上海街角だより

上海の路地の今

 上海の住所表記は上海市○○区××路△△弄◇◇号という形になっています。

 京都の方には馴染みのある道を基準とした表記ですが、日本人にとって分かりづらいのは「弄」という区分でしょう。


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 「弄」表記の住所を記したプレート。弄ごと、あるいはある程度の大きさの建物ごとに貼られています。弄の数字には一定のルール(東から西、北から南へ数字が増えていく)がありますので、○○路××弄という表記を見るだけでその道のどの辺りに位置するのか分かります。また、特に長い道の場合、○○東路、○○中路、○○西路という様に、3つあるいは2つの区分に分かれた表記がされています。



 これは日本語でいうと「路地」に当たる細い道です。

 ただ、上海の場合、こうした路地への入り口にカギ付きの(最近は電子キーの所も多いです)門が付き、それ以外の通りに面した面は壁に囲まれている為、通りの人の目線からは路地なのか、それとも大きな建物の通路なのか、特に日本人からは私有地なのかそうでないのかの区別はつきづらいです。

 普通に観光やビジネスで上海を訪れる場合、こうした路地にまで入り込む機会は少ないですが、最近ではこうした路地の奥や途中などにホテルやレストランが出来るなど、生活の場であった路地がそれ以外の人間にも開かれるようになってきています。

今回は、こうした路地について紹介してみたいと思います。


 元々上海はこうした路地が入り組んだ住宅が密集した作りになっています。高層ビルや新しい建築物が多く建てられている浦東と異なり、浦西では旧租界をはじめとする歴史的建築物(上海市によってプレートが貼られている為、通りがかりでも少し注意すれば分かります)を積極的に保存、活用していく方針であり、改築等にもかなり厳しい基準が設けられています。


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 歴史的建築物である事を証明するプレート。その由来や建築年度等が表記されています。こうした認定を受けた建築物は、外観だけでなく、内装においても厳密な基準が存在し、勝手に取り壊して別の建物にする事は出来ません。



 新天地の成功から多く取り組まれるようになった、こうした古い建物のリニューアルによるエリアの活性化の一例として、こうした路地が積極的に活用された場所が「田子坊」です。

 上海版SOHOとも呼ばれるこのエリアは、芸術家やその卵が集まった事からギャラリーやお店が開かれ、そこにレストランや小物・雑貨店などが追加され、隣接して上海瑠璃芸術博物館が作られる等、計画開発というよりもっと有機的な空気をまとっています。

 観光客なども多く訪れるエリアでありながら、以前同様に古くから住む人や、新たにこの場所を好んで住むようになった人など、生活の場としての顔もそのまま残しているのが、特に大きな特徴です。場所によっては人がすれ違うのにも窮屈さを感じる所もありますが、そんな路地の更に奥に隠れ家の様なレストランがあったりもするのが、田子坊です。軽い迷子を楽しむつもりで路地をぶらつくのも、この場所の楽しみ方と言えるでしょう。


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 歴史的建築物を活用したレストラン。上海はオープンテラスを設けたレストランやバーが多く、こうした場所を好む欧米人も多く滞在している事から、店によってはその建物の景観も含めて中国ではない国に居る様な印象を受ける事もあります。



 一方、張園は清代の面影を残すレンガ造りの建物を多く残したエリアで、近くには上海グルメのメッカ呉江路があります。以前は更に上海B級グルメにとって有名だった小吃の店や屋台が並んだ路地があったのですが、現在は撤去されビルが建設中です。残され、或いはリニューアルして生き残っている路地がある一方、こうして消えてしまう路地もあるのが上海の今の姿です。

 この付近で有名だった「小楊生煎」は現在では地下鉄駅そばのビルの二階に移転、また豫園見物につきものとも言える「南翔小籠包」の支店も付近にありますので、豫園は既に何度も行っているという人はこちらに足を運んで見るのもいいでしょう。


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 電子錠が取り付けられた弄の入り口の門扉。市内の弄や小区、マンション等の入り口等、普通の人が住む多くの場所で電子錠が使用されています。非商用建築での電子錠使用率は日本より高くなっています。



 さて、こうした路地で良く見かける光景は、椅子などを持ち出して休んだり、昼寝をしたり、ポーカーなどに興じるお年寄りの姿。近代化が進んだエリアでは、公園等に行かないと外で遊ぶ子供の姿はあまり見られませんが、こうした路地ではあたりを元気に駆け回る子供の姿も見る事があります。

 中国の多くの都市では都市の中心部から離れるほど時代を遡って行く様な印象を与えられますが、上海の場合はそれとは異なり、こうした路地に入り込んでいく事で今は少なくなってしまったものや、昔ながらのものを発見できるのです。


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