上海街角だより

紅に包まれる上海

 立ち並ぶ店やデパートなどの飾りつけ、紅灯、紅包、そして町中でかき鳴らされた爆竹の紙くず、町中が赤く染まった様な春節(旧正月)が過ぎても赤く染まったまま、変わらずに、いや、むしろその赤さを増している場所があります。


 モバイル決算、そして電子通販の世界です。

 元々、お店側のサービスとして、クーポンの様な形で出回っていた電子的な「紅包」ですが、昨年から更に攻勢を強めた電子決算ビジネスの覇権争いもあって、個人間でのちょっとしたプレゼントやお年玉としての電子上での現金のやり取りも可能になったり、チャージした小額の金額でも投資運用が出来る様になったりとサービスの向上もあって利用者が増え、店舗等の側でも対応する店舗が増えたり、サービス内容が増えたりと相乗効果で利便性も高まっています。


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 微信のタクシー呼出画面。利用区間などを入力し、電子決算で利用料金を通常の料金支払い時に支払います。将来的にはこうした予約という運用だけでなく、特定のアプリなどを起動するだけで、タクシー待ちの人間がタクシーのカーナビなどに表示され、利用者もタクシーも便利になるなども期待出来ます。


 例えば、タクシーなどは朝夕の通勤利用者が多い時間帯を除いて電子決済を利用すると「紅包」として十元以上が帰ってきます。元々、日本などに比べると格段に安い上海のタクシーですが、更に安くなって複数で乗った場合など実質的にバスよりも安くなることすらあります。


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 現在、紅包効果もあって利用者が増えている市内のタクシー。長距離乗る時は、途中でこまめに何回も清算する形にすると紅包のリターンが実際の利用料金を上回って「タクシーに乗って逆にお金儲けが出来る」などということもあるとか。



 映画は日本の感覚よりももっと高めの娯楽ですが、電子予約でチケットを取れば「紅包」で、たまに路上などで売られている違法な海賊版DVDよりも安くなります。

 以前からそうしたサービスがあったネット通販は言うまでもなく、実店舗でも電子決済による紅包が提供される店は増えています。

 「使わなければ損!」とばかりに上海の人々の年末年始で緩んだ財布の紐は、この「紅包」ブームで緩んだままになっているのです。


 ここまでならば、日本でも依然流行ったクーポンビジネスとさほど違いが無い印象を受けるでしょうが、中国の場合、メインとなるのは電子商決済、そこでストック、フローされる現金と、それを用いた投資収益であって、紅包はそれに付随するサービスといった形になります。日本では新興ビジネス、既存企業のサイドビジネス的クーポン的なサービスですが、サービスを支える資本力、基盤となるプラットフォームの強靭さ、店舗等割引サービスを提供する形になる側の負担の小ささ(日本の様に広告料を一定取られたり、目玉となるサービスを強要される形になったりなどは無く、むしろ補填やフォローなどでプラスになることも)などが中国では桁違いに違います。


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 微信の紅包のスマートフォン上の画面。受取ったり渡したりとメール感覚のままで小額ではあるものの現金が流れていきます。日本のお財布携帯とはまた違った感覚で使われている中国のモバイル決算、その内、現金紙幣をほとんど触ったことの無い若い世代なども出てくるかもしれません。


 日本でも携帯電話のシェア争いの料金サービス等に使用される費用が一兆円を超えていたりしますが、中国の電子決済、特にモバイル決済の覇権争いはそこで争われるパイの大きさの違いもあってかける費用も桁違いになっています。


 特に淘宝、天猫という一大マーケットを抱えたアリババ傘下の支付宝の巨大シェアに挑む形になるテンセントでは「微信」に非常に大きな力を入れており、前述のタクシー利用でのサービスや個人間での「紅包」のやり取りはテンセントのアプリ戦略の一環です。

 微信でのピークはやはり新年を迎える瞬間の「おめでとうメール」に付属した本来の「お年玉」としてのやり取りで、毎分2.5万人が紅包を受取りました。このやり取りでテンセントを経由して決算された金額は莫大なものとなり、モバイル決済のプラットフォームとしての知名度も非上に高まりました。

 あちこちのコンビニなどで見かける端末を見かける 拉卡拉(ラカラ)なども、このままでは埋没の危険があると更なるサービス向上へと向かうでしょうし、シェア的に圧倒的トップである支付宝も攻められっぱなしではおらず、現時点で既に反撃を始めています。


 消費者にとっては嬉しい「お徳をもたらす」争い、いつまでも続いて欲しいなどと思う人も多いようです。


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