中国株 業界レポート

電力・電力設備・新エネルギー業界

~今後は電力市場化に向けた改革に注目~
2014年10月1日

市場動向 ~電力容量で世界1位、燃料炭価格の下落を受けて発電各社の業績回復が進む~

13年の業界規模:

発電容量:12.5億kW(前年比9.2%増)、消費電力量:5.32兆kWh(同7.5%増)、設備投資額:7611億元(同2.0%増)

13年の中国の発電容量は12.5億kWに達し、初めて米国を抜いて世界一位となった。国内の景気減速から消費電力量は引き続き1桁台の伸びとなったが、製造業の底堅い需要、夏場の猛暑の影響もあり、前年に比べるとやや回復した。また、全体の需給バランスは夏場も含めて良好。こうした中、燃料炭価格の下落が続き、石炭火力の採算性がさらに改善。これを受け、電力各社の業績は概ね堅調で、五大発電集団は02年以来の高い利益水準となった。これにより電力各社の投資意欲が改善すると、設備投資額は小幅ながらもプラス成長に回復。電源投資の約75%が非化石エネルギーに向けられるなど構造調整も進み、設備メーカーも恩恵を受けた。14年上期も電力消費は前年同期並み。燃料炭価格の下落も続き、卸電力価格の引き下げ圧力はあるが、電力各社は概ね好調を維持している。こうした中、当局は電力市場化に向けた改革を加速する構えで、市場の関心が集まろう。改革は電力各社の投資動向にも影響を与えるだけに、設備メーカーの対応にも注目。

業界の特徴 ~発電源は石炭火力、需要は工業向けが中心~

生産・販売面:

電力業界は基本的にディフェンシブ、ドメスティックなセクター。日本とは異なり、発電会社、送電会社と明確に分けられている。13年の電源構成比(発電容量ベース)は火力69%、水力22%。風力、原子力、太陽光などの成長分野は全体での比率がごくわずか。主力の石炭火力で、燃料炭をいかに低価格、安定的に調達できるかが、発電会社の経営を大きく左右する。送電会社は、送電網の未整備、非効率さなどが課題。需要面は工業向けが最も大きく、全体の7割強を占める。家庭向けは1割強に過ぎない。このため、製造業の生産動向が電力需要に直結し、同時に電力会社を取引先とする設備メーカーの経営に大きな影響を与える。設備業界は発電機器、送変電設備、制御装置などのサブセクターに分けられるが、全体的に供給が過剰気味。主要部品・原材料の価格や人件費が重要なコスト要因となってくる。

政策面:

電力価格は政府の統制下にあり、価格水準は概ね低い。電力会社の業績を改善するため、電力と石炭の価格連動性を導入したほか、12年7月からは家庭用向けに関して段階料金制度をスタートさせた。

主要企業、主な取扱銘柄 ~大手は政府系企業が中心、発電と設備で明暗が分かれる~

発電会社の集約度は低い。そのなかでも発電容量の半分近くを占める国有の五大発電集団が大手で、全国に事業展開し送電会社に電力を供給。華能集団、中国国電、大唐集団、華電集団、中国電力投資の5社は複数の上場企業を傘下に置き、それぞれ華能国際電力(00902)、龍源電力(00916)、大唐国際発電(00991)、華電国際電力(01071)、中国電力国際発展(02380)が中核となる。上場5社の13年本決算をみると、華能国際電力、華電国際電力、中国電力国際発展は燃料炭価格の下落により大幅増益となった。対照的に石炭化学部門に強みを持つ大唐国際発電、風力発電の最大手でもある龍源電力はいずれも減損損失が嵩み、減益に後退。また、大手としてはほかに国有系コングロマリット「華潤集団」に属する華潤電力控股(00836)があり、13.12期は大幅増益となった。一方、大手は専門子会社を通じて、引き続き風力などの再生可能エネルギー事業を強化。五大発電集団の系列では華能新能源(00958)、大唐新能源(01798)、華電福新能源(00816)、中国電力新能源(00735)があり、採算性の改善から堅調な業績となった。

設備メーカーは川上の部品から川下の完成品メーカーまで幅広いが、川下の主役は政府系企業。全般的に供給過剰で、苦しい経営環境が続いた。上海電気(02727)、東方電気(01072)、哈爾濱電気(01133)の総合大手3社はいずれも業績が低迷。かろうじて東方電気が小幅増益を確保したに過ぎない。ただ、全般的に電力会社の経営改善を受け、最悪期は過ぎた格好。再生可能エネルギー専門のメーカーも同様で、風力発電設備の最大手である新疆金風科技(02208)は業績が大きく回復した。ほかにも同分野の有力企業は多く、脱硫装置なども製造している国電科技環保(01296)や、太陽光電池の素材・部品サプライヤーである保利協キン能源(03800)などが有名だ。

主な取扱い銘柄:
社名 コード
分類
売上高 増収率 純利益 増益率 時価総額
中電控股
00002
香港ドル 104,530▲0.36,060▲27.1157,524
ハンセン 長い歴史を有するアジア屈指の発電会社。本拠に置く香港で電力最大手の地位にあり、経営の安定性に強みを持つ。中国本土でも広東省の原発などに出資。このほかオーストラリア、インド、台湾、タイでも事業展開する。ハンセン指数構成銘柄の中でもディフェンシブ性で注目できる。
京能清潔能源
00579
人民元 6,25550.71,14625.921,570
H株 北京最大級のガス発電会社。北京市政府系の企業で、燃費効率の高いガス火力式コージェネレーションシステムの発電所を運営している。このほか風力発電、水力発電、太陽光発電事業も展開。大気汚染が深刻な北京市は15年までに使用電力の8割を天然ガスで賄う計画。電力料金の引き上げも比較的容易とみられ、今後の成長余地は大きい。
中国高速伝動
00658
人民元 6,5392.765▲53.410,319
香港その他 工業用トランスミッションの大手メーカー。主力の風力発電用ギアは国内トップクラスのシェアを誇る。高い技術力が評価され、国内の大手メーカーにとどまらず、海外の大手企業にも製品を供給。ただ、業界の需給バランスが懸念材料。ここ数年は供給過剰に苦しんできた。ただ、足元では改善の兆しが出てきており、今後の業績回復に期待。
華潤電力控股
00836
香港ドル 69,58211.411,01647.3100,457
ハンセン 国有系コングロマリット「華潤集団」で発電事業を担当。東部沿海部を中心に全国各地で事業展開している。主力の石炭火力では、炭鉱事業の規模を急速に拡大。燃料炭高への耐性が強い。風力発電などの新エネルギー事業も積極的に展開している。競合他社と比べて負債比率が比較的低く、財務体質で強みを有する。
華能国際電力
00902
人民元 133,833▲0.110,42689.1111,570
H株 五大発電集団の最大手「華能集団」の中核企業。事業エリアは山東、江蘇、上海など東部を中心に広範囲に及ぶ。海外ではシンガポールの大手発電会社に出資。主力電源は石炭火力で国内屈指の規模。そのため、燃料炭価格の下落によるメリットを受けやすい。一方で、これは石炭高となった場合に業績が下振れしやすいことも意味している。
龍源電力
00916
人民元 19,12310.62,049▲2160,996
H株 風力発電で国内トップの電力会社。五大発電集団の一つ「中国国電集団」の傘下にある。風力発電で高い競争力を持つものの、業界全体では低い稼働率など課題も多い。このため、安定的な発電量の確保を目的に同社は洋上風力への投資を拡大。この投資効果が注目される。風力発電会社の中で火力発電の割合が比較的大きい点も特徴。
大唐国際発電
00991
人民元 75,227▲3.13,529▲12.265,137
H株 京津冀地区(北京市、天津市、河北省)を本拠とする発電大手。大唐集団の中核を占め、北部で高いシェアを誇る。火力発電が主力だが、近年は雲南省や四川省での水力発電、内モンゴル自治区での風力発電を強化。さらに主要燃料である石炭の関連事業を幅広く展開してきた。ただ、赤字が続く石炭化学事業に関しては分離する方針。
華電国際電力
01071
人民元 66,04911.84,097183.245,552
H株 五大発電集団の一つ「華電集団」の中核企業。石炭・天然ガスによる火力発電が主力。再生可能エネルギーの発電も手がける。石炭の安定調達に向けて炭鉱買収を積極的に進めてきた。本拠とする山東省以外にも四川省、安徽省、河南省などに発電所を保有。国有企業改革の一環としてグループ内での再編、全体上場の観測が出ている。
東方電気
01072
人民元 42,39111.32,3497.235,285
H株 国務院系の大手発電設備メーカー。タービン、ボイラーなどの発電設備は火力、水力、風力、天然ガス、原子力など主要電源をすべて網羅。特に風力、原子力向け設備は高い競争力を持つ。海外展開も積極的に進め、南米、アフリカなどの新興国市場を開拓してきた。本拠地の四川省は水力発電が盛んだが、地震も頻発する地域。
哈爾濱電気
01133
人民元 20,501▲21.1706▲50.36,430
H株 黒竜江省ハルビン市を本拠とする政府系の発電設備メーカー。創業以来長い歴史を持ち、火力、水力、原子力の発電設備を供給してきた。特に水力発電の主要設備では国内トップクラスのシェア。このほか発電所の工事、発電所向けエンジニアリングサービス、発電設備の貿易なども手がける。
国電科技環保
01296
人民元 25,42016.7557▲19.69,581
H株 再生可能エネルギーの関連設備を製造する国有系大手。五大発電会社の一角を占める中国国電集団の傘下にある。風力・太陽光発電向け設備の製造に加え、環境・省エネのソリューション事業も展開。排煙脱硫装置の設置、火力発電所の効率向上などを支援している。同社の製品・サービスは大気汚染対策に直結するものであり、成長余地が大きい。
新疆金風科技
02208
人民元 12,1968.7428179.439,164
H株 国内最大の風力発電設備メーカー。世界第2位のシェア(10.3%、13年)を持つ。同社製品は出力1.2MWから最大3.0MWの大型機まで幅広くカバー。西北・華北地区など国内各地の発電会社に設備を納入するほか、近年は海外事業を強化。発注側に対してコンサルティングを含めてトータルで提案できる点が強み。
中国電力国際発展
02380
人民元 18,8277.62,29093.924,196
レッドチップ 五大発電集団の一つである中国電力投資の中核企業。山西、安徽、江蘇、河南などに複数の石炭火力発電所を保有。また、水力発電大手も傘下に置き、湖南、貴州で電力を供給。水力発電の代表的銘柄として注目できる。直近では買収などを通じて火力発電を強化。水力と火力発電を両輪に安定成長を目指す。
上海電気
02727
人民元 78,7952.92,393▲11.879,865
H株 中国の総合機械メーカー。主力は電力設備で、火力に加え、水力、原子力、風力などを幅広くカバー。発電だけでなく送配電設備を製造していることも強み。さらに電力分野に加えて、交通設備、環境プラントなどでも強い競争力を持つ。上海市政府系の中核企業として、今後の業界再編で中心的な役割を担うことが期待される。
保利協キン能源
03800
香港ドル 25,53014.2▲664赤縮44,140
香港その他 多結晶シリコンの国内最大手で、世界でも有数の事業規模を誇る。ポリシリコンやシリコンウエハを製造し、太陽光電池向けの部品として出荷。ただ、同市場は過当競争に陥っており、ここ数年は業績が悪化。収益の安定化に向け、川下のメガソーラー事業への進出を加速している。

売上高・純利益はすべて13年12月本決算。単位は百万。

時価総額は14年9月30日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HKドル。

電力(業種別一覧)  電気設備(業種別一覧)

注目されるトピックス ~電力改革が支援材料に、市場化の進展に期待~

電力改革の行方に注目:

電力改革の方向性は一層の市場化。現在は政府の統制下にある卸電力価格の段階的な自由化が進もう。このほか、国有大手が寡占する送電網や原子力発電の分野で企業改革が進み、民間資本の積極活用や上場による資金調達の動きが本格化するだろう。発電分野でも大手によるグループ全体での再編・上場に注目。すでに五大発電集団では具体的な動きが出ており、折に触れて株価の支援材料となるだろう。

石炭相場の動向には引き続き要注意:

大手発電会社のコストの大部分は燃料炭が占める。現在は石炭価格が低迷し火力発電会社の好業績に繋がっているが、価格が一旦上昇トレンドとなった場合、各社は再び業績悪化に苦しむこととなる。石炭相場の動向には常に注意が必要だ。

風力・太陽光発電は発電効率の低さ、設備の供給過剰を克服できるか:

官民挙げた再生可能エネルギー(水力、バイオマス、風力、太陽光発電など)へのシフトは今後も続こう。ただ、この分野は補助金政策への依存度が高く、発電会社の非効率性、設備の供給過剰という構造的な問題がみられる。このため、市場が拡大しても企業業績は苦しいという悪循環も。構造問題の解決は待ったなしだ。

(中国部 畦田)

電力(業種別一覧)  電気設備(業種別一覧)

電力消費量の推移
発電量の推移
五大発電集団の概要(13年)
電力消費の産業別構成比 電力消費の地域別構成比
電源容量の構成比 新規建設分の構成比
電力業界の設備投資額

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。