中国株 業界レポート

電子・電器業界

~情報化社会への対応力が一層重要に~
2014年6月17日

市場動向 ~世界の工場・市場でもある中国、情報化社会の進展で業績も回復~

13年の業界規模:

売上高:9兆3202億元(前年比10.4%増)、税引き前利益:4152億元(同21.1%増、前年度修正済み)、輸出額:7807億米ドル(同11.9%増)

「世界の工場」である中国は多くの家電企業が集積する一大生産拠点。多くの分野で世界トップクラスの規模を誇り、輸出比率も高い。また、世界のIT需要の半分以上を占める「世界の市場」でもある。13年の業界は製品ごとに明暗が分かれた。景気減速、消費刺激策の打ち切りなどの影響を受け、国内需要の伸びは減速。特にパソコン、テレビなど従来型の製品は過当競争が続いた。一方で社会の情報化は進み、スマートフォン、タブレットPCなどの成長分野は引き続き需要が好調。また、米国経済の改善にともない輸出も回復し、業界全体では2桁の増収増益となった。

今後は国内の情報化が急速に進む一方で、成長分野の伸びが頭打ちとなり、企業間の競争が一層激しくなるだろう。こうしたなか、各企業の変化への対応力が益々重要となる。電子商取引(Eコマース)、スマート家電、4G(第四世代移動通信)、都市化を見据えた製品展開がカギとなる。

業界の特徴 ~労働集約・輸出型の産業、国内ブランドのハイエンド化が進展~

生産・販売面:

労働集約型、加工輸出型の産業。沿海部が中心地で、先進国に比べて安価で豊富な労働力などを強みに生産。欧米など海外に輸出するほか、国内では大手量販店やEコマースなどを通じて、「世界の市場」での販売拡大に努める。ただ、業界再編は道半ばで、多くの企業がひしめき、価格競争が非常に厳しい。こうしたなか、国内勢が外資のシェアを侵食しつつある。地方都市・農村部の販売網で優位に立つほか、大手企業の製品競争力が着実に高まっているためだ。

国際面:

中国で生産されたエレクトロニクス製品は輸出全体の約35%を占め、世界を席巻。しかし、加工貿易が中心であり、中国ブランドの海外での浸透率は低く、人件費を含むコスト高により輸出競争力も低下傾向にある。ただ、近年は中国ブランドの積極的な海外進出が目立ち、製品のハイエンド化や大規模な買収・提携が進んでいる。

政策面:

内需を喚起する直接的な消費刺激策はすでに終了。一方で習近平指導部は情報化社会の構築に向けて専門の指導グループを発足、政策の軸足をインフラ整備に移している。法人・官公庁向けに強みを持つメーカーは追い風となろう。

主要企業、主な取扱銘柄 ~スマートフォン、白物家電関連の企業が好調~

国内外の多くの企業が激しい競争を展開。このなかで「国内エレクトロニクス企業100強」に入る地場系大手には上場企業も多い。昨年はスマートフォンの需要が引き続き旺盛で、メーカー各社の業績は好調だった。小米、華為技術、聯想集団(00992)などの民営企業が強く、とりわけ後発の小米(Xiaomi)はネット販売重視の戦略が奏功し、一気に国内トップに躍り出た。政府系では中興通訊(00763)に加え、TCL集団傘下の TCL通訊(02618)が大手。恩恵は部品サプライヤーの瑞声科技(02018)、受託生産の富智康集団(02038)、半導体メーカーのなど、周辺企業にも及んだ。パソコン需要は国内外で低迷したが、聯想集団は製品のハイエンド化と海外展開をさらに加速させ、国内に続いて世界でもパソコン最大手の企業まで成長。業績を伸ばしている。テレビ市場も内需刺激策の打ち切りによる影響が顕在化。上場するTCL多媒体(01070)、創維数碼控股(00751)、康佳集団(200016)の大手3社は高いシェアを維持したものの、業績は低迷した。

一方、白物家電メーカーの業績は引き続き堅調。山東省に本拠を置く総合家電大手の海爾集団と海信集団は、それぞれ海爾電器(01169)、海信科龍電器(00921)が白物家電を担当。両社とも製品構成の改善効果などから、昨年は増益となった。

主な取扱い銘柄:
社名
コード
通貨
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
創維数碼控股
00751
香港ドル 37,82434.41,50119.910,390
香港その他 民営の大手テレビメーカー。深セン市に本拠を置き、「創維」(Skyworth)ブランドは国内トップクラスのシェアを誇る。近年は4K、スマートテレビなどのハイエンド分野に注力。海外市場の開拓に向け、グーグルテレビ対応の製品を供給している。ただ、国内市場の不振は続き、14.3月期は減益の見通し。
中興通訊
00763
人民元 75,234 ▲10.61,358黒転55,914
H株 国内屈指のエレクトロニクス企業。「ZTE」ブランドでグローバルに事業展開している。主力の通信設備部門は4G需要に注目。ここ数年はスマートフォンのサプライヤーとしての存在感を高めており、13年は世界5位のシェア(4.2%)。世界の国際特許出願数で第2位に輝くなど、研究開発に強い。
海信科龍電器
00921
人民元 24,36028.51,23972.614,353
H株 山東省を本拠とする総合家電大手「海信集団」の上場旗艦企業。冷蔵庫、エアコンなどの白物家電を担当し、主力ブランド名は「海信」、「科龍」、「容声」。元々は広東省の民営企業であったが、経営危機にともない海信集団の傘下に入った。冷蔵庫、エアコンの国内シェアは上位クラス。海外輸出も手がける。
中芯国際集成電路製造
00981
米ドル 2,06921.6173660.521,943
香港その他 上海市を本拠とする半導体ファウンドリー。事業規模は国内最大手クラスで、上海市、天津市、北京市などに生産拠点を設置している。国内と米国からの受注が主力。前身は民営企業だったが、幾度の買収を経て、現在は国有企業の大唐電信科技産業控股有限公司や中国政府系ファンドの中国投資有限責任公司(CIC)の支配下にある。
聯想集団
00992
米ドル 38,70714.381728.7104,492
ハンセン 中国を代表するグローバル企業。世界最大のパソコンメーカーで、スマートフォン、タブレット端末などでも高いシェアを誇る。「Lenovo」や「ThinkPad」のブランド名で、グレーターチャイナを中心に世界各地で製品を販売している。IBMの低価格サーバー部門とモトローラーを昨年傘下に収め、その買収効果が注目される。
TCL多媒体
01070
香港ドル 39,4959.6▲48赤転3,574
レッドチップ 広東省の家電大手「TCL集団」で、テレビなどを担当する企業。サプライチェーンの統合、製品のハイエンド化などを通じて業績を伸ばしてきたが、昨年は製品開発の遅れ、品質問題などから苦戦。年間のテレビ販売台数は約1824万台(前年比3.9%増)にとどまった。14.1-3月期も大幅減益と低迷。
海爾電器
01169
人民元 62,26312.02,03720.253,536
香港その他 総合家電大手の海爾集団で白物家電を担当する上場企業。洗濯機と給湯器を製造・販売するほか、グループ内の家電の流通・販売事業も手がける。成長余地が大きい内陸部で、広大な販売網を構築している点などが強み。戦略投資家として迎えたEコマース最大手「アリババグループ」との提携効果が期待される。
瑞声科技
02018
人民元 8,09628.92,57846.263,610
香港その他 小型音響部品を主力とする新興の部品メーカー。製品は携帯電話端末などに使用され、高い技術力を背景にアップル社の「iPhone」を含むスマートン、タブレットPCなどに搭載されてきた。もっとも音響部品の伸びは頭打ちで、今後は如何に非音響部門を伸ばしていけるかがカギ。
富智康集団
02038
米ドル 4,997▲4.678黒転34,644
香港その他 世界最大のEMS企業「鴻海グループ」の傘下で、携帯電話端末の製造サービスを担当する台湾系企業。従業員の労務管理などで国内外の批判に晒されたほか、国内外の景気低迷による影響を受け、業績不振が続いていた。しかし、昨年は経営効率の改善に伴い、利益率が上昇。最終黒字を確保するなど、最悪期は脱したもようだ。
TCL通訊
02618
香港ドル 19,36260.9313黒転10,901
レッドチップ 「TCL集団」で携帯電話機を担当する企業。広東省に生産拠点を置き、世界各地に輸出している。中国では「TCL」、海外では「Alcatel」ブランドを使用し、海外売上比率が高い。スマートフォン重視の戦略が奏功し、黒字に転換。携帯電話機の販売台数は昨年、前年比3割増に上り、10-12月期の世界シェアは第5位まで躍進した。

売上高・純利益は創維数碼控股(00751)が13年3月本決算、聯想集団(00992)が14年3月本決算、それ以外が13年12月本決算。単位は百万。

時価総額は14年6月17日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

ITハードウェア(業種別一覧) 半導体(業種別一覧)

家電・家具等(業種別一覧)

注目されるトピックス ~更なる情報化社会を見据え、「スマート」、「Eコマース」がカギに~

政策の軸足はインフラ整備へ:

これまで政策の中心は「家電下郷」に代表される直接的な消費刺激策だった。しかし、その弊害も指摘されるようになると、政府はブロードバンド・4G通信網の拡充、スマートシティの建設といったインフラ整備に軸足を転換。これにより、家電メーカーの淘汰が進む一方で、大手設備メーカーは恩恵を受けよう。特に4G通信網の整備需要が期待される。

情報化社会の進展、キーワードは「スマート」、「Eコマース」:

今後は如何に情報化社会に対応した製品構成と効果的な販売ルートを確立できるかがカギ。スマートフォン、スマートテレビ、スマートエアコンといった「スマート家電」の分野で、競争が激しくなるだろう。国内勢は有力外資と比べてブランド力でやや見劣りするが、価格競争力では優位。販売でEコマースを効果的に使えれば、スマートフォンでアップルやサムスンを凌駕する勢いの小米に続く企業が現れるかもしれない。

中国ブランドによる本格的な海外展開:

これまでの“下請け”から抜け出し、買収・提携を通じて海外市場で攻勢をかける中国企業が増えてきた。今後も中国ブランドの本格的な海外展開が主要な投資テーマとなろう。特に試金石として注目されるのが、IBMの低価格サーバー部門とモトローラーの買収に踏み切った聯想集団の動向。早期の黒字化に期待がかかる。(中国部 畦田)

ITハードウェア(業種別一覧) 半導体(業種別一覧)

家電・家具等(業種別一覧)

国内エレクトロニクス企業100強の上位10社(13年度)
製品別の国内販売シェア(13年、★は地場系ブランド)

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