中国株 業界レポート

建設・機械業界

~中長期的には都市化推進策が追い風に~
2014年8月11日

市場動向 ~昨年も投資が成長をけん引、一方で構造改革の影響から減速の傾向に~

13年の業界規模:(前年値修正済み)

固定資産投資額:44兆7074億元(前年比19.3%増)、機械メーカー総売上高:20兆4100億元(同13.8%増)、建設業総生産高:15兆9313億元(同17.7%増)

13年も引き続き投資が中国の成長をけん引。固定資産投資額は20%近い伸び率を維持した。建設、機械業界はともに2桁台の伸びを確保。世界最大規模である機械業界の総売上高は初めて20兆元の大台を突破した。景気対策の一環でインフラを中心とした公共投資が活発化し、企業の設備投資も後押し。一方で国内景気は低迷しており、不動産投資は徐々に減速。全般的には建設・機械業界ともに需要不足から景気刺激策に依存する傾向がみられ、競争激化から利益率は若干低下した。

投資依存の経済成長からの脱却を目指す政府は、14年に入り構造改革を一段と強化。景気刺激策を最低限に抑えたことで、投資の減速傾向が続いている。もっとも、構造改革の成果が建設・機械の業界にも表れ始め、競争力を強めた大手の一角は業績が回復傾向。また、安定成長も重視する政府は折に触れて一定の財政出動を行っており、両業界は今後も緩やかな成長を続けよう。

業界の特徴 ~国内の投資動向が業績に直結、成長とバブル抑制のバランスが重要~

主力事業面:

建設・機械ともに無数の企業がひしめくが、大手の大半は政府系で、大型プロジェクトをほぼ寡占している。業績は公共事業と企業の設備投資の動向に左右され、国内景気の影響を受けやすい。大型の財政出動で景気が底上げされれば企業の投資意欲も高まるが、往々にして官民とも投資にブレーキが利かなくなり、製造業での過剰な生産能力が問題となりやすい。一方で、基礎インフラは交通分野をはじめとして足りないのが現状。さらに設備の更新・改良などが課題となっている。その分潜在的な需要は大きい。

国際面:

機械は中国の輸出製品の主力であり、13年の輸出額は3725億米ドル、貿易黒字は736億米ドルと過去最高を更新。また、大手建設会社は設備メーカーと一体で新興国市場を開拓しており、13年の海外での請負工事売上高は前年比17.6%増の1371億米ドル。機械、建設いずれも中国勢の世界での影響力は大きい。

政策面:

5カ年計画に基づき政府は基礎インフラの整備を重視しているが、一方で財政出動が過剰投資に繋がれば構造改革に逆行してしまう点が悩みだ。このため、公共投資は内陸部・農村を優先するほか、審査の厳格化を徹底するなど硬軟織り交ぜた政策スタンスをとっている。インフラ関連企業は官需に頼る部分が大きく、政策の影響を受けやすい。

主要企業、主な取扱銘柄 ~政府系企業が主役、大手を中心に業績改善の傾向~

13年の建設業界は公共事業の後押しを受け、大手の業績は概ね良好だった。大手は概ね政府系企業に限られ、その中でも4社が中心的な存在。インフラ建設は中国中鉄(00390)、中国鉄建(01186)、中国交通建設(01800)の3社が主役。鉄道建設の加速を追い風に中国中鉄と中国鉄建は好調な業績となった一方、鉄道建設の比率が低い中国交通建設は小幅増益にとどまった。国内最大の建築会社は不動産建設を中心とする中国建築(601668)。同社の傘下にある中国建築国際(03311)は好業績が続いている。プラント建設は分野ごとに大手が存在し、主要顧客の景気動向で業績の明暗が分かれた。鉄鋼は中国冶金科工(01618)、電力は中国機械設備工程(01829)が大手。一方、有力メーカーが系列にプラント会社を抱える場合も多く、非鉄の中リョ国際工程(02068)、石油の中石化煉化工程(02386)が代表例といえる。

機械業界は引き続き景気減速、過剰気味の生産能力が重しとなっているが、最悪期はすでに脱した格好。13年からは業績改善のメーカーも出てきている。機械メーカーは分野ごとの集約度が比較的高い。鉄道設備は中国南車(01766)と中国北車(06199)がリーディングカンパニー。建設工事に欠かせない建設機械は同じ湖南省に本拠を置く三一重工(600031)と中聯重科(01157)が激しいトップ争いを展開している。なお、三一重工は香港上場の三一重装(00631)を傘下に置く。電力設備は上海電気(02727)を含む大手3社が中心。エンジン製造はイ柴動力(02338)、工作機械は重慶機電(02722)、農業機械は第一トラクター(00038)などのシェアが高い。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
第一トラクター
00038
人民元 11,038▲4.1222▲31.78,665
H株 河南省を本拠とする農業機械大手。国内最大の機械メーカー「中国機械工業集団」の傘下にある。同社製品は「東方紅」のブランド名で知られ、主力製品のトラクターは国内トップクラスのシェアを誇る。一昨年のA株IPOで調達した資金を投じて農業機械の大型化・効率化を推進。「三農問題」(農業・農民・農村)の関連銘柄の一つ。
中国中鉄
00390
人民元 540,39416.19,37426.879,234
H株 鉄道建設を中核とする国有系の総合建設会社。主力のインフラ建設は鉄道、道路、トンネル、港湾などを幅広くカバー。特に鉄道建設は中国鉄建と市場を寡占している。インフラ建設との相乗効果を狙い、不動産開発を積極展開している点が特徴。また、成長が見込まれる都市軌道交通の建設でトップクラスの実績を持っていることも強みだ。
中聯重科
01157
人民元 38,542▲19.83,844▲47.645,390
H株 湖南省政府系の総合建機メーカー。主力製品のコンクリートポンプ車、タワークレーン、環境衛生用機械は国内トップクラスのシェアを誇る。湖南省は重点的なインフラ整備が見込める中部地区に位置しており、政策的な恩恵に期待。一方で、ここ数年は厳しい価格競争に巻き込まれ、利益率が低下傾向。経営の立て直しが急務となっている。
中国鉄建
01186
人民元 586,79021.210,34519.980,803
H株 国有系の総合建設企業。主力は工事請負事業で、鉄道建設が中心。近年は鉄道以外の分野を強化しており、高速道路、発電、空港、港湾、都市インフラなどの建設に進出済み。同業他社と比べて海外事業に積極的で、比較的に財務状況が良好な点も強みだ。都市化推進策にともなう都市軌道交通、地下鉄の建設需要が追い風となろう。
中国冶金科工
01618
人民元 202,241▲6.52,981黒転44,156
H株 鉄鋼・非鉄金属プラントのEPC(設計、調達、施工)事業を主力とする国務院系の大型建設会社。事業の多角化を進めており、金属資源の開発、非鉄金属の精錬、金属生産設備や鋼構造などの生産、不動産開発なども手がけている。金属プラント建設の需要が低迷していることから、近年は金属以外のマーケット開拓に努めている。
中国南車
01766
人民元 96,5258.44,1403.390,106
H株 国有系の大型鉄道設備メーカー。主な製品は機関車、客車、貨車、マルチプル・ユニット、高速鉄道車両。鉄道向け制御システムは傘下の株洲南車(03898)が担当している。主要顧客は鉄道運営の国策会社である中国鉄路総公司。同社との関係は深く、鉄道インフラ整備の恩恵を受けやすい。
中国交通建設
01800
人民元 331,79812.412,5682.483,438
H株 交通インフラ建設で大きなシェアを占める国有系企業。港湾クレーン最大手の上海振華重工(900947)を傘下に収め、国内外で事業展開している。港湾・河川関連のインフラ建設、浚渫では国内最大の規模を誇り、海外での受注実績も豊富。近年はパプア・ニューギニア、ケニア、パキスタンなどの新興国で受注を獲得している。
中国機械設備工程
01829
人民元 21,4260.61,9591.619,515
H株 大手のプラント建設会社。国有企業である中国機械工業集団の傘下にある。顧客は電力会社を中心に、鉄道、道路、通信企業など幅広い。世界47カ国・地域で設計・調達・建設(EPC)事業を展開しており、海外売上比率が高い。13年7月に発電設備の分野で米GE社との戦略提携に合意。今後はその効果が期待される。
イ柴動力
02338
人民元 58,31221.13,57119.455,290
H株 山東省に本拠を置く大型の動力設備メーカー。親会社の地元政府系企業は売上高で国内2位の機械メーカーに位置づけられている。主力製品はディーゼルエンジンで、大型トラック、建設機械、船舶、発電機などに使用。大型トラック、変速装置・部品のメーカーなども傘下に置いている。
中石化煉化工程
02386
人民元 43,57213.13,65710.238,524
H株 石油精製最大手の中国石油化工集団の支配下にあるプラントエンジニアリング会社。主力事業は石油精製・石油化学や石炭化学のプラントをめぐるEPC(設計、調達、施工)で、親会社を含む三大石油会社や石炭会社が主要顧客になっている。中国石油化工(00386)とは兄弟会社の関係にある。
上海電気
02727
人民元 78,7952.92,393▲11.860,170
H株 上海市政府系の大型工業企業。電力設備を中心に、重工業設備、電機、輸送設備など、数多くの大型機械を生産している業界のリーディングカンパニー。上海機電(900925)をはじめとした複数の上場企業を傘下に置く。上海オートメーション器具(900928)、上海集優機械(02345)など、兄弟会社の関係にある上場企業も多い。
中国建築国際
03311
香港ドル 27,19224.12,77230.152,392
レッドチップ 中国建築(601668)の傘下にある建設会社。香港を中心に、中国本土や海外各地で建設・土木・インフラ工事などを展開する。国内では親会社の競争力を背景に低所得者向け住宅の建設契約を獲得できる可能性が高い。海外では一昨年に買収したカーテンウォール大手の遠東環球(00830)とのシナジー効果を追求していく。
中国北車
06199
人民元 96,7565.44,12920.378,254
H株 中国政府系の鉄道車両メーカー。主な製品は機関車、客車、貨車、高速鉄道車両。製品は「北車」(CNR)の商標で知られており、中国南車と業界を寡占している。主な顧客は鉄道運営を一手に担う中国鉄路総公司。製品の一部は海外にも輸出している。このほか風力発電、ファイナンスリースなどの事業も手がける。

売上高・純利益はすべて13年12月本決算。単位は百万。

時価総額は14年8月8日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

建設(業種別一覧)  産業用機械(業種別一覧)
その他輸送機械等(業種別一覧)  電気設備(業種別一覧)

注目されるトピックス ~都市化推進策が中長期的な投資テーマに~

投資依存の経済成長は曲がり角に、技術強化と海外市場開拓は不可欠:

長年の投資主導の経済成長の結果、中国経済は“投資依存”の構造になっており、非効率な投資が過剰な設備を生み出した。このため、今後の投資は官民ともに効率性を重視したものにならざるを得ない。建設・機械の両業界は曲がり角を迎えており、今後は技術・ブランド力の強化や海外市場の開拓が一段と求められる。

「都市化推進策」が中長期的な投資テーマに:

中国政府は今年3月、国家戦略として20年までの都市化計画を発表。12年末時点で52.6%の都市化率を60%前後に引き上げるという。これに伴い、今後は低所得者向け住宅や各種都市インフラの整備が中長期的に伸びていこう。特に地下鉄など都市軌道交通や高速鉄道の建設は注目分野。政府は人口50万人以上の都市すべてを高速鉄道で結ぶとしているが、対象都市の約7割が未開通(12年末時点)。巨額の投資が見込まれ、関連銘柄に追い風となろう。

ロボット化、3Dプリンター、人工知能をはじめとする「生産革命」:

ロボット化、3Dプリンター、人工知能をはじめとした 「生産革命」が、中国でも大きな話題となっており、3Dプリンターについては、官民総出の普及組織がすでに立ち上がっている。生産革命の進ちょくが注目される。

(中国部 畦田)

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その他輸送機械等(業種別一覧)  電気設備(業種別一覧)

固定資産投資額と前年比伸び率の推移 都市部固定資産投資の内訳と前年比伸び率(13年) 建設業の総生産高の推移(4半期ベース) フォーブス・グローバル500社における建設会社のランキング 中国機械メーカー売上上位100社(12年度)を一部抜粋

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