上海街角だより

上海お一人さま事情

 秋を通り越して一気に冬に突入してしまった様な、冷たい北からの風が吹く現在の上海ですが、こうした季節になると鍋が恋しくなってくるのは日本も中国も同じで、スーパー等に火鍋用の食材が多く並び、住宅地の側に良くある火鍋屋もピーク時には外に行列が出来る状態になっています。

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 お一人さまを専門に扱うお店が出来る前から、実は一人火鍋を楽しむ人は意外と居ました。日本の感覚で言うと「おでん屋」で一杯、といった感じでしょうか。自宅でまめに料理を作る家庭が意外と少ない上海の場合、夕食の場所として常連になっている人も居ます。

 鍋は大勢で囲むもの、これも日本と同じで様々な具をテーブルいっぱいに並べて、ビールで辛くなった口の中を緩和しながら、食べ、話し、笑い、飲むというのが火鍋店で良く見られる光景です。

 そんな火鍋店ですが、ちょっと変わった火鍋店が登場しています。

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 写真は台湾系のお一人さま対応しゃぶしゃぶ店、内装、店員の服装など、どことなく日本の牛丼などのチェーン店を思い出させるつくりです。価格の方もそれなりにリーズナブルになっています。



 それは「お一人さま専用」火鍋店です。

 日本でも「お一人さま用焼肉店」が話題を集めたことがありますが、焼肉以上にお一人さまがそぐわないのが中国の火鍋ですので、注目を集めメディアなどにも取り上げられたりしました。


 こうした「お一人さま」向けサービスは、様々な形で、特に都市住民向けに提供されていますが、これは住宅事情などで昔に比べると結婚することが難しくなったことや、収入等の安定や自己のライフスタイルを優先して結婚を志向しない層が増えたこと、日本と同じような「オタク」的なネット中心の生活を送る若者が増えたこと、一人っ子政策と跡継ぎを望む心理が合わさった結果の男女比の崩壊などが関係しています。

 また、住宅も市の中心部に近いワンルームの賃貸物件は情報が発信されてもすぐに契約されてしまうという有様で、お一人さま向けの需要はここでも高くなっています。


 この流れを上手く商売に結びつけたのが天猫、京東、易迅、当当等のネットショッピング企業で十一月十一日を「双十一」として、多くの商品、店舗が半額で営業、今年アリババ傘下の天猫は百九十一億元という、一般企業の年商に匹敵する売上を一日で達成しました。


 国慶節と春節に挟まれた商売では狭間に当たるこの時期、十一月十一日をそもそも特別な日としたのは中国の学生層だったと言われています。つまりは中国独自の、それも昔からの節句や、西洋から輸入されたものでないオリジナルの記念日です。「1」が四つ並ぶこの日を光棍節(Singles Day)とし、「独り身」の祭日としたのは一種の自虐も入ったものであったのが、そうした人間が集まるパーティーを開いて騒いだり、そうした状況にある男女が出会ったりと、ネットの発達と携帯電話の普及加速という時代の流れに乗って、現在では大規模な消費を伴う一大イベントになってしまうとは、最初にイベント化した若者たちにも思いもよらぬことであったでしょう。


 また、現在の様なある意味「狂想曲」と言ってもいい様な「双十一」の通販ラッシュは、お一人さまとネット通販の相性が良かったことも影響しています。

 日本での想像以上に、ネット通販は中国の人々の生活に溶け込んでおり、日常的な生鮮食品の購入すらネット通販を利用する人が多く存在しています。日本では駅前のスーパーや自宅近くのコンビニで行う様な買い物もネット通販がカバーしているのです。また、地方在住者にしても、これまでは都会に行かなくては、あるいは行っても限られたものから選ぶしかなかった買い物が、ネット通販によって、多くの店から多くの品物の中から選べるという「買い物の楽しさ」を手にすることが出来るようになったのです。


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 日本に比べると一部業務がネットに押されているコンビニですが、若い男性の食生活を支えている存在です。好きな食べ物を聞かれて、ファストフードやレストランのメニューや家庭料理でなく、コンビニの弁当の名前をあげる若者すら存在します。



 またスマートフォンやタブレットコンピュータの登場もこの傾向に拍車をかけました。それまでのパソコンに比べると本体価格が安い、その分の料金はかかるが特別な工事等を行わなくても購入すればすぐに使用出来る、などということもありますが、それだけに留まらず中国の人にとってもはや生活必需品である携帯電話のステータス的な利用としてまずiPhoneが人気を集め、それを見てスマホを欲しくなった層に対して小米などのリーズナブルなスマホが提供され、といった形で順調に展開した結果、今ではモバイル利用者が固定回線利用者を上回っているのが中国のネット事情です。


 これまでは自宅や、あるいは学校、職場などでしか利用出来なかったネット通販が、いつでもどこでも利用出来る様になったこと、またこれを通販サイト側も専用アプリの提供やスマホ利用者へのサービスなどで後押ししたこともあって、暇な時だけでなく、とっさに何か必要な時、日常的に消費するものを購入する際にもネット通販を利用するのが今の上海の暮らしです。


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 一人客の定番と言える喫茶店ですが、実のところ、上海では比較的新しめの業種です。パブ業務メインやコーヒーも飲めるレストランなどといった感じで、コーヒーをメインとしたお店が一般的になったのは、スターバックス進出前後。インスタントや缶コーヒーの方が先に一般化していたのです。

 中国全体のこれからをある意味先取りした都市と言える上海。今後の中国はこうした暮らしが全体に広がっていくのかもしれません。


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