上海街角だより

暮らす安全、買う安心

 上海も短い秋が終わり、旧フランス租界のポプラ並木から落ちる大量の枯葉で道路の清掃を行う人たちが忙しい季節となりました。

 朝もやの中に木漏れ日がさす、一見心和ませる光景も見る機会が増えましたが、実はこのもや、最近、日本でも話題になっているPM2.5などの汚染物質です。

 中国北部での暖房の為の石炭の使用などで大気の汚染が酷くなり、PM2.5の数値も健康な人でも問題が起こる300を大幅に上回る700以上を記録するなど、上海でも空気の悪さは問題になっています。



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 中国で販売されているマスク。抗菌作用を持った予防用マスクだけでなく、粉塵を防ぐことを主としたマスクも販売されています。また比較的繰り返しの使用が可能な布や革のマスクも売られており、日本で販売されているものよりもカラフルなものも多く見かけます。



 一般的な対策であるマスクですが、元々、排ガス対策としてバイクや電動自転車、自転車などで通勤する人などを中心に着用する人が多かった上海ですが、こうした大気汚染の影響を受けて徒歩の人にもマスク着用者が増え、特に小学生などの子供の着用者を多く見かけるようになっています。

 SARS騒動の時から冬場はマスク着用者が増えていた上海ですが、最近では細かい粉塵が出る作業などを行う人間が使用する業務用のマスクが人気を集めていて、通販サイトなどでは冗談なのか本気なのか軍の使用するマスクさえも販売されています。

 こうした中、ネット通販などで人気の高い家電が空気清浄機です。

 PM2.5の騒動以前から健康に関心の高い層や、乳幼児などの居る家庭では空気清浄機を購入したり、エアコンをそうした機能を備えたものにしたりしていましたが、最近では比較的一般的な層までそうした空気清浄機に関心を持ち、購入するようになっています。


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 市内百貨店の空気清浄機売り場。元々が百貨店の顧客層が高価な商品を好むこともあって、こうした場所で売られている空気清浄機も輸入品の高級なものが多いです。一般家庭からするとかなり高価な値がついていますが、機能とブランドでその価格でも納得して購入する人も見かけます。



 また、実効性を気にするそうした層だけでなく、「対策をした」ということで安心を買う意味合いで空気清浄機を購入する、ライトな層も存在します。

 そうした人たちはどちらかというと実際に使用してどうか、というより「自分が安心出来るかどうか」という意味での関心が高いため、ネット通販などでもそうした層をターゲットに「輸出仕様!」、「輸入品!」、「正規品!」、「ドイツ設計!」などの宣伝文句が並ぶことになっています。


 こうした安全への関心は、自衛という意識で中国の人々、特に経済的に恵まれた人の多い上海では高く、空気だけでなく、水、食品についても費用を投じて安全、安心を買う傾向があります。

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 アメリカ製の浄水器、浄水システムを販売しているスペース。既存の住宅に浄水器を取り付けるだけでなく、新築、改築などの際にキッチン、洗面所、浴室などの全ての水を浄化するシステムを導入する大掛かりな対策を採る家庭すら出てきています。



 水に関しては少し大きめのスーパーなどでは浄水器が売っていますし、大型の浄水器を扱う専門店さえ街中で見かけることがあります。こうした安全面では輸入製品の人気が高く、ドイツ製、アメリカ製と並んで、日本製品も売れています。

 同一製品であっても、中国生産より外国生産を好む人も多く、個人輸入や直接の海外購入などで手に入れた製品を淘宝網などの通販サイトで販売をして、利益をあげている人もいます。

 食品は「緑色食品」という低農薬や無農薬、安全性に考慮した食品が多く存在しますが、最近ではそれですら不安を感じる層向けに、プランターなどでの自家菜園用品や種苗などを販売しているところもあります。


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 スーパーの野菜コーナーに並ぶ無農薬、有機栽培野菜。中国で暮らす日本人主婦が驚く事が多い、農薬を落とすために野菜を洗剤で洗う、という手間もいらなくなりますが、それ以上に安全性、清潔性が評価を受けているようです。地元の生鮮市場よりは割高ですが、見栄えも意識されているので、日本人などにはこちらの方が手に取りやすいでしょう。



 また、元々は上海で暮らす外国人向けという意味合いが強かった輸入食材店、輸入品スーパーなどでも、地元の上海人の姿を見かけることも多くなってきました。価格面では中国産の3~5倍はするのが普通ですが、それでも一定の売行きを見せています。

 こうした動きを受けて、北欧などの水産加工企業、外食産業なども中国に進出を果たしています。

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オーガニック製品コーナーに並ぶ有機栽培米。日本だと健康志向の特に強い人たち向けという印象が強いオーガニック製品ですが、中国ではむしろその高い安全性が評価を受けている様に見えます。最近ではこうした製品も、地元系スーパーなどで販売されることもあります。



 どこか安全がタダの意識がある日本人よりも、安全や安心にお金を投じる意識の高いのが上海の人々なのです。




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