はすでに頭打ちであり、輸入依存度は約6割に達した。今年も1-5月の原油生産量・加工量の伸び率が昨年通年を上回っている。ただ、業界全体の収益は低迷した。国際原油相場は上期のWTIが概ね100ドル近辺の高値圏で推移。これにより川上の原油探査・生産企業は売上を伸ばしたが、採掘コストの増加で利益率が低下。一方、川中・川下の石油精製・石油化学企業は原油高のなか、景気減速、供給過剰で需給バランスが悪化。販売価格も伸び悩んだ。製油所の稼働率は8割程度に低迷しており、今後は生産調整が進む可能性も。ただ、今年4月に当局が石油製品の価格決定方法を改革したことから、精製事業の採算性改善は期待できる。川上部門では海外資源確保の動きが引き続き活発となろう。

業界の特徴 ~国有大手の寡占市場、需要は製造業全体の景気動向に左右~

生産・販売面:

業界は大きく、①油田探査・採掘、原油生産などの川上、②原油からガソリンなど石油製品を生産する石油精製などの川中、③石油製品の小売やプラスチックなどの化学製品を製造する川下――に分けられる。いずれも概ね国有大手による寡占状態。原油の販売価格は国際相場に大きく影響され、価格上昇はこれを調達して石油製品を生産する川中の精製企業、さらに化学企業にとってコスト増となるため、川上と川中・川下という両方の利益を両立させることは容易ではない。石油・化学製品は過剰気味の生産能力に加え、販売価格の低さなどの問題を抱えている。主力製品のガソリン需要は自動車普及にともない拡大傾向。石油化学製品は基礎材料として幅広い製造業で使用されており、製造業全体の景気動向に左右される。

国際面:

世界の原油需要増加量の7割近くを中国が占めており、国際マーケットへの影響力は大きい。中国は政府と国有石油会社が一体となり、海外油田の獲得、開発を強化。最大の輸入先はサウジアラビアで全体の約2割を占める。

政策面:

石油製品(特にガソリン)の販売価格は政府により低水準に抑えられてきた。しかし、徐々に価格制度は市場・自由化の方向にある。川上分野では国産原油の販売価格が一定水準を上回った場合に、「特別収益金」を石油会社から徴収するほか、従価税方式の資源税が課税される。石油製品についても消費税が課されている。

主要企業、主な取扱銘柄 ~3大石油会社が主役、増収を確保するも最終利益は振るわず~

中国の石油・石油化学業界は国有系の3大石油会社が市場を寡占。このなかでも中国石油天然気(00857)と中国石油化工(00386)の両社は規模が飛びぬけており、幅広く事業を手がける。昨年はいずれも安定増収を確保したが、製品価格の低迷、原油高によるコスト増から減益となった。13.1-3月期は精製部門の収益改善を受け、中国石油化工が増益を確保した。両社を追う中国海洋石油(00883)は川上に特化し、海底油田で圧倒的なシェアを誇る企業。原油価格は高値で推移したが、採掘コストが嵩んで利益を減らした。3大石油会社やその親会社は複数の上場企業を抱える。中国石油化工に属する上場企業をみると石油化工専業の中国石化上海石油化工(00338)と化学繊維大手の中国石化儀征化繊(01033)が採算割れに悩まされ、引き続き業績が後退。それでも、中国石化上海石油化工は製品構成の最適化が進み、1-3月期で黒字に転換できた。原油貯蔵・物流事業を主力とする中石化冠徳(00934)は、買収効果から好業績となった。中国海洋石油は油田採掘サービスの中海油田服務(02883)、化学肥料大手の中海石油化学(03983)という兄弟会社2社を持つ。中海油田服務は顧客企業の海外権益拡大の動きを追い風に堅調な業績を確保。一方、中海石油化学は販売を伸ばしたが、設備改修にともなうコスト増で減益となった。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
崑崙能源0013527,36027.25,41116.0101,768
ハンセン中国石油天然気の傘下にある資源開発会社。近年は天然ガスへの比重を高めているが、引き続き油田の探査・原油生産も手がける。本土のほか、カザフスタン、タイなどで事業展開している。
中国石化上海石油化工0033887,217▲2.6▲1,528赤転56,206
H株中国石油化工の傘下にある大手の石油化学会社。上海市を本拠とし、主力製品は合成繊維、プラスチック、中間製品、燃料油など。特にエチレンに強みを持つ。原材料の原油が高止まりする一方、それを製品価格に十分に転嫁できず、足元の収益環境は厳しい。それでも生産設備の高度化により製品構成の最低化を進め、13.1-3月期は黒字転換できた。
中国石油化工003862,733,61811.063,879▲12.8634,142
ハンセン大型の総合石油会社。川中の石油精製・石油化学、川下の石油製品販売で国内トップのシェアを誇る。傘下には中国石化上海石油化工、中石化冠徳、中国石化儀征化繊など複数の上場企業がある。精製部門の採算性改善に期待。また、買収を通じて規模を拡大している川上の油田開発事業は、今後の成長エンジンとなり得よう。
山東墨龍石油機械005682,9527.8134▲20.26,182
H株山東省を本拠とする民営の石油採掘設備メーカー。主力製品は油井管。3大石油会社を顧客に持ち、良好な関係を築いている点が強み。製品の高付加価値化に向けて口径180ミリメートルの油井管の生産プロジェクトを進めており、この成否が今後の競争力を大きく左右する可能性が高い。
中国石油天然気008572,195,2969.6115,326▲13.31,849,230
ハンセン中国最大級の石油会社。国内最大の「大慶油田」を保有するなど、油ガス田の探査・採掘などの川上部門は他社の追随を許さない。「西気東輸」を含む国内の主要な石油・ガスパイプラインを保有している。燃料油や石油化学製品などの川中分野への進出も積極的。海外の石油メジャーと共同で、中央アジア、アフリカなどでの油田開発プロジェクトに参画している。
中国海洋石油00883247,6272.863,691▲9.3587,545
ハンセン川上の油田開発・生産に特化している大型の石油・天然ガス会社。海底資源の開発では先頭を走っており、事業エリアは全世界に及ぶ。非在来型油田の開発を新たな成長分野に位置づけ、米国のオイルシェール事業に新規参入。また、今年はすでにカナダの石油大手「ネクセン社」を支配下に収めた。中国企業による海外企業の買収では過去最大の金額となった。
中石化冠徳0093418,30112.024236.617,005
レッドチップ中国石油化工を親会社に持つ石油関連の物流・貿易会社。主要事業は原油ふ頭・関連設備の運営、原油・石油製品の貿易など。親会社グループが最大の仕入・販売先。国内では親会社からの資産買収を通じて、事業エリアを広東省から全国に拡大する方針。海外でも欧州のバルク・液体ターミナル会社を買収した。経営資源を集中している物流事業の成長性が期待できる。
中国石化儀征化繊0103316,988▲15.8▲358赤転30,794
H株中国石油化工の傘下にある国内最大級の化学繊維メーカー。繊維産業が盛んな江蘇省を本拠とする。主力製品のポリエステルは国内最大、世界でも有数の生産量を誇る。しかし、繊維・アパレル製品の輸出不振から供給過剰が続き、同社も赤字に転落した。早期の生産調整が求められる。
中海油田服務0288322,10520.04,55912.974,338
H株海底油田サービスの大手企業。海底油田の開発で最大手の中国海洋石油とは兄弟会社の関係。掘削リグ、各種作業船、石油タンカー、物理探査船などを保有し、掘削サービス、測定、掘削流体の供給などの各種サービスを展開。ノルウェーの同業大手に対する買収を手がかりに、製品開発能力の強化を目指す。
中海石油化学0398310,73910.11,810▲8.8 17,749
H株国内最大手の窒素肥料メーカー。代表的な窒素肥料である尿素のほか、リン酸肥料、カリ肥料を生産・販売しており、同社の「富島」ブランドは国内で有名。原料である天然ガスを兄弟会社の中国海洋石油から安定的に調達できる点が強み。もう一つの主要原料であるメタノールの生産も行う。

売上高・純利益はすべて12年12月本決算。単位は百万元。換算レートは1HKドル=0.8303元。

時価総額は13年7月9日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

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注目されるトピックス ~海外展開がさらに加速へ、市場化する価格メカニズムにも注目~

海外資源確保の動きがさらに加速、関連産業には追い風も:

国内の原油生産に限界がある以上、原油の海外依存度の上昇は今後も避けられず、中国企業の海外展開が益々活発になるだろう。最近はこれまで競合関係にあった世界の石油メジャーと協調する動きが目立ち、これが世界規模での再編に繋がる可能性も。探査サービス、採掘設備などの関連産業は追い風となろう。特に成長が見込める海底油田、非在来型資源に強みを持つ企業は有利だ。

川中・川下では生産設備の淘汰と高度化が求められる:

川中・川下部門の設備能力は過剰気味。対照的に設備の高度化は遅れ、これが例えばガソリンの低品質、そしてPM2.5のような大気汚染の一因になっている。このため、当局は設備の淘汰と更新を厳しく要求しており、各メーカーの投資負担が益々増える可能性が高い。資金力で圧倒する3大石油会社の寡占がさらに進むことになるだろう。

石油製品価格の市場化は進展:

政府は今年4月に石油製品の価格決定メカニズムを変更し、22日間の調整周期を10日間に短縮したほか、4%以上の原油相場変動という調整の条件を撤廃した。今まで以上に国際原油相場が製品価格に反映し、収益性の改善に繋がる。月に3回は訪れる価格見直しのタイミングが、石油株の株価動向を左右していくだろう。(中国部 畦田)

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07年11月以降の中国政府によるガソリン価格調整の推移 国際原油相場(WTI)と国内ガソリン卸売価格の推移

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原油の国内生産量・輸入量の推移と伸び率(前年同月比)

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