上海街角だより

上海の月餅シーズン

 日本では「中秋の名月」は今年の場合9月30日です。中国の場合も旧暦が基本なのは同じですが、「中秋節」として国の祝日となっており、今年の場合は国慶節(建国記念日)である10月1日と連続した大型連休となっています。


 日本では月見と言えば団子ですが、中国の場合は月餅、当日を前に月餅を贈ったり贈られたりと、知人、友人の往来が多くなる季節でもあります。

 少し余所行きの格好をした人が豪華な箱に入った月餅を下げて街を行き来する光景を目にする機会も増えますが、最近では贈答券の形式の物も特に若い人たちを中心に人気を集めています。

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 月餅の贈答券。手軽に手渡せる事から若い人を中心に人気があります。中には何十枚と購入して、それを一気に配ってしまうという人も居ます。かなりの重さがある月餅そのものでは出来ない、贈答券ならではの行動です。


 さて、月餅と言うと日本の場合、松の実や蓮の餡が入った中華街等のお土産として貰ったりするものの印象が強いと思いますが、中国の場合、こうした伝統的な月餅等の菓子屋だけでなく、中国市場に根を張っていこうとする外資企業にとっても重要なシーズンとなってきています。

 例えば、日本でも有名なブランド、ベルギー王室御用達のチョコレートのゴディバや、一時期日本を席巻したコーヒーのスターバックス、ちょっと贅沢なアイスとして日本でも親しまれているハーゲンダッツ、日本でも繁華街などで見かけるソフトクリームのデイリークイーン等も、それぞれのブランドを生かした、ゴディバならチョコベースのケーキ風月餅、ハーゲンダッツならアイス月餅といった商品を発売しています。

 伝統的な月餅はあちこちから貰い過ぎて食傷気味になってしまう等と言う事情から(最近では当日までに貰った物を食べ過ぎて当日は月餅が売れずに、イブを過ぎたクリスマスケーキの様に値下げされたりもしています)、近年ではアイス月餅の人気も高くなっていて、前述の外資系だけに限らず、香港や台湾、中国本土資本の洋菓子、アイスメーカーも、それぞれ自社のアイス月餅を販売しています。


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 有名ホテル内の贈答用月餅売り場。ホテルやレストラン等でも高級感を演出した贈答用月餅には力を入れています。日本の様に「つまらないものですが」とは言わず、「これはいいものですから是非!」と贈る中国の贈り物の場合、贈り手自身が満足出来るステータスというものも、贈答品において重要な要素です。


 一昔前、日本でも記事等で取り上げられた月餅の高価なおまけ、時計や洋酒、最盛期には家や車などちょっと信じ難いものまで月餅のおまけとして付けて販売されたりしていましたが、現在では2005年に制定された法律で包装や詰め合わせものの価値が月餅そのもののコストの20%を越えてはならないとされている為、こうした風潮は収まっては来ています。ただし、高価な食材を用いたり、月餅そのものに金箔を貼り付けたり、1個2万元という「食べられない」金の塊の月餅すら発売される等、完全に消滅した訳ではありません。

 こうした「変わった」月餅に対してオーソドックスな中国の月餅はどういうものかというと、月餅贈答シーズンの主流は「広式」と呼ばれるアヒルの塩漬け卵の黄身が入った、柔らか目の皮と餡を用いた物の人気が高いです。

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 当日、綺麗な月が見られるか、天候が不安定なシーズンなのは上海も日本と同じです。とはいってもこうした時にはいい場所で月を見たいと思うのも人情。絵になる風景の見られる公園や、そうした場所を眺めるレストラン等もこの時期人気が高まります。


 こうした伝統的な月餅に入っている中国の餡はラードや木の実等が練りこまれている事もあり、栄養価が非常に高いものです。

 月餅は一個で食事一回分を優に上回るカロリーという、食欲の秋に更なる試練を与えるものでありながら、贈り物という性質から食べずに済ませると言う訳にもいかないという、なかなかに厳しいものなのです。

 たまのご馳走であった昔の中国では問題は無くても、飽食気味になりつつある上海などの中国の都会人にとって、特に女性にとっては中々に深刻な問題です。


 中国の都市でフィットネスクラブやヨガ教室等が流行る裏には、こうした事情もあるのかもしれません。

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