中国株 業界レポート

非鉄金属業界

~世界の非鉄大国、金属価格の低迷が続く~
2014年9月4日

市場動向 ~世界最大の生産・消費国、販売価格の低迷により苦しい経営が続く~

13年の業界規模(前年値修正済み):

10種非鉄金属生産量:4029万トン(前年比9.9%増)、非鉄金属の貿易総額(米ドル換算):1581億米ドル(同1.1%増)、一定規模以上の企業9276社による売上高:5.3兆元(同11.8%増)、税引き前利益:2073億元(同5.9%減)

中国は非鉄金属の生産、消費量ともに世界最大の規模。13年の10種非鉄金属の生産量は初めて4000万トンの大台を超えた。国内景気は減速下にあるものの、固定資産投資は高い伸びを示し、金属需要は引き続き増加。その規模は世界全体の約4割を占めるほどで、14年も鉱石の輸入量は増加し、調達コストが嵩んだ。また、製品の過剰生産という構造問題は続き、販売価格が低迷。業界全体が抱える不均衡さが改めて露呈され、売上高は増えたが、利益は13年も減少した。特に川中の製錬部門が苦しい状況に置かれた。

なお、政府は14年に入り構造改革をさらに加速。これが固定資産投資の減速、環境規制の強化などに繋がり、各社の経営環境は一段と悪化。1-5月の10種非鉄金属の生産量は前年同期比4.9%増まで減速した。今後も各社は厳しい経営を迫られるだろう。もっとも改革を通じて生産能力の削減が進めば、製品価格に回復の兆しも。改革は痛みばかりでない。

業界の特徴 ~内外の市況の影響を大きく受けるセクター~

生産・販売面:

非鉄金属業界は国内外の商品市況の影響を大きく受けるセクター。川上の探査・採掘・選鉱、川中の精錬、川下の製品加工に分けられ、最終的に建設、電力設備、家電、自動車など幅広い業界に販売されるため、需要は設備投資、個人消費などの影響を受ける。また希少金属、特に金は投資商品にも位置づけられ、金融政策の影響を受けやすい。非鉄金属資源の多くは中西部に分布。精錬・加工の過程では大量のエネルギーを消費するため、環境対策も必要になるほか、電力など燃料価格の動向もコストに影響する。生産設備の「過剰、小規模、老朽化」という構造的な問題を抱えている。

国際面:

中国はベースメタルからレアアース・金といった希少金属に至るまで、埋蔵・生産量は世界有数の規模。このため資源の輸出国でもあるが、国内需要の確保を目的に希少資源には輸出の割当措置を採用。主な輸出先の先進国と貿易摩擦が起きやすい。背景には国内の需要増を受け、ベースメタルの輸入依存度が高まる一方という事情がある。オーストラリア、チリ、インドネシアなどからの鉱石輸入が拡大し、非鉄金属の貿易収支は赤字を継続。13年も485億米ドルの輸入超となった。こうしたなか、資源確保のため中国企業による海外進出が加速している。

政策面:

国内の非鉄金属資源は国有であり、企業は採掘・使用権を有償で取得するほか、鉱石の生産に対して資源税が課せられる。政府は過剰気味な生産能力の整備、業界再編、製品の高付加価値化、海外進出などを推し進めている。

主要企業、主な取扱銘柄 ~主要金属ごとに有力企業が存在、業績悪化が目立つ~

非鉄金属業界の大手は川上・川中では国有企業に限られ、金属ごとに有力企業が存在。それぞれが上場企業を持つ。金属価格の低迷から各社の業績は悪化の傾向。銅価格の低迷から最大手の江西銅業(00358)が減益となり、中国大冶有色金属(00661)に至っては13.12期で赤字に転落した。過剰生産が特に深刻なアルミでは、業界最大手の中国アルミ(02600)が13.12期こそ資産売却益により黒字を確保したが、14年は再び赤字基調。長らく上昇してきた金相場も昨年から本格的に調整に転じ、中国黄金国際(02099)、紫金砿業(02899)、招金砿業(01818)といった金鉱大手は軒並み業績を落とした。 他の金属についても同様で、海外に多くの鉱山権益を有する五砿資源(01208)は2年連続の大幅減益。湖南省の主要鉱山を傘下に置く湖南有色金属(02626)の業績は回復したが、企業売却益や政府からの補助金に支えられた面もあった。両社はともに金属貿易最大手、国有企業の中国五砿集団公司の支配下にある。同じ国有系の中信資源控股(01205)は傘下に置く中信大モン(01091)とともに、13年も赤字が継続。オーストラリアでの鉱石採掘事業の収益が悪化した。

一方、金属貿易は中国五砿集団公司のほか、欧州の大型資源商社であるグレンコア(00805)が有名だが、販売価格が低迷し、13年は赤字に転落してしまった。レアメタル・レアアース業界の不況も続いており、民営で中間製品を生産している中国稀土(00769)は13年も赤字を計上した。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
江西銅業
00358
人民元 175,29210.93,556▲31.253,907
H株 江西省に本拠を置く銅生産の国内最大手。「徳興銅砿」、「永平銅砿」は銅山として国内最大級の埋蔵量を誇り、生産量は世界でも有数。金、銀、モリブデンなども生産していることから、銅に加えて貴金属・レアメタルの価格変動による影響を受けやすい。銅価格の低迷から昨年も利益が減少。経営陣は今年もやや慎重な見通しを示している。
中国大冶有色金属
00661
人民元 43,59851.0▲1,949赤転2,980
レッドチップ 湖北省政府系の鉱山会社。実質筆頭株主は大冶有色金属集団控股有限公司。保有する鉱山は湖北省大冶市の「銅緑山砿」、「銅山口砿」、陽新県の「豊山砿」、「赤馬山砿」。新疆ウイグル自治区のハミ市やウルグチャト県でも鉱山事業を展開する。主力製品は銅地金。金や銀などの貴金属、硫酸などの化学製品、鉄精鉱なども生産する。
中国稀土
00769
香港ドル 1,488▲29.2▲355赤縮1,840
香港その他 レアアース製品、耐火材の生産・販売を手がける民営企業。製品は国内販売に加え、日本、欧州、米国などに輸出。数少ないレアアース関連の銘柄だが、現時点で資源権益は直接保有していない。国内のレアアース業界は供給過剰が続く一方、輸出量は中国政府の統制下にある。このため業界全体で収益が悪化し、同社も最終赤字を計上した。
グレンコア
00805
米ドル 232,6948.5▲7,402赤転617,761
香港その他 スイスに本拠を置く世界有数の総合商社。金属資源に強く、亜鉛、銅の取引量は世界トップクラス。積極的に海外での鉱山権益を獲得している。石油・石炭などのエネルギー、穀物・綿花・砂糖などの農作物の取引高も多い。ロンドンと香港に重複上場している。価格交渉力をさらに高めるため、同業のエクストラータと経営統合を果たした。
中信資源控股
01205
香港ドル 39,319▲8▲1,465赤拡9,836
レッドチップ 政府系コングロマリットの中国中信集団の中で資源事業を担当する企業。オーストラリアでアルミニウム、石炭などの鉱山権益を保有し、鉱石や中間製品を輸入。中信大モン(01091)を通じて、中国最大のマンガン鉱山、世界最大規模のマンガン製造・販売会社を保有している。オーストラリアの事業規模に比例し、海外リスクも大きい。
五砿資源
01208
米ドル 2,470▲1.2103▲50.614,917
レッドチップ 中国最大級の金属貿易グループ「中国五砿集団」の系列下にある鉱山会社。傘下に置く豪資源会社「MMG」を通じて、豪州、ラオスなどの鉱山で主要金属を採掘している。中でも亜鉛の生産量は世界トップクラス。足元では企業連合を組んでペルーにある世界最大級の銅山の買収を成功。資源メジャーにまた一歩近づいた。
中国宏橋
01378
人民元 29,40418.55,5932.638,370
香港その他 中国の三大アルミメーカーの一角。山東省に本拠を置く民営企業で、アルミ合金地金やアルミ導体を製造し、アルミ形材メーカーなどに販売している。原材料であるボーキサイトの安定調達に向け、近年は積極的に海外の資源を買収。また、同業他社に比べて高い電力自給率を誇り、コスト競争力で強みを持つ。
招金砿業
01818
人民元 6,344▲16.6734▲61.814,020
H株 山東省を本拠とする地方政府系の金鉱会社。金の採掘、加工、精錬、販売を手がける。保有する金鉱には国内最大規模の地下鉱脈が含まれる。主要製品は「招金」ブランドの延べ棒で、国内での知名度も高い。売上高の大半を金が占めており、金相場の影響を特に受けやすい。昨年は金相場が低迷し、業績も悪化した。
中国アルミ
02600
人民元 169,43118.1975黒転56,502
H株 アルミナ・一次アルミニウムの生産などで国内最大手の国有系企業。生産規模は世界でも上位に入る。原材料となるボーキサイトの採掘なども手がける。親会社は資源メジャーの一角を占めるリオ・ティント社に出資しており、レアアースも開発。過剰気味な生産能力が懸念されており、生産調整をどこまで進められるかが業績改善のカギ。
湖南有色金属
02626
人民元 31,09821.62042989.810,192
H株 大手の非鉄金属メーカー。中国五砿集団と湖南省政府が支配しており、五砿資源(01208)とは兄弟会社の関係。主力製品は希少金属が多い。資源の豊富な湖南省を本拠とし、採掘から加工製品販売までの一貫体制を構築している。昨年は硬質合金事業の再編に踏み切り、中ウ高新材料(000657)を子会社化。再編効果が試される。
紫金砿業
02899
人民元 49,7722.82,125▲59.257,258
H株 福建省を地盤とする地元政府系の大手金鉱会社。主力の金をはじめ、銅、亜鉛鉱など幅広い金属を生産する。規模と産出量で国内最大級の露天掘り金鉱など、複数の鉱山を保有。資源会社に出資するなど、積極的に海外事業を展開。特にオーストラリアの比重が大きい。金・銅価格が低迷し、昨年は大幅減益となった。
洛陽欒川
03993
人民元 5,536▲3.11,17411.841,794
H株 河南省の政府系企業で、中国屈指のモリブデンメーカー。採掘、浮遊選鉱、焙焼、精錬、川下分野の加工などを一貫して手がける。主な用途は鋼材の添加元素で、鉄鋼市場の影響を受けやすい。レアメタルの一つであるタングステンの生産にも力を入れており、保有する鉱山は世界有数の埋蔵量を誇る。

売上高・純利益はすべて13年12月本決算。単位は百万。

時価総額は14年9月3日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

鉱業(業種別一覧) 非鉄金属(業種別一覧)

注目されるトピックス ~業績改善には改革の進展、海外事業の成功が不可欠~

構造的問題の解決に向け、政府のマクロコントロールはさらに強化:

過剰・旧式の生産設備、製品の低付加価値、エネルギー高消費・高汚染という業界の構造的問題を解決するために、今後も政府のマクロコントロールが強まろう。政府は5カ年計画に基づき、設備淘汰や環境規制強化の目標を設定。今後も各企業は厳しい生産調整を迫られる可能性が高い。同時に構造改革は業界再編の加速も含んでおり、大手による中小企業の買収・合併が増えていこう。需給関係の改善で将来的に製品価格が回復すれば、改革の勝ち組企業は一段と成長する期待も。

チャンスとリスクが同居する海外事業:

中国企業にとって、海外産の鉱石を如何に安定的に調達できるかが課題。また、国内在庫の削減に向け、製品輸出の意欲も強い。ただ、資源獲得、製品輸出を両輪とする海外事業はプロジェクト遅延、為替損失、貿易摩擦などのリスクも高い。それでも海外事業は業績立て直しのチャンスといえ、特に資源獲得の動きは今後も加速していこう。直近では五砿資源を中心とする企業連合が約58億米ドルを投じて、ペルーにある世界最大級の銅山を買収した。

レアアース業界が再び勢いづくか、政策効果に注目:

世界シェアの多くを占めるレアアースは中国にとって戦略的資源。数年前までレアアース価格が高騰し、関連企業も高収益を上げていた。しかし乱開発による供給過剰が深刻化し、価格が急落。日本など主な輸出先も、中国への依存度を減らした。この反省に立ち、当局は参入条件の引き上げ、業界団体の設立、違法操業の取締り強化、旧式設備の淘汰などを実施。今後の市況は徐々に改善に向かうだろう。また、政府が将来的に輸出制限の大幅緩和に踏み切れば、収益環境は大きく改善する。レアアース業界はすでに最悪期を脱した可能性が高い。

(中国部 畦田)

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非鉄金属10種の生産量(13年、地域別) 中国の10種非鉄金属の生産量 非鉄金属4金属の国際先物価格の推移

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