上海街角だより

家電の流行から見えてくる安全志向

 上海で最初に家電販売店に行って驚いたことは電子レンジの安さとオーブントースターの高さでした。

 これは単純な家電需要によるものだけではなく、中国自体の冷凍食品産業の発展も考えにいれた当時の中国政府の戦略的意図もあったのではないかと言われています。

 もはや今日では電子レンジは「あって当たり前」の家電となっていて、賃貸不動産の広告ではテレビ、エアコン、冷蔵庫などと並んで必須の家電(中国の場合、家具、家電が付いた状態で貸し出されるのが一般的です)として、付いていない方が特殊な状態です。


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 工業廃熱などを利用した集中暖房が普及した中国北部と異なり、上海では暖房機器がエアコンしかないという家庭も珍しくはありません。安全と安心を求めて輸入品のオイルヒーターを求める人も上海では一定の数存在しています。


 一昔前だと液晶テレビやパソコンやIHヒーターなどが中国で人気の家電でしたが、最近はスマートフォンの根強い人気は別格とすると調理家電などを中心に健康、安全を意識した製品が人気を集めたり、注目を集めたりしています。


 家電店やネット通販などで、一番目に付くのはやはり空気清浄機でしょう。

 特に小さな子供の居る家庭などでは複数の清浄機を用いている場合も珍しくはありません。自分自身のことではそれほど気にしなくても、子供の健康や安全となると財布の紐が緩くなるのはどこの国でも同じようです。

 エアコンなどでも清浄機能付きのものが高い注目度を保っています。

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 デパートなどの高級家電を扱うお店では定番のマッサージ機。足ツボや中国式整体など、上海の街中にも気軽にマッサージを受けられるスポットはありますが、外に出るのが億劫な高齢の人や、社会人となった子供が感謝をこめて両親へ贈るなどといった需要があります。上海でのショッピングに疲れた時になどという裏技的利用法も。



 次いで目に付く変わった家電といえば「野菜洗浄機」でしょう。

 元々、中国では野菜に付着した農薬などへの懸念から野菜を「洗剤を使って」洗う人が多いのですが、そこから更に一歩進んで登場したのがこの野菜洗浄機。中に野菜を入れてスイッチを入れると野菜を自動的に洗ってくれます。


 スーパーなどでは「緑色食品」として、無農薬や低農薬、有機栽培などの安全性の高い商品が売られていますが、それでもやはり不安は残るのと、生活に密着した市場などで売られている食品は価格的にはスーパーなどと比べて大幅に安いのですが、作り手や流通面での保証が無い状態ですので、必然的に中国の人々、特に都市生活者の食の自己防衛意識は高くなっています。


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 清潔に洗浄され、綺麗に陳列された「緑色」野菜。このすぐ隣にはサラダ用に洗浄、カット等の処理がされ、器に盛ってドレッシングをかければすぐに食べられる袋詰めやプラスチック容器に入れられた葉物を中心とした野菜が置かれています。


 また最近では「作ってる側が信頼出来ないなら自分で作ってしまえばいい!」とばかりにモヤシやカイワレ大根などを育てる「モヤシ育成器」なども販売されており、ネットなどではモヤシやカイワレ以外にどういった種からどういったものが育てて食べられるかを解説したり、そこで使用する種を通販したりなどというサイトも見受けられます。


 「安全」から「健康」よりに比重を移したものとして人気なのが「ノンオイルフライヤー」と小さなサイズの「ジューサー」です。


 前者は元々油を多く使った料理の多い中国ではさほど気にされていなかった(というより中華料理の場合、油は調味料の範疇に含まれるくらい「味」に影響を及ぼす重要な要素)「油分」へに対する関心の高まりという中国の人々の意識変化にも影響されて注目を集めるようになった商品です。特に中国の人たちは揚げた鶏肉が大好きですので、高齢化の影響等もあって油を使わなくていいフライパンなど家電以外でも油分を控えることの出来る製品は徐々に浸透していっています。

 後者はコンビニ、スーパーなどでも陳列棚のかなりのスペースを占めるようになってきている野菜ジュース人気を、更に一歩進めて自分の好みや体調的に必要と思われるブレンドで、出来立てを飲むという目的のもので、コップサイズのガラス部分を本体から外してそのまま飲む様な、一人用の小さなサイズのものが人気のようです。


 この野菜ジュースで見られる「自分好みのものを自分で」という部分と、お店で売っている商品の価格高騰による「節約意識」からも人気が出ているのが「ホームベーカリー」。

 中国の場合、パンだけでなく、中華まんの生地、麺類、餃子やワンタンの皮などを作る際にも使用出来ることも販売に際して紹介されています。


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 日本旅行のお土産電化製品として中国だけでなくアジア各国でも人気の日本製炊飯器。上海市内のデパートなどではこうした日本製の電化製品も販売されています。逆に現地系の家電だと、「ご飯も炊ける」電気鍋(火鍋やお粥、スープ類などを作る調理家電)などといった違ったアプローチからの製品も見られます。


 もちろん、このホームベーカリーも健康、安全意識と無関係ではなく、こうしたホームベーカリー向けのオーガニック系素材を扱う高級スーパーなども上海では見受けられ、そうしたスーパーなどでの試食からホームベーカリーに関心を持つ人も居るようです。

 安全と安心への高い関心が窺える上海の人気家電、家電量販店や通販サイトなどを覗いてみると、なかなか日本人には見えてきづらい中国の人々の生活意識や嗜好傾向が見えてきます。思わぬ発見もあるかもしれませんよ?

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