上海街角だより

レトロブランドの復権と自由貿易区

 ネット通販などの影響もあって、幅広い海外製品が溢れている上海ですが、自由貿易区のスタートでより一層それに拍車がかかり、これまでの高級品、ブランド品、高価格製品から日用品、食品、普段着などの身近な品物でも外国企業製品を目にする機会が増えてきました。

 お店などでもこれまでの高級店、レストランから量販店、ファストフードへと外資の進出先が変わっています。中には全く海外資本だと言うことは意識されずに利用されている店もあるくらいです。


写真

 夏といえばアイス。写真左の光明は上海の老舗ブランド、市内のコンビニ、スーパーなどどこに行っても見かけます。右はこの夏人気が高く贋物まで登場した東北大板アイス、大「板」であって大「阪」ではありません。日本人だと大阪に見えてしまいます。


 その一方で密かなというには少し大きな流れで盛り上がりつつあるのがレトロブランドの復権です。

 百雀羚雪花膏(1930年設立、化粧クリーム)、永久牌自転車(1949年設立、自転車)、上海牌手表(1955年設立、腕時計)、英雄牌鋼筆(1958年設立、万年筆)、回力鞋(1972年設立、運動靴)等々、勢いを失っていたものもあれば、街中に溢れ過ぎていて特に意識もされないレベルのものまで差はありますが、こうした上海の地元ブランドを再評価する動きが出ています。

 この二つの動き、これは一つには「新・新上海人」とも言うべき新しい消費者層が関わっています。この新・新上海人は海外留学帰国組で高い購買能力と海外生活に影響された中国製品に対する懐かしさからくる愛着と、海外生活での当たり前を上海でもという外国製品嗜好という二重の強い消費欲求を持っており上海経済の新たな推進力として期待されています。

 また別な要因としては中国政府、上海市政府などの政策的な志向もあります。

 現在、OEM生産が非常に多い中国の工業ですが、やはり自社、自国ブランドによる製品の販売に比べれば利益率はかなり落ちます。小米などの新規のブランドに期待するだけでなく、既に国内で一定の知名度を獲得しているレトロブランドの掘り起こしと再生も中国にとっては有効な戦略と言えるでしょう。こうした動きから消費者視点だけでなく、投資家視点でもブランドを有する老舗企業には注目が集まっています。

写真

 昔ながらのデザインの永久牌自転車。これは新車ですが、何十年も乗っているような自転車で市内を行き来する人の姿も見かけます。こうしたオーソドックスなものの他に、最近ではマウンテンバイクやスポーツ車も生産しています。


 一方の外国製品ですが、上海の更なる発展の一歩となる自由貿易区の成功は上海市政府にとっては当然成し遂げなくてはならない重要な課題です。

 短期的なイベントならともかく、自由貿易区として「成功した」と言えるだけの成果を出す為には、受け入れる側の上海市政府だけでなく参入する側の海外企業の熱意も必要であり、それを引き出す為には一定の利益と将来的な発展の見通しを抱かせるサポート環境が必要になってきます。

 また自由貿易区に関しては上海だけなく海南をはじめとする中国の他の省、都市でも動きがあり、先行している立場であるとはいえ同じ自由貿易区同士での競争は激しさを増していくことが容易に予想され、目玉となるような企業、商品の引き抜き合戦なども考えられ、今後も様々な形でのてこ入れがなされていくでしょう。

写真

 上海で飴といったら大白兎。最近では日本や韓国、アメリカなどのお菓子が増えている市内のスーパーやコンビニなどでも、現役で健闘を続けている商品です。他にも六神花露水、蜂花洗頭水など、次々と発売される新商品に負けずに支持を得ている上海企業の商品がスーパーなどで見かけられます。


 国家政策の影響を受けた国内製品の盛り上がりと自由貿易区という市の大型プロジェクトに後押しされた海外製品の流入、これにネット通販、モバイル通販などの時間、場所を選ばない消費環境が加わって、上海で暮らす人たちは溢れる商品とその情報の中から自分が本当に欲しいものを手にすることに苦労することになりそうです。



中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。