中国株 業界レポート

IT・ソフトウエア業界

~内需拡大をけん引するIT需要~
2014年6月20日

市場動向 ~世界最大のネット大国、爆発的な成長段階は過ぎ、使用率重視に~

13年の業界規模:

売上高:3兆587億元(前年比23.4%増)、ネットユーザー数(13年末):6.18億人(ネット普及率:45.8%)

中国のIT業界の売上高は昨年、ついに3兆元に達した。伸び率は景気減速の影響から減速したが、それでも20%台を確保。ネット接続の約8割を占める携帯電話ではスマートフォンがさらに普及し、ネット利用者数は6億人を突破した。膨大かつ多様なIT需要に対応するため、企業側も合従連衡が進展。特に大手企業による業界を跨いだ積極的な買収・提携が目立った。当局も4Gサービスの商用化に踏み切ったほか、中長期的な発展計画も整備。IT需要を内需拡大のけん引役にしようとしている。実際、電子商取引(Eコマース)やネット金融の「余額宝」などはその規模を急速に拡大させた。

ただ、今年に入っても業界全体の減速傾向は継続。景気低迷や当局のネット規制強化の動きなどが影響しているようだ。すでに爆発的な成長段階は過ぎ、今後はネット普及率よりも使用率に軸足が移ろう。如何に魅力的なコンテンツを提供できるかが勝負となってくる。

業界の特徴 ~民営・中小企業が大半を占める成長市場、業界の新陳代謝は速い~

生産・販売面:

IT業界は民営・中小が大半を占め、3万社以上の企業が成長市場で激しい競争を繰り広げている。主にソフトウエア開発、システムインテグレーション(SI)、データ処理サービスなどに分けられ、売上高全体に占める割合はそれぞれ32.3%、21.4%、17.9%。成長性が高い反面、安定的な資金調達力、優秀な人材の確保などが課題。さらに製品・サービスは技術革新が速い上に他社に模倣されやすく、違法コピーも氾濫しており、業界の新陳代謝は速い。東部沿海部での売上高が全体の74.8%を占める一方、内陸部の割合は低いものの伸び率は高い。

国際面:

中国はコスト競争力などを武器に、海外企業からアウトソーシングの契約を受注。同年のソフトウエアの輸出額は前年比19.0%増の469億米ドルに上った。また、有力外資の多くが進出しているが、規制の壁が大きく立ちはだかっている。

政策面:

IT業界は政府の規制が強い。例えば登記上では外国企業となる一部の上場企業(騰訊控股(00700)など)は外資規制の関係で変動持分事業体(VIE)構造(契約を通じて経営実体を支配下に置く方法、「CCF方式」)を採用。ただ、当局は国内IT産業の発展を重視、IT消費規模を12年の約1.7兆元から15年までにほぼ倍増させる計画だ。

主要企業、主な取扱銘柄 ~大手の存在感が一層高まる、各社とも広告・ゲーム収入を拡大~

IT業界は民営・新興企業が多く、企業規模は概ね小さい。ただ、大手は米国、香港・本土などに上場しており、「BAT」と呼ばれるアリババグループ、騰訊控股、百度の3社が存在感を急速に高めている。アジア最大のブランド企業に選ばれたSNS・ゲーム最大手の騰訊控股はチャットアプリ「微信」(WeChat)の強みを活かし、広告・ゲーム収入を拡大。傘下に置く金山軟件(03888)とともに好業績が続いた。携帯ゲーム市場の拡大を受け、雲遊控股(00484)、 IGG(08002)などゲーム会社の上場が相次いだほか、既に上場する網龍(00777)なども利益を増やした。Eコマースの市場規模もさらに拡大し、最大手のアリババは積極的に事業を拡張した。

また不振だった企業向けのソフト会社も、昨年は回復基調。中小企業向けに強い金蝶国際(00268)、大学発ベンチャーの方正控股(00418)といった民営企業や、地方政府系の浪潮国際(00596)などが持ち直した。システム会社は明暗が分かれた。航空システムの分野で独占的なシェアを持つ中国民航信息網路(00696)は国内の航空需要の回復を受けて増収増益。一方、鉄道向けシステムを手がける中国自動化集団(00569)は鉄道会社の投資伸び悩みの影響を受け、減益が続いた。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
金蝶国際
00268
人民元 1,602 ▲9.3126黒転6,473
香港その他 中小企業向けERPソフトの開発で国内最大手。昨年は不採算事業の縮小などのリストラを断行し、黒字を確保した。今後はクラウドとの連携や、アリババグループとの提携を活かしたEコマースを成長分野に位置づけている。
浪潮国際
00596
香港ドル 1,30112.0118黒転1,253
レッドチップ 山東省政府系のIT企業。米マイクロソフトが資本参加している。ソフトウエア開発、SI、電子部品の貿易などを展開しており、ITサービスは企業、税務、通信、金融、政府など幅広い分野が対象。クラウド事業を強化している。
中国民航信息網絡
00696
人民元 4,50911.11,2066.418,640
H株 政府系のITソリューション大手で、航空関連のシステムでは国内最大手。大手航空会社が大株主として出資しており、結びつきが強い。航空業界の発展による恩恵を直接享受できる企業といえる。
騰訊控股
00700
人民元 60,43737.715,50221.81,039,180
ハンセン 「QQ」ブランドで様々なインターネットサービスを提供する大型IT企業。そのブランド価値はアジア最大とされる。オープンプラットフォーム戦略を採用し、ソフト会社が開発した豊富なゲーム、アプリなどを迅速に提供できる点が強み。チャットアプリ「微信」(WeChat)は多くのユーザーを獲得している。
網龍
00777
人民元 885▲20.26,14115574.87,248
香港その他 民営のオンラインゲーム会社。08年にGEMから市場変更した。代表作は「魔城」「征服」など。米大手メディアのディズニー、エレクトロニック・アーツと提携関係を構築。モバイル・インターネット事業子会社は百度に売却した。
神州数碼
00861
香港ドル 52,265-84-7,733
香港その他 国内有数のIT企業。MBOを通じて経営陣が大株主となっている。パソコン最大手の聯想控股有限公司と関係が深い。企業向けを中心に、各種IT製品を販売。SIやアプリケーションソフトウエア開発などのサービスも提供。日本のジャスダックに上場するSJIを傘下に収める。
金山軟件
03888
人民元 2,17354.067155.131,718
香港その他 民営の大手ソフトウエア開発会社。ゲーム、アプリケーションソフトウエアなどが主力。オンラインゲームは中華圏で高いブランド力を持ち、セキュリティソフト「金山毒覇」、辞書ソフト「金山詞覇」は広く使われている。同社の雷軍・主席はIT業界を代表する経営者の一人。
IGG
08002
米ドル 88103.97黒転8,268
香港その他 シンガポールに本拠を置くオンラインゲームの開発運営会社。自社開発したMMORPG(多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム)の「衆神之戦」(GodsWar)などがヒット作品となっている。ここ数年はモバイルゲームの開発に注力。チャットアプリの「微信」(WeChat)などを通じて、スマートフォンのユーザーにゲームを提供している。

売上高・純利益は13年12月本決算。単位は百万。神州数碼(00861)は変則決算のため、増収増益率は非表示。

時価総額は14年6月19日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

ITハードウェア(業種別一覧) ソフトウェア(業種別一覧)

注目されるトピックス ~4G元年が到来、大手による買収・提携に注目~

4G(第四世代移動通信)元年が到来、コンテンツ力が一層強みに:

通信キャリアは昨年12月、4Gライセンスをそろって取得。本格的な商用サービスも始まり、中国は「4G元年」を迎えた。現在は高めの料金設定も値下げが進む見通しで、スマートフォンの普及も加わって携帯でのネット接続環境が一層改善しよう。スマートフォン対応のコンテンツを如何に提供できるか、ネット各社の新たな競争が始まっている。

業界の垣根を越えた買収・提携が進む、ネット金融が新たな主戦場に:

IT大手による業界の垣根を越えた買収・提携の動向が、引き続き投資家の関心を集めるだろう。特に騰訊控股とアリババの動きが活発。騰訊控股は昨年以来、Eコマース大手の京東商城などに出資。アリババも中信21世紀(00241)への買収を通じて医療ビジネスへの参入を模索している。また、両社はネット金融の分野を強化。今後は金融での競争が激化しよう。

ネット大手の米上場が続く、米ハイテク株が香港の地合いを左右へ:

中国ネット大手の米国上場が続いている。すでに上場している百度、京東商城などに加え、年内にもアリババが上場する見通し。当初は香港上場を模索していたが、最終的にはより自由度が高い米国を選択。調達額はフェイスブックを超える可能性があるという。米国市場での中国IT株の存在感が高まるにつれ、その動向が香港の同セクターに与える影響も大きくなろう。(中国部 畦田)

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中国のインターネット市場の発展状況

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騰訊控股、アリババによる積極的な事業拡大
中国のネットユーザー数の推移

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