上海街角だより

ドライな上海

 すっかりと風も冷たくなって、街を行き交う人々の足取りも速くなっている昨今の上海ですが、冬ならではの焼き芋や焼きトウモロコシ、焼き栗などの屋台と並んで、通りかかかる人の目を引き付けているのは、魚や鳥などの「干物」を干す光景です。

 今回はそうした干物、乾燥食品について紹介していきます。

 元々、国土が広く、それに伴う商品輸送距離も長い中国では乾燥食品は非常に多く、日本でも多く見かける魚だけでなく、肉、果物なども乾燥させた状態での輸送、販売が多く、その多彩さは中国のどこの地域に行っても、その土地ならではの干物、乾燥食品があるといった感じです。


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 魚(上)と鶏(下)の干物が吊るされた街角の風景。それぞれに貼られた紙に値段が書いてあります。春節には親戚や友人が集まることが多く、特別な料理が振舞われることもありますが、こうした大きなサイズの干物もそうしたご馳走にも使われたりします。日本の年末の数の子や紅白のかまぼこに近いとも言えるでしょう。


 魚などは上海の場合、干物の段階で流通したものを売っているだけでなく、鮮魚の状態で仕入れたものを、お店が自分のところで開いて、それを干して売っていることもあります。


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 魚屋以外の店も干物を売りますが、当然、魚屋でも干物を売っています。マナガツオの干物は中華粥を作る際の出汁にも用いられるなど、メインで食べるためだけでなく、様々な形でも用いられます。また海や川の魚と混じって、蛙やスッポンなども販売していたりすることもあります。



 一方で果物は日本では見ない果物なども含めて実に多彩な果物がドライフルーツとして流通しており、上海市民が日常的に使用するスーパーなどではこうしたドライフルーツや乾燥肉加工品などのコーナーがどこでもあるくらい一般的な食品です。

 そうしたものを専門的に扱う小さなお店も、住宅街のそばではどこでもといった感じで多く存在しています。


 また中国の伝統的な医術である漢方の場合、「煎じる」という形で処方、服用する薬品が多く、こうした薬草、薬剤等も乾燥させ、摩り下ろすなどして混ぜたりするため、一般的な食品以外も干す作業を要するものが多く存在します。


 漢方の場合、薬剤の入手、輸送、保管などの関係で、乾燥させた薬剤を用いる事が伝統的な手法でしたが、中国で熱心に研究が進められている現代漢方の場合、乾燥させる前の段階のものから成分を抽出して、その効能を伝統的な乾燥させて煎じるという方法と比較するなどといった研究も行われており、このあたりは今後の研究の進展によってはかなり様相を変える可能性もあります。


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 木の実や木の根、樹皮などが多い漢方薬も広い意味で言えば、干物、乾燥食品と言えるでしょう。料理にも漢方薬にも用いられるものも多く、いくつか組み合わせてお茶として常飲されたりするものもあります。日本でも有名な冬虫夏草は中国でもデパートなどに専門販売コーナーがある高級品です。


 さて、そうした漢方にも関連する中国の言葉で「医食同源」という言葉がありますが、「医」と「食」の境界線は、こうした乾燥食品においてはより一層あいまいなものとなっています。


 例えば「羅漢果」と呼ばれる果物。

 乾燥させた状態で、上海でも比較的簡単に手に入る果物ですが、この果物は咳、喉の痛み、風邪などに対しての効能を持つとも言われており、日本の漢方薬局などでも「健康食品」として販売されていたりします。

 上海では乾燥させたものですので比較的一年中手に入りますが、やはり効能の関係などもあって、秋口から冬にかけての需要が高いようです。


 最近では大気汚染などの影響もあった、こうした喉や呼吸器系に良い食品が健康を意識する層などを中心に関心を持たれ、見直されたりもしています。


 一方で前述のドライフルーツなどはタイなどの中国の果物の主要輸入先に、直接中国資本の工場を建設して、現地で加工したものを中国に輸送するなどというところも出てきているようです。


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 羅漢果、クコの実、菊の花、棗などの乾燥したものを売っているお店。落花生、胡桃、といったおやつ感覚で食べられるものから、日本だと酒の肴といった印象が強い魚介類の干物まで扱っていたりと、日本とは境界線の引き方が違う中国らしさを実感出来る場所です。羅漢果は桂林の特産ということで、「桂林羅漢果」など産地を強調した売り方をしている所もあります。



 こうした、時代に合わせた変化はありますが、中国の人々にとってこうした乾燥食品は切って離せない存在であり、今後も身近な存在であり続けるでしょう。


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